情勢の特徴 - 2010年1月後半
●「不動産経済研究所(東京・新宿)は19日、2009年の首都圏のマンション新規発売戸数は前年比16.8%減の3万6376戸だったと発表した。4万戸割れは1992年以来17年ぶり。神奈川県や千葉県など郊外で供給が大幅に減り、平均価格も7年ぶりに前年を下回った。近畿圏の発売戸数も13.0%減少。ただ、開発業者が新規供給数を抑えて価格も下げたため、売れ行きは若干改善。在庫も減少した。市況回復の足取りは鈍いが、10年は供給戸数が増加するとみられる。」(『日本経済新聞』2010.01.20)
●「政府が閣議決定した新成長戦略の基本方針『輝きのある日本へ』は、環境・エネルギー、アジア、観光・地域活性化などをけん引役に『2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長』と『20年度の名目国内総生産(GDP)650兆円程度』を目標に掲げた。今後は『肉付けの作業を行い、6月をめどに工程表をイメージした新成長戦略実行計画を含めた成長戦略全般をまとめる』(直嶋正行経済産業相)。すでに経済産業省では、他省に先がけ工程表のたたき台となる低炭素分野のイメージを作成、あわせて戦略が掲げる6つの柱ごとに予算、法律、税制など09、10年度に書手すべき施策を『早期実行プロジェクト25』としてまとめ、施策の実行に動き出している。」(『建設通信新聞』2010.01.25)
●「建設経済研究所は25日、建設経済モデルによる建設投資見通し(10年1月時点)を発表した。10年度の名目建設投資は、09年度実施見込みを10.4%下回る37兆6900億円と40兆円を割り込み、1977年度(約38.8兆円)の水準以下にまで落ち込むと予測している。住宅市場の低迷や、鳩山政権による公共事業の大幅削減などを反映させた結果、昨年10月時点の見通しよりも3兆3700億円の下方修正となった。10年度の新設住宅着工戸数は82.4万戸(09年度見込み比7.3%増)と推計しているが、これは09年度が76.9万戸(前年度比26.0%減)と大幅に落ち込むとみているための反動増で、同研究所は『大幅な回復は見込めない』と悲観的な見方を示している。」(『建設工業新聞』2010.01.26)
●「東京商工リサーチがまとめた2009年11月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比14.9%減の290件となり、ことし最少となった。5カ月連続して前年同月を下回り、07年9月の284件以来、2年2カ月ぶりに300件を下回った。依然として金融支援の『緊急保証制度』や公共工事の前倒し発注など景気対策効果がうかがわれる結果となった。負債総額は、54.9%減の540億5200万円となり、5カ月連続して前年同月を下回った。これに伴い、平均負債額も47.0%減の1億8600万円に低下した。」(『建設通信新聞』2010.01.26)
●「景気低迷を背景にした都市部への人口移動の減少から、首都圏の人口増加ペースの鈍化が鮮明になってきた。総務省が29日に発表した住民基本台帳に基づく2009年の人口移動報告によると、東京都では転入超過数が08年と比べ2万6700人、神奈川県では8100人減少した。都は2015年まで都内の人口の増加を予想するが、減少時期が早まる可能性もある。」(『日本経済新聞』2010.01.30)
●国土交通省が29日発表した2009年の建設大手50社の工事受注総額は、前年比28.3%減の10兆406億円だった。設備投資抑制や不動産市場低迷などが響き、3年ぶりのマイナス。1985年の調査開始以来、金額は最低、減少率は最大をそれぞれ更新した。内訳は民間工事が33.1%減の6兆6121億円で、2年続けて前年を下回り、減少幅は最大、金額は最低だった。・・・公共工事は4.5%減の2兆4141億円と、2年ぶりのマイナス。海外は57.8%減の4301億円だった。(『しんぶん赤旗』2010.01.30より抜粋。)
●国土交通省が29日発表した2009年の新設住宅着工戸数は前年比27.9%減の78万8410戸となり、2年ぶりに減少した。景気後退で消費者が購入に慎重となり、住宅メーカーも供給を絞ったのが響いた。100万戸を下回ったのは1967年(約99万戸)以来で、80万戸を割ったのは64年(約75万戸)から45年ぶり。(『しんぶん赤旗』2010.01.30より抜粋。)
●「国土交通省と総務省、財務省が実施している2009年度の入札契約適正化法にもとづく実施状況調査(速報値)で、市区町村における総合評価方式の導入率が、5割を超え、57−58%程度になる見通しだ。予定価格の公表時期も事後公表だけとする都道府県が2割を超える見込み。2010年度予算案における地方交付税交付金の増額や新しい社会資本整備総合交付金(仮称)の創設など、地域主権を掲げる現政権下で、今後、地方自治体が公共工事の発注機関として大きな役割を果たすとみられており、地方自治体による適正な競争環境の整備が急がれる。」(『建設通信新聞』2010.01.20)
●「国土交通省は、リフォーム市場の活性化や住宅・建築物の長寿命化などを促進する狙いで来年度、『環境・リフォーム推進事業』を創設する。住宅リフォームの推進や、長期優良住宅などの普及啓発に対して支援を行うもので、リフォームへの支援は、建物検査(インスぺクション)を実施し、その結果を踏まえて行うリフォームや、省エネリフォームが支援対象となる。保険や住宅履歴書の活用なども併せて促すことで、既存住宅の流通促進にもつなげる方針だ。」(『建設工業新聞』2010.01.25)
