情勢の特徴 - 2004年9月後半
● 国土交通省が発表した基準地価では、東京都心の地価の下げ止まり感が近郊市街地や他の大都市圏に波及し始めた。反発の兆しがみえなかった大阪市でも14年ぶりに上昇地点が出現。有力ブランドなど商業施設の進出や再開発、交通網の整備で人が集まり、便利になった地域に不動産需要が集中し、投資資金が流入していることが背景にある。地方圏では下落に歯止めが掛かっておらず、利便性や収益性で地価が左石される二極化傾向が鮮明になっている。
● 耐震診断から耐震改修へ――助成制度等で住宅の耐震化を支援する自治体が急速に増えている。昨年は利子補給や融資、技術者派遣も含めて、耐震診断を実施する自治体は370、耐震改修は126だったのが、今年は補助を実施する自治体だけで492市区町村に増えた。このうち耐震診断は459、耐震改修は227の自治体で実施している。補助額は、耐震改修で20〜30万円から50〜60万円、80万円等。実施しているのは関東甲信地域、東海地域が中心であるが、中国、四国、九州地域でも新設されており、今後はさらに広がりそうだ。
● 国土交通省は来年2月に避難指示が解除される東京・三宅島(三宅村)の村営住宅の復旧・整備で、公営住宅を建設するための補助金額を特例で大幡に増額することを決めた。村営住宅一戸当たり1000万円を上乗せし、既存村営住宅の復旧や新規建設が計画される114戸分の国庫補助額を約4割増の約21億 7000万円に増額する。火山活動に伴う全島避難が続く三宅島では、既存住宅の復旧や新規建設を行う場合、資機材の海上運搬のほか、建設業者を島外から呼び、その渡航費・滞在費なども確保する必要があるなど通常よりも多額の費用が掛かる。そこで同省は、公営住宅の補助金で集中的・機動的に対応。特例措置として補助金額を大幅に上乗せすることにした。
● 総務省が発表した高齢者人口推計によると、65歳以上の高齢者は15日現在で2484万人と、前年より55万人増加した。総人口に占める割合は19.5%でほぼ5人に1人が高齢者。高齢者の内訳は、65歳以上74歳以下が1379万人と前年に比べ2万人増だったのに対し、75歳以上は1105万人で53万人増加した。
● 日本建設業団体連合会(平島治会長)、日本土木工業協会(梅田貞夫会長)、建築業協会(野村哲也会長)の3団体は、「公共調達制度のあり方に関する提言」を公表した。大規模工事で、より技術力の競争や活用を促進させるとともに、競争性確保を担保する改善策を明示した。さらに大規模や技術的難易度の高い工事に限定し、予定価格制度が前提である会計法や地方自治法の適用を除外する「公共工事調達特別措置法」の制定を提言している。具体的には、価格だけの競争が基本原則である現状の調達制度では、企業の技術力競争が十分でなく、適切な競争性が確保できないなど現状の問題を提起したうえで、改善策を提案している。改善策としては、大規模工事や難易度の高い工事を中心に技術力活用によって品質、施工性、経済性が大幅に向上する工事を対象に▽総合評価落札方式の改善・改革▽設計・施工一括方式の改善・本格的な導入▽交渉(確認)方式の導入▽工事の発注規模・単位(年度または工区)の大型化▽適切な競争入札参加者の選定▽応札者に対する入札前・入札後の技術力ヒアリングの実施――を示した。