情勢の特徴 - 2004年7月後半
● 2004年(平成16年)上半期[1〜6月]の全国建設業の倒産は2,099件、負債総額は7,211億7,200 万円となった。件数は、前年同期比で24.5%の減少となり、2年連続のマイナスに推移。半期比較では歴代件数で過去36番目、上半期では17番目の数字となった。倒産形態別では、法的倒産が786件、(構成比37.4%)。うち、会社更生法は1件、民事再生法65件、破産704件、特別清算16件。私的倒産では、銀行取引停止処分が1099件、内整理214件となった。規模別で見ると、資本金階層別では1億円以上が17件、1千万円以上〜1億円未満 1124件、1千万円未満(個人企業合)が958件となった。期中の主な倒産はジャパンデベロプメント(株)[千葉県]が特別清算で負債900億円、大木建設(株)[東京都]が民事再生法で766億円、環境建設(株)[東京都]が破産で526億円、(株)佐藤秀[東京都]が民事再生法で296億円、立輿建設(株)[大阪府]が民事再生法で238億円など。上場企業倒産は4件発生。
● 政府は16日の閣議で、中小企業向け官公需契約目標額と、中小企業の受注機会の増大に関する新規施策を盛り込んだ 04年度の「中小企業者に関する国等の契約の方針」を決定した。中小企業向け官公需契約目標額は約4兆5023億円(前年度実績4兆8658億円)。内訳は国約2兆3104億円(同3兆3429億円)、公団などが約2兆1919億円(同1兆5229億円)。官公需契約目標率は国43.3%(同 47.2%)、公団など48.6%、(同45%)で、政府全体では45.7%(同46.5%)となる。国土交通省の中小企業向け官公需契約目標額は1兆 3367億円(同1兆5529億円)で、目標率は50.8%(同50.7%)としている。中小建設業向けに受注機会の増大を図る施策として」指名競争入札を行う際、できる限り同一資格等級区分の業者による競争を確保。工事成績が優秀な中小建設業者については、上位等級に属する工事の競争入札に参加できるようにする。技術力を入札参加資格に反映させることで受注機会を増やす。事業の効率性を考慮した上で、分離・分割発注に極力努める。
● 岡山県倉敷市は、公共工事の入札で落札率が95%以上となった場合、全入札参加者から工事内訳書を提出させ、調査班(庁内組織)により、適正な積算に基づいて入札価格が設定されているか否かを調査する「高落札率入札調査制度」の実施など入札契約制度を改正、8月1日から実施する。今回の改正は、@高落札率入札調査制度の実施A公募型(事後蕃査・郵送方式)競争入札の実施B公募型(事後審査・郵送方式)競争入札および郵便入札の試行拡大実施Cエ事成績評定結果の公表の4点。 @は、落札率が95%以上となった場合、全入札参加者の工事内訳書が適正かどうか調査し、不正があれば指名停止などの措置を取る制度で、岡山市、津山市で導入している。8月1日入札執行分から実施する。
● 福井県と福井県議会は27日、「災害対策合同会議」を開き、県側は集中豪雨による被災および復旧状況を説明して支援策の概要を示した。西川一誠知事は「現在の国の制度では不十分。被災者の要望にこたえる県独自の制度を創設したい。8月の早い段階で臨時議会をお願いしたい」と述べ、「緊急被災者支援金は専決処分で行いたい」と説明した。緊急被災者支援金は、全・半壊、一部損壊、床上浸水の世帯に対して10万円、床下浸水世帯には2万円を支給するもの。7億円の事業費のうち、4億円を県費、3億円を義援金から支出する。被災者住宅再建補助金は、全壊世帯に、改築・補修費 3百万円、家財道具費100万円を上限に、半壊世帯に改築・補修費150万円、家財道具50万円を上限に、国の被災者生活再建支援法も活用して行う(国、県あわせた支給上限は400万円)。また、1部損壊・床上浸水世帯に対しても50万円を上限に補助する。 このほか、被災者住宅再建貸付金利子補給制度、市町村振興資金貸付事業、中小企業への福井豪雨対策特別資金(利子補給)、伝統的工芸品産地復興支援制度などが新設される。
