情勢の特徴 - 2004年10月前半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

● 日銀が一日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)で、大企業製造業がプラス26(前回6月調査比で4ポイント上昇)となって6期連続で改善し、1991年5月調査以来の13年4ヵ月ぶりの高水準になった。一方、中小企業製造業はプラス5(同3ポイント上昇)、同非製造業はマイナス17(同一ポイント上昇)で、若干の改善はみられるものの、企業数の99%、従業員数の約7割を占める中小企業と、大企業の景況感の差はさらに広がる結果になっている。
● 日本道路公団(JH)は、VE(バリュー・エンジニアリング)提案後に入札し、さらに単価交渉したうえで総価単価契約する技術提案合意方式を試行する。入札後の価格協議の中で、「合理性、妥当性が認められれば、単価と総価の変更を認める」とし、総価は変更しないというこれまでの総価単価契約の原則を転換する。
● 東京都は木造住宅密集地などを対象に、道路セ日と沿道まちづくりを一体で進める新手法を今年から導入する。街路整備と並行し、所有地が分断される住民からの土地集約や整理、建て替えなどの相談に応じるほか、民間業者の紹介や費用女性も検討する。新手法では@沿道に残った土地を集約してマンションにしたいA隣地を購入して建て替えたいB不用地を売却したいしたい――などの住民それぞれの意向を尊重、都が住民同士や事業者との話し合いで仲介役を務める。事業も極力一体化する。具体的には共同住宅への建て替えに対する助成や公園づくりなど木密対策を道路整備と連動させる。街路が広がれば火災時に消防・救急車が通行でき、延焼対策にもなる。街づくりに実績がある民間事業者を登録し、沿道住民に紹介する制度も準備中だ。
● 自民党は7日、公共事業の競争入札の際、国や地方自治体に業者の技術力評価などを義務つける「公共工事品質確保法案」(仮称)の骨子をまとめた。12日からの臨時国会に法案を提出、成立を目指す。最低価格を提示した業者が自動的に受注する現行の入札制度が価格偏重を招き、欠陥工事や手抜き工事の一因になっているとの判断からだ。 骨子は「『価格競争』から『価格と品質で総合的に優れた調達』への転換」をうたっている。具体的には、国などの発注者が入札参加企業を選定する際、有識者など第三者から意見を働き、企業や所属する社員の技術力評価をすることを義務付ける。参加企業からは技術提案を受け付け、「その結果を選定に反映することにより、価格および品質の両面で総合的に優れた契約にするよう努めなければならない」と規定した。こうした作業に備え、入札参加企業の技術力や過去の工事結果の実績・評定などをまとめたデータベースも作成させる。
● 国土交通省は、歩掛かりを用いないユニットプライス型積算方式(ユニット方式)の導入に伴い、来年度から「施工形態動向指標(案)」を作成する。指標案は現行の標準歩掛かりなどに代わって、標準的な施工形態を示すもので、▽施工形態の動向の把握▽ユニットの妥当性の検証▽ユニット方式の透明性の確保――などに活用する方針。指標を公表することで、元請け・下請間の契約交渉時の参考資料にもなる。

行政の動向

● 国土交通省は、03年度の公共事業コスト構造改革の実施状況を発表した。国交省・関係公団等の03年総合コスト縮減率(02年度と比較)は6.1%で、発注額で2717億円を縮減した。これに物価下落分などを含めると、縮減率は7.3%、縮減額は3227億円となる。国交省・関係公団分の縮減率の内訳をみると、従来のエ事コスト縮減効果によるものが5.4%、03年度から新たに導入した「規格の見直しによる縮減」が 0.08%、「事業の迅速化による事業便益の早期発現」が0.05%、「将来の維持管理費の縮減」が0.44%となった。このほか、施策の効果による資機材等物価の縮減が0.2%ある。

労働関係の動向

● サラリーマンが加入する厚生年金保険料が10月から引き上げられる。これまであった、引き上げの際の法案審議の手続きも改悪法によってなくなり、引き上げは2017年まで 14年間連続することになる。保険料引き上げは、厚生年金、共済年金(公務員)が10月からの先行実施となり、自営業者などが加入する国民年金は来年4月から。厚生年金保険料は10月分給与の天引き分から引き上げとなり、現行保険料率の13.58%から0.354ポイント加えた13.934%になる。保険料負担は労使折半となっているため労働者本人の実際の保険料率は6.967%となり、これを給与・ボーナスにかけた金額が保険料となる。
● 総務省が1日発表した8月の完金失業率(季節調整値)は4.8%と、前月を0.1ポイント下回った。男性が前月比 0.4ポイント低下し4.9%になったのにたいし、女性は悪化し同0.2ポイント上昇の4.6%となった。年齢別でみると、最も高いのが24歳以下の男性で、前年同月比マイナス1.1ポイントとなったものの依然一割を超える10.9%だった。完全失業者数は、314万人で、前年同月比19万人減と、15ヵ月連続で減少しました。
● 厚生労働省は、業種別に必要な職業能力や知識を体系的に整理した、職業能方評価基準を策定する。近く「型枠工事」「鉄筋工事」の基準を発表するほか、年度内に「防水工事」、2005年度中に「建設業」 「造園業」 「左官工事業」「エンジニアリング業(プラント)」の基準も整備する。職業能力が適正に評価される社会基盤づくりがねらい。同省あいまいな能力評価基準を明確化することで、労使間で生まれる能力評価の食い違いが是正され、労働者にとっては、能力を客観的に把撞、キャリア形成に向けた目標の設定、成果の確認などにつながる。雇用する企業側にとっても、採用すべき人材を明確化でき、人材戦略の計画的な実施、人材育成への効果的な投資、能力に基づいた人事評価・処遇といったメリットがある。

資本の動向

その他の動向