情勢の特徴 - 2009年5月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「内閣府が20日発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比4.0%減、年率換算で15.2%減となり、戦後最大の減少率となった。4.4半期連続のマイナス成長も初めて。昨年秋以降の世界的な金融危機の影響による輸出の落ち込みが拡大したのに加え、企業業績の悪化に伴い設備投資や個人消費などの内需も減少幅を広げた。」(『日本経済新聞』2009.05.20)
●「経済協力開発機構(OECD)は19日、日本農業の審査報告書を発表した。コメの生産調整(減反)について、競争力を弱めていると指摘したうえで、縮小か廃止すべきだと提言した。生産者の保護策を巡っては、農産物価格を高止まらせる「価格支持」から、生産者への直接的な所得補償に移すべきだと勧告。農政改革の検討を進めている政府の議論に影響を与える可能性もある。」(『日本経済新聞』2009.05.20)
●三大銀行グループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友の各フィナンシャルグループ)の中小企業向け貸出残高が1年で約2.6兆円減少したことが、2009年3月期決算で分かった。…大銀行首脳は「中小企業への円滑な資金供給は銀行の責務」として銀行の貸し渋りはないというが、実際には、中小企業への貸し渋り・貸しはがしは広がっている。日本銀行の3月の企業短期経済観測調査(短観)では「資金繰りが苦しい」と訴えた中小企業は全体の33%にのぼり、「金融機関の貸し出し態度が厳しい」と答えた割合は26%で1年前より9ポイント上昇した。(『しんぶん赤旗』2009.05.22より抜粋。)
●国土交通省が26日公表した2009年版土地白書によると、08年度に証券化された不動産資産額は、過去最高を記録した07年度に比べて65%減の3兆753億円に縮小し、7年前の水準に落ち込んだ。昨秋の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営被綻(はたん)で急速に深刻化した金融危機による信用収縮が、日本の不動産投資市場にも大きな影響を与えたことが浮き彫りになった。証券化の件数も08年度は470件にとどまり、07年度の1523件から大幅に減少した。(『しんぶん赤旗』2009.05.27より抜粋)
●「補正予算の成立で、政府は雇用の安全網のほか子育て支援や環境関連消費への補助などの生活対策の実行を急ぐ。…ただ雇用情勢の悪化など日本経済を取り巻く環境は依然として厳しく、経済・財政運営は綱渡りを強いられそうだ。…公共事業では羽田空港のC滑走路(3000メートル)を360メートル延伸する事業に65億円を計上した。5年後の完成を目指して工事が始まる。風向きにかかわらず欧米にジャンボ機を飛ばせるようになり羽田の国際機能の充実につながる。高速道路では40年以上も止まっていた東京外郭環状道路の練馬―世田谷間(16キロメートル)に95億円を投じて新規着手する。開通すれば首都高速道路の渋滞緩和が期待できる。国際競争力を左右する湾岸では、東京湾の次世代コンテナターミナル整備に96億円を盛った。」(『日本経済新聞』2009.05.30)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、1987年の都道府県向け建設経済局長通達『最低制限価格制度および低入札調査基準価格制度の活用について』を廃止し、建設業による地域の雇用確保や持続的発展する観点で価格設定するよう求める新たな通達を各都道府県・政令市に送付した。低入札価格調査基準価格が予定価格の84%程度になる中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)の算定モデルに沿うだけでなく、実情に応じてモデルの上限である90%に設定できることや、実際に90%に設定した地方自治体の事例を添付するなど、踏み込んだ内容となった。」(『建設通信新聞』2009.05.19)
●「国土交通省は、経営環境が厳しさを増している中小・中堅建設業者に対し、公共工事の受注機会を十分に確保するための取り組みとして、工事を発注する際の入札参加資格として設定する建設業者の地域要件の適正化などに乗りだす。実質上は稼働していない事務所を入札参加時に支店・営業所として申請する、いわゆる『名ばかり営業所』を排除するため、発注契約後に営業実態を厳格に確認する案を検討。総合評価方式の入札で下請業者などの地域貢献度に応じて加点する案や、地元中小・中堅業者向けの工事では入札参加業者の範囲を地域性をより重視して絞り込む案も検討する。国交省は、国会で審議中09年度補正予算案の成立後に、これらの適用を始める方向で調整する。」(『建設工業新聞』2009.05.29)
●「自民党の日本経済再生戦略会議(町村信孝会長)は、28日に会合を開き、中小企業者の受注機会の増大に向けた取り組みについて、政府からヒアリングを行った。政府は、09年度の官公需法に基づく中小企業向け契約目標について、過去最高水準の数値を設定する方針を提示した。入札時に参加業者に適切な地域要件を設定するほか、地域への精通度など地域企業の特性を適切に評価。工事以外の役務の発注でも総合評価方式の導入・拡充を図っていくとしている。過去最速となる来月上旬に契約目標を閣議決定する方針も示した。」(『建設工業新聞』2009.05.29)
●「国の2009年度補正予算が29日成立したことで、東京外郭環状道路(練馬−世田谷間、16キロ)の整備が動き出す。総事業費1兆2820億円に上る巨大プロジェクトで、年度内に事業に着手し、2020年の完成を目指す。東名高速道路と東北自動車道が約25分で結ばれ、首都圏の交通・物流の活発化や国際競争力の向上が期待される。」(『日本経済新聞』2009.05.30)

