情勢の特徴 - 2007年4月前半
●「米大手証券グループのモルガン・スタンレーが全日本空輸が国内に保有する13ホテルを一括して購入することが12日明らかになった。全日空が13日にも発表する。モルガンは、同ホテルの取得に名乗りを上げた国内外の不動産ファンドや不動産会社に競り勝ち、取得金額は日本の不動産取引では過去最大級の2800億円前後に達するもよう。日本の景気拡大を期待した外資からの不動産投資が一段と活発になってきた。モルガンは今回、旗艦大型ホテルのANAインターコンチネンタルホテル東京(東京・港)や沖縄県のリゾートホテルである万座ビーチホテル&リゾート(恩納村)など、全日空が保有する直営13ホテルの土地と建物をまとめて取得する。…モルガンはこれまでにサッポロホールディングスからウェスティンホテル東京(東京・目黒)を購入するなど投資を積極化。今回、全日空から13ホテルを購入することで、日本で最大級のホテルオーナーになる。…全日空が売却する13ホテルの土地・建物の帳簿価格は合計1100億円。モルガンへの売却で約1700億円の売却益を計上する見通しだ。…モルガンは2月に年金基金や大学基金など機関投資家から総額80億ドル(約9600億円)の資金を集めて世界最大の不動産ファンドを創設。景気拡大が続くとみた日本には、このうち最大で4割の資金を投入することを決めていた。借入金を含めると日本では約2兆円規模の資金を投じることが可能で、資金力を背景に、最高値を提示して入札に競り勝った。」(『日本経済新聞』2007.04.13)
●「国土交通省は07年度、金額ベースで9割の直轄工事に総合評価方式を適用する。近く発出する官房長通達に目標値を盛り込み、地方整備局の担当者に総合評価方式の実施を徹底させる。件数ベースでは6割を目標に設定しており、06年度目標値よりもそれぞれ1割ずつ、積み増している。目標達成には災害復旧を除く全ての工事を対象にしなければならず、事実上、全直轄工事に総合評価方式が採用される。公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の施行3年目を迎え、ようやく同法が守られることになる。」(『建設工業新聞』2007.04.02)
●農林水産省所管の独立行政法人緑資源機構(本部川崎市)発注の調査業務をめぐる官製談合疑惑で、公正取引委員会が、独禁法違反(不当な取引制限)容疑での検察当局への告発を視野に、週内にも関係者の聴取を始める見通しであることが2日、分かった。組織的に受注調整を続けていた悪質な官製談合の疑いが強まったためで、審査の担当を行政処分を行う部署から強制調査権限を持つ犯則審査部に移した。関係者によると、官製談合の疑いが持たれているのは『緑資源幹線林道』の測量、地質調査、環境調査などのコンサルタント業務。各年度当初、全国8地方建設部で発注を担当する林道課長が、過去の受注実績などを基に受注予定業者を決めて発注草案を作成。本部森林業務部の林道企画課長が最終案を取り決め、担当理事の承認を得た上で業者側に伝えていた。受注調整は、発注方法が随意契約から入札に移行した1990年代から続き、歴代の理事、課長らが引き継いでいたとみられる。業者側には同機構の幹部が多数天下りして高額の報酬を得ており、公取委はOBの存在と官製談合との関連についても追求するもようだ。林道整備事業の発注総額は年間約140 億円で、コンサルタント業務はうち約10数億円。公取委は昨年10月から11月、同機構本部、地方建設部のほか、同省同管の財団法人『林野弘済会』(東京都文京区)や『森弘済会』(千代田区)、コンサルタント会社『フォレステック』(三鷹市)など約30法人を立ち入り検査した。林野弘済会やフォレステックなど15法人は、林野庁東北森林管理局青森分局などが発注した国有林の調査業務で談合したとして、2001年12月にも、公取委の排除勧告を受けている。(『しんぶん赤旗』2007.04.03より抜粋。)
