情勢の特徴 - 2005年10月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

● 大手銀行7グループの2005年9月中間期連結決算は、最終利益の合計が約1兆2500億円となり、バブル期を上回って過去最高を更新することが確実になった。06年3月期(適期)も初の2兆円を突破する見通し。……不良債権処理損の減少が最終利益を大幅に押しげた。さらに、融資先の信用リスクが低下したため、貸し倒れに備えて積み上げてきた引当金の一部を取り崩す余裕が生じ、この分が特別利益として計上される見通し。この間、政府は大手銀行などに約 35兆円の公的贅金を投入する一方、不良債権処理の加速策を強引に推進しました。その結果、大手銀行は合併・再編による店舗閉鎖や人員削減、貸し渋り・貸しはがしによる中小企業の倒産を引き起こしながら「収益改善」をはかってきた。UFJは、……04年9月中間期に6742億円の赤字を計上した最終損益は一気に1兆円超改善し、3350億円の黒字に転換する見込み。三井住友フィナンシャルグループの最終利益は前年同期比3.9倍、三菱東京が34.0%、みずほフィナンシャルグループが15.4%のそれぞれ大幅増を記録するとみられる。(『しんぶん赤旗』2005.10.20付けより抜粋。)
●「建設経済研究所は25日、05〜06年度の建設投資見通しを発表した。05年度の建設投資は、52兆4700億円(前年度比0.6%減)と予測している。……05年度の建設投資の内訳は、政府部門19兆7800億円(前年度比6.2%減)、民間住宅部門18兆4500億円(同1.0%増)、民間非住宅部門14兆2400億円(同6.1%増)。政府部門は7年連続の前年割れで、減少傾向に歯止めがかからず、85年度以来の20兆円割れとなる見通しだ。……災害復旧関連の補正予算で下げ幅は04年度よりも小さくなるものの、地方単独事業の落ち込みが大きいこともあって、プラス要因を探すのは難しい情勢だ。 民間住宅部門は、05年度の住宅着工戸数を120万戸(同0.6%増)と見込んでいることから、ほぼ前年度並みになると予測している。持ち家は住宅ローン減税の段階的縮小に伴う駆け込み需要の反動から35.8万戸(同2.5%減)と減少する見通し。……分譲も、団塊ジュニア世代の住宅取得や低金利の持続などがプラス要因となり、35.9万戸(同2.7%増)になると見ている。民間非住宅部門のうち、建築は9兆1700億円(同7.8%増)、土木は 5兆0700億円(同3.0%増)で、ともに2年連続でプラスとなる見込み。建築着工床面積は6869.2万平方m(同8.8%増)と3年連続で前年度を上回る。用途別でも、事務所が4.4%増、店舗が10.6%増、工場が21.8%増とすべてプラスを予測している。……06年度の住宅着工戸数は 119.8万戸(同0.2%減)と微減を予測している。景気回復や団塊ジュニア世代の住宅取得本格化など下支え要因があるものの、長期金利の上昇や地価下げ止まり、定率減税縮小などが影響すると見ている。民間非住宅部門は、好調が続くものの伸び率は小さくなる見通し。内訳は建築9兆4200億円(同 2.7%増)、土木5兆1500億円(同1.6%増)と見込んでいる。」(『建設工業新聞』2005.10.26。)05年度の建設投資は、政府部門の落ち込みを民間非住宅部門の拡大では埋めきれない状況だ。グローバル化している大企業の業績回復による設備投資と都市再生政策による大都市部での再開発事業の促進では、国民経済の本格的な回復には遠く、建設投資の減少にも歯止めがかからないことが示されていると言えよう。
