情勢の特徴 - 2009年2月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

● 「国土交通省は1月30日、2008年の建築着工統計調査報告を公表した。新設住宅着工戸数は前年比3.1%増の109万3485戸と2年ぶりに増加したものの、年間の着工戸数としては99万1158戸だった1967年、106万0741戸だった07年に次ぐ低水準となった。着工戸数は持ち家、貸家、分譲住宅でいずれも増加したものの、同省は「改正建築基準法施行による前年の落ち込みからの反動増という側面が強い」(総合政策局建設統計室)としている。」(『建設通信新聞』2009.02.02)
● 「08年度第2次補正予算に盛り込まれている『地域活性化・生活対策臨時交付金』の波及効果を政府が試算したところ、総額6000億円のうち、建設部門に4800億円を配分した場合に、3万3000人の雇用創出が見込まれることが分かった。残りの商業部門とサービス部門を加えると、全体では4万7000人の雇用創出効果を想定しているが」その約7割を建設部門が占める試算となっている。具体的な事業としては、インフラの改修工事や、公共建築物の耐震補強などを想定している。政府は、地方自治体からの申請を受け付け、年度内の交付決定を目標に作業を進める。」(『建設工業新聞』2009. 02.03)
● 「日本経済の急降下に危機感を強める政府・与党は一段の景気下支えが必要と判断、国会で審議中の09年度予算案の成立を前提に、追加の景気対策の検討に入った。…具体的な事業では住宅・公共施設への太陽光発電の導入拡大、電気自動車・省エネ家電への買い替え促進など、地球温暖化防止と景気浮揚の両立を目指す『グリーン・ニューディール政策』が浮上。学校耐震化や光ファイバー網の整備促進など公共事業を大幅に前倒しする案もある。…『無利子国債』の発行を検討する動きも出ている。与党内の一部には『バブル崩壊後の度重なる景気対策は公的債務の膨張を招いただけだった』(幹部)として財政規律の維持を求める声もある。」(『日本経済新聞』2009.02.14)

行政・公共事業・民営化

● 「国土交通省は、高齢者の居住安定に向けた施策の推進により、15年までに約5兆円の事業量が見込まれるとの試算結果をまとめた。65歳以上の高齢者の人口や居住形態、住宅のバリアフリー化率を踏まえ、ケア付き住宅や公的賃貸住宅の整備、住宅のバリアフリー化など今後必要になる事業を想定して試算した。政府は、高齢者居住安定確保法の改正案を今通常国会に提出しており、法制度の充実や支援措置の拡大などにより、こうした取り組みを急ぐ。」(『建設工業新聞』2009.02.05)
● 「新潟県の泉田裕彦知事は12日、建設中の北陸新幹線の工事費の追加負担を現段階で拒否すると表明し、独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(横浜市、鉄道・運輸機構)に工事費が増えた根拠を明確に示すよう要望書を提出した。国土交通省は説明の機会を設けて混乱を早期に収拾したい考えだが、財政難の地方自治体から公共事業の地方負担のあり方を見直すよう求める声が強まる可能性もある。」(『日本経済新聞』2009.02.13)

労働・福祉

● 「日本建設産業職員労働組合協議会が、加盟組合に働きかけている現場作業所の統一土曜閉所運動が着実に広がり始めている。2008年11月調査の閉所率は55.4%となり、初めて5割を超えた。所属企業が運動を後押しする動きがあるほか、運動の効果として加盟組合の3割強は年2回定めている土曜閉所日以外にも対象日を自主的に増やしているという。日建協は『休むことの大切さが浸透し、時短意識は着実に高揚している』とみている。」(『建設通信新聞』2009.02.06)

建設産業・経営

● 「建設業界で2008年に顕在化した『資金繰り悪化』問題を受け、政府が打ち出した資金繰り対策や既存制度の活用件数が増加基調にある。具体的には、金融機関からの融資に信用保証協会が100%債務保証する中小企業向けの「緊急保証制度」の活用件数が順調に推移しているほか、公共工事で出来高が5割を超えた場合に多くの公共発注者が認めている『中間前払金制度』の活用も、資金繰り対策が特に必要とされる年末に急増した。さまざまな制度に精通している地場ゼネコントップからは、『資金繰り悪化対策として融資を受けるのは最終手段。出来高に応じて支払いを受ける中間前払金を申請する権利を行使することが先決』との声も広がり始めている。」(『建設通信新聞』2009.02.03)
● 「マンション分譲大手の日本綜合地所は5日、東京地裁に会社更生手続き開始を申し立て、受理されたと発表した。子会社2社を含めた負債総額は約2142億円。今年に入って最大の倒産で、2008年度でみると不動産業では昨年8月に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイション(負債総額2558億円)に次ぐ大型倒産となった。マンション市況の悪化が企業経営に与える影響が一段と拡大している。…マンション市況低迷によって在庫が積み上がり、借入金増大と棚卸し資産の評価損が経営を圧迫。昨年10月ごろから資金繰りが逼迫(ひっぱく)していた。」(『日本経済新聞』2009.02.06)
● 「日本土木工業協会など土木4団体は6日、合同理事会を開き、葉山莞治会長(大成建設会長)の退任とともに中村満義副会長(鹿島社長)の新会長就任を内定した。理事会後の会見で、中村副会長は『4団体合併後の新たな船出は、葉山会長でと思っていたので、責任の重大さを感じている。葉山会長の引かれた路線を踏襲し、皆さんの協力を得ながら協会活動に携わっていきたい』と述べた。一方、葉山会長は『大変な時期に会長の重責を担えて幸せだった。その一言に尽きる』と3期4年の会長職を振り返った。」(『建設通信新聞』2009.02.09)
● 「ゼネコン(総合建設会社)大手4社の2008年4-12月期連結決算が10日出そろい、大成建設を除く3社が09年3月通期予想を下方修正した。鹿島と大成建は最終赤字を計上し、清水建設と大林組は大幅な最終減益となる見通しだ。海外工事の採算割れや、為替相場の円高基調といった外部環境の悪化が本業を圧迫。取引先の破綻による損失計上や保有株式の減損処理なども重しとなる。」(『日本経済新聞』2009.02.11)
● 「国土交通省がまとめた建設工事受注動態統計調査結果によると、建設業者の08年の年間(1〜12月)総受注高は50兆5168億円(前年比4.2%減)で、うち元請け受注高は35兆49億円(同4.7%減)、下請け受注高は15兆5119億円(同3.0%減)と、総額、元請、下請とも00年度の調査開始以来、最低の水準となった。不況の伴う民間建築工事の低迷が大きく影響しており、中でも不動産業からの住宅工事の受注は過去最低だった。」 (『建設工業新聞』2009.02.12)
● 「マンション分譲主要8社の2009年3月期の連結業績見通しが12日、出そろった。昨秋以降のマンション市況の一段の悪化で藤和不動産など3社が最終損益の見通しを下方修正。5社が最終赤字に陥る。大幅な赤字計上で資本を大きく目減りさせる企業も出てきており、資本増強が課題として浮上している。」(『日本経済新聞』2009.02.11)

まちづくり・住宅・不動産・環境

その他

● ブラジルからの報道によると、同国のルラ大統領は3日、金融危機の影響で失業した人を対象とした臨時の雇用策として、全国の貧困地域に50万戸の住宅を建設する計画を発表した。…ブラジル政府による、金融危機の影響により昨年12月だけで65万4千人の雇用が失われた。(『しんぶん赤旗』2009.02.05より抜粋。)