情勢の特徴 - 2009年8月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「内閣府が17日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%増、年率換算では3.7%増となった。プラス成長は5四半期ぶり。アジア向けの輸出が伸びたほか、追加経済対策による公共投資も成長に寄与した。エコカー減税などの追い風を受け、個人消費も3期ぶりに増えた。ただGDPの水準はピークをつけた昨年1〜3月期と比べると7.5%小さく、戦後最悪のマイナス成長から持ち直すにはなお時間がかかる。」(『日本経済新聞』2009.08.17)
●「国土交通省が24日発表した地価動向によると、7月1日時点の全国主要150地点の地価は3カ月前と比べて147地点(98%)で下落した。土地需要は盛り上がらず、空室率上昇や賃料下落が響いている。ただ、下落幅が縮小した地点は4月の前回調査の26地点から今回は57地点に増え、地価の下落ペースは緩やかになっている。」(『日本経済新聞』2009.08.25)
●「民主党を中心とする連立政権が発足する見通しとなった。・・・民主党は麻生内閣が決めた2010年度予算案の概算要求基準を全面的に見直す考え。経済財政諮問会議も廃止する。民主党は公約した政策への予算配分は優先する方針だが同党が目指すのは、政治主権で予算の配分にめりはりをつけることだ。・・・財務省主導が続いた予算編成だが、今後は首相直属の機関である国家戦略局が予算の骨格を固める。財務省は、同局が決めた骨格に沿って予算を編成することになる。国家戦略局には国会議員や地方自治体の代表が参画する予定だ。・・・民主党は同局の前身となる『国家戦略室』を政権発足と同時に始動させる考えだ。・・・鳩山代表は政治主導の政策運営を進めるためのもう一つの“仕掛け”について触れた。すべての予算・制度を精査し、無駄遣いなどを排除するために新設する『行政刷新会議』のことだ。企業再生を手掛ける経営者や財政の専門家など民間の有識者も参加する刷新会議で、すべての予算や制度をゼロベースで見直す。必要がないと判断したものは年度途中でも凍結し、政策の財源確保へとつなげていく方針。民主党は10月初旬にも開かれる臨時国会で、国家戦略局と行政刷新会議の設立に必要な関連法案の成立を図る意向だ。」(『日本経済新聞』2009.08.31)