●「全国中小企業団体中央会は、9月の中小企業月次景況調査結果をまとめた。DI値(上昇と回答した企業から下降と回答した企業の割合を差し引いた値)は、前月と比べてほぼ横ばいで、景況はやや改善したが、売上高、収益状況は若干悪化した。建設業は、景況、収益状況が前月の上昇から低下に転じ、売上高はほぼ横ばいとなった。中小企業のDI値は、一進一退で依然マイナス水準にあり、ここ数カ月は足踏み状態が続いている。……建設業の景況は1.8ポイント低下のマイナス33.9で、前月の上昇から再び低下に転じ、収益状況も2.7ポイント低下のマイナス38.5だった。売上高は0.1ポイント上昇のマイナス 18.0でほぼ横ばい、資金繰りは6.7ポイント上昇のマイナス26.3と改善している。」(『建設通信新聞』2005.10.24。)大企業や大手ゼネコンの収益改善の一方で、中小業者の業況の改善は進まず、とりわけ建設業の業況は、依然として厳しい状況にある。中小業者の苦境を打開していくためには、社会保障給付の拡大、非正規雇用労働者などの賃金の底上げなどにより国民購買力を基底から充実させることが必要である。

行政・公共事業・民営化

●「ニュータウン再生へ向けて国交省は、『計画開発住宅市街地の今後のあり方(ニュータウン・グランドデザイン)検討委員会』(座長・伊藤滋早大教授)を7月に立ち上げ、検討を進めてきた。 同検討会は、ニュータウン再生のための法制度の再構築や特例措置の実施などを盛り込んだ提言を来月にまとめる見通しで、国交省は提言を踏まえて法案作りを進める。再生策の柱は、▽既存ストックの再生▽地域コミュニティーの積極的活用 ▽複合機能の導入▽地域住民など関係主体の連携強化――の四つ。老朽化した分譲団地の再生に向け、建て替えのハードルとなっている土地利用規制や建築規制の緩和、合意形成や資金取得への支援などを含め、事業手法の整備を進める。余剰地の活用や、上層階の増築によって新たな賃料収入策を確保する方法など、外部資金の導入を可能にする事業スキームなども検討する。公営住宅との用地交換も視野に入れている。 公的賃貸住宅についても、計画的な改修や建て替えを促進すると同時に、医療・福祉施設や商業施設などを盛り込むことで複合機能化を図っていく。施設のバリアフリー化やコミュニティーバスの導入などユニバーサルデザイン(UD)化も進める。このほか、住宅の住み替えを円滑に進めるための支援措置や、地域住民らによる相互支援活動を後押しするための制度も検討する。団地などの管理組合の運営効率化や住民による地域管理の観点から、有限責任事業組合(LLP)制度の活用も課題に盛り込んでいる。」(『建設工業新聞』2005.10.27。) 老朽化した分譲団地の再生のためとして今回提案が準備されている規制緩和や外部資金の導入のためのスキームは、都市再生政策のニュータウンへの展開であり、人口減少という基本的状況の変化や既存コミュニティの再生・強化というまちづくりの基本的な課題から見れば不適切と言える。かつての住宅公団の時代から大都市郊外を中心に建設されたニュータウンの再生については、都市基盤整備公団においても、NPOと連携したコミュニティ再生の取り組みなどがすすめられてきているが、今回の報告でどのように位置づけられるか、注目される。
●「国土交通省は、直轄の鋼橋上部工事をめぐる談合事件で指名停止が続出し、2005年度に予定している発注が滞る可能性も出てきていることから、新たなJV方式による発注を検討している。従来の鋼橋上部工事は、入札参加資格に『製作』と『架設』両方の施工実績を盛り込んでいたが、両方の実績をもつ企業は指名停止を受けている41社を始めとする橋梁メーカーにほぼ限定されている。このため、新たなJVでは、製作と架設のどちらか一方の実績がある企業が参加しているJVに発注する。仮にこのJVが実現すれば、架設の実績があるゼネコンの入札参加が可能となり、これまで独占的に受注していた橋梁メーカーに大きな影響を与えそうだ。…… 鋼橋上部工事の入札参加資格には、これまで、技術要件として製作と架設の施工実績があることが盛り込まれていたため、事実上、両方の実績をもっている橋梁メーカーがほぼ独占的に受注してきた経緯がある。このため、新たなJVでは、技術要件を緩和し、橋梁メーカー以外にも入札への参加機会を与える。具体的には、製作だけの実績と架設だけの実績がある企業にJVを組んでもらい発注する方向で検討を進めている。製作、架設どちらかの実績がある企業もあるため、『合わせ技』として、これまでどおりの発注が可能となる。」(『建設通信新聞』 2005.10.28。)
