情勢の特徴 - 2005年5月前半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

● 2005年(平成17年)3月度の全国建設業の倒産は313件、負債総額は514億3,900万円となった。件数は、前月比で6.4%の増加、前年同月比では18.7%の減少となり、2ヵ月続いた300件割れから再び300件台にのせた。歴代件数倒産原因別では、受注・販売不振が195件、赤字累積36 件、売掛金等回収難3件の3原因を合わせた「不況型し」が234件(構成比79.5%)を占めた。規模別で見ると、資本金階層別では1億円以上は1件、1 千万円以上−1億円未満162件、1千万円未満(個人企業含)が150件となった。

行政の動向

● 総務省はこのほど、2002年度の行政投資実積を公表した。02年度の公共事業費(行政投資額・実績ベース)は、国と地方をあわせて35兆9033億円(前年度比6.6%減)となった。一方、国立社会保障・人口問題研究所が昨年9月に公表した02年度社会保障給付費によると、同年度の社会保障財源のうち、国・地方をあわせた公費負担分は、26兆7140億円だった。依然、公共事業費が社会保障費を上回っている。事業別では、道路が10兆5882億円で全体の約30%を占め、次いでダム建設など国土保全が、3兆5222億円(構成比、9.8%)となっている。事業別構成比の推移を見ると、小泉内閣発足後の01年度から02年度にかけて、道路や空港、国土保全など、大型公共事業の占める割合が増加。一方で、文教施設や住宅など、国民生活に密着する公共事業の割合が減少している。
● 国土交通省は住宅建設戸数や宅地供給面積の目標を5ヵ年計画などで定め、地方自治体に計画に沿った施策を義務付ける方式を2005年度で廃止する方針だ。住宅建設戸数に代わる新たな目標は、耐震化率や防犯性、リフォーム実績など12項目を軸に検討している。国交省案によると、10年で@ストック全体の 9割を耐震化A高齢者世帯の4分の3をバリアフリー化B中古住宅の流通量を年30万戸にする――などが新目標の候補に挙がっている。
● 国土交通省は、6月に予定されている景観法の全面施行に関連して、同法に基づく是正命令に従わないケースを、建設業許可の欠格要件に加えるよう政令を改正する。建設業者が、是正命令の対象になった建物の工事を請け負い、命令を無視して施工した場合と、建設業者が施主として是正命令に従わなかった場合の両方を欠格要件にする。是正命令に応じていないことが確定した時点で建設業許可を取り消すほか、5年ごとに訪れる更新時に許可を認めないようにする方針だ。

労働関係の動向

資本の動向

● 大和ハウス工業の2005年3月期の連結純利益は前の期比7%増の400億円前後となったもようだ。主力の住宅販売が好調で、販売用不動産の減損損失20億円など合計約130億円の特別損失を吸収した。前期の連結売上高は従来予想を300億円程度上回り、11%増の1 兆3600億円前後になった。
● ミサワホームホールディングスの2006年3月期の連結最終損益は1350億円程度の黒字となりそうだ。上期中に UFJ銀行からの金融支援に伴う債務免除益を1200億円程度計上し、債務超過を解消する。本業の戸建て販売はトヨタ自動車の資本支援による信用補完効果もあり、改善する見通し。
● 2005年3月期の決算発表が始まった。主要上場26社の今期業績予想(単体)によると、売上高が前期より増加するのは14社、減少は12社。公共投資の減少で土木主体のゼネコンが引き続き苦戦する一方、活発な民間投資を背景に、増収増益に転じるゼネコンも増えている。経常利益も鹿島の前期比130.5%増を始め、大手、準大手の躍進が予想される。売上高が微増にもかかわらず、経常利益や当期利益を大幅に伸ばす大手、準大手ゼネコンが多く、採算重視の受注が効果を上げている。一方、中堅ゼネコンの多くが経常利益で前期比減とみており、収益面での格差が拡大しそうだ。
● マンション販売で、インターネットで物件情報を取得した購入者の割合が急速に増加している。マンション分譲最大手の大京など4社では2004年度のネット経由の購入者が30%を超えた。大京はネット経由の購入者が3796件で全体の約35%に達した。住友不動産、三菱地所、野村不動産も前年度に比べて5-17ポイント増え、いずれも30%を超えた。

その他の動向

● 不動産情報会社の東京カンテイ(東京・品川)の調査によると、2004年末時点で築30年を超えたマンションは一都三県で32万8732戸に上り、01年末に比べておよそ 2倍に増えた。総戸数に占める割合も12.4%に達し、首都圏のマンションの老朽化が顕著になっている。マンションの建て替え時期は「物件によって適齢期は異なるが、築36年前後が平均」(同社)という。しかし、所有者の合意形成や資金調達など課題が多く、マンションの新陳代謝はなかなか進まないのが現状だ。