情勢の特徴 - 2004年8月前半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

● 政府の規新改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は3日、官製市場の民間開放に向けた「中間とりまとめ」を決定した。行政サービスの提供主体を公共機関と民間の競争入札で決める「市場化テスト」について、民間から対象事業を募った後、年内に市場化テストを行うモデル事業を選定。その事業を所管する公的機関と民間企業らによる競争入札を05年に実施するよう求めた。このために入札制度や競争条件を整理した上で、入札手続きの枠組みを示すガイドラインを04年内に整備するよう要請。さらに、04〜05年度の2年間で「市場化テスト法案」(仮称)を検討し、早ければ06年の通常国会で成立させて06年度から全面導入するとの方針も示した。市場化テストは、「官でなければできない」とされる業務・事業の範囲を明らかにし、官業の民間開放を推進することが目的。海外では米、英、豪の3カ国が導入している。

行政の動向

● 国土交通省は、まちづくり交付金の拡充や民間の市街地再開発事業の支援強化などを柱とした、「まち再生まるごと支援プラン」を2005年度に創設する。まち再生まるごと支援プランは、@まちづくり交付金の拡充A民間資金誘導の新たな仕組みB駅まち協働事業の創設C民間が行う市街地開発事業の促進D都市計画手法の活用――などをパッケージ化することで、民間事業者によるまちづくりを強力に支援する。このうち、まちづくり交付金の拡充では、市町村が作成した都市再生整備計画に基づいた事業に補助金を充当する現行制度を、民間事業者からもダイレクトに提案を受け付けるように見直す。まちづくりを促進するための民間資金誘導の新たな仕組みについては、まちづくり交付金と連携して実施する民間事業への支援を強化するとともに、「仮死状態」にある遊休地、空きビルの再生支援も展開する。
● 国土交通省は3日、2003年度に発注した同省直轄工事のうち、民間技術を活用した入札契約方式の実施状況をまとめた。入札時VE対象工事は689件で、前年度の489件を大きく上回った。うち総合評価落札方式は617件(前年度571件)だった。同省は、総合評価落札方式の制度を促進させるため、これまでの実施状況を分析し、留意事項をまとめる方針だ。そのほか、契約後VE対象工事は2272件(同2081件)、設計・施工一括発注方式は19件(15件)、マネジメント技術活用方式は3件(6件)だった。
● 国土交通省は、地域再生などを支援するため、民間都市開発推進機構(民都機構)を活用し、新たな融資制度やファンドを創設する。駅前や国道沿いなどでスーパーなどが撤退し、空き家となった施設をコンバージョンやリニューアルする際、民都機構が低利融資する。NPO(非営利組織)などが行う街並み保存事業などに対しても、民都機構と地元地方自治体がファンドを創設し、資金面で支援する。同省では、これらの施策の実施に向け、来年の通常国会に民間都市開発推進特別措置法と都市再生特別措置法の改正案を提出する方針だ。
● 日本経済新聞社の調査によると2004年3月期末に累積欠損金が100億円を超えた三セクは全国で23社に上り累積の総額は5768億円と前の期に比べ412億円増加した。累損が大きいのは、東京都や大阪市など大都市圏の自治体が出資する企業が大半を占め、債務超過は 23社中17社あった。このうち本格的な処理に働き出したのが大阪市の第三セクターである大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)、アジア太平洋トレードセンター(ATC)、湊町開発センター(MDC)の3社。東京都は7社で累積が100億円を超えた。鉄道関連の多摩都市モノレール(立川市)が債務超過に転落。東京テレポートセンター(東京・江東)など臨海副都心でビルを経営する三セクは人件費圧縮などを進めたが赤字脱却のめどがたたない。千葉県が出資する旅客鉄道3社はすべて債務超過。輸送人員は東葉高速鉄道(八千代市)が前の期比0.5%減と1996年の開業以来初めて減少に転じた。

労働関係の動向

● 厚生労働省が3日発表した2003年の雇用動向調査結果で、新たに採用された入職者よりも退職・解雇された離職者が57万人多いことがわかった。入職者605万人(前年 597万人)にたいし、離職者は662人(同682万で、入職者と離職者を合わせたのべ労働移動者は1267万人(同1279万人)。のべ労働移動率はほぼ前年なみの30.9%で入職率は14.7%、離職率は16.1%だった。パート労働者では、入職者37.2%、離職者34.2%。入職者・離職者ともに一番多いのは企業規模千1000以上の大企業で、ともに4割を超えている。特に離職者が大幅に増加(同10.5ポイント増)し、44.5%に達した。
● 総務省は4日、2004年3月末時点の住民基本台帳に基づく人口調査の結果を発表した。総人口は1億2682万 4166人で、前年同期比で13万5802人、0.11%増えたが、人数、増加率ともに過去最低の伸びだった。出生者数も102万9239人で過去最低を更新。少子高齢化の進行を改めて浮き彫りにするとともに、人口減社会の到来が間近に迫っていることを印象付ける結果となった。年代別人口構成は15歳未満の年少人口が1778万9885人(前年同期比0.93%減)で、全体に占める割合は14.03%(同0.14ポイント減)と1994年以降で最低だった。労働力の主な担い手となる15歳以上65歳未満の生産年齢人口も8463万1007人(同0.30%減)、66.73%(同0.27ポイント減)で、減少傾向は変わらなかった。半面、65歳以上の老年人口は2440万3257人(同2.32%増)、19.24%(同0.42ポイント増)で、増加が続いている。
● 人事院は6日、2004年度の国家公務員の給与について、本俸と一時金の据え置きなどを内容とする勧告・報告をおこなった。給与改善は見送られたものの、2年連続した「マイナス勧告」、一時金も据え置き5年続いた年収減は阻止された。一方、寒冷地手当ての大幅な廃止・削減が強行された。一時金については、官民の支給月額がおおむね均衡しているとして、支給月数の変更が見送られ、年間4.4ヵ月(一般の職員の場合)に据え置かれた。寒冷地手当では、生活費補てんという性格をねじ曲げ、民間企業の支給実態のみに着目して見直しを強行。同時に、本州の現行支給地域の4割強の市町村を切り捨てた。

資本の動向

● 内閣府が13日発表した4−6月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増、年率換算で1.7%増となった。5・4半期連続のプラス成長を維持したものの、増加率は前期の年率6.6%から減速。景気回復をけん引してきた設備投資の伸びが鈍化したのが響いた。名目GDPは前期比0.3% 減、年率1.3%減で、5・4半期ぶりのマイナス成長となった。実質GDPの内訳をみると、全体の5割強を占める個人消費は前期比0.6%増。前期の 1.0%増に比べて伸び率は低下した。設備投資は2003年10-12月期に6.6%増と高い伸び。前期も1.7%増。4−6月も半導体製造装置や電子通信機器は好調だったが、自動車や建設が落ち込み、横ばいにとどまった。
● 民間信用調査会社の帝国データバンクが13日発表した7月の全国企業倒産集計によると、倒産件数は1151件で、前年同月比では16.8%減となったが、前月比では2.2%増と4ヶ月ぶりに増加に転じました。負債総額も6053億3600万円で前月比63.7%増えた。原因別動向では販売不振など不況型倒産が構成比で75.5%を占め、依然高水準となっている。倒産の内訳は、事業継続を断念する破産や特別清算による「清算処理が453件と全体の4割り近くを占めている。

その他の動向