●「2004年末に建設が決まった九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)の着工計画が佐賀県の一部自治体の反対で宙に浮いている。05年度予算に計上した10 億円は執行のメドが立たないまま。……年末までに決着しなければ、来年度の予算計上が難しくなり計画が頓挫する可能性もでてきている。新幹線建設を止めている、いわゆる『佐賀の乱』の震源地は建設予定区間に並行するJR在来腺の沿線に位置する佐賀県鹿島市、江北町、太良町の三市町。新幹線整備による経済的な見返りが見込みにくい上、在来線の経営がJRから分離されるため、政府・与党で昨年末に合意した武雄温泉−諌早間(45km)の着工に強硬に反対している。……政府・与党申し合わせで整備新幹線の新規着工には『並行在来線の経営分離についての沿線地方公共団体の合意』が必要だ。昨年末は佐賀県知事が『地元の合意を取り付ける』と表明し、条件付きで着工が決まった。国交省は知事の意見集約を見守っている状態だ。同省は8月末の来年度予算の概算要求段階では『予算編成に間に合わせるには10月未までに決着させてほしい』と調整加速を催促していたが、その期限は過ぎてしまいそう。年内に決着しなければ、予算計上が見送られる公算も小さくない。」(『日本経済新聞』2005.10.31。)

労働・福祉

●「健康被害が拡大しているアスベスト(石綿)対策として、除去費用などに対して低利融資する自治体が相次いでいる。吹き付けアスベストやアスベストを含んだ建築資材、断熱材の除去・改修工事、除去後の処理のほか、アスベストの有無を調べる検査などにかかる費用を融資する。既存の住宅購入制度や環境保全整備資金などに組み込む自治体もある。国土交通省によると、20日現在で東京、神奈川など16の都県が助成制度を設けており、福井、岐阜、三重、岡山、香川の 5県が検討している。国土交通省もアスベスト建材の除去を促進するための融資や補助制度の検討を始めた。すでに助成制度を創設しているのは青森、茨城、群馬、埼玉、東京、神奈川、富山、石川、愛知、滋賀、鳥取、島根、山口、福岡、佐賀、熊本の16都県。鳥取は利子補給、熊本は『分析低廉、融資検討』、ほかは「融資」制度を創設している。……国士交通省は、建築物に使われているアスベスト建材の除去を促進するための融資や補助制度について検討を進めている。……住宅については、地域住宅交付金などの既存制度を活用するとともに、住宅金融公庫の融資制度(リフォーム融資)の活用も促進する。住宅以外の建築物については、政府系金融機関による融資制度を検討し、不特定多数が利用する既存の民間建築物については、優良建築物等整備事業を拡充して除去費用を補助する方針だ。これらの支援策と合わせて、アスベスト建材の調査、研究などへの補助も検討する。また、アスベスト対策の実効性を高めるための環境整備では、住宅性能表示制度に室内空気中のアスベスト濃度や吹き付けアスベストなどの使用状況を表示する項目を追加する方向で検討を進める。」(『建設通信新聞』 2005.10.21。)自治体の取り組みが先行する中で、国土交通省も、アスベスト除去対策への融資や補助金の検討に入っているが、アスベスト建材調査費用の全額補助、除去費用の全額負担が困難な個人住宅所有者・零細業者への助成、また、全てのアスベスト除去・改修工事への無利子融資を行うべきであり、政府にはそれらの実施に必要な予算措置が求められている。
