情勢の特徴 - 2002年12月前半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

●日本不動産研究所は、東京で03年前後にオフィス供給量が増加するいわゆる「2003年問題」に関する調査結果をまとめた。02年から03年の2年間に都心3区で竣工するオフィスビルの総床面積は約360万平方メートル。このうち、延3万平方メートル以上の大規模ビルが約300万平方メートルを占める。既存ストックに対する割合をみると、全体で14.5%増、大規模ビルでは24.1%増加することが判明した。竣竣工ビルの多い地区の状況をみると、新橋(汐留)、六本木、麻布ではストック量が2倍、大規模ビルが5倍になる。また、飯田橋・九段、港南では、ストック量が1.5倍、大規模ビルが2倍となる。さらに、丸の内・大手町、新富町・築地では、ストック量が10〜20%増加する見込みだ。
●東京商工リサーチがまとめた10月の建設業倒産は547件となった。前年同月比では7.9%の減少。負債総額は1529億4000万円で8.4%増加した。倒産原因別では、受注・販売不振が298件、赤字累積94件、売掛金回収難5件の3原因を合わせた「不況型」が397件(構成比72.5%)を占めた。その他、連鎖倒産51件(同9.3%)、放漫経営が48件(同8.7%)、過小資本42件(同7.6%)など。規模別で見ると、資本金階層別では1億円以上が3件、1000万円以上〜1億円未満297件、1000万円未満(個人事業含)が247件となった。従業員数別では10人未満の零細企業が414件(構成比75.6%)となった。
●日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、千速晃会長)の都市再生研究会は、東京の国際的な魅力や競争力を高めることを狙いに、東京駅を中心とした都心・国際軸の形成を図るための検討を開始した。将来の羽田空港への国際線乗り入れを視野に、交通、景観などを都市軸のスケールで考え、海外からの多くの観光客や外国企業を東京に呼び込むグランドデザインを描く。具体的には、日本橋―東京駅―八重洲―京橋―銀座―汐留―臨海副都心―を国際軸と設定し、連携・連続性を持つ回遊ゾーンの形成を目指す考えだ。
●建設業許可業者数が、11月末現在で55万台になったことが明らかになった。3月末には57万1388業者だったが、8ヶ月間で1万1997業者が減少、55万9391業者となり、96年3月末以来の56万業者割れとなった。11月末の業者数は、大臣許可が3月末より188業者減の1万0721業者、知事許可は同1万1809業者減の54万8670業者。また、02年度上半期(9月末)の業者数は、3月末と比べ7964業者減の56万3424業者で、大臣許可1万0789業者、知事許可55万2635業者だった。上半期の業者数増減状況をみると、大臣許可は新規59業者、知事から大臣への許可換え199業者の計258業者が増え、廃業150業者、許可失効95業者、大臣から知事への許可換え133業者の計378業者減ったため、トータルでは120業者減少した。
●日銀が発表した11月の貸出・資金吸収動向によると、都市銀行など大手銀行の貸出平均残高は前年同月比7.4%減の242兆9961億円となった。不況の長期化による資金需要の低迷に加え、小泉内閣がかかげる不良債権最終処理の「加速」策のもと、大手銀行の「貸し渋り」「貸しはがし」が進んでいることを物語っている。大手銀行と地方銀行、第二地方銀行をあわせた銀行全体の貸出し平均残高は同4.7%減の417兆165億円となり、59ヶ月連続で前年の水準を下回った。信用金庫を含めた同残高合計は同4.4%減の479兆5221億円。

行政の動向

労働関係の動向

●厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査の10月分結果(速報、従業員5人以上の事業所調査)によると、常用雇用は引き続き大幅に減少し、10月は前年同月比0.8%減となった。一方、残業など所定外労働時間は4.7%増で、増加は4ヶ月連続。企業は激しいリストラ・人減らしで労働者を減らしつつ、残った労働者に長時間労働を強いている姿が浮かぶ。とくに、2000年を100とした指数で9、10月の製造業をみると、常用雇用は93.3、93.0と引き続き減少した。一方、所定外労働時間は9月から100を超し101.4、10月は102.9と増加幅を拡大した。常用雇用労働者は4307万1000人。このうち、正規労働者を示す一般労働者は前年同月比1.8%減と引き続き減少し、パートタイム労働者は同3.3%増と増加を続けている。

資本の動向

その他の動向