情勢の特徴 - 2000年6月

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 業界の動向 その他の動向

経済の動向

● 建設物価調査会は2000年4〜6月期の民間企業設備投資動向調査の結果をまとめた。全設備投資のうち建設設備総額は、1兆5549億5100万円で前年同期比6.7%減少、11期連続マイナスとなった。7〜9月期の建設投資総額についても1兆5550億3700万円、16.8%の大幅な減少を予測している。建設投資を投資区分別にみると、住宅(社宅等)が286億500万円(前同期比17.3%減)で11期連続のマイナス、非住宅建築は1兆500億7100万円(10.6%減)で8期連続のマイナス、土木が4762億7400万円(3.9%増)で3期連続のプラスとなった。
● 経済企画庁が発表した国民所得統計速報によると、1999年度の実質経済成長率は0.5%にとどまり、政府目標の0.6%は達成できなかった。同年度の国内総生産(GDP)は名目で493兆8184億円で、前年度比0.7%減少した。また、雇用者所得は名目で同0.7%減、物価変動を除いた実質では同0.1%減少で、2年連続のマイナスとなった。一方、今年1〜3月期の国内総生産(GDP)は、実質で前期比2.4%(年率10.0%)増と、3期ぶりに増加。個人消費は同1.8%増となったが、99年7〜9月期以来2.4半期連続マイナスを記録したことの反動とみられる。
● 東京商工リサーチがまとめた5月の建設業倒産状況によると、件数は515件で前年同月比4.4%増、3月以来、再び500件超となった。前年同月比は、7ヶ月連続で増加している。負債金額も1355億4600万円、37.7%増と悪化している。業種別では、総合建設業275件、職別工事業154件、設備工事業が86件。倒産の原因は、受注・販売不振が280件、赤字累積が78件、売掛金回収難が10件。これら不況型倒産が368件と、全体の71.4%を占めた。倒産の形態別では、銀行取引停止が401件と77.8%に達し、破産は84件、4月から施行となり、4月だけで 50件を超えた民事再生法適用は2件にとどまっている。企業規模別では、資本金1000万円以上1億円未満が263件、1000万円未満が250件とほとんどをこの階層で占めている。
● 住宅宅地審議会(建設相の諮問機関、大賀典雄会長)は、今後の住宅宅地政策のあり方を示した審議会答申「21世紀の豊かな生活を支える住宅・宅地政策」をまとめ、中山正暉建設相に提出した。住宅審は答申の中で、今後目指すべき経済社会の方向性として、将来の安心が手にできる「豊かな成熟社会の形成」を提示。この実現を住環境整備の側面から支えるため、政策の基本方針を従来の高度経済成長や地価上昇、人口増加などに基づくものから、市場やストックに重点をおくものに転換するよう求めた。方針転換のキーワードとして、住宅分野では▽少子・高齢化社会への対応▽都市移住空間の再生▽循環型社会への対応−の3項目を設定。それぞれの課題ごとに住宅市場の活性化策と、施設の実施時期を明記した計画を作成し、「新築住宅重視からの脱却」「住宅ストック市場の整備」などを達成するよう要望した。少子・高齢化では、2015年までに「手すり・段差解消・広い廊下」の3つを備えたバリアフリー住宅の割合を、新築住宅で現状の2.7%から20%以上に引き上げるよう提言。また、リフォームの促進によって全住宅ストックの20%を一定の水準でバリアフリー化するよう求めた。