●「国土交通省は、東北、近畿の両地方整備局で試行している入札ボンドを2007年度中に全地方整備局に拡大する。対象はWTO(世界貿易機関)政府調達協定対象工事(予定価格7億2000万円以上)で、準備が整ったところから順次試行していく。」(『建設通信新聞』 2007.04.03)
●「国土交通省の各地方整備局を始め各発注機関の2007・08年度入札参加資格者の格付けが公表されたが、関東地方整備局では工事関係の資格者が大幅に減少し、05・06年度より28.5%減の1263社減り、過去10年間で初めて9000社を割り込み、8391社になった。東京都や埼玉県でも減少傾向にあり、建設業者の公共工事離れが始まる兆しだという見方も出てきた。国交省では『許可業者の減少に連動した』とみている。」(『建設通信新聞』2007.04.04)
●「国土交通省は、建設コンサルタント業務の入札に低入札価格調査制度を導入する。予定価格が1000万円以上の競争入札が対象。測量、コンサル(土木、建築)、補償関係が予定価格の60〜80%、地質調査が同3分の2〜10分の8.5の範囲内で調査基準額を設定する。落札候補者の応札価格が基準額を下回った場合は、業務を契約通り履行できるかどうか調査を行い、履行できない恐れがある場合には排除する。6日付で各地方整備局に通達し、9日以降に発注公告する業務から適用する。同省は併せて、業務原価を把握する目的で『業務コスト調査』を導入するほか、将来、著しい低価格入札に適用する特別重点調査も実施する方針だ。」(『建設工業新聞』2007.04.06)
●「総務、国土交通の両省は6日、一般競争入札の拡大、総合評価方式の拡充、入札ボンドの導入方針など、入札・契約の適正化に対する都道府県・政令市の2007年度の取り組み方針を調査した結果を公表した。都道府県・政令市の7割が06年度(06年10月1日現在)より一般競争入札の対象範囲を拡大し、総合評価方式の実施目標は8割が設定していることが分かった。入札ボンドの導入は新たに岩手、兵庫の2県が加わり計4県となった。…一般競争入札の対象範囲は、47都道府県中33道府県、15政令市中7市が拡大する。06年度時点で全工事に原則一般競争入札を適用している長野県、横浜市に続き、三重県が原則すべての工事に一般競争入札を導入すると回答している。対象範囲の拡大で最も多い下限額は1000万円以上で、北海道、岐阜、静岡、京都、大阪、兵庫、島根、広島の8道府県と仙台市だった。250万円以上は岩手、山形、福島、神奈川、佐賀、宮崎の6県と広島市、5000万円以上も栃木、群馬、富山、香川、高知、福岡、大分の7県あった。総合評価方式の実施目標は、都道府県・政令市の8割が設定しているが、残り2割についても明確な数値は示していないものの、目標の設定または拡充を検討中だ。入札ボンドは、06年12月に試行を開始した宮城、埼玉の2県に岩手、兵庫の2県が加わる。岩手県は7月、兵庫県は07年度中の試行を予定している。」(『建設通信新聞』2007.04.09)
●「首都高速道路会社は、入札時点では最終的な工事数量を確定できず、後で契約変更になるケースが多い橋脚の耐震補強工事の発注を対象に、工事の総価ではなく、工事を構成する作業項目ごとの単価で契約を結ぶ『単価契約方式』を始めて導入する。単価を契約しておけば、後で数量が変動しても作業回数などに応じて出来高を容易に精算できるため、契約変更に必要な発・受注者双方の業務負担を大幅に軽減できると判断した。同社は、新方式を導入する初弾案件発注を9日付で公告する。…初弾案件は条件付き一般競争入札『(改)鋼製橋隅角部補強工事19-1-1』。首都高3号渋谷線六本木〜池尻区間の橋脚24基の柱と橋台の接続部分(隅角部)の亀裂を補修する工事で、作業内容は亀裂付近の調査・切削・研磨・診断など。この種の工事では、工事の途中で、小さいものでも補修が必要な新たな亀裂が発見されるケースが多く、その度に同じ作業を繰り返す必要がある上、橋脚ごとに必要な作業量も異なり、入札の時点では最終的な工事数量を確定するのが困難。