情勢の特徴 - 2002年8月後半
●東京商工リサーチがまとめた7月の建設業倒産は543件で負債総額は4087億3100万円となった。前年同月比で件数は8.8%増。負債額は151.3%の大幅な増加で、いずれも7月としては過去2番目。負債額は、97年7月の8363億5300万円が過去最高で、7月としてもこれに続く金額となった。倒産の原因を見ると、いわゆる不況型と呼ばれるものは417件に達し、実に76.7%を占めた。形態別では、銀行取引停止が338件と圧倒的に多い。資本金階層別では1000万円以上5000万円未満が272件ともっとも多い。
●国土交通省は、03年度予算の概算要求をまとめた。公共投資関係費として調整費などを含め国費7兆6753億円(前年度比16.4%増)を計上。これに義務的経費4230億円、裁量的経費2107億円を加えた要求総額は8兆3090億円となる。「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」に掲げられた新重点4分野に予算全体の71.5%を重点配分した。概算要求額の7割を占める新重点4分野への配分は、計5兆8624億円(同23.3%)。分野別では「魅力ある都市・個性と工夫に満ちた地域社会」に4 兆1057億円(前年度比17.2%増)、「公平で安心な高齢化社会・少子化対策」に4204億円(同21.1%増)、「循環型社会の構築・地球環境問題への対応」に8224億円(21.9%増)、「人間力の向上・発揮―教育・文化、科学技術、IT」に2440億円(同13.2%増)を計上した。重点分野の各種施策をみると、都市再生特別措置法の円滑な施行の支援として869億円を計上。都市再生緊急整備地域の民間都市再生事業に対する金融支援を充実させ、民間と協調した基盤施設整備を進める。また、大都市圏拠点空港の整備として、羽田空港再拡張の03年度事業化を盛り込んだ。特殊法人改革のうち、住宅金融公庫関連で、民間住宅ローンの証券化による新たな資金供給システムを構築。03年度は1万戸(買取金額2000億円)を対象として証券化支援事業を開始する。
●内閣府が発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増になった。年率換算では1.9%増。輸出の大幅な伸びに支えられ、5.4半期ぶりのプラス成長となった。ただデフレ進行により名目GDPは0.2%減(年率0.8%減)で5.4半期連続のマイナス成長。4〜6月期のプラス成長を支えたのは輸出。前期比5.8%増と、2000年1〜3月期以来の高い伸びとなった。輸入は3.8%増となり、輸出から輸入を差し引いた外需の成長率への寄与度は0.3%になった。内需は総じて振るわなかった。設備投資は前期比0.5%減で6期連続のマイナスだった。GDPの5割強を占める個人消費は0.3%増。3期連続のプラスだが、伸び率は小さく、依然として横ばい状態にある。そのほか、住宅投資は1.0%減少、公共投資も0.7%の減少だった。
● 国土交通省が01年度に発注した直轄工事(港湾空港関係を除く)のうち、低入札価格調査制度の対象案件となった工事件数が353件に上ることが分かった。00年度の282件に比べ71件、約25%増加した。全体工事件数に占める割合も00年度の1.68%から0.7ポイント上昇し2.38%となった。対象案件が全体発注工事件数に占める割合は、工事件数が少ない官庁営繕部と国土技術政策総合研究所を除くと、近畿整備局が7.5%(00年度 5.75%)と突出して高い。次いで東北整備局が2.7%(1.97%)、中国整備局が2.4%(1.12%)、の順となっている。入札方式別では、通常指名競争入札での割合が2.6%(253件)と最も高い。
● 総務省が発表した7月の完全失業率(季節調整値)は5月、6月と同水準の5.4%だった。これは過去最悪水準だった昨年12月(5.5%)に迫る高水準で、雇用情勢は依然として改善していない。完全失業者数は1年前より22万人増加した352万人で、16ヶ月連続で前年を上回っている。解雇・倒産など非自発的離職者は142万人で、前年同月より43万人増加。特に大企業を中心にしたリストラ・人減らしが激しく、従業員500人以上の大企業のみが15ヶ月連続して前年比で雇用者数を減らしている。就業者数は6374万人で1年前より78万人減少(前年比で16ヶ月連続減)。うち、雇われている雇用者は5379万人で同11万人減(同11ヶ月連続減)。自営業主・家族従業者は971万人で同67万人減(同30ヶ月連続減)。