行政・公共事業・民営化

●「経済産業省はアジアや中東など新興国でインフラ関連の受注を目指す日本企業の包括的な支援に乗り出す。水ビジネスや太陽光発電、鉄道整備などに必要な部品や製品の供給から保守・管理までを一括して請け負う事業スタイルを後押しする。自動車や電機のように、これまで日本勢が強かった分野以外でも、企業が安定的に収益を上げられる事業構造への転換を促す。…経産省は日本経済を再び成長軌道に乗せるには外需の取り込みが不可欠と判断。水道や電力、港湾など世界のインフラ投資は更新需要も含めると30年までに4000兆円に達するとの試算もあり、日本企業の商機も大きいとみている。・・・世界的な景気後退で自動車や電機などの海外市場は急激に縮小した。インフラを一括受注すれば現地で継続的に収益を上げられるため、製品や部品の販売と比べると景気の変動を受けにくくなるという。日本が官民一体で進出すると受け入れ国や他の先進国に警戒感が生じる可能性もあり、首脳外交の場などでニーズなどを慎重に探る。」(『日本経済新聞』2009.08.18)
●「公共工事の執行が景気回復に寄与―。内閣府が行った公共工事の執行状況に関する分析で、国の09年4〜7月の公共工事執行率が、過去5年の平均値を上回っていることが分かった。7月の執行率は平均よりも1割強のプラスとなっている。17日に発表された09年4〜6月期の四半期別国内総生産(GDP)の1次速報値では、公共事業関係建設投資などからなる『公的固定資本形成』が大きく増加し、実質GDPの5四半期ぶりのプラス反転に寄与した。内閣府は『経済対策での公共事業増加や前倒し発注が寄与している可能性が高い』(経済社会総合研究所国民経済計算部)とみている。」(『建設工業新聞』2009.08.20)
●「国土交通省は、青森県西目屋村で建設中の津軽ダムの工事(08年度分)が地域経済に与える影響を調査し、事業費の約62%が地元の建設関連企業に支払われていたとの結果を明らかにした。地方で行われる大規模公共事業に対しては、大手や準大手のゼネコンが受注するため地元企業への波及効果が小さいとの批判もあったが、今回の調査結果では、6割を超えるお金が地元に落ちている形。同省は今後、全国の各地方整備局管内のダム事業で同様の調査を行い、大型事業の経済波及効果を検証。市民などに理解を求める。」(『建設工業新聞』2009.08.21)
●「国土交通省は10年度から、地域建設業の活動領域拡大に向け、建設業と地域の相互発展を促進する事業に取り組む方針だ。地域の建設会社が地元の自治体や大学、研究機関などと連携し、耐震、維持管理、環境などの分野で本業を拡大させる場合に、事業の立ち上げ費用の一部を助成する。また、地域の安全機能を維持するため、地域の複数の建設会社が共同で除雪や災害復旧など取り組む場合にも助成を行う。地域のプラスになり、併せて自らの仕事にもプラスになる地域建設業の意欲的な取り組みを支援する考えだ。」(『建設工業新聞』2009.08.20)
●「国土交通省は、建設業を取り巻く社会環境が変化していることを踏まえた建設産業政策のあり方について、有識者や業界団体と意見交換するための検討会を今秋にも立ち上げる。…小澤建流審は、就任から1年間の建設業行政について『経済危機への対処に追われた部分もある』とし、今後の中長期的な建設業と建設業行政について『建設業を取り巻く社会が変化している中で、ビジネスのあり方や、建設業に関係する制度と生産システムのあり方が、変化に柔軟に対応できているか』との課題認識を提示した。社会変化に柔軟に対応する建設業関係制度と生産システムのあり方について、『「建設産業政策2007」の中で、さらに課題を検証・研究する必要がある部分だ』とし、学識経験者や業界団体と意見交換するための検討会を立ち上げる考えを示した。」(『建設通信新聞』2009.068.24)
●「国土交通省が、同省発注の調査・設計案件の落札率を分析したところ、総合評価方式の入札を導入して、技術点の割合を高めた案件で、低価格入札の発生が抑えられていることが分かった。本年度4〜7月の1000万円以上の発注案件での低価格入札発生状況をみると、価格競争では約2割となっているのに対し、総合評価方式の案件では約6%にとどまっていた。総合評価方式の案件でも、技術評価の割合を高くした案件の方が、低価格入札がより少なかった。同省は、総合評価方式で技術評価を加味していることや、建設コンサルタンツ協会(建コン協)が安値受注を自粛するよう会員企業に要請していることなどが影響しているとみている。」(『建設工業新聞』2009.08.26)
●「千葉県野田市は、市が発注する工事や業務委託に従事する労働者に対して、市長が定める最低賃金の支払いを受注業者に義務付ける制度の設立を計画している。9月3日から始まる市議会定例会に公契約条例案を付議し、2010年度からの発注案件に適用する予定だ。市総務部では、『条例案が可決した場合、全国初の事例になる』としている。市は、1市だけで条例化されても影響は小さいことから、最終的な目標はあくまで国が法整備することだとしている。制度の対象となるのは、予定価格が1億円以上の工事と、同1000万円以上の業務委託の一部。・・・具体的な最低賃金は、工事が国土交通省と農林水産省が発注の際に用いている労務単価、業務委託が市職員の給与条例をもとに決める。」(『建設通信新聞』2009.08.26)
●「国土交通省は、毎年10月に行っている『公共事業労務費調査』の精度をより高めていくため、本年度から調査の充実を図ることを決めた。調査対象者が年金を受給している場合、年金の減額を避けるために仕事量を減らしているケースがあるため、これを調査結果に適正に反映できるよう補正を行うほか、一人親方の賃金が日給制の場合に、雨天などで実働日数が少ないと実態以上に低い賃金水準が調査結果に反映されてしまう問題があるため、給与体系や実働日数についても把握する方法に変更する。・・・一人親方については、作業機械の損料などを含めた金額が対価として支払われているため、昨年度から労務費と経費を分離する調査方法を導入済み。本年度の調査では、さらに精度を向上させるため、日給方式や月給方式といった給与体系や手当の扱い、労使関係、実働日数の影響などを把握することを検討する。」(『建設工業新聞』2009.08.27)