労働・福祉

建設産業・経営

●「西松建設は15日、同社の巨額献金事件などに関する内部調査結果を公表した。政界側への献金総額は2006年までの11年間に約4億7000万円に上り、脱法的な政治団体の設立による政治献金と認めた。さらに、海外でつくった裏金は約8億9000万円と判明。前社長、国沢幹雄被告(70)=政治資金規正法違反罪などで起訴=が不正行為を主導していたと指摘し、同社の法令順守の欠如が改めて浮き彫りになった。」(『日本経済新聞』2009.05.16)
●「IHIと松尾橋梁、栗本鉄工所は18日、橋梁(きょうりょう)事業を統合することで合意した。統合後の売上高は300億〜400億円となり、橋梁最大手の横河ブリッジホールディングスに次ぐ業界2位グループに浮上する見通しだ。橋梁業界は公共工事削減による市場縮小や2005年の談合事件による収益悪化を背景に再編が進んでおり、今後も合従連衡が加速するとみられる。」(『日本経済新聞』2009.05.18)
●「セメント4社の2009年3月期決算が15日、出そろった。公共事業費の削減に加え、経済環境の悪化に伴う民間設備投資の減少により、大幅に需要は減少した、原燃料価格の高騰を販売価格に転嫁したため、セメント事業は売り上げを伸ばした企業もあるが、数量の落ち込みに伴い利益は減少している。09年度は公共事業の減少に歯止めがかかるとみられるものの民間需要の回復は見込めず、各社とも厳しい環境は続くとみている。」(『建設通信新聞』2009.05.18)
●「鹿島、清水建設、大林組、大成建設の上場大手ゼネコン4社は15日、09年3月期の連結決算を発表した。大型不動産開発物件の売却益が寄与した鹿島を除き、営業損益が悪化。清水と大林が減益となったほか、大成は1981年の連結開示以降、初の営業赤字に転落した。世界同時不況に伴う民間設備投資の冷え込みや、不動産市場の低迷などが各社の受注にも影を落とし、単体の受注高は全社が前期実績を下回った。今期も各社は減収を見込むが、一方では工事採算の改善や販管費の圧縮が進むともみており、大林を除く3社は増益を予想している。景気の先行きは依然不透明で、各社は規模を縮小しつつも安定した利益を確保できる事業基盤への再構築を急ぐことになる。」(『建設工業新聞』2009.05.18)
●「主要ゼネコン各社の09年3月期の連結決算が18日、出そろった。日刊建設工業新聞社が集計した36社のうち、27社の売上高が前期を下回っており、経済失速による市場の縮小を反映した決算となった、損益面では、22社が経常増益または黒字転換を達成。採算重視の受注活動やコスト削減努力などが実を結んだ。ただ、業績の先行指標となる受注高(単体ベース)はほとんどの社が前期実績を下回り、期初の手持ち工事も少ないため、今期の収益環境は一段と厳しさを増すことになりそうだ。」(『建設工業新聞』2009.05.19)
●「民間設備投資の急速な落ち込みが、官公庁の発注工事に影響を与え始めた。東京都の建築工事の入札をみると、これまで民間市場に軸足を置いていた企業が応札し、民間市場が縮小している状況を浮き彫りにした。加えて都では、2007年度に減少した低価格入札が08年度に再び増加、応札企業の数も増える傾向にある。ゼネコンからも『民間市場以上に公共の競争は激しく、なかなか成果が出ない』との声も上がり、今後もー層競争が激化する懸念が広がる。」(『建設通信新聞』2009.05.20)
●「海外建設協会(海建協、中統一会長)は、会員46社の08年度海外建設工事(1件当たりの契約額1000万円以上)受注実績をまとめた。本邦法人と現地法人を合わせた受注高は総額1兆347億円(1648件)と、過去最高を記録した前年度に比べ38.5%の大幅な落ち込みとなった。海建協会員企業の海外受注高の総額が減少したのは6年ぶり。世界同時不況に伴う大型投資案件の減少と、円高の進行による受注競争力の低下が大きく響いた。」(『建設工業新聞』2009.05.21)
●「日本建設業団体連合会(日建連)と海外建設協会(海建協)は共同で、外国人研修・技能実習制度の活用と改善に向けた調査報告書をまとめた。日本型の品質管理や生産システムを取得した外国人が国内外で能力を発揮できる『循環型システム』の構築を提案。日本人建設技能労働者の入職促進や育成環境の整備を前提としながらも、外国の有能な人材が技能労働者として活用される基本インフラを設備することで、日本での建設技能の伝承だけでなく、中長期的にはゼネコンの国産競争力を強化することにもつながると提言している。」(『建設工業新聞』2009.05.25)

まちづくり・住宅・不動産・環境

その他