情勢の特徴 - 2002年2月前半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

● 国土交通省は民間主導の都市再生を促すため、建物の高さなどを制限している建築規制を2003年にも緩和する方針だ。現在、容積率規制は商業地で原則 1000%までだが、自治体の判断で最高1300%に高められるようにする。民間事業者が都市計画を提案できる制度も新設。土地の高度利用を通じて民間が収益性の高い再開発を進めやすくするもので、国交省は今通常国会に建築基準法や都市計画法などの改正案を提出する。容積率規制などを大幅に変えるのは 1992年以来、10年ぶり。既存の規制をいったん外して民間の意向を踏まえて容積率などを再設定する「都市再生特別地区」の創設を盛り込んだ都市再生特別法案と合わせて、小泉政権の重要課題である都市再生策の柱にする。
● 国土交通省が発表した2001年の新設住宅着工戸数は、前年比4.6%減の117万3858戸となり、3年ぶりに前年水準を下回った。1983年(113万6797戸)以来18年ぶりの低水準で、住宅建設の好不調の目安である120万戸割れは3年ぶり。持ち家の着工戸数は前年比14.3%減の38万6814戸で2年連続の減少。銀行融資など民間資金による着工は同8.4%増と伸びたが、住宅金融公庫による着工は金利の民間に比べた割高感などから同40.2%減と落ち込んだ。
● 建設大手50社が2001年に受注した公共工事の受注総額は、3兆9133億円(同14.0%減)で2年連続の減少。国の直轄工事は9597億円(同 8.3%減)、公団・事業団は7267億円(同18.2%減)となった。地方の機関は1兆8521億円(同17.7%減)と6年連続の減少で、このうち都道府県が5504億円(同19.3%減)、市区町村7919億円(同18.1%減)とともに大きな減少を示した。ピーク時に19兆円台に達していた民間工事は、9兆656億円(同10.6%減)で民間工事なども含めた1年間の受注総額は13兆3383億円(前年比11.0%減)となった。
● 金融庁がまとめた2001年9月中間決算期の全国銀行の不良債権残高は36兆8000億円で、同3月期に比べ3兆1000億円増えた。金融再生法に基づく不良債権の開示を始めた1999年3月期以降で最大。デフレや貸出先の業況悪化で新たな不良債権が発生し、直接償却などの最終処理を進めても追いつかない構図だ。大手銀行の貸し出しに対する不良債権の比率は昨年3月期の5.3%から6.2%に悪化。債権の分類別にみると、元本や利息の支払いが3カ月以上遅れたり返済の繰り延べなどで貸し出し条件を緩和したりした「要管理債権」が2兆6000億円増え、増加分の8割強を占めた。
● 東京商工リサーチがまとめた2001年12月の建設業倒産は463件、負債総額は4854億4800万円に達した。件数は前年同月に比べ5.1%減少したが、依然として受注・販売不振、赤字累積、売掛金回収難を合わせた不況型と呼ばれる倒産が全体の75.1%を占めている。倒産した企業のほとんどは中小・零細企業で、資本金1000万円未満の会社が222社とほぼ半数になっており、厳しい経営環境を浮き彫りにしている。
● 国土交通省は「都市再生特別措置法案」(仮称)をまとめ、今国会に提出する予定。同法案は、内閣に設置する都市再生本部が都市再生を進める上での基本方針を策定するとともに、国土交通大臣による事業認定制度や民間都市開発推進機構(民都機構)による事業資金の支援制度を創設。都市計画に関する特別措置も設け、民間主導の都市開発事業の実施を政府としてバックアップする。同地域内での都市再生事業の実施に向け、法案には▽土地利用規制の特例▽事業実施にかかわる事務手続き期間の短縮▽民間プロジェクトに対する金融支援―などで措置を講じることが盛り込まれている。

行政の動向

労働関係の動向

● 厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」(従業員5人以上規模の事業所調査)の2001年分結果(速報)によると、昨年の労働者1人当たりの現金給与総額(税引き前、一時金含む)は前年より大幅に減少し、月平均35万1347円。前年比1.2%の減少で、前年比減は1昨年の1999年以来2年ぶり。また常用雇用(パート含む)は、同0.2%減と3年連続で減少した。 労働時間は、残業など所定外労働時間が同4.4%減の113時間(年間)で、これも2年ぶりの減。ただこれは事業所が給与を支払った残業時間であり、「サービス残業」は入っていない。平均月間総実労働時間も同0.8%減でこれも2年ぶりの減少。この結果、年間総実労働時間は1837時間だった。常用雇用は前年比0.2%減と3年連続の減。うち一般労働者は同1.1%減と4年連続の減少。一方、パート労働者は同3.5%増と引き続き増加した。

資本の動向

● 経営再建中の準大手ゼネコン(総合建設会社)フジタは、2003年4月にも経営統合する三井建設・住友建設へ合流すると正式発表した。フジタは都市再開発など得意分野である建設事業と、有利子負債の多い不動産事業の2つに会社を分割したうえで建設事業だけを2社に合流させる。不動産事業は外資の活用も視野に土地売却を進める。

その他の動向