情勢の特徴 - 2004年11月前半
● 三菱総合研究所エネルギー技術研究部は、「リフォーム・リニューアル市場の将来予測」をまとめた。それによると、住宅、非住宅(民間、公共合計)を合わせたリフォーム・リニューアル市場は、2000年の26.2兆円から、05年には28.2兆円、10年には30.8兆円、15年には32.0兆円となり、この間年平均1.3%の伸びを示すと試算している。工事別では、改修が年平均1.9%と最も伸び率が高く、補修が 1.1%、維持が0.9%と続く。その結果、15年時点では、改修市場が12.2兆円(00年9.3兆円)、維持、補修市場とも9.9兆円(維持8.6兆円、補修8.3兆円)になると予測している。
● 横浜市は、極端な低価格での応札・落札、いわゆるダンピング受注に伴う公共工事の品質低下を未然に防止する方策の一環として、低入札価格調査制度の一部運用を見直した。工事費内訳に失格基準を導入するほか、下請け見積書の提出を義務付ける。また低入札価格で落札した際には中間払い金を減額する。工事費内訳での失格基準は、公共工事すべてを対象とする。具体的には直接工事費と共通仮設費の合計が設計金額の75%未満、または現場管理費と一般管理費の合計が設計金額の30%未満となった際には、落札者決定を行わないことにした。また下請け見積書の提出義務付けでは、下請け契約を予定している場合に、見積書など相手方が発行した金額の根拠書類の提出を義務付ける。コピーを含めた見積書を添付していない場合や、提出書類が一部不備だった場合には落札者決定を行わない方針だ。
● 三菱総合研究所エネルギー技術研究部は、「リフォーム・リニューアル市場の将来予測」をまとめた。それによると、住宅、非住宅(民間、公共合計)を合わせたリフォーム・リニューアル市場は、2000年の26.2兆円から、05年には28.2兆円、10年には30.8兆円、15年には32.0兆円となり、この間年平均1.3%の伸びを示すと試算している。工事別では、改修が年平均1.9%と最も伸び率が高く、補修が 1.1%、維持が0.9%と続く。その結果、15年時点では、改修市場が12.2兆円(00年9.3兆円)、維持、補修市場とも9.9兆円(維持8.6兆円、補修8.3兆円)になると予測している。
● 国土交通省は、中堅・中小建設業の再編・再生を後押しするための取り組みを強化する。具体的には、不良不適格業者排除の徹底強化策を検討するほか、経営事項審査(経審)のY評点(経営状況分析)見直しの可能性を含め議論する。市場縮小傾向が続く中で深刻化する、過剰供給構造の是正と地方建設業再生方策の実現に必要と判断した。
● 自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(古賀誠会長)が検討を重ねてきた「公共工事の品質確保の促進に関する法律案」(公共工事品確法)が、今臨時国会に提出される。同法案は、「価格競争」から「価格と品質で総合的に優れた調達」への転換を打ち出すもので、法案には、発注者に対し、技術提案を求めるよう努め、それを適切に審査・評価するよう定めている。また、予定価格の作成、入札・契約方法の選択、契約者の決定といった発注関係事務の適切な実施に必要な職員の配置などに努めるよう規定。技術提案については、提案者に改善を求めたり、提案者との対話(交渉)によって、より良い提案を引き出せるよう規定している。大規模工事など高度な技術や優れた工夫を含む技術提案を求めたときは、技術提案の審査結果を踏まえて、予定価格を定めることができ、この場合は、中立の立場で公正に判断する学識経験者の意見を聞かなければならない。法案作成の最終段階で盛り込まれた建設コンサルタント業務、建築設計業務については、工事と同様にその役務の品質を確保するよう規定している。
● 国土交通省は、「建設コストの内外価格差フォローアップ調査(土木分野)」の結果をまとめた。それによると、過去2 回の調査に続き、日本と米国の間の建設コストの内外価格差は、ほとんどないことが明らかになった。日米それぞれの公共土木工事6件を対象に相手国で同じものを建設すると仮定した場合の工事費を算出し、生計費購買力平価で換算して比較したもので、同じものを造れば同程度の費用がかかることが分かったとしている。主な労務、資材、機械の単価についての日米比較も行った。生計費購買力平価換算した結果、資材単価は前回調査よりも7ポイント上昇したが、労務単価は 17ポイント、機械単価は8ポイントそれぞれ低下した。調査は周じものを造った場合の比較であり、実際には両国間で自然条件や社会条件が大きく異なっている。このため、日本の場合には国土条件の厳しさから欧米諸国よりも建設コストが高くなりがちだとしている。
● 国土交通省は、歩掛かりを用いない積算方式「ユニットプライス方式(施工単価積算方式)」に活用するデータ(単価)収集・調査を、舗装工に続き、築堤護岸と道路改良工の2工種でも本格的に開始した。調査は同省が今年2月以降に発注した契約済み工事と今後新たに発注する工事が対象で、いずれも2工種の新規工事となる。受注業者は「ユニット請負代金内訳書(案)」と「諸経費内訳調査書(案)」の記入を求められる。
● 厚生労働省は、建設労働者の雇用対策などを示す「新たな建設労働対策」の素案を提示した。素案では検討中の建設への労働者派遣の解禁について、「緊急避難的かつ限定的な形で地域における雇用の安定を図る手法」と定義した上で、国が一定の関与をするといった厳格な要件を満たしたケースに限り、建設労働者の派遣を認める考えを示した。厚労省の素案では、建設労働者を対象とした派遣制度の方向性が提示されたほか、▽リフォーム事業など好調分野への進出支援策▽技能労働者の再就職支援策・教育訓練充実策▽事業主団体による有料職業紹介制度――などを整備する方針も示された。
● 建設労務安全研究会(労研、平石純一理事長)は、「近未来の建設労働」の第2版をまとめた。専門工事業者が横のつながりを強化する「連携請負」と連携請負を実現するための「建設技能者評価・登録センター」について、具体的な内容を定めた。特に労働者を融通し合う労働力ネットワークシステムについては、実用に向けたルールを詳細に記述。労働者派遣の適正運用を実現する仕組みを明らかにした。労研が提唱する連携請負は、工事の繁閑、難易度、その他の条件に応じた技能工の派遣や共同受注によって工事を完成させる仕組み。労働力ネットワークは、労働力のデータベース化とネットワーク化を図り、専門工事業者間で相互融通を図るもので、同センターが技能者の評価を実施、技能検定別の標準労務賃金を決定する。
● 経営再建中の準大手ゼネコン(総合建設会社)の熊谷組と飛島建設は来年4月に予定していた合併を白紙撤回する。人員合理化、情報システム統合などの費用が予想以上の負担となり、合併効果が見込めないと判断した銀行系列を超えた合併として注目された計画が白紙に戻されたことで、ゼネコン業界の再編の枠組みが再び流動化しそうだ。