情勢の特徴 - 2002年6月前半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

●国土交通省が発表した4月の新設住宅着工戸数は前年同月比0.6%減の9万8924戸となり、2ヶ月連続で前年実績を下回った。年率換算値(季節調整済み)は114万戸。持ち家(注文住宅)は17ヶ月ぶりに増加したが、分譲住宅が大幅に落ち込み全体を押し下げた。住宅の種類別に見ると、持ち家は前年同月比3.2%増の3万6104戸。銀行融資など民間資金による着工が同24.3%増えたが、住宅金融公庫融資による着工は40.9%減った。分譲住宅は11.2%減の2万5150戸と2ヶ月連続のマイナス。貸家は4.5%増の3万6983戸。投資用に賃貸住宅を建てるケースが多い。
●平成14年3月末現在で、建設業法にもとづき建設業の許可を受けている者は、大臣許可業者が1万909業者、知事許可業者が56万479業者、総数で57万1388業者となった。これを、前年同月の許可業者数と比べると、大臣許可業者は0.3%増(32業者)と若干増加したが、知事許可業者は2.5%減(1万4603業者)と減少、総数では2.5%減の1万4571業者の減少となり、また、大臣許可業者が総数に占める割合は1.9%であった。許可業者数を都道府県別にみると、業者数の多い県は、東京都(5万1902業者)、大阪府(4万7261業者)、神奈川県(3万711業者)、愛知県(2万7802業者)、埼玉県(2万6808業者)の順。一方、少ない県は、鳥取県(2790業者)、島根県(3571業者)、高知県(3833業者)、佐賀県(4019業者)、山梨県(4188業者)の順であった。一般建設業・特定建設業別では、一般建設業が54万8067業者、特定建設業が5万601業者となった。これを前年同月比でみると、一般建設業は2.6%減(1万4825業者)、特定建設業は1.2%増(599業者)となった。
●内閣府が発表した2002年1月〜3月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前期比1.4%増、年率換算では5.7%増となった。海外経済の回復で輸出が前期比6.4%の大幅な増加、個人消費も2期連続のプラスだった。設備投資は落ち込んだが、全体では4.4半期ぶりのプラス成長となった。しかし2001年度の年間のGDPは前年度比1.3%減で3年ぶりマイナス成長。政府経済見通しのマイナス1.0%成長も達成できなかった。
●日本経済団体連合会(日本経団連)は、総合規制改革会議(宮内義彦議長)で、経済活性化に向けた規制改革の緊急要望を行った。緊急要望には公共工事に関する規制改革も含まれ、中小企業者の受注機会を確保する官公需法について、毎年定める契約目標額・目標比率を引き下げるとともに、契約対象を直接的な請負業者(元請け)に限定せず、2次以下の請負業者(下請け)まで対象を広げるよう見直すことなどを求めた。また現状では各発注機関ごとに異なる競争入札参加資格を改め、統一資格を導入することも提案した。

行政の動向

労働関係の動向

●厚生労働省労働基準局と国土交通省総合政策局はこのほど、建設業退職金共済制度(建退共)の履行確保を求める連名の通達を都道府県の担当者に出した。通達は、都道府県担当者に対し「(掛金収納書方式は)建退共制度の適正な履行に有効な措置」であり、「管下市町村その他の関係機関への周知を図るよう、特段の配慮」を求めている。国交省は元請け業者に対し、必要枚数を購入したことを証明する「掛金収納書」(証紙の領収書)を省庁や自治体などの発注機関に提出することを求めているが、実施している自治体が半数にとどまっている。
●総務省が発表した労働力調査(速報)によると、4月の完全失業率(季節調整値=各月比較ができるよう季節的要因を調整した値)は、前月と同率の5.2%。男性は0.1ポイント上昇して5.4%、女性は0.2ポイント低下の4.9%となった。完全失業者数は1年前(前年同月比)より27万人増加の375万人で、13ヶ月連続で前年を上回った。男性は227万人、女性は147万人で、ともに前年同月より増加している。職に就いている人を表す就業者数は、1年前より94万人減の6333万人で、13ヶ月連続して前年より減少している。雇われている人(雇用者)は同41万人減の5318万人で同8ヶ月連続の減少。

資本の動向

●大証二部上場の中堅ゼネコン(総合建設会社)、藤木工務店は大阪地裁に民事再生法の適用を申請し、財産保全命令を受けた。負債総額は連結ベースで752億円。工事採算の悪化などで2002年3月期末に連結ベースで12億円の債務超過に陥っていた。債務の株式化を軸とした再建策を策定したが、三井住友銀行など金融機関との調整が不調に終わり、自力再建を断念した。支援先は未定。

その他の動向