情勢の特徴 - 2004年5月前半
● 総務省が発表した家計調査報告書によると、勤労者(サラリーマン)の2003年度の一世帯当たり月平均支出は前年度比横ばいの32万8156円となった。2003年度まで6年連続でマイナスとなったうえで、ようやく消費抑制に歯止めがかかった形。実収入は実質0.6%減で2年連続のマイナス。企業の人件費圧縮などを背景に、一時金(ボーナス)を中心に「臨時収入・賞与」が大きく減少した。支出の内訳では、リフォームの好調などで住居が4年ぶりに実質増加。
● 総務省は、2003年度平均の全国の消費者物価指数(CPI、2000年=100)を発表した。価格変動の激しい生鮮食品を除く総合指数は前年度比0.2%減の98.0と6年連続のマイナスとなった。下落幅は過去最大だった前年度、前々年度(いずれも0.8%減)より大幅に縮小した。内訳では、パソコンの値下がりが続いていることなどから教養娯楽耐久財が13.8%の大幅下落。このほか、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品の落ち込みも目立つ。一方、医療費の負担割合アップで保健医療サービスは9.4%上昇した。
● 国土交通省が発表した3月の新設住宅着工戸数は前年同月比6.9%増の9万3285戸で、4カ月連続で増えた。昨年度通期でも前年度比2.5%増の117万3649戸と4年ぶりに増加に転じた。3月の着工戸数の季節調整済みの年率換算値は119万7千戸で、前月(117万3千戸)に続き120万戸には届かなかった。内訳は持ち家が3.4%増と2カ月ぶりに増加に転じ、2万9912戸。貸家は8%増と4カ月連続で増え、3万5902戸。分譲住宅は10.6%増の2万6788戸で7カ月連続で増えた。
● 東京商工リサーチがまとめた2003年度の建設業倒産は4764件で、前年度比19.1%の減少となった。負債総額も1兆5087億2300万円で23.5%の減少で、受注・販売不振が2986件と過半を超えており、これに赤字累積643件、売掛金回収難88件を加えた「不況型倒産」は3717件と、全体の78.0%を占める結果となり、厳しい経営環境に変わりはない。倒産形態別では、法的倒産が1643件(構成比 34.4%:件数、構成比ともに過去最悪)。うち、会社更生法は3件、民事再生法171件、破産が1455件、特別清算14件。私的倒産では、銀行取引停止処分が2705件、内整理416件となった。規模別で見ると、資本金階層別では1億円以上が42件、1千万円以上〜1億円未満2744件、1千万円未満(個人企業含)が2327件となった。負債額別では負債10億円以上が163件。年商別では年商10億円以上の企業が188件の発生。従業員数別では10 人未満の零細企業が3323件(構成比69.7%)となった 年中の主な倒産は(株)森本組[大阪府]が民事再生法で負債2153億円、ジャパンデベロプメント(株)[千葉県]が特別清算で900億円、大木建設(株)[東京郡]が民事再生法で766億円、日本海工(株)[兵庫県]が民事再生法で245億円、立興建設(株)[大阪府]が民事再生法で238意円、など。
● 厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業所)によると、3月分の現金給与総額は、前年同月比2.7%減の28万5308円で、9カ月連続のマイナスとなった。所定内給与(基本給と扶養手当など)は、前年同月比0.1%減の25万4789円、所定外給与(残業代など)は、同3.3%増の1万 9291円だった。物価変動分を差し引いた実質賃金は、同2.5%減となった。就業形態別にみると、正社員など一般労働者は同2.4%減の34万8962 円で、パートタイマーは同3.7%増の9万2480円となっている。労働者一人あたりの月間総実労働時間は、前年同月比4.4%増の156.2時間で、うち所定内は同比4.5%増の145.4時間、所定外(残業)は同比3.8%増の10.8時間で、いずれも増加している。
● 総務省が発表した2003年度の完全失業率は、5.1%となった。過去最悪を記録した前年度より0.3ポイント低下したものの、依然5%台を脱していない。完全失業者数は、342万人で過去最多だった前年度から18万人減少している。若年層(15−24歳)の完全失業率は、10.0%で前年度比横ばいとなり、依然深刻で、とくに男性若年層は、11.5%で同比0.3ポイント増化している。同時に発表した3月の完全失業率(季節調整値)は4.7%で、前日を0.3ポイント下回る改善をみせた。しかし、完全失業者数は333万人で前月より3万人増加している。
● 国土交通省が11 日発表した建設工事受注動態統計調査報告(2003年度分)によると、建設業者の2003年度の工事受注高は総額52兆9254億円と、前年度に比べ 2.4%減少した。元・下請け別内訳は、元請け受注高が36兆6860億円(前年度比0.9%減)、下請け受注高が16兆2394億円(同5.7%減)。元請け受注のうち公共機関からの受注高は13兆6651億円(同15.4%減)と大幅に落ち込む一方、民間からの受注高は23兆0209億円(同 10.3%増)と2ケタの大幅増。財政難による公共工事の削減と景気回復による民間工事の復調傾向を裏付けた。元請け受注高のうち、1件500万円以上の公共工事の総額は前年度比17.5%減の12兆7314億円。発注機関別では、国の機関4兆1532億円(同14.3%減)、地方機関8兆5783億円(同19.0%減)民間工事の元請け受注高のうち、1件5億円以上の建築・建築設備工事は5兆9066億円(同9.1%増)、1件500万円以上の土木・機械装置等工事は2兆7077億円(同1.4%増)と、いずれも増加に転じた。