従来の総価契約では、契約変更に必要な協議や価格交渉の手間と時間が発・受注者双方の大きな負担となり、こうした手間や工期の延長を受注者側敬遠して入札が不成立となる案件が頻発するなど、発注に大きな支障が出てきた。新方式では、入札は従来同様、仮に設定した工事数量を基に算出する総価で行うが、契約は工事を構成する作業項目ごとに、作業の回数や個所数の単位で決める単価で行う。炭化は首都高速会社の設計単価に、入札時の落札率を掛けて決定する。追加補修が後から何度も発生しても、作業の回数などに契約単価を掛ければ容易に工事費を算定できるため、価格交渉などの協議時間と手間を省けるメリットがある。総価方式では契約変更の手続に1ヵ月程度要することもあった。」(『建設工業新聞』 2007.04.09)
●「国土交通省は、経営事項審査(経審)改正の方向性をまとめた。各評価項目のウエートの大幅な見直しや、グループ経審制度の適用要件緩和などが柱。評価項目のウエートの見直しでは、]1(完成工事高)を現行の『0.35』から『0.25程度』に引き下げ、]2(経営規模)を『0.1』から『0.15程度』に引き上げることで、完工高偏重からの脱却を明確に打ち出している。Z(技術力)では、新たな評価指標として研究開発費などを追加し、]1では小規模企業でも完工高評価で差が付くように評点テーブルを修正することで、大手と中小それぞれに配慮した。グループ経審は、グループ内の再編やグループ企業間での技術者出向を認め、企業再編を妨げない制度改正の方向性を示している。評価項目のウエートの見直しでは、]1、]2のほか、Zを現行の『0.20』から『0.25程度』に修正する。]1については、評点の上限を現行の2000億円から1000億円程度に引き下げるとともに、小規模企業間でも完工高の評点に差が付くように評点テーブルを修正する。]2は、企業実態を適格に反映するため、職員数の評価を廃止し、自己資本額、利益額、付加価値額の3項目で評価する。Y(経営状況、12の指標)は、固定資産の少ないペーパーカンパニーが高い評価を得ていることなどから、デフォルト(債務不履行)判別を中心とした評価項目に全面的に見直し、中小企業が実態とかけ離れた高得点を得られないようにする。Zは、技術者数だけの評価に、業種別の元請完工高と研究開発費を追加する。研究開発費を追加する。研究開発費は、大企業間で評点に差が付きやすくするために設定し、研究開発で競う環境を整える。W(社会性など)は、労働福祉の状況や防災協定の締結、営業年数などについて、加点・減点の幅を拡大する方向で見直す。また、新たに法令順守の状況を評価対象に追加し、自己申請による工事安全成績などの評価は廃止する。グループ経審制度は、グループ内の再編も経審の適用対象とするほか、規模を評価する指標を数社で割り振ることや、グループ内での技術者の出向を認めるなど、企業形態の多様化に対応した柔軟な改善策を示している。虚偽申請の防止対策は、会計監査人などの有無で評価に差を付ける仕組みなどを導入するとともに、虚偽申請があった場合の営業停止期間を現行の15日から拡大する。改正の方向性は11日に開かれる中央建設業審議会ワーキンググループ(WG)の専門部会に提示する。同省は部会での議論を踏まえて、改正作業を進め、2008年度から改正後の経審を適用する考えだ。」(『建設通信新聞』2007.04.11)
●「建設経済研究所は11日、都道府県、政令市を対象にアンケート調査した低入札価格調査の実施状況をまとめた。 2005年度の低入札価格調査制度対象件数は2108件あり、前回調査した01年度に比べて29.5%増加し、排除件数は01年度の5倍に当たる422件あった。…各地方自治体の実施状況をみると、24都府県7市で低入札価格調査件数が増加しており、排除件数を調査件数で割った割合(排除率)は11県2市で増加していた。低入札価格調査制度の適用範囲が各自治体によって異なるため、一概に比較できないが、調査件数が最も多かったのは宮城県の425件で、排除件数も145件と最多だった。