情勢の特徴 - 2004年1月前半
● 日銀が発表した貸出・資金吸収動向によると、2003年12月の都市銀行など大手銀行の貸出平均残高は前年同月と比べ8.2%減の224兆2771億円となった。この結果、小泉内閣が発足する前の2000年12月と比べると、3年間での減少は約55兆円にのぼる。不良債権最終処理を最優先した「構造改革」をかかげた小泉内閣になってから、「貸し渋り」「貸しはがし」がいかに激しくなったかを物語っている。銀行全体では、2003年12月の貸出平均残高は前年同月と比べ5.1%減の398兆1469億円。年間でみると、2003年の銀行全体の貸出平均残高は前年比 4.8/%減の405兆1837億円となり、7年連続のマイナスとなった。
● 国土交通省は、入札書と同時に提出する工事費内訳書(内訳書)について、未提出や内容に不備があった場合、入札を無効にする明確なルールを作成した。自社積算していない入札参加業者などを入札から排除する。また、紙入札者の入札書と工事費内訳書の提出期限を入札日前日に前倒しする試行を2月1日から開始する。同省が内訳書の提出案件を拡大する背景には、談合やダンピング受注などで自社積算しない入札参加業者などを入札から締め出す狙いがある。今回の措置は、内訳書の提出だけでなく、その内容も十分にチェックし、不良不適格業者の排除を徹底させるのが目的。
● 首相の諮問機関、地方制度調査会は将来の道州制導入に向け、「道州制基本法」の検討に入る。都道府県を廃止し、広域自治体として設置する道州の仕組みや役割に加え、区割りの考え方、移行の手続きなどを示す。具体的な調整の場として、首相直属の「道州制推進委員会」(仮称)の設置も盛り込む方針。道州制導入の検討は外交、防衛などに特化し、スリム化した中央政府と、住民に身近で効率の高い地方政府に再編することで、国、地方を通じた巨額の財政赤字削減と地域の活力を引き出す。明治以来の中央集権体制を転換することになる。
● 国士交通省官房官庁営繕部は、建築分野の「ユニットプライス型積算方式」導入に向けた検討を加速させる。2004年度に学識経験者や関係業界団体も含めた研究会を立ち上げ、ユニット単位のくくり方や諸経費の扱い、プライスデータ収隻・分析方法などをまとめる。2005 年度には、新築の建築工事をプロトタイプに位置付け、工事発注を試行する予定だ。現時点では、ユニットのくくりは、電気、機械などの設備工事より建築工事のほうがくくりやすいイメージがあることから、新築の建築工事を先行させてユニットを作成していくことになりそうだ。
● 国土交通省は都市の緑化と美しい景観づくりのため、大規模ビル開発の際に、市区町村が敷地面積の25%を上限に緑化を義務付ける「緑化地域」制度を創設する。歴史的な町並み保存などのために、一定区域内で市区町村が建築物のデザインや色彩を規制する仕組みも作る。同省は新制度を盛り込んだ「景観緑三法案」を次期通常国会に提出する。新設する「緑化地域」は市区町村が中心市街地などを独自に指定できようにする。同地域内では大規模ビル開発などの際、敷地の一定割合の緑化を義務付ける。
● 厚生労働省が明らかにした2003年の調査結果によると、日本国内で外国人労働者を雇用している事業所数は前年に比べ7.9%増え2万3142カ所、外国人労働者数も20.2%増加して27万4145人だった。産業別では事業所数、労働者数とも「製造業」が最も多く、事業所では全体の約5割、労働者では約6割を占めた。一事業所当たりの外国人労働者数は平均7.6人(前年は7.4人)。また、派遣・請負などで外国人労働者を間接雇用している事業所は4655カ所で 683カ所増加(前年比17.2%増)、外国人労働者は11万6898人で3万199人増加(同34.8%増)だった。なお、外国人労働者の延べ人数のうち、間接雇用労働者の占める割合は42.6%で、前年(38.0%)に比べ上昇している。
● 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は全国の市区町村の将来推計人口を算出、公表した。2030年には34.6%の自治体が人口5千人を割り込み、2000年に比べて人口が2割以上減る自治体が半数を超える。高齢者の割合が4割以上になる自体が30.4%と急増するなど、厳しい推計結果に合併を迫られる自治体も出てきそうだ。推計によると、2000年時点で人口5千人夫満の自治体は722(22.2%)だったが、2030年には約1.5倍の 1122(34.6%)に急増、全体の3分の1を超える。1万人未満の自治体も2000年時点の1554(47.8%)から2030年には 1805(55.6%)と増え、半数以上が1万人を割り込む。