情勢の特徴 - 2007年2月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は、国と地方の07年度総道路投資案をまとめた。総額は06年度比2%減の8兆860億円。財源の内訳は、国費 2兆8930億円(06年度2兆9832億円)、地方費3兆9490億円(同4兆711億円)、財政投融資・料金収入1兆2440億円(同1兆1906億円)。事業主体別では、国2兆759億円(2兆852億円)、自治体4兆5758億円(同4兆7321億円)、道路会社・公社1兆4343億円(同1兆 4277億円)となる。総道路投資の財源のうち、国費(2兆8930億円)の内訳は、道路整備等2兆814億円、地方道路整備臨時交付金7099億円、一般財源(NTT−A)203億円、貸付金償還金など814億円。道路整備等と地方道路整備臨時交付金の原資は道路特定財源。道路特定財源の07年度税収見込みは、国分3兆4076億円(06年度3兆5428億円)、地方分2兆2026億円(同2兆2321億円)の計5兆6102億円(5兆7749億円)。地方の税収は、総道路投資の財源の地方費に全額計上される。国の税収に関しては、政府・与党が昨年12月に合意した道路特定財源の見直しを受け、3286 億円が実質的に一般財源化され、残りが道路整備等、地方道路整備臨時交付金、使途拡大(道路関連事業、2878億円)に充てられる。」(『建設工業新聞』 2007.02.05)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省…直轄工事のうち、予定価格が2億円以上の工事の入札は1月に151件行われた。このうち低入札価格調査の基準額を下回り、落札者決定を保留した入札は31件あった。発生率にすると20.5%。緊急対策を発表する直前の昨年11月は100件の入札中、低入札価格調査は41件あり、対策発表の前後で発生率はほぼ半分に低下した計算になる。代表的な工種に限ると、低入札価格調査は、一般土木では11月が48件中 21件(43.8%)だったが、1月は57件中8件(14.0%)、鋼橋上部は11月が9件中7件(77.8%)だったが、1月は21件中5件(23.8%)に、PCは11月が6件中5件(83.3%)だったが、1月は16件中11件(68.8%)になった。…18件の入札では、合計32者が著しい低価格で応札した。中には全応札者(8者)すべてが低入札調査基準を下回り、このうちの7者が特別重点調査の対象になった案件もあった。」(『建設工業新聞』2007.02.05)
●「河川事業費(維持修繕事業を除く)は、ピークだった96年度には1兆1093億円あったが、06年度には6386億円にまで落ち込んだ。このうち、激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)など大規模被災個所の復旧費用が1011億円。これに過去10年間に被災した場所で同様の水害が発生するのを防ぐ『再度災害防止費用』を加えると3257億円に上り、全体の51%を占める。直轄事業と補助事業でも事情が異なる。事後対応の費用は、直轄河川事業では33%にとどまるのに対し、補助河川事業では74%に達しており、補助河川では『予防にほとんど手が回っていない状態』(国交省河川局)だ。昨年は、7月の豪雨で鹿児島県の川内川流域に大規模浸水被害が生じたことなどから、復旧費を盛り込んだ補正予算が組まれており、これを含めると事後対応の割合は『さらに高くなるとみられる』(同)。」(『建設工業新聞』2007.02.06)
●「国土交通省は6日、公共工事の施行体制に関する全国一斉点検の結果を発表した。前年度調査に続き、全体的には改善傾向にあるものの、施行体制台帳の不備などが相変わらず多くの現場で確認された。…06年10〜11月に任意の実施日を定めて抜き打ちで実施した。請負金額が2500万円以上(建築は5000万円以上)の工事が対象で、調査時点で稼動していた6921件中、約16%に当たる1073現場に監督職員以外の同省職員が立ち入った。このうち、低入札価格調査の対象工事などの現場は437件(低入札価格調査対象369、重点監督強化対象68)だった。点検で施行体制になんらかの不備が確認されたのは約47%の506現場。不備があった現場の割合と数は、04年度が約57%・703件、05年度が約50%・568件で、年を追うごとに改善は進んでいる。不備があった工事のうち、元請業者による下請工事の関与に不備があったのは361現場。ただ、違法な一括下請(丸投げ違反)と認められる工事はなかった。施行体制台帳を備え付けていなかったり、台帳の内容に不備があったりしたのは71現場。施行体制図を掲示していない現場や掲示場所が不適切という現場は33ヵ所あった。落札率が低い工事ほど、不備の発生割合が高い傾向があることもわかった。」(『建設工業新聞』 2007.02.07)