●「自民党は25日、アスベスト(石綿)健康被害者の救済に関する専門部会を開き、石綿関連工場周辺住民などを救済する石綿新法の財源に、建設や自動車などのユーザー企業からも拠出させることを決めた。財源は政府と企業、自治体で負担することになっており、企業の負担割合は5-8割の間で調整することになった。新法は労災補償の対象外となっている周辺住民や従業員の家族を救済するのが狙い。すでに亡くなった被害者の遺族への一時金など過去の被害者の救済に関しては国が全額負担するが、今後、発症する患者に関しては企業に負担を求める。環境省はクボタやニチアスなど大手の製造・加工メーカーについては負担させる方針を決めているが、今回、ユーザー企業にも負担を求めることに決めた。各企業間の負担割合は2004年度までの中皮腫と石綿が原因の肺がんの労災認定の割合を基準にする。」(『日本経済新聞』2004.10.26。)今回の与党の決定は、アスベスト製品を部品や材料として使用することで利益を得てきた大手ゼネコンなどユーザー企業に健康被害者救済の財源を供出させるという点では当然のことである。しかし、下請業者や地域の工務店は、吹きつけアスベストとアスベスト建材の使用により長年にわたりアスベスト曝露の危険に曝されてきた被害者であり、当然、ユーザー業者として同一視されるべきではなく、法により保護されるべき対象である。

建設産業・経営

●「大手ゼネコンの収益が上向いている。上場大手4社のうち、28日までに鹿島、大成建設、清水建設の3社が業績予想の修正を発表。05年9月中間期の連結経常利益が、期初予想を上回ったことを明らかにした。建設事業の売上総利益の増加に加え、有利子負債の削減が進んだことによる金融収支の改善などが寄与した形だ。中でも清水建設は、特別目的PC」を通じて手がけた開発事業「豊洲ISTビル」の売却が確定したことなどが業績に反映、経常利益は前年同期の2・ 3倍と大幅に増えた。準大手クラスからも業績予相筈上方修正する発表が相次いでいる。 大手4社の9月中間連結決算は、鹿島、大成建設、大林組が増収減益、清水建設が増収増益となったもようだ。鹿島は、英国建設子会社の業績悪化を、本体とその他海外子会社の業績改善でカバーし、経常利益が170億円と予想数値を20億円上回った。′輔塵冗上高は予想と同額の7700億円。 大成建設の経常利益は前年同期比22・6%減の41億円となったが、期初予想のゼロから一気に改善した。建設事業利益の増加や金融収支の改善による営業外損益の好転などが寄与しての上方修正となった。壷鴇売上高は予想を120億円下回る6980億円となったものの、前年同期比では12・7%増と。清水建設は経常利益が前年同期比129.9%増の210億円。投資開発案件や販売用不動産の売却が確定のほか、金融収支の改善も寄与し、期初予想から億円上積み売上高も予想を150億円上回る5600億円・と、前年同期と同水準を確保した。 大手のばかに28日までに業績予想の修正を発表したのは、東洋建設、三井住友建設、青木あすなろ建設、鉄建、ハザマ、東急建設、東亜建設工業、戸田建設、長谷工コーポレーション、安藤建設など。手持ち工事の進ちょくやエ事採算の改善などで、上方修正が相次いでいる。」(『建設工業新聞』 2005.10.31。)94年以降落ち込みを続けてきた東京都の建設現場労働者(職人・一人親方の大工)の賃金は03年を底に04年・05年に僅かに増加となっているが日額1万7千円台半ばに停滞している(全建総連東京都連賃金調査)。大手ゼネコンは、大規模プロジェクトを独占的に受注する一方、下請単価と現場労働者の賃金を抑え込んで収益の拡大を図っているのである。
