情勢の特徴 - 2002年9月後半
●東京商工リサーチが発表した8月の全国企業倒産(負債額1000万円以上)集計によると、小規模企業の倒産が増加している。従業員5人未満の小規模企業の倒産が8月に141件で、全体(1578件)にたいする構成比が53.2%と、今年1月の49.0%から徐々に上昇し、今年最高になった。中小企業基本法の規定にもとづく中小企業(製造業従業員数300人以下など)の倒産は、全体の99.6%。
●日本銀行は、銀行の保有株の買い取りの実施に向け、大手・地方銀行計15行、財務省と本格調整に入る。銀行の保有株圧縮の効果を高めるために、購入規模は1兆〜3兆円程度を想定し、対象銘柄は幅広く認める方向だ。買い取った株式の損失リスクに備え、国庫への納付金の減額を財務省に求める。議決権の行使など保有株の管理は信託銀行に委託する信託方式を採用する案が浮上している。
●国土交通省が発表した7月1日時点の基準地価(都道府県地価調査結果)は5.0%下がり、11年連続の下落となった。利便性や収益性が地価に反映する二極傾向は続いているが、人気の高かった東京都心でもオフィスビルの供給過剰にオフィス就業者減といった新たなマイナス要因が加わり、再び下げ基調となってきた。
●日本銀行は、金融危機の発生を未然に防ぐため、公的資金を銀行に資本注入する新しい制度の導入に向けて政府に働きかける方向になった。危機が発生しなければ公的資金を注入しにくい現行法の限界を考慮。前倒しでの資本注入を可能にする新規の立法も視野に入れている。現行の預金保険法では、首相が主宰する金融危機対応会議で「危機」あるいは「危機のおそれ」があると認定しない限り、公的資金の再注入などの措置を取れない。日銀内部では、現行法のまま「危機のおそれ」を拡大解釈すれば、予防的な資金注入が可能との声もある。しかし、「危機対応と位置付ける限り問題の早期解決は困難」との判断から、新規立法を選択肢とすべきだとの見方が強まっている。
●金融庁は銀行の不良債権処理を加速させるため、整理回収機構(RCC)の不良債権の買い取り価格を引き下げ、不良債権の購入を拡大する。現在は市場の実勢価格を示す「時価」が原則だが、債権の簿価から将来の貸し倒れに備えて計上した引当金を差し出した「実質簿価」でも購入する方向だ。ただし厳格な引き当てを条件にする。買い取った債権を売却・回収した際の損失については国と民間で折半して負担する見通しで、公的資金の投入が必要になりそうだ。
●神奈川県、横浜市、川崎市は、京浜臨海部地域約4400ヘクタールを都市再生予定地域に指定するよう、政府の都市再生本部(本部長・小泉純一郎首相)に申請した。政府から指定を受ければ、都市再生緊急整備地域に準じた支援措置を受けることができ、事業の熟度に応じた柔軟な都市開発事業の計画立案・実施が可能になる。工場跡地を含む土地資源が豊富な京浜臨海部での民間都市開発事業や、東海道貨物支線の貨客併用化事業、川崎縦貫道路を含む道路整備事業の早期着手を促したい考えだ。都市再生予定地域の指定申請は全国で京浜臨海部地域が初めて。
●公正取引委員会は価格カルテルや入札談合など独占禁止法の違反行為に加わった企業や個人が内部告発した場合に、課徴金などを減免する制度の導入を検討する。東京電力など関係者の告発で発覚した不祥事が相次いだため、自浄作用に期待し公取委への通報を促すことで、独禁法違反の摘発を進めることも狙う。
●国の整備計画に基づき日本道路公団が建設、運営する高速道路27路線のはぼ8割にあたる23路線が、2050年末までの料金徴収期間内の料金収入だけでは建設費を完済できないことが同公団の試算で分かった。特に第二東名自動車道は累積赤字額が3兆7000億円に達する。将来の収支見通しが路線別に明らかになったのは初めて。政府の道路関係4公団民営化推進委員会で、建設路線の縮小を求める意見が強まるのは必至だ。
●神奈川県、横浜市、川崎市は、京浜臨海部地域約4400ヘクタールを都市再生予定地域に指定するよう、政府の都市再生本部(本部長・小泉純一郎首相)に申請した。政府から指定を受ければ、都市再生緊急整備地域に準じた支援措置を受けることができ、事業の熟度に応じた柔軟な都市開発事業の計画立案・実施が可能になる。工場跡地を含む土地資源が豊富な京浜臨海部での民間都市開発事業や、東海道貨物支線の貨客併用化事業、川崎縦貫道路を含む道路整備事業の早期着手を促したい考えだ。都市再生予定地域の指定申請は全国で京浜臨海部地域が初めて。
●公正取引委員会は価格カルテルや入札談合など独占禁止法の違反行為に加わった企業や個人が内部告発した場合に、課徴金などを減免する制度の導入を検討する。東京電力など関係者の告発で発覚した不祥事が相次いだため、自浄作用に期待し公取委への通報を促すことで、独禁法違反の摘発を進めることも狙う。
●国の整備計画に基づき日本道路公団が建設、運営する高速道路27路線のはぼ8割にあたる23路線が、2050年末までの料金徴収期間内の料金収入だけでは建設費を完済できないことが同公団の試算で分かった。特に第二東名自動車道は累積赤字額が3兆7000億円に達する。将来の収支見通しが路線別に明らかになったのは初めて。政府の道路関係4公団民営化推進委員会で、建設路線の縮小を求める意見が強まるのは必至だ。