宮城県では、一般競争入札対象案件(予定価格1000万円以上)に同制度を適用しており、その範囲は、WTO(世界貿易機関)政府調達協定対象工事(予定価格7億2000万円以上)などに適用している他の自治体に比べて広く、年間発注量も勘案すると、最多は当然といえる。調査件数が332件の広島市も、同調査の適用範囲が予定価格250万円以上になっている。01年度と比較すると、宮城県の調査件数は3倍に膨れ上がっており、低価格入札が急増している。一方、排除率は01年度の6.2%から34.1%に上昇している。調査では、詳しく分析していないが、宮城県は06年2月から同制度に失格判断基準を導入しており、その効果があったとみられる。」(『建設通信新聞』2007.04.12)
●「ソニーが積水ハウスに売却する東京都品川区の旧本社など6棟の土地・建物(敷地面積約2.5ヘクタール)の譲渡金額が1000億円前後とみられることが分かった。売却先はゼネコン、デベロッパーなど10者程度が参加した入札で、積水ハウスが落札した。両社はすでに契約を結んでいる模様。積水ハウスは『開発計画はまだ白紙』としているが、用途はオフィスビルや分譲・賃貸マンションが有力。早ければ年内にも開発計画をまとめる。完成時期は11年ころを想定している。ソニーが売却するのは、品川区北品川6丁目にある八ツ山通り(ソニー通り)北側の旧本社ビル(現2号館)・研修会館(敷地面積約1万6000平方メートル)、6・7号館(敷地面積約5000平方メートル)、9号館、10号館の土地と建物。敷地面積は合計すると2 万5000平方メートルを上回る。今夏までに順次物件を引き渡していく。…売却地の用途地域は通りから約20メートルまでが商業地域(容積率500%、建ぺい率80%)で、それ以外は準工業地域(同300%、同60%)、第一種中高層住居専用地域(同200%、同60%)、第一種低層住居専用地域(同 150%、同60%)に指定されている。同地区は『御殿山エリア』と呼ばれるソニー創業の地。ソニーは2月に本社を品川駅東側の港区港南地区に移転し、分散していた機能を集約することに伴い、通り北側の不動産を処分することを決めた。」(『建設工業新聞』2007.04.02)
●「羽田空港再拡張事業の着工に伴い、首都圏で生コンクリートの安定供給に支障をきたす可能性が出てきた。埋め立て用の土砂が大量に必要となるため、生コンクリートの骨材となる砂と砂を運搬するダンプ、船の不足が心配されている。さらに、ダンプ運転手の確保で輸送コストが上昇し、収益面にまで影響が出るという危ぐもある。供給と価格の両面からのダブルパンチを避けるため、生コン業界は事前の対策に動き始めた。同事業で埋め立てに使われる土砂は、建設残土を除けば約3090万立方メートルもの膨大な量だ。そのうち約1000万立方メートルが生コン用と同等品で、ほとんどが3 年間の埋め立て期間の初年度の出荷となる。『湾岸地域で1年間に使われる量が、1年で羽田に動く』と、東京地区生コンクリート協同組合は、まず生コンに使う砂の確保を心配している。…そこでもっとも問題となるのが、採取地から港までのダンプの確保だ。工事初年度に最大約800台のダンプが必要とされている。しかし、千葉県ダンプ協会君津支部が保有するダンプ台数は約370台で、現状の2倍以上のダンプが必要となる。非加盟のダンプもあるが、ほぼすべてが同事業のために使われることになる。」(『建設通信新聞』2007.04.04)
●「東京商工リサーチがまとめた2007年2月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、293件で前年同月比 2.6%の減少になった。また、負債総額は457億600万円で、16.1%の大幅なマイナスとなっている。これは、直近1年間で最も少ない金額。負債額 10億円以上の大型倒産が6件にとどまったことが最大の理由になっている。この結果、負債額の平均は1億5500万円で、14.3%の減少となり、06年 10月以降、5ヵ月連続で2億円を下回った。」(『建設通信新聞』2007.04.04)