● 国土交通省は需要が拡大している住宅リフォーム工事の質を高める対策に着手する。新築や中古住宅に限っていた国の住宅性能評価制度をリフォームにも広げ、第三者機関による検査体制を整備。工事に欠陥が見つかった場合、業者が負担する修復費用の一部を保証する基金の創設も検討する。消費者保護を重視するとともに、中古市場の活性化につなげる。リフォームの性能評価制度は、工事が設計図通りに実施されているかどうか第三者が施工段階がら検査。具体的な検査項目や手法に附するガイドラインを策定する。来年の通常国会に住宅の品質確保促進法(品確法)改正案を提出する方向だ。
● 自営業者らが加入する国民年金の空洞化に歯止めがかからない。社会保険庁が28日公表した2003年度の納付実績は、保険料がどれだけ収められていないかを示す未納率が 36.6%となった。過去最悪だった前年度に比べ0.6ポイント改善しただけで、保険料収入はむしろ減った。国民年金は20歳以上の自営業者や学生、フリーターら約2200万人が加入。59歳までの現役世代は月1万3300円の定額保険料を支払う義務を負い、老後に満額で月6万6000円の年金を受け取れる。1990年代半ばまで保険料の納付率は80%以上だったが、2002年度が過去最悪の62.8%まで低下していた。
● 総務省が30日発表した労働力調査によると、6月の完全失業率(季節調整値)は4.6%で前月と同率になった。前月より、女性は0.2ポイント低下し4.2%だったが、男性は0.2ポイント悪化し4.9%になった。特に24歳以下の男性は、前年同月比0.7ポイント低下したものの、11.5%で依然高い数値となっている。完全失業率は309万人で前年同月比52万人の減少だった。就業者数は同37万入滅少して 6374万人となり7ヵ月ぶりに悪化、うち雇用者は5371万人で2万人滅っている。
● 非正規社員は3人に1人を超え、人件費節約のため雇用され、月収20万円未満が約8割を占める-―。厚生労働省が21日まとめた「就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」は、こんな実態を示した。それによると非正規社員は5年前(前回調査)より、7.1 ポイント増加し34.6%だった。これを雇用者数(2003年労働力調査)で推計すると376万人の正社員が非正社員に代替されたことに相当する。内訳は、パート労働者23.0%、契約社員2.3%、派遣労働者2.0%などとなっている。非正社員を雇用する理由は上位3つが、「賃金の節約のため」 51.7%、「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」28.0%、「景気変動に応じて雇用量を調整するため」26.5%で、いずれも人件費削減が目的(複数回答)。非正社員の実態では、月額賃金が「20万円未満は」約8割(78.0%)を占める。
● 新潟市が発注する土木建築工事をめぐる官製談合疑惑で、公正取引委員会は28日、鹿島(東京都港区)や大成建設(新宿区)など大手ゼネコンと地元建設会社など計113社に独禁法違反(不当な取引制限)で排除勧告した。公取委はまた、市当局が談合に関与していたとして、新潟市に官製談合防止法を適用。当時の下水道建設課長ら幹部職員5人の名前を初めて文書に明記し、改善措置を求めた。公取委によると、新潟市都市整備局下水道部などが発注する工事について、市側は1999年4 月から昨年9月にかけ、設計金額をゼネコンや地元建設会社計52社に漏えい。これを受けて、ゼネコンでは下水関係は鹿島、建築部門は大成建設が調整を行い、地元では「御三家」と呼ばれる「福田組」「本間組」「加賀田組」の3社が中心となって、共同企業体(JV)の組み方や入札価格などを決めていた。