情勢の特徴 - 2005年7月前半

経済の動向 行政の動向 労働関係の動向 資本の動向 その他の動向

経済の動向

● 日銀が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、主要指標である大企業製造業がプラス18となり、前回3月期調査より四ポイント上昇した。2004年9月期以来3期ぶりの改善。IT(情報技術)関連商品の在庫調整が完了に近づいているとされる電気機械のDIが前期のマイナス3からプラス3に転じている。赤旗新聞05年7月2日より抜粋

行政の動向

● 国土交通省は、全国総合開発計画の名称も含めた抜本見直しに向け、「総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案」を今通常国会に提出しており、国土形成計画では、人口減少や少子高齢化といった社会経済情勢の変化を踏まえ、開発中心の計画から成熟社会型の計画に転換する。国土形成計画は、国が国士や国民生活の姿を明示する「全国計画」と、ブロック単位の地方ごとに、国と都府県、関係政令市、地元経済界などが連携・協力して策定する「広域地方計画」の2つで構成する。今回明らかになったのは「全国計画」の試案で、@国土計画の今日的意識と役割A新しい国土計画の政策理念とめざすべき国土の姿B新しい国土計画における主要計画課題C安全・安心・安定した国民生活の姿D計画の実効性の確保についての事項Eモニタリングの実施に関する事項――の6章構成となっている。建設通信新聞05年7月8日より抜粋
● 文部科学省は、校舎・体育館など公立小中学校の耐震化状況(2005年4月1日現在)を発表した。全国13万853 棟のうち、兵庫県南部地震クラスの地震に耐えられると判断された施設は前年度より2.7ポイント増の51.8%となり、初めて半数を超えた。現行の耐震基準(1981年)前に造られた施設の耐震診断率も11.1ポイント増の56.3%となった。耐震化率を都道府県別に見ると、トップは神奈川の80.6%、以下、静岡77.5%、三重73.4%、山梨70.0%、宮城673.7%の順。一方、低率なのは香川31.2%、長崎34.3%、徳島36.6%などとなっている。建設通信新聞05年7月11日より抜粋
● 政府が来年の成立をめざす「市場化テスト法」(仮称)の骨子案が明らかになった。市場化テストは現行の公共サービスの担い手を官と民の入札で競わせ、民に任せた方がコストの低下やサービスの質向上につながると判断すれば、民営化などを進める制度。骨子案では競争入札にあたって、民間が官の個別事業についてコストや業務実績の開示を求められるよう明記する。情報開示の請求を受けた事業を所管する省庁は少なくとも過去数年分の実績などを公開することが義務付けられる。市場化テストの対象事業は、民間からの提案を受けて決める。情報開示が拡充されれば、民間側は事業の採算見通しを立てやすくなり、参入を検討する官製市場の間口が広がるとみられる。日本経済新聞05年7月12日より抜粋
● 国土交通省中部地方整備局は、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を踏まえた新しい入札契約方式を、一般競争入札を公告する工事で初めて試行する。設計・施工一括と総合評価落札の二つを組み合わせた上で、対話型方式を導入するのが特色。入札参加者が提案する設計・施工方法について、発注者と提案者が対話し、改善が必要なら再提案を認めるとともに、最適な技術提案に基づいて予定価格を算出する。このほか、極端な低価格での落札を防止するため、入札で提示した価格では提案内容に適合した施工ができないと判断すれば、評価値が最も高くても落札者とはせず、次順位者を落札者に決定する場合があるとの条項も盛り込む。建設工業新聞05年7月15日より抜粋

