情勢の特徴 - 2004年3月後半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

● 国土交通省は今年1月1日現在で調べた公示地価を公表した。景気低迷の影響を受け、全国平均で住宅地が5.7%、商業地が7.4%それぞれ下落。13年連続のマイナスとなった。しかし、東京、大阪、名古屋の三大都市圏では、下落幅が住宅地、商業地ともに縮小。一方、地方圏の下落幅は住宅地で7年連続で拡大した。東京圏の都区部やその周辺では、海外ブランドの出店地や再開発地域を中心に、上昇や横ばいを示す地点が増え、下げ止まりの傾向が鮮明になった。この現象は札幌、名古屋、福岡の各政令市の一部地域でも見られる。住宅地の下落率は、三大都市圏、地方圏ともに 5.7%。下落幅が最も大きいのは山梨(9.5%)。次いで富山(8.9%)、奈良(8.8%)、石川(8.7%)など。
● 2003年度の住宅金融公庫の融資戸数が約20万戸と計画の半分程度にとどまることが明らかになった。大手銀行などが個人取引で住宅ローン商品の販売を強化しており、住宅購入資金の供給源が民間金融機関へ急速に移行している。住宅公庫は今年度、個人のマイホーム購入資金向けなどで38万戸、約5兆9500億円を融資する計画だった。しかし、主力の個人向けは12月までの新規融資額が1兆4500億円と、前年同期比4割減で推移するなど利用が低調。融資は戸数、金額とも計画を半分程度下回りそうだ。

行政の動向

● 政府が進める「規制改革・民間開放推進3カ年計画」(2004〜2006年度)は、官公需法に基づき毎年定めている中小企業向け契約目標について、政府調達の公正性や経済合理性、効率的な予算執行などの観点から見直しを求めたほか、分割発注や地域要件設定などの運用改善にも取り組む。競争性の確保に向け、ランク制の改善やJV結成義務づけの見直し、民間技術提案の一層の活用なども盛り込まれた。官公需法に基づく契約目標のあり方を検討するのと並行して、分割発注を行う場合の明確な基準づくりも検討する。地域要件の設定では競争性の低下を招かないよう、国が地方公共団体における地域要件の設定のあり方について基本的な考え方をまとめ、その結果を地方公共団体に周知させるとした。

労働関係の動向

● 賃金が2年連続で減少し、とくに50代の男性の落ち込みが激しいことが、厚生労働省が発表した2003年賃金構造基本統計調査(全国調査)結果で分かった。結果によると、賃金(残業代を除く税引き前)は、30万2100円で前年比0.2%減となり、2年連続で減少した。男女別でみると、男性が前年比0.2%減で33万 5500円、女性は同0.3%増で22万4200円、年齢別でみると、落ち込みがめだつのは50〜54歳の男性で前年比1.7%減(大卒では同2.9%減)となり、45〜49歳の男性賃金と並ぶ41万1900円、パートタイム労働者の一時間あたりの賃金は、男性1003円で前年比1.2%増、女性893 円で同0.2%増だった。
● 国土交通省と農林水産省は23日、2004年度の公共工事設計労務単価(基準額)を決めた。単価は50職種平均で1 万7700円、2003年度比3.6%減と7年連続の減少となった。設計労務単価は、内訳は@基本給相当額A基準内手当B臨時給与(賞与など)C実物給与(食事など)−で構成し、時間外労働の割増賃金や現場管理費、一般管理費などは含まれない。2004年度単価と2003年度単価の比較を地方ブロック別にみると、東北、九州、沖縄が4%台の減少となり、都市部が多い関東は2%台の減少にとどまった。
● 国士交通省は、土木関係設計業務委託などの積算に使う2004年度の技術者単価(基準日額)を決めた。2003年度単価と比べ、設計業務は7職種平均で1.3%減、測量業務は5職種平均で4.9%減、航空関係が4職種平均で2.7%の減となった。地質業務は、3職種平均で0.5%アップした。各職種の技術者単価を2003年度単価と比べると、測量業務の測量助手、航空関係の整備士、地質業務の地質調書員の3職種はアップしたが、他の職種はダウンした。単価の安い職種がアップ傾向を示したため、技術者レベル間の単価の差が縮まった格好だ。
● 総務省が発表した2月の労働力調査(速報)によると、完全失業率(季節調整値)は前月と同水準の5.0%で5%の大台に高止まりした形。特に男性若年層の失業率は悪化の度を増している。完全失業者数は330万人で、1年前の同じ月よりは19万人減少したが、月別では2 カ月連続で増加しており男性は206万人、女性は124万人。男性社員が多い建設業と製造業の就業者数が前年同月に比べ4.6%、3.3%それぞれ減少する一方で、女性は雇用者の7割を占める医療・福祉業の就業者が8.4%増加している。

資本の動向

● 戸田建設は大和ハウス工業とマンションの住戸のリフォーム事業で提携した。戸田建設が外壁や建物の入り口など共用部の大規模改修工事を受注したマンションを対象に、両社が各戸ごとの内装、水回りなどのリフォームを共同で営業・受注する。戸田建設は工事経験の豊富な住宅メーカーと組むことで、同事業を本格展開する。
● 国土交通省は中小・中堅建設業者の経営革新アンケートの結果をまとめた。それによると、新規分野への進出は、リフォームや産業廃棄物処理などの建設業周辺分野だけでなく、農業や福祉、サービスへの進出も目立っている。同省では転業促進と、それによる地域経済の活性化を図るため、厚生労働、農林水産、経済産業、環境の4省の局長クラスとの連携会議を月内にも開く。新分野への進出状況では、建設業周辺(リフォーム、まちづくり)31%、環境・リサイクル23%、農林水産11%、福祉9%、サービス8%などとなっている。建設業で培ったノウハウ、技術、経験を生かすことのできる周辺分野が半数以上を占めたほか、農業や福祉などの分野への進出が目立った。

その他の動向