●「法案の名称は『駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案』で、2017年3月末までの時限立法とした。沖縄県の米軍普天間基地の移設やF15戦闘機訓練の分散移転など、計画の実施に伴い負担が増える自治体が支援の対象となる。交付金は、防衛相が今後『再編関連特定周辺市町村』に指定する自治体を対象に支給。例えば普天間移設の場合、完了までの過程を@受け入れ表明A環境調査着手B工事着手C移設完了――の4段階に分類し、各段階で支給額を上積みする仕組みとする。防衛省は07年度予算案に交付金の必要経費51億円を計上しており、来年度から支給を開始する。さらに負担が大きいと判断した自治体には、道路や港湾施設整備といった公共事業の国の補助率のかさ上げ措置を実施する。補助率は本土の自治体の場合で最大 55%、沖縄県内の自治体の場合で同95%となる。法案には、沖縄駐留海兵隊のグアム移転を実現するため、国際協力銀行(JBIC)による資金拠出を可能にする特例措置も盛り込んだ。JBICは発展途上国向けの資金拠出を原則としているが、グアムに家族住宅などを整備する事業に限り出資・融資を認める。」(『日本経済新聞』2007.02.09)
●「国土交通省は、施工者による技術提案の余地が大きい工事を対象に、2007年度から詳細設計の一部を施工者が担当する『詳細設計付工事発注方式』を試行する方針を固めた。対象工事は、鋼上部やPC(プレストレスト・コンクリート)などを想定している。コンサルタントの業務範囲は、積算に必要な部分に限定し、施行計画など施工者の技術やノウハウを効果的に活用できる部分を工事と一括で発注する方向で検討を進めている。… 国交省は、土木工事の一部で設計・施工一括発注方式を採用しているものの、詳細設計と工事は原則、分離発注している。ただ、設計と施工の分離では、施工者がもつさまざまな新技術やノウハウがコンサルタントの作成した詳細設計の中で発揮し切れないという課題も抱えている。国交省によると、コンサルタントが作成した施工計画が現場の実情に合わず、一部の工事では施工者からの指摘による計画変更なども多いという。」(『建設通信新聞』2007.02.09)
●「国土交通省は施工体制確認型総合評価方式の入札で、全応札者を対象に工事費内訳書で施工体制を確認する取り組みを開始した。低入札価格調査の基準を下回った応札者には価格低減理由を詳細に調査することにしているが、通常の価格帯で応札した業者に対しても工事費内訳書を通じて施工体制を確認する。…入札価格の根拠について、電話でヒアリングし、下請業者や資材業者などに不当なしわ寄せがないかどうかを確認する。特に、工事費内訳書と入札金額に差があれば、厳しくチェックする方針だ。…工事費内訳書はこれまで、談合を排除することを主目的に、応札者が積算を自社できちんと行ったかどうかをチェックする手段として使われ、記載金額に大きな誤差がなければ有効として扱われてきた。」(『建設工業新聞』2007.02.15)
●「東京23区の2007年度予算案が、14日出そろった。日刊建設通信新聞社の調べによると、23区の一般会計は前年度比3.8%増の2兆9179億4600万円で、特別会計を合わせた総額は4.6%増の4兆8628億円となった。一般会計のうち普通建設事業費は 3657億1000万円となり、5.7%増加した。景気回復や定率減税廃止、区民税の増収などの影響から、一般会計が前年度より増加したのは19区。普通建設事業費は、15区が増加している。…普通建設事業費が前年度と比べ2桁以上の伸びを示したのは、中央、新宿、荒川、目黒、世田谷、中野、杉並、板橋、練馬、足立、葛飾の11区。最大の伸びを示したのは234.4%増の中野区で、中の駅周辺整備として、警察大学校跡地から道路や公園用地の取得費などに約 87億円を計上した。30%以上の伸びを示した新宿、板橋の2区では、学校施設の建設工事費が増加した。新宿区は西早稲田中、新宿中の建設工事費、板橋区では大谷口小の改築や小中学校の改修の工事費を計上している。一方、普通建設事業費が2桁減となったのは、文京、台東、品川の3区。