情勢の特徴 - 2006年8月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

● 「住宅ローン金利が上昇する。三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行、りそな銀行は1日から、一定期間金利を固定するタイプの金利を0.03−0.1%引き上げると発表した。10月には変動金利型も0.25%上げる見通し。日銀によるゼロ金利政策の解除がじわりと影響し始めた。長期的に金利が緩やかに上昇していくとみて、低金利のうちに借入金利を抑えようと長期固定型に借り換える動きもある。」(『日本経済新聞』 2006.8.1)
● 「国土交通省は民間の優良な都市開発を促す事業の支援を継続する方針を固めた。2007年3月末で期限切れを迎える税制優遇措置などについて、5年間延長することを来年度予算の概算要求に盛り込む。不動産投資が活発化するなかで、公共事業費の削減を補う民間主導の開発を後押しするのが狙い。従来より公共性の高い事業に力点を置くことも鮮明にする。……認定事業への支援の中心は税制優遇措置。土地・建物にかかる登録免許税の税率が最大で0.2%軽減されるほか、不動産取得税を算定する際の課税標準を2割減額することなどが柱だ。公共施設部分に限っては固定資産税の課税標準が5年間半減される。税制以外では財団法人の民間都市開発推進機構の債務保証や無利子貸し付け、社債の購入などの支援が受けられる。これまで六件の事業で機構による支援規模は約100億円に達している。」(『日本経済新聞』2006.8.10)

行政・公共事業・民営化

●「昨年10月に民営化した日本道路公団などから債務を引き継いだ独立行政法人の日本高速道路保有・債務返済機構は4 日、高速道路各社が管轄する全国109の高速道路の路線別収支などを民営化後初めて公表した。それによると、2005年度下半期の収支はほぼ全線で黒字となり、20路線で黒字額が百億円超となった。道路収支の黒字は今後の債務返済の原資となるため、現在の収支状況が続けば、債務返済の前倒しなどにつながる可能性がある。……民営化に伴い、道路資産やそれに付随する負債は機構に移管されており、公表した路線別収支には通常の民間企業で計上されるような減価償却費や金利負担は含んでいない。償却負担などを加味すれば、実際には赤字の路線も多いとみられる。道路各社は各路線が黒字であることを理由に新規道路の建設を進めようとしているが、今後は「実力ベース」の採算開示も必要になりそうだ。……管理コストは各社とも実績が計画を下回った。予定していた修繕をやめたことなどが理由といい、経営努力の成果がどれだけあったかは不透明。国交省は安全維持上問題がないかも点検していく意向で、管理コストが再び増加傾向となれば各路線の採算は悪化。さらに今後、金利が想定以上に上昇すれば債務返済が遅れる可能性もある。」(『日本経済新聞』2006.8.5)
● 「国土交通省は、重点密集市街地の改善を加速させるため、買収型の防災街区整備事業を2007年度に創設する。現行の権利変換方式では、建て替えが進まず、改善が困難なため、地方自治体や都市再生機構などの事業者が道路や公園といった基盤整備に必要な用地相当分または対象地区全部を買い取るしくみを構築する方針だ。重点密集市街地は、密集市街地のうち、とくに大火の可能性が高く、現状では今後10年以内に最低限の安全性を確保することが見込めない市街地。……進捗率が低いのは、生活に必要な道路や公園が未整備な上、既存不適格建築物も多く、権利変換方式では、狭小な宅地面積がさらに小さくなる可能性があるため。こうした問題の解決に向けて買収型の防災街区整備事業を創設する。……基盤整備するための用地相当分を買収することで、道路や公園などとの一体的な密集市街地整備が可能になり、権利調整も必要ないことから改善も迅速化する見通しだ。」(『建設通信新聞』 2006.8.7)
● 「国土交通省の直轄工事で2005年度に低入札価格調査制度の対象となった案件のうち、同省が履行不能と判断して最低価格を提示した落札者を排除したのは、3件だったことが分かった。落札率は8.4%−10.2%と極端に低く、『いずれも電子入札による桁間違い』 (官房会計課)との理由から、二番札だった入札参加者と契約している。05年度に直轄工事で発生した同調査の対象案件は、過去最多の928件(港湾、空港工事除く)にのぼったが、ほぼすべての案件が契約されており、改めて制度の形骸化が浮き彫りになった。……同省が実施した分析調査では、低入札工事は完了段階で赤字受注になる傾向が強く、落札率が低くなるほど工事成績評定点が65点未満になることなどが確認されており、契約前の不適格業者の排除は喫緊の課題になっている。相次ぐダンピングが大きく問題化する中、低入札価格調査制度の適正な運用が改めて問われることになりそうだ。」(『建設通信新聞』 2006.8.8)
● 「阪神高速道路会社は、入札公告時に直接工事費を公表したうえで、コスト縮減率5%以上の技術提案を求め、提案内容とコスト縮減額を総合的に評価して上位3社による価格競争を行う新たな入札方式『技術提案事前選定方式』を試行する。近く公告する神戸山手線の開削トンネル工事の入札に採用する。技術提案により競争参加者を絞り込み、価格競争させる仕組みは全国でも初めて。」(『建設工業新聞』2006.8.11)

労働・福祉

建設産業・経営

●「建設産業専門団体連合会(才賀清二郎会長)は2日、国土交通省と意見交換会を開き、施工体制事前提出方式(オープンブック方式)の導入などダンピング(過度な安値受注)対策を中心に議論した。国交筈は、建専連が要望している施工体制事前提出方式について『ダンピングが大変な状況になっていることを憂慮し、提案の趣旨を重く受け止めている』と検討に前向きな姿勢を示した。これを受け、建専連は8日に『取引慣行是正委員会』を設置し、同方式の問題点を抽出するとともに課題を整理する。」(『建設通信新聞』2006.8.3)
● 「大成建設、鹿島、清水建設、大林組の上場大手ゼネコン4社の06年度4〜6月期(第1四半期)連結業績が、10日出そろった。4社とも、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)を含めた詳細な四半期業績を初めて開示した。売上高は大成建設が3590億92百万円でトップとなり、9月中間期の予想に対して約46%の水準だった。利益面では、子会社がハワイに保有していたホテル・ゴルフ場重冗却した鹿島が純利益243 憶47百万円を計上。06年3月期の通期実績(225億06百万円)を上回る数値を確保した。……工事の採算を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は、鹿島が7.2%(06年3月期は9.1%)と最も高く、清水が6.l%(同7.0%)、大成が6.0%(同7.4%)、大林が4.2%(同7.5%)と続いている。単体の受注高をみると、国の機関や製造業からの受注が伸びた鹿島が前年同期比4.8%増となる一方、大成が同4.3%減、清水が同13.8%減、大林が同26.3%減と減らした。」(『建設工業新聞』2006.8.11)

まちづくり・住宅・不動産・環境

その他