情勢の特徴 - 2006年9月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国土交通省が19日付で発表した2006年の基準地価(7月1日時点)は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で商業地に加えて住宅地も上昇、平均地価は1990年以来、16年ぶりに上昇した。東京都区部は19年ぶりにすべての調査地点で上昇。景気回復による堅調なオフィス需要や投資マネーの流入を背景に、大都市圏を中心に地価反転の動きが広がってきた。ただ、全国平均(全用途)はマイナス2.4%と15年連続で下落した。(『日本経済新聞』2006.09.19)
●「木造住宅向け構造材の値上がりが加速している。為替のユーロ高などで国内メーカーが調達する原料価格が上昇を続ける一方、年内入居に向けて着工件数が増える秋を迎え、荷動きが活発化してきたためだ。需要は引き締まっており、先高観が強い。デフレ基調が続く住宅価格への転嫁は難しく、住宅メーカーなどの収益を圧迫する可能性も高まっている。」(『日本経済新聞』2006.09.22)

行政・公共事業・民営化

●「政府は5日、『公共サービス改革法』に基づき基本方針を閣議決定。当面の対象事業に社会保険庁の国民年金保険料徴収事業や国の統計調査など9事業を選定した。」(『建設工業新聞』2006.09.19)
●「国土交通省は、26日に召集される臨時国会に建設業法の改正案を提出する。改正の主な内容は、耐震強度偽装事件を受けた民間工事での一括下請けの禁止や施工に関係する図書の保存の義務付け、監理技術者資格者制度・講習制度の民間工事への適用など。……監理技術者資格者制度の民間工事への適用では、戸建て以外で請負額が2500万円以上の建築物に対して、資格者の交付を受け、国土交通大臣登録の講習を受講した者の現場への専任配置を義務付ける。施工関係図書の保存には、竣工図や打ち合わせの記録などの保存を義務付ける方向で検討を進めている。……図書の保存期間は、 10-15年程度と現行の帳簿保存期間より長くすることも検討している。民間工事の一括下請けを禁止する範囲は、現時点で未定だが、建設業課は『少なくとも分譲マンションでは禁止する方向』としている。規模要件などの詳細は改正法成立後に政省令で規定する。」(『建設通信新聞』2006.09.21)
●「国土交通省は、複雑・多様化する工事などの調達過程で発注者を支援する仕組みづくりに向けた検討を進めている。公益法人や建設コンサルタント、NPO(非営利組織)などを活用した発注関係事務の委託を検討しており、委託先の履行能力の有無を判断する評価基準を定めて事務を代行させる『認定技術者制度』の導入も視野に入れている。……公務員の定員削減などに伴う技術者不足への有効な対応策として、発注関係事務のアウトソーシングを可能にする体制づくりを進める。公務員の定員削減や行政事務の多様化に伴い、中長期的にみて発注者が工事などの品質を確認する技術力、体制の維持は大きな課題となっている。また、総合評価落札方式の拡大など入札契約事務の多様化に伴い、職員1人当たりの事務量が増大していることから、工事などの調達過程でのアウトソーシングによる行政事務の軽減、効率化は避けて通れない状況にある。」(『建設通信新聞』2006.09.29)

労働・福祉

●「厚生労働省は22までに、みやぎ建設総合センターが申請していた『建設業務労働者就業機会確保事業』(就業機会確保事業)の実施を認可する方針を固めた。……認可されれば、同センターが実施第1号となる。……みやぎ建設総合センターの申請書によると、同センターの会員9社が69人の建設労働者を送り出す計画。受け入れるのは20社となっている。建設労働者の融通に伴い、送り出し企業と受け入れ企業がやりとりする手数料などは、個別企業間で調整する。同センターは10月初めにも事業を開始したい考えだ。(『建設工業新聞』2006.09.25)
●「首都圏の鉄筋工不足は2007年も続きそうだ。26日に開かれた東京都鉄筋業協同組合(内山聖理事長)の定例会での会員各社の稼働状況報告で明らかになった。会員48社の現在の稼働率は、平均すると約120%で、中には150%、160%という企業もある。稼働率 110−120%の状況が07年も続くと見通す。労務不足の要因は、工事量が多いことと、鉄筋工が減少していることが相まって起きている。鉄筋工の減少は、高齢者の退職や低賃金による業か離れ、また新規の入職も少なく、また入職しても定着しないためだ。……鉄筋工不足により、賃金の上昇(適正化)は、鉄筋工の移動の問題を生じさせている。今までが安すぎたこともあり、少しでも高いところへ行くため、確保できる鉄筋工の人数を性格に把握できない。そのため、受注した工事を工期内に納めるためには、持ち出してでも鉄筋工を確保しなければならなくなる。」(『建設通信新聞』2006.09.28)

建設産業・経営

●「国土交通省発注の公共工事で、鹿島などゼネコン(総合建設業)主要15社の落札率(予定価格に対する落札価格の割合)の低下が続いている。7−8月は平均で73.8%に急落。罰則を強化した1月改正独占禁止法施行を機に、『談合決別』を申し合わせたゼネコン大手が低価格入札を始め、価格競争が中堅にも広がった。……1−3月は大手の低価格入札が先導して84.3%に下落。4−6月は『年度初めで大型工事案件が少なく、価格競争にも一服』(関係者)したため、92.3%に上昇したが、大型工事が徐々に増えた夏場から再び競争が激化したもよう。……公共工事は選抜された業者だけが参加できる『指名競争入札』が一般的。落札できないとわかっていても次回の指名を受けるため応札することが多かった。しかし価格競争の激化で、見積書作成など参加コストの回収が難しくなった。今春までは15社ベースで約1割が入札に参加していたが、7−8月は209件の発注に対し、応札は 12件。『規模や内容次第で応札する工事案件を絞り込む』(鹿島)という。価格競争は大手・準大手から中堅まで巻き込み、激しさを増している。三井住友建設は7月、『一般国道13号中川トンネル工事』(山形県南陽市)を63.9%で落札した。主要15社に含まれない青木あすなろ建設も6月に『外郭放水路第2工区トンネル覆工工事』(埼玉県春日部市)を56.1%で獲得した。」(『日本経済新聞』2006.09.18)
●「大手・準大手ゼネコンのリニューアル受注業績が年々拡大している。受注工事高に占める割合は建築が0.4ポイント増の15.6%、土木が2.0ポイント増の9.2%と、両分野ともに割合を高めた。元施工案件を中心に潜在需要の掘り起こし強化が業績に反映した。ただ、小規模工事が大半を占めることから、受注量の拡大による工事件数の増加で、対応人員の確保が厳しくなっている。……各社のリニューアル受注業績は拡大傾向にあるものの、一方で増加する工事件数への対応人員を確保する必要性にせまられている。とくに建築の場合、軽微な不具合や劣化といった小規模工事の以来が大半を占める。『結果的にアフターフォローに追われている』(大手)ことから、人員配置を含めた効率的な対応が課題になっている。」(『建設通信新聞』 2006.09.22)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は、耐震偽装問題の再発防止へ向け、建築士制度の抜本的な見直しを反映させた建築士法改正を26日開会の臨時国会に提出する。来月初旬には要綱案をまとめる予定で、現在作業は大詰めを迎えている。建築士への定期的な研修の義務付けや、受験要件の厳格化、『特定建築士』制度の創設など、従来の枠組みを大きく改めるものとなる。」(『建設工業新聞』2006.09.21)

その他