大幅な減となった文京区は、(仮称)目白台運動講演の用地取得が完了したことが要因となっている。…墨田区は、新東京タワー建設を見据えたまちづくりが目白押しだ。押上・業平橋駅周辺では、07年内の地区計画策定を目指す。このほか、新東京タワーと浅草などの周辺地区の連携強化に向け、北十間川にデッキや船着場、道路などを整備する。首都高速道路の地下化が検討される千代田区では、首都高の下を流れる日本橋川沿いのまちづくりを進める。…中央区は、築地市場向けの冷蔵倉庫が並ぶ豊海地区で、市場移転や環状2号線の整備をにらんだまちづくりの基礎調査に着手する。鉄道の連続立体交差事業に合わせたまちづくりも加速する。東急武蔵小山駅の地下化が完了した品川区は、駅東側や南側一帯のまちづくりを検討。…公共施設の整備では、港区が田町駅前に計画している複合公共施設で、PFI導入の可能性を調査する。荒川区は、06年度に着手した産業振興施設の整備で基礎調査を継続する。学校施設の整備は、老朽化の進んだ公社の改築として、板橋区は板橋第3中の基本設計、世田谷区は芦花小・中、烏山北小で基本構想策定にそれぞれ着手する。江東区では、南部の有明北地区で人口増を見据え、有明小・中の新設へ基本計画の策定を進める。また、品川区は品川地区小中一貫校の基本設計を予定している。」(『建設通信新聞』2007.02.15)

労働・福祉

建設産業・経営

●「積水ハウスはマンション開発を拡大する。首都圏を中心に2009年末までの3年間で、総戸数百戸以上の大型マンションを約20物件分譲する計画。…マンション開発の売上高を早期に06年度比7割増の千億円に引き上げ、非戸建て事業の収益力強化につなげる。…09年末までに大型マンションを1年に5案件程度ずつ開発する計画だ。すでに東京都杉並区で680戸、名古屋市や兵庫県西宮市で二百数十戸の大型物件の発売が決まっている。07年は前年度比14%増の2500戸のマンション販売を目指す。来年には横浜市(740戸)や大阪市(200戸)で大規模マンションの発売を計画している。これらも含め全体の5割強を東京や横浜など首都圏で供給し、その後も名古屋市、大阪市、福岡市など大都市に特化して開発する。用地は金融機関の店舗や社宅、企業の工場跡地が中心で、取得済みが多い。主に郊外のファミリー向けで、敷地面積の広さを生かして商業施設や公園と複合開発する案件もある。」(『日本経済新聞』2007.02.06)
●「三井不動産と野村不動産ホールディングスは9日、2006年4-12月期連結業績を発表し、大手不動産5社の実績が出そろった。三井不の純利益は前年同期比14%増の520億円、野村不HDは7.5倍の186億円になった。各社ともオフィス需要逼迫を背景にした賃料上昇や新規ビルの稼動など賃貸収入の拡大がけん引し、07年3月通期の純利益も最高益を更新する見通しだ。」(『日本経済新聞』2007.02.10)
●「長谷工コーポレーションはオフィスビルなどの開発事業に乗り出す。用地を押さえ事業主を見つけたうえで、施工を請け負うマンション事業の手法を活用、開発リスクを減らす。すでに横浜市で9月に総事業費200億円強のオフィスビルを着工しており、相次ぎ取得した用地で事業化する。経営再建が進んだことからマンション事業以外に収益源を広げる。」(『日本経済新聞』2007.02.10)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「政府は6日、民間都市再生事業計画の認定申請期限を延長する。『都市再生特別措置法等の一部を改正する法案』を閣議決定する。延長期限は2012年3月末までで、同法案では『密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律』も改正し、防災街区整備地区計画の区域内で建築物の容積を配分できる制度も創設する。同法案は、都市機能の高度化と居住環境の向上を目的に『都市再生特別措置法』『密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律』「道路法」の3つを改正する。…密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の改正では、防災再開発促進地区での第2種市街地再開発事業の面積要件を0.5ヘクタール以上から0.2ヘクタール以上に緩和する。道路法の改正では、市町村が都道府県の同意を得れば、その市町村内にある国道や都道府県道で歩道の新設や改築、修繕を可能とする。」(『建設通信新聞』2007.02.06)

その他