●「準大手・中堅ゼネコン各社が、07年3月期の連結業績予想を相次ぎ下方修正している。大手を含めた主要ゼネコン27 社のうち、実質の期末日となった3月30日までに業績予想を修正したのはほぼ半分に当たる13社。『脱談合』に伴い公共工事で頻発した低価格入札や、民間建築工事での受注競争の激化が業績に影響したようだ。資機材価格や労務費の高騰も利益の圧迫要因になっている。修正後も含めた予想値が前期比で増収増益となったのは27社中6社にとどまった。低価格入札の影響は今期威光に大きくなると見られており、各社の経営環境は一段と厳しさを増しそうだ。06年9月中間決算を発表して意向の連結業績予想の修正状況は別表の通り。大手では大成建設が、連結予想は修正していないが、単体予想を修正。販売用不動産などの含み損一掃などで最終利益を見直した。準大手以下で修正したのは、西松建設、前田建設、戸田建設、熊谷組、東急建設、奥村組、淺沼組、鉄建、飛島建設、東亜建設工業、高松建設、ピーエス三菱、青木あすなろ建設の13社。厳しい経営環境を受けて全社が下方修正となった。修正理由として、『価格競争の激化と材料費などの高騰による採算悪化』(前田建設)に代表されるように、公共工事の低価格入札、民間建築の競争激化を挙げた会社が多い。原材料価格や運搬費の高騰に伴う資機材のアップ、技能者不足による労務費の高騰も深刻で、利益率の低下を招いている。さらに、公共工事で技術提案型入札が増加した影響で準備経費がかさみ、販管費が増加したことも下方修正の理由に挙げられている。特殊要因では、『海外工事での一部収益の悪化』(熊谷組)、『行政処分の影響による完工高の減少』(東亜建設工業)なども挙がっている。工事採算の悪化で今期以降に発生する欠損金を工事損失引当金に計上し、経常利益を下方修正した会社もあった。こうした収益環境の急激な悪化を背景に、投資有価証券を売却して最終利益を調整したり、繰延税金資産を取り崩して財務の健全化を図ったりする動きも目立っている。」(『建設工業新聞』2007.04.05)
●「住宅の耐震化に対する補助事業が広がる中で、補助対象の強度基準に関心が集まっている。昭和56年以前に建てられた住宅をはじめ、耐震診断によって強度が1 に満たないと判断された住宅について、1以上を目指す耐震補強、改修を行う場合に、工事費用の一部を補助する、というのが広く行われている形。その中で、 1に満たない耐震改修でも補助する自治体が注目の的だ。昨年から制度を立ち上げた東京都墨田区では、強度1以上の耐震改修の対象を、木造住宅が密集している緊急対応地域に限定し、それ以外の地域では、1未満の『簡易改修』も可能にした。区内には相当古くからの住宅があり、高齢者のみの居住も多い。大半が改修のための資金がなかったり、『今さらお金はかけられない』からと改修には踏み切れないでいる。そうした住宅に対し、(1)一気にはつぶれないようにする(2)避難できる場所を確保する(3)長時間生活する居室を改修することを目的とする簡易改修を行うことで、居住者の命を守ることを優先したもの。高齢者の場合、3分の2補助で30万円まで、一般でも3分の1補助で15万円まで支給することにしたところ、18年度中に15件の申請があり、そのうち10件が簡易改修だった。東京都ではほかに杉並が、強度1以上という結果を求めないことにより、簡易改修を可能にしている。平成15年度から補助事業を開始した長野県では耐震補強により強度が向上することを求める一方で、それが0.7以上なら良しとしている。お金がないという人ばかりでなく、『今よりは良くしたい』という人も応援しようというもので2分の1補助で上限60万円までを支給する。17年度99件、18年度は168件と申請は右肩上がりで、4年間の累計は334件となった。和歌山県でも、0.7未満の住宅を1以上にする『一般型』と、昭和45年以前の古い建物を対象とする『避難重視型』を設けており、ことらは0.7未満を0.7から1.0に強化すればよい。いずれも3分の2補助で60万円まで支給する。…命を守るための早急な措置として、耐震改修への緩和策が広がりそうだ。」(『日本住宅新聞』2007.04.15)