労働・福祉

●「建設業の7割以上が60歳以上の労働者を雇用していることが、厚生労働省がまとめた『2008年高年齢者雇用実態調査』で分かった。一方、産業別の常用労働者に占める55歳以上の高年齢労働者は、建設業が26.9%で調査対象の14産業の中で4番目に高かった。建設業従事者の高齢化と若年労働者の人材確保難問題がこの間指摘されてきた。調査対象が全数調査ではないものの、建設業従事者の高齢化傾向が今回調査でも浮き彫りになった格好だ。」(『建設通信新聞』2009.08.24)
●「全国で生活保護を受けている世帯数が今年4月時点で初めて120万世帯を突破、過去最高を更新したことが分かった。昨年秋以降の伸び率が高く、景気の落ち込みによる雇用情勢の悪化が大きく影響している。厚生労働省は自立や再就職の支援に力を入れているが、受給世帯の拡大に歯止めがかからない状態が続いている。・・・厚労省によると、4月時点の生活保護受給世帯数は120万3874世帯で、3月の119万2745世帯から1万1千世帯以上増え、初めて120万世帯に達した。調査を開始した1951年以降、最も少なかった1992年度の58万5972世帯の2倍を超えている。」(『日本経済新聞』2009.08.26)
●「地方自治体が臨時の職員を雇う動きが広がっている。日本経済新聞社が調査したところ、47都道府県のうち9府県が臨時の雇用を実施していることがわかった。一部の市町村も含めた雇用者数は合計2300人を超えており、古紙回収や事務補助、街路樹刈り込みの要員に充てるケースが多い。契約期間は1年程度で、独自の雇用対策として注目を集めそうだ。・・・臨時雇用のための予算は合計約22億円となっている。国が設けた雇用対策の基金(7000億円)から自治体に配る予算とは別枠で、自治体独自の雇用対策といえる。・・・ 島根県は2009年度の県単独の雇用創出予算として8億円を計上し、500人を雇用する。松食い虫の被害を受けた樹木の伐採や街路樹の刈り込みなどの要員に充てる。大阪府や京都府は正規職員の時間外勤務削減などを通じて、臨時雇用の財源を確保した。」(『日本経済新聞』2009.08.28)
●政府が28日発表した7月の雇用統計によると、完全失業率(季節調整値)が5.7%と前月より0.3ポイント悪化し、過去最悪となった。政府や民間調査会社の予測を上回る早さで、失業率が上昇している。有効求人倍率(季節調整値)も0.42倍と前月より0.01ポイント悪化し、3カ月連続で過去最悪を更新した。「正社員」への求人倍率は、さらに厳しく0.24倍。4人に1件の求人しかありません。完全失業者数は、前年同月比で103万人増えて359万人。前月に続き過去最大の増加幅を更新している。失業者増加を理由別にみると、解雇や倒産など「勤め先都合」が、前年同月比65万人増加の121万人と失業者増の大半を占めている。他に増加幅の大きいものは、契約満了などによる失業が18万人増の42万人。(『しんぶん赤旗』2009.08.29より抜粋。)