● 昨年度の相次ぐ海外ビッグプロジェクトの受注で勢いに乗るゼネコン各社が、05年度に入っても積極的な海外工事の受注活動を展開している。需要が旺盛なアラブ首長国連邦(UAE)のドバイでは、大林組と鹿島が総額2000億円超の都市交通システム、大成建設が同社施エの建築物で最も高いオフィスビルをそれぞれ受注した。アジア地域でも、フィリピンの高速道路を複数の日本企業で構成するJVが受注。竹中工務店は三菱商事らとともに、シンガポールで世界最大の観覧車を含む事業を獲得した。……大成建設は、中近東を拠点とする建設会社のアラビアン・コンストラクションとのJXで、高さ360mの超高層オフィスビル「アル・マス・タワー」を150億円起で受注。地下5階地上68階建て延べ18万9100平方mの同ビルの完成は、07年9月の予定だ。……鹿島.大林組・JFEエンジニアリング・三菱重工業JVがフィリピンの「中部ルソン高速道路建設工事パッケージ1」を240億円、ハザマ・大成建設・新日鉄JVが「同パッケージ2」を162億円で受注。また、スリランカで前田建設が水力発電所準備工事、シンガポールで佐藤工業が地下鉄・高架鉄道の延伸二事、ブルネイで飛島建設が発電所工事をそれぞれ受注した。竹中工務店が三菱商事らとシンガポールで受注した「シンガポールフライヤー商業施設新築工事」では、直径 150mの大観覧車と延べ1万4000平方の大型商業施設を建設する。受注金額は100億円。設計を黒川紀章建築都市設計事務所が手がけた注目案件だ。」(『建設工業新聞』2005.10.25。)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「日本建築学会(村上周三会長)は、昨年10月23日の新潟県中越地震から1年が経過したのを機に、中山間地域などの地震防災と復興対策に関する提言をまとめた。……中越地震では、がけ崩れによる道路の崩壊などで、山古志村、十日町、小千谷市、川口町などでピーク時に61の集落が外部から孤立し、中山間地を襲った大地震の被害として大きくクローズアップされた。提言では地震災害に備えた対策として、こうした孤立の危険性のある集落生活圏が災害時でも自立できるよう、事前に情報伝達網や緊急輸送網を整備しておくべきだと提言。加えて、既存住宅・建築物の耐震強化をはじめ、集落生活圏ごとに防災点検を行い、地域特性に即した参加型の防災システムを構築するなど計5つの対策事項を挙げた。災害発生直後からの対策には、家屋の危険度調査を円滑に実施するための方策を講じることや、コミュニティーを重視した応急仮設住宅の設置など8つの事項を列挙。避難生活を支えるための緊急物資配送システムに加え、災害直後の緊急避難と中長期的な収容避難を区別した『段階的避難所運用システム』の構築などを求めた。……良好な住宅を維持するために修理費の一部を助成する支援制度の拡充や、住宅再建共済制度の導入も視野に入れた支援策も検討すべきだと訴えた。……さらに伝統的な集住空間、集落文化を継承するための復興計画を推進するよう求めている。」(『建設工業新聞』2005.10.26。)
● 中越大震災では、10年前の阪神・淡路大震災の教訓からコミュニティー(集落)を生かした仮設住宅の入居がおこなわれた。ピーク時はざっと3000世帯。いまも、長岡市など9市町村62ヵ所の仮設住宅の入居数は約2800世帯にのぼる。県がおこなった仮設住宅入居世帯へのアンケートでも回答した約2100 世帯のうち、2割弱の300世帯余りが『住宅再建の見通しがたっていない』と回答。また2割強の500世帯が『公営住宅に引っ越す』『親類宅に身を寄せる』と答えるなど、4割に自宅再建のメドがたっていない。その大きな要因が使えない、使いづらい″国の被災者生活再建支援制度。被災者がもっとも望んでいる住宅本体には適用されず、しかも対象を全壊、大規模半壊世帯に限っている。他方、県は年収制限を撤廃した上、住宅修理にも適用。さらに半壊世帯に対象を広げたことなどで支給総額は63億円に達した。国の支給額はその5分の1にも満たない12億円弱にとどまっている。(『しんぶん赤旗』 2005.10.23より抜粋。)

その他