●「厚生労働省がまとめた2009年(l−12月)の労働災害発生状況(速報)によると、建設業の死亡者数は334人で、前年に比べ19.1%、79人減少した。全産業に占める割合は34.9%と0.1ポイント下がった。・・・事故別にみると『墜落・転落』は130人ともっとも多かった。ただ、前年と比べると墜落・転落の死亡者は38人減った。・・・一度に3人以上の労働者が業務上死傷などを受ける重大災害は建設業で09年の1年間に61件発生し、249人が死傷、うち12人が死亡者だった。前年比では件数で25件、死傷者数で135人、死亡者数で21人それぞれ減った。事故別では『交通事故』が27件、『倒壊』と『中毒・薬傷』が各11件など。」(『建設通信新聞』2010.01.27)
●総務省が29日発表した労働力調査によると、2009年平均の就業者数は、前年比103万人減少の6282万人だった。減少幅は、比較可能な1954年以来、過去最大。・・・完全失業者の失業理由をみると、解雇や倒産などの「非自発的失業者」は前年から48万人増加し、145万人となった。こうしたことから、自動車、電機などの輸出大企業が主導した解雇・雇い止めや、中小業者の倒産などによる激しい雇用破壊で、生産現場の労働者が急減していることが分かる。一方、厚生労働省が同日発表した一般職業紹介状況によると、2009年平均の有効求職者数は前年から32.1%増加の276万人、有効求人数は28.5%減少の131万人で、有効求人倍率は0.47倍と過去最悪となった。雇用の先行き指標とされる新規求人数も23.0%減少の52万人だった。(『しんぶん赤旗』2010.01.30より抜粋。)
●大企業(資本金10億円以上)は、企業数でみると、製造業で約0.6%にすぎない。しかし、利益剰余金は製造業全体の6割をため込んでいる。・・・製造業全体で利益剰余金をみると、2009年3月末に約108兆5000億円です。このうち、資本金10億円以上の大企業が蓄積しているのは約65兆7000億円。資本金1億円から10億円未満のいわゆる「中堅」企業は、約13兆7000億円となっている。両者を合わせた利益剰余金の製造業全体に占める割合は、73%にのぼる。(『しんぶん赤旗』2010.01.19より抜粋。)
●「日本建設業団体連合会(日建連、野村哲也会長)が28日発表した会員企業49社の09年(1〜12月)の受注総額は前年比29.1%減の9兆2840億円と、29年ぶりに10兆円の大台を割り込んだ。景気悪化で国内受注は民間工事が33.7%減の6兆3010億円と低迷。不動産業からの受注が約1兆5000億円減り、家電や自動車など機械3業種からの受注も約7000億円減った。ここ数年好調だった海外受注も前年を約4600億円下回った。(『建設工業新聞』2010.01.29)
●「国土交通省は14日、環境に配慮した住宅の新築や改修にポイントを与える『住宅版エコポイント』の詳細を明らかにした。エコ住宅の新築は1戸当たり30万ポイント(1ポイントは1円相当)を発行する。エコリフォームは窓や、外壁、屋根・天井、床の断熱改修、バリアフリー改修など、さまざまな施工個所を合計して1戸当たり30万ポイントが上限となる。また、改修で取得したポイントを、同時に実施する環境対策以外の工事費にも充てられる『即時交換』を導入し、リフォーム需要の開拓につなげる。新築では、10−15万戸を想定している。3月上旬には、ポイントの発行など本格的な運用を開始したい考えだ。」(『建設通信新聞』2010.01.18)
●「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は、木造住宅の耐震性と中古住宅流通に関するアンケート結果を発表した。住み替えに当たって中古住宅も選択肢に含めるとの割合が72%に達し、新築偏重の傾向が薄れ、価格面で有利な中古住宅への関心が高まっていることが分かった。木耐協は、テレビ番組などの影響でリフォームが定着してきたことや、経済情勢の変化などが要因とみている。」(『建設工業新聞』2010.01.19)
●「内閣府が21日発表した『防災に関する特別世論調査』によると、自分が住む住宅の耐震補強工事を『実施するつもりがない』と答えた人が39.8%に達した。2007年の前回調査からは7.4ポイント低下したものの、経済的な理由などからなかなか工事に踏み切れない実態が浮き彫りとなった。『実施するつもりがない』『予定はない』と答えた人に理由を複数回答で尋ねると『お金がかかる』が50.6%で最も多く、前回調査と比べても8.7ポイント上昇した。『必要性を実感できない』という回答も22.1%あった。『すでに耐震性がある』と答えた人は23.0%だった。内閣府は『耐震補強のための助成金の拡充も含め自治体や関係省庁と連携する』と話している。」(『日本経済新聞』2010.01.22)
●「中国経済は大規模な公共投資を柱とする4兆元(約53兆円)の景気刺激策が奏功し、2009年10〜12月期に2けた成長を回復した。工業生産など中国政府が21日に発表した他の経済指標からも、公共事業の拡大で生産が急速に持ち直し、経済全体を大きく押し上げた構図が浮き彫りとなった。ただ、内需のもう一つの柱である個人消費は力不足との見方が大勢。投資頼みの景気回復は危うさもはらんでおり、消費刺激へさらなる対策を期待する声も出始めている。」(『日本経済新聞』2010.01.21)
●国際労働機関(ILO)は27日発表した労働市場に関する報告書で、2010年の世界全体での失業者数が2億1340万人となり、過去最高水準に達すると予測した。世界的な景気悪化で雇用が落ち込んだ09年(推定2億1150万人)から、情勢が一段と深刻化し、失業者が190万人増加する見通し。10年の失業率は6.5%(09年は推定6.6%)に高止まりすると予想。特に北アフリカや旧ソ連諸国などでは10%超の高い失業率が続く見込み。(『しんぶん赤旗』2010.01.28より抜粋。)