労働関係の動向

● 建設業界の労働者を同じ団体内の業者間で派遣しあうなど、新たな目的を盛り込んだ建設労働者雇用改善法「改正」案が、衆院厚生労働委員会で審議入りし、自民、公明の与党の賛成多数で可決した。労働者派遣法が建設業務を適用除外としている禁止規定を今後も堅持する、などの付帯決議については全会一致で採択した。法案は、業者間の派遣と有料職業紹介事業を、建設業協会など一部の団体内での実施に限って可能にするもの。赤旗新聞05年7月1日より抜粋
● 厚生労働省は、労働安全衛生(安衛)法を改正し、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)を構築した企業にインセンティブ(優遇措置)を与える。具体的には、システム構築企業が第三者からの評価を受け労働基準監督署が認めた場合に、工事開始30日前までに必要な機械などの計画届け出を免除する。厚労省が今国会に提出した改正安衛法案は、危険性・有害性の低減に向けた事業者の措置充実が大きな柱の一つ。具体的には、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じんなどの作業による危険性または有害性調査を新たに義務付けるとともに、危険性・有害性低減対応を事業者に求める。事業者に対応を求める一方で、「対応促進のためにインセンティブが必要」(厚労省)として、安全対策促進を労働基準監督署長が認定した企業に対しては、安衛法88条で定められている足場や型枠支保工といった建設物や機械など設置計画届け出を法改正によって免除する。建設通信新聞05年7月5日より抜粋
● 厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査(従業員5人以上の事業所調査)の五月結果(速報)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は0.3%増だった。しかし、2000年を100とした指数でみると80.0で、当時に比べ20%も減少していることが分った。労働者一人あたりの現金給与総額は27万 6402円で、一年前(前年同月)に比べ0.4%増。このうち、基本年社員の人減らしや、より低賃金の非正規社員を増やし、固定費の削減を続けたため。一人平均の月間総実労働時間は143.9時間で、1年前より0.1%増。増加は六カ月ぶり。そのうち、早出・残業・休日出勤など所定外労働時間は2.1%増の10.1時間だった。赤旗新聞05年7月5日より抜粋
●アスベスト(石綿)がおもな原因とされるがんの一種、中皮腫(ちゅうひしゅ)による死者は日本政府が統計をとり始めた 1995年以来、9年間で6610人にも達し、急増傾向にあることが厚生労働省の人口動態調査からわかった。同じ期間に「アスベストによる中皮腫」と労災認定を受けているのはわずか284人にすぎず、アスベストが原因と国や企業に認められないまま死亡した人が相当数にのぼっていることが浮き彫りになってきた。赤旗新聞05年7月12日より抜粋

資本の動向

その他の動向

● 建設経済研究所は、05年度、06年度の建設投資見通しを発表した。05年度の建設投資額は対前年度比1.2%減の52兆1300億円と予測、9年連続のマイナスとなる見通しだ。06年度の建設投資は、これをさらに下回る50兆8800億円(対前年度比2.4%減)になると見ている。05、06年度とも民間部門はプラスを維持するものの、政府部門の落ち込みが全体の縮小に拍車をかける格好だ。05年度の建設投資のうち、政府部門は7年連続で前年度を下回る 19兆7800億円(同6.2%減)、民間住宅部門は18兆2800億円(同0.1%増)、民間非住宅部門は14兆0700億円(同4.8%増)。建設工業新聞7月13日より抜粋
● 65歳以上の高齢者だけか、高齢者と18歳未満の子供だけの「高齢者世帯」が、過去最多の787万世帯(全世帯の17%)に上ることが、厚生労働省の 2004年の国民生活基礎調査でわかった。全世帯数も過去最多の4632万世帯で、一世帯あたりの人数は過去最少の2.72人となり、少子高齢化と核家族化の進展を裏づけている。一方、03年の一世帯あたりの平均所得は579万円と7年連続で減少した。高齢者世帯の内訳では、「夫婦のみ」が389万世帯、「一人暮らし」が373万世帯となり、10年前と比べほぼ倍増した。男性高齢者の一人暮らしは初めて90万世帯を超え、「65−69歳」の年代が3割を占める。高齢者が一人でもいる世帯は過去最多の1786万世帯(全世帯の38%)。「子供夫婦」と同居しているのは過去最少の391万世帯なのに対し、「未婚の子供」と同居しているのは過去最多の293万世帯だった。高齢者世帯の平均所得も298万円と10年ぶりに300万円台を割り込み、全所得が公的年金か恩給という世帯は64%に上った。日本経済新聞05年7月7日より抜粋