行政の動向

● 中央省庁を1府12省庁に再編統合する2001年1月の中央省庁改革に向け、新省庁の組織や所管事務を定めた政令が先に閣議決定された。建設、運輸、国土、北海道開発の4省庁が合流して誕生する国土交通省の関係では「国土交通省組織令」が決定。本省の大臣官房や計13の局、その下に置く各部・課などの名称とそれぞれの所管事務が固まり、現在の建設省の地方建設局と運輸省の港湾建設局を統合して全国 8ヶ所に設置する地方整備局の名称と位置、管轄区域なども確定した。このほか、審議会関係の政令4本も決定。現在の都市計画中央審議会や道路審議会、河川審議会など既設の審議会を統合して新設する「社会資本整備審議会」の組織を規定した社会資本整備審議会令をはじめ、交通政策審議会令、運輸審議会令、国土審議会令が決まった。
● 第147通常国会が閉会した。政府提出97法案中、90本に議員立法と継続審議法案を加えた計117本に上る新法・法改正が成立した。建設省所管分では、都市計画法の抜本改正案をはじめ、土砂災害への総合対策を盛り込んだ土砂災害防止対策推進法と、建築物の分別解体と廃材の再資源化を義務付ける建設リサイクル法の2本の新法案が成立。他省庁所管分でも、大深度地下空間を公共・公益事業に使うための大深度地下使用法や、公共交通機関のバリアフリー化を促進する交通バリアフリー法といった新法も制定された。土地の利用の見直しや環境対策の強化、新たな公共事業など、いずれの法律も今後、建設産業界に大きな影響を及ぼしそうだ。
● 建設省は、建設業法が義務付けている工事現場への主任・監理技術者の専任配置を、中小建設業者で構成する事業協同組合・協業組合に徹底するよう、都道府県に協力要請した。専任配置する技術者は元請業者と直接的・恒常的な雇用関係を結んでいることが必要な点を周知徹底させるのが目的。元請けが組合の場合は、組合を構成する業者ではなく、組合自体が直接雇用する技術者を専任配置することが必要で、建設省は各組合がこうした規定を順守するよう、都道府県に指導を求めた。建設業界では、下請など他の業者が雇用している監理技術者などが在籍のまま元請業者に出向し、工事現場に専任配置されるケースがある。同省は専任配置技術者がこうした在籍出向者だった場合、元請業者と直接的・恒常的な雇用関係がないため、元請けとしての責任が不明確になるとして業法違反と認定し、処分の対象にしている。

労働関係の動向

業界の動向

● 中央省庁を1府12省庁に再編統合する2001年1月の中央省庁改革に向け、新省庁の組織や所管事務を定めた政令が先に閣議決定された。建設、運輸、国土、北海道開発の4省庁が合流して誕生する国土交通省の関係では「国土交通省組織令」が決定。本省の大臣官房や計13の局、その下に置く各部・課などの名称とそれぞれの所管事務が固まり、現在の建設省の地方建設局と運輸省の港湾建設局を統合して全国 8ヶ所に設置する地方整備局の名称と位置、管轄区域なども確定した。このほか、審議会関係の政令4本も決定。現在の都市計画中央審議会や道路審議会、河川審議会など既設の審議会を統合して新設する「社会資本整備審議会」の組織を規定した社会資本整備審議会令をはじめ、交通政策審議会令、運輸審議会令、国土審議会令が決まった。
● 第147通常国会が閉会した。政府提出97法案中、90本に議員立法と継続審議法案を加えた計117本に上る新法・法改正が成立した。建設省所管分では、都市計画法の抜本改正案をはじめ、土砂災害への総合対策を盛り込んだ土砂災害防止対策推進法と、建築物の分別解体と廃材の再資源化を義務付ける建設リサイクル法の2本の新法案が成立。他省庁所管分でも、大深度地下空間を公共・公益事業に使うための大深度地下使用法や、公共交通機関のバリアフリー化を促進する交通バリアフリー法といった新法も制定された。土地の利用の見直しや環境対策の強化、新たな公共事業など、いずれの法律も今後、建設産業界に大きな影響を及ぼしそうだ。
● 建設省は、建設業法が義務付けている工事現場への主任・監理技術者の専任配置を、中小建設業者で構成する事業協同組合・協業組合に徹底するよう、都道府県に協力要請した。専任配置する技術者は元請業者と直接的・恒常的な雇用関係を結んでいることが必要な点を周知徹底させるのが目的。元請けが組合の場合は、組合を構成する業者ではなく、組合自体が直接雇用する技術者を専任配置することが必要で、建設省は各組合がこうした規定を順守するよう、都道府県に指導を求めた。建設業界では、下請など他の業者が雇用している監理技術者などが在籍のまま元請業者に出向し、工事現場に専任配置されるケースがある。同省は専任配置技術者がこうした在籍出向者だった場合、元請業者と直接的・恒常的な雇用関係がないため、元請けとしての責任が不明確になるとして業法違反と認定し、処分の対象にしている。

その他の動向