情勢の特徴 - 2004年6月後半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

● 中小企業庁の中小企業政策審議会基本政策部会と中小企業経営支援分科会取引部会は17日、合同部会(議長・小川英次中京大学学長)を開き、今後の官公需施策のあり方を示す「中間とりまとめ」を正式決定した。現行の官公需施策の見直し方向として、中小企業向け契細目標についての情報提供を促進することや、発注者向けに分離・分割発注の事例集を作成することなどを求めている。中小企業向けの契約目標に関する情報を市場に速やかに提供することで、「中小企業者の官公需市場への参入の予見可能性を高める」よう要請している。中小企業者の受注機会を増大させるため分離・分割発注の推進を求める一方、経済合理性のない分割発注は事業の効率性を損なう恐れがあるとして、事例集の作成や、契約関連の知識が豊富な外部の人材の活用などによって、発注者の知識をさらに高める必要があるとしている。
● 経済同友会(北城倍大郎代表幹事)は23日、住宅に焦点を当てた内需拡大策を求める提言をまとめた。既存住宅ストックに着目し、建て替えやリフォームなどで、その価値を増大させ、住宅需要の顕在化を促すよう提言している。具体的には、個々に高付加価値の建物をつくるだけでなく、景観緑3法を活用するなど住環境も整備することを求めている。そのような取り組みによって一種のブランド化が進めば、その街への住み替え需要が増加し、「住宅価値」の増大につながると指摘している。
● 総務省が29日発表した5月の家計調査報告書によると、勤労者(サラリーマン)世帯の1世帯当たりの消費支出は32 万2,716円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.6%増となった。2ヵ月連続で5%を超える伸びを記録するのは1990年4-5月以来14 年ぶり。実収入、可処分所得とも5ヵ月連続のプラス。配偶者の収入は15.3%増で8ヵ月連続のプラスとなった。
● 2004年(平成16年)5月度の全国建設業の倒産は354件、負債総額は938億5,100万円となった。件数は、前月比で0.2%の増加、前年同月比では29.4%の減少となり、300件台は7カ月連続。規模別で見ると、資本金階層別では1億円以上が2件、 1,000万円以上-1億円未満188件、1,000万円未満(個人企業含む)が164件となった。「従業員数別では10人未満の零細企業が263件(構成比74.2%)となった。

行政の動向

● 国土交通省は18日、地方への新たな助成措置として創設した「まちづくり交付金」の予算配分を明らかにした。都市再生整備計画を提出した340地区(274市町村)に対し、予算額1330億円(国費)のうち500億円を新規に配分する。残りの830億円は、2003年度に廃止した「まちづくり総合支援事業」地区など620地区に対する経過措置として配分済み。この交付金は、国庫補助負担金3250億円の廃止・縮減で地方が受けるダメージを抑えるため、今年度に新設した。市町村が作成・提出した都市再生整備計画に基づく事業に充当するための助成金で、年度ごとに交付する。交付金の用途は、市町村の裁量に委ねられ、計画終了時に市町村が事後評価し、国がその結果をチェックする。
● 公共工事における下請業者の適正な労働条件を確保しようと、自由民主党千葉県議会議員会が国に救済策などを求める意見書案が16日開催の6月県議会・県土整備常任委員会で全員一致で可決された。本会議への意見書提出が決まったのは「公共工事における建設労働者の適正な労働条件確保等に関する意見書案」。意見書では、「不況下における受注環境の激化や公共工事の減少で施工単価や労務費が引き下がり、現場で働く労働者の賃金と生活に大きな影響を及ぼしている」と指摘している。入契法で「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」という付帯決議が参議院において付されている。諸外国では公契約における適正な賃金の支払いを確保する法律「公契約法」の制定が進んでいることなどを強調した上で、国に早急に下請け労働者の労働環境改善に向けた対処策を要望していく方針。
● 15日に政府が発表した「行政効率化推進計画」では、各省庁とも積算作業の効率化や積算の適正化を図る観点から、ユニットプライス方式の検討に着手することが盛り込まれている。このうち、農水省は工種を比較的ユニット化しやすい「管水路工」を対象に同方式で活用するデータ収集を年内にも開始する。一方、建築関係では国交省官庁営繕部が近く設置する「建築積算高度化システム再構築調査研究会(仮称)」で、同方式の導入を視野に入れながら、建築物の積算のあり方を検討する。ユニットプライス型積算方式は、受発注者闇の契約金額の詳細な内訳などを入札実績データベース(DB)や積算実績DBなどに蓄積。そのデータをもとに、1立方メートルや1平方メートルあたりの単価(ユニットプライス)を算出し、積算する。歩掛かりや労務単価、資材単価などを積み上げる従来方式に比べ、積算作業が大幅に効率化されるほか、契約時に単価合意をするため、設計変更などが容易になるなどのメリットがある。 国交省では、土木工事分野で先行して採用を検討。今年1月末から道路舗装工事を対象に、データ収集を開始している。今後、ユニット区分の準備が整い次第、築堤護岸や道路改良工などの工種にも対象を広げる。
● 各発注機関が03年度に全発注工事に占める中小企業への発注割合は02年度の50.9%に比べて0.3ポイント低い 50.6%となった。公共工事の多くを担っている国土交通省は03年度1兆2225億円を中小企業に発注した。各機関は、これら発注実績と合わせ、中小企業の受注機会を確保するための対策として、▽適切な分離・分割発注の推進▽経常JV制度の活用による上位ランク工事への参入機会の拡大▽下位ランク業者の上位ランク工事への参入機会の拡大(くい上がり)▽一般競争入札の経常事項評価(客観)点数条件の引き下げの実施――などに取り組んでいることを報告した。

労働関係の動向

● 総務省が29日発表した労働力調査(速報値)によると、5月の完全失業率(季節調整値)は4.6%で前月比0.1ポイント低下した。24歳以下の若年男性は11.2%、若年女性は8.6%で依然高水準。完全失業者数は319万人で、前年同月比56万人減少したが、働き盛りの35−44歳男性が唯一増加(同1万人増)し31 万人となっている。 就業者数は6,389万人で、前年同月比29万人増加した。うち雇用者数は5,406万人(7カ月連続増加)で同55万人増えたが、自営業主・家族従業者数は同26万人減の960万人となり、8ヶ月連続で減少している。雇用形態別に見ると、雇用者の増減率がもっとも高いのは臨時雇で前年同月比4.0%増え(24万人増)、617万人。6ヶ月連続の増加。
● 学者などで構成する厚生労働省の「仕事と生活の調和に関する検討会議」(座長・諏訪康雄法政大学教授)は23 日、労働時間の規制を外す制度の導入を盛り込んだ最終報告書を確認した。今後審議会を経て、来年の通常国会に法案が提出される見通し。 報告書は、労働時間や就業場所、契約期間、仕事内容や仕事の拘束度などについて、労働者がみずから選択できるよう「働き方の多様化を図る」ことが求められているとしている。その一つに打ち出したのが「労働時間規制にとらわれない働き方」の導入だ。「職務内容に照らし労働時間規制が必ずしもなじまない仕事に就く者」には、本人が希望することを前提に労働時間規制の保護から外すとしている。

資本の動向

その他の動向