情勢の特徴 - 2005年2月前半
● 国土交通省は1月31日、04年の建築着工統計調査の結果を発表した。04年の新設住宅着工戸数は118万9049 戸で、前年比2.5%増となった。前年実績を上回ったのは2年連続。貸家と分譲住宅が好調だったのが主な要因で、分譲住宅はマンションが4年ぶりに増加に転じた。一方、民間非居住用建築物の着工床面積は同16.9%増の6185万平方メートルで、2年連続の増加
● 国土交通省は、05年度から公募型指名競争入札の対象案件を増やす。08年度までに同省の全指名競争入札案件に占める公募型指名競争入札案件の割合(件数ベース)を従来の3割から4割に拡大。公募型や工事希望型の適用を順次広げ、通常指名競争入札案件は減らす。国交省の指名競争入札は▽公募型▽工事希望型 ▽通常指名型――の三つの方式がある。これらの三つの方式は工事規模によって使い分けられ、通常指名は1億円未満、工事希望型は1億円以上〜2億円未満、公募型は2億円以上〜7億3000万円未満(02〜03年度は6億6000万円未満)に適用される。同省ではすでに、工事希望型が適用されている2億円未満1億円以上の工事に公募型を、通常指名型の1億未満の工事に工事希望型を適用するなどの措置を実施済みだが、今後こうした措置をさらに拡大する方針だ。
● 国土交通省は2007年3月末に住宅金融公庫を廃止し、民間金融機関の住宅ローンを証券化する業務を引き継ぐ独立行政法人「住宅金融支援機構」を創設することなどを盛り込んだ法案をまとめた。個人向けは災害融資に絞るなど機構の担う業務を限定して列挙。民間の支援や補完に徹し、業務拡大には改めて法改正を必要とする仕組みにした。法案は今国会での成立を見込み、今後は余剰人員や業務コストの削減が課題となる。
● 通常国会に議員立法で提出されるPFI法改正案の方向性が固まった。現行のPFI法では、PFIで行う「特定事業」の対象を、公共施設などの建設、維持管理、運営または関連企画などとしている。改正案はこれを見直し、建設を伴わない事業の扱いや、事業対象に関する規定を細分化。特に既存施設を整備・活用して、運営業務を中心に公共サービスを提供する事業が同法の対象であることを明示し、民間の創意工夫をより引き出せるようにする。さらに、民間収益施設の第三者への譲渡を盛り込む。PFI事業の契約が何らかの理由で途中解除された場合、民間収益施設を発注者が買い取らなければならなくなる可能性がある。改正案は、民間収益施設の第三者への譲渡を認めることで、事業が失敗した際、発注者に求められる政策判断の幅が広がり、発注者のリスクが軽減される。
● 国土交通省が導入した「技術提案対話型方式」の初適用工事の入札が4日、行われた。同方式は、民間企業から技術提案を受け、その中から最も優れた提案内容をもとに積算し、予定価格をつくるという新発注方式。提案内容を把握して予定価格をつくるため、上限拘束性の問題が解決できるのが最大の特徴だ。初適用工事となった中国地方整備局発注の「国道2号岡山市内立体高架橋工事」は、岡山市内の2カ所の交差点(バイパス青江交差点、新保交差点)を立体化するもの。技術提案対話型方式の導入は、工事による交通規制などを最小限に抑えるため、民間で開発されている高度な新技術を活用し、工期の短縮を図るのが目的。さらに、民間技術を円滑に活用するため、「設計・施工一括発注方式」(詳細設計付き)を採用。契約は通常通り総価で行うが、単価については甲乙間で合意する「総価契約・単価合意方式」を取り入れた。
● 国土交通省が検討している次期国土計画の試案が明らかになった。次期計画は1998年に策定された第5次全国総合開発計画(五全総)に代わるもの。国交省は計画策定に地方自治体の意見を取り入れることや、複雑な計画体系を簡素化し、全国計画と地方計画の2本立てとする方針を決めている。今国会で必要な法改正を行い、今秋にも国土審議会(国交省の諮問機関)で議論を始め、2006年の次計画策定をめざす。主要課題としては@東アジアやロシアを念頭に置いた国土形成A人口減少・高齢化に対応した基盤整備B総合的な防災リスク管理C地域社会の活性化D市街地再生や都市整備E地球環境問題への対応F海洋立国 ――の7項目を挙げた。
● 厚生労働省は、建設技能職種を対象とした04年屋外労働者職種別賃金調査の結果を発表した。対象21職種の1日当たりの平均現金賃金は前年比1.9%減の1万3790円で、3年連続して前年を下回った。労働者の多い主要11職種では、とび工と鉄筋工の2職種が前年よりそれぞれ2.2%、1.3%増額となったが、残り9職種は0.9〜7.7%の幅で下落。最も落ち込んだのは溶接工で、前年の1万4040円から1万2960円(7.7%減)に減少した。
● 労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱」を同相に答申した。厚労筈は要綱に沿って労働安全衛生法等の改正案を策定し通常国会に提出する。同省が提出するのは、▽労働安全衛生法▽労働者災害補償保険法▽労働保険の保険料の徴収等に関する法律∇労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法――の改正案。
● 厚生労働省は、建設会社が違法な「労災隠し」を行わないようにするための対策強化に乗り出す。同省は、労使双方の代表者などで構成する協議組織を今春にも新設。公共工事の指名停止措置など建設巣で労災隠しが起きやすい背景などを調べた上で、労災隠しの根絶に向け、行政や現場が実施すべき取り組みをまとめる方針だ。