建設産業・経営

●「日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、三村明夫会長)は、首都圏のあるべき姿を検討するための委員会を立ち上げる。国内の最大都市圏の魅力を一層高め、世界やアジアのゲートウェーとしての役割を果たす上で不可欠な方策を、インフラ整備や行政機能、地域連携などの側面から検討。政府などに具体策を提言し、実現を求める。・・・委員会は、岸井隆幸日大教授が委員長、三栖邦博日建設計顧問が副委員長をそれぞれ務め、柴田高博森ビル特別顧問と小澤一郎JFEスチール特別顧問がアドバイザーとして参加する。発起人として山本和彦森ビル副社長、長島俊夫三菱地所代表取締役専務執行役員、大室康一三井不動産代表取締役副社長、薄井充裕日本政策投資銀行常務執行役員、片倉百樹東京電力顧問、村木茂東京ガス取締役常務執行役員が名を連ねている。」(『建設工業新聞』2009.08.17)
●「主要ゼネコン36社の09年4〜6月期決算によると、受注高については全体の4分の3を占める28社が前年同期比で二けたの大幅減となった。昨年来の世界同時不況の影響を受けて民間工事を中心に建設需要が急激に冷え込み、受注環境が一段と悪化している現状が浮き彫りになった。一方、完成工事利益(粗利益)率は約3分の2の22社が改善。過去に受注した不採算案件の影響が薄らいだことに加え、いっそうのコスト削減努力や選別受注などの成果が出てきているようだ。」(『建設工業新聞』2009.08.17)
●「ゼネコンの建築工事で、特命受注と設計施工一括受注の割合がともに減少に転じている。景気減速による大型工事の減少に加え、工事費の削減効果を期待して特命発注を取りやめる顧客が増え、連動するように設計と施工の分離発注にもつながったと考えられる。大手・準大手24社の直近決算平均値は特命受注が2.8ポイント減の49.5%、設計施工一括受注が1.9ポイント減の47.9%となり、割合を大きく引き下げた。」(『建設通信新聞』2009.08.26)
●「日本建設業団体連合会(野村哲也会長)が会員企業49社を対象に調査した7月単月の受注実績結果によると、受注総額は9カ月連続で前年同月を下回る44.9%減の5930億円となった。減少率は過去最悪だった5月単月の44.4%減を更新した。6月末の未消化工事高も前年同期比16.1%減の10兆5470億円と25年ぶりに10兆円台に落ち込んだ。」(『建設通信新聞』2009.06.26)
●「東京商工リサーチがまとめた2009年6月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月と同数の389件となった。ただ件数ではことし最多となり、4カ月ぶりに前年同月比での減少がストップした。地区別件数では、全国9地区のうち北海道、東北、中部、中国、九州の5地区が前年同月比で減少、都道府県別でも25道府県が前年同月を下回るなど、地域によっては『緊急保証制度』の効果がうかがわれ、『まだら模様』の状況となった。負債総額は3.2%増の1086億3500万円で、4カ月ぶりに1000億円を上回った。負債額100億円以上の大型倒産が3件発生して負債を押し上げた。」(『建設通信新聞』2009.08.31)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「建築基準法の規定では、木造建築物を建て増す際、たとえ増築部分がわずかでも、既存部分を含めた建物全体の構造計算が必要だった。鉄筋のビルなどと同様で、耐震性が十分かどうかを調べる目的がある。しかし複雑な構造計算は設計事務所などに依額しなければならず、10万円程度の費用がかかる。木造住宅を扱う設計事務所が少ないこともあり、1カ月前後待たされる場合もあった。・・・国交省は、増築を促すためにこうした基準を緩める必要があると判断。9月1日付で建築基準法に基づく告示を改正する。対象は新築と同じように2階建て以下、延べ床面積500平方メートル以下の家屋。増築部分の床面積が既存の2分の1以下で、1981年以降の新しい耐震基準で建った建物なら、増築部分の耐震性が建築基準法をクリアしていれば構造計算を省略できることにした。」(『日本経済新聞』2009.08.21)

その他

●「日欧や中東などの金融機関が中東・湾岸産油国の大型プロジェクト向け融資の再開に動き出した。サウジアラビアやバーレーンの発電所向けに続き、アラブ首長国連邦(UAE)でも邦銀を中核とする総額21億ドル(約1970億円)の融資交渉が最終段階にある。域内の根強いインフラ整備需要と回復基調にある原油価格を背景に、金融危機以降融資に慎重になっていた姿勢を転換しつつある。」(『日本経済新聞』2009.08.22)