情勢の特徴 - 2010年3月後半
●国土交通省は18日、今年1月1日時点の公示地価を発表した。住宅地、商業地ともに全国平均で2年連続下落し、下落率は住宅地4.2%、商業地6.1%だった。公示地価は前年、世界的な景気後退を受けて3年ぶりに下落したが、土地需要が依然低迷していることを反映し、下落率はいずれも前年より拡大した。全国約2万7000の調査地点のうち上昇したのは7地点のみで、1970年の調査開始以降、前年の23地点を下回り過去最少を更新した。(『しんぶん赤旗』2010.03.19より抜粋。)
●「国土交通省は10年度から、調査・設計業務の低価格入札への対策を強化する。一定額以上の総合評価落札方式案件を対象に、低入札価格調査の基準額を下回った応札があった場合に、業務履行の確実性を評価する仕組みを導入。直接経費の必要額の確保など四つの審査項目について十分かどうかを判断し、不十分な項目の数に応じて技術評価点などを減点する方法を検討中だ。詳細を詰めた上で4月からの実施を目指す。」(『建設工業新聞』2010.03.17)
●「国土交通省は、入札契約制度改革の一環として、経営事項審査制度の審査基準や標準請負契約約款の見直しに向け、2年半ぶりに中央建設業審議会を年度明け早期に開催して検討を始める。16日、前原誠司国交相は、経審見直しなどのほか、入札ボンドの拡大、信託方式・支払ボンドなど下請代金保全策の検討、下請リスト提出方式(仮称)の試行などを4月以降、進めることを明らかにした。」(『建設通信新聞』2010.03.17)
●「全国知事会の『国の出先機関原則廃止プロジェクトチーム』(PT、座長・上田清司埼玉県知事)は23日、中間報告(案)をまとめた。国土交通省地方整備局については大半の事務を地方に移管できるとし、全国ネットワークとしての高規格幹線道路網整備だけを残し、直轄国道、直轄河川は原則としてすべて地方に移管すると結論付けた。政府の地域主権戦略会議がまとめる『地域主権戦略大綱』(仮称)に反映するよう働きかけていく。」(『建設通信新聞』2010.03.24)
●「東京都江戸川区議会の2010年第1回定例会本会議が23日開かれ、『公共調達基本条例』が可決された。区が今後20年間で71校を対象に実施する小・中学校改築事業に適用するもので、総額2000億円超に上る長期大型プロジェクトの推進に向けた制度体制が整った。工事の初期費用だけでなく完成後の維持管理や被災時の復旧費用を含めたライフサイクルコストの最小化を図るとともに、区内産業の発展や雇用を通じた地域活性化など社会的純便益の最大化を目指す。実現方策の一つとして設計者はプロポーザル方式、施工者は社会的要請型総合評価方式で決める。条例は4月1日から施行する。」(『建設通信新聞』2010.03.24)
●「国土交通省は24日、成長戦略会議(座長・長谷川閑史武田薬品工業社長)を開き、『住宅・都市』と『国際展開』の両分野の分科会が検討状況を報告した。『住宅・都市』では、国際競争力強化の引き金となるプロジェクトの実施や民間によるサービス付き高齢者賃貸住宅制度の法制化などを提案し、『国際展開』では企業の海外展開のための金融支援機能の強化やPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)・PFIの重点プロジェクトの実施に向け自治体が事業提案を募集することなどを盛り込んだ。各分科会の報告内容は最終提言素案に盛り込まれる見通しで、4月下旬には素案をまとめる。」(『建設通信新聞』2010.03.26)
●「国土交通省は26日、2010年度予算の成立を受け、道路やダムなど個別公共事業費の予算配分(個所づけ)を公表した。焦点だった直轄国道整備で凍結となったのは4事業にとどまり、政権交代後も地方の要望が強い道路事業で予算配分のメリハリをつけるのが難しいことが鮮明となった。ダム事業では地方に建設の是非を検証するよう求めていた補助ダムのうち、一部で建設を容認。補助金を満額盛り込んだ。」(『日本経済新聞』2010.03.27)
●「民主党政権下で2010年度から公共事業が大幅に減るなか、地方自治体が地元の建設業者の異業種への参入を支援し始めた。初期投資を補助するはか、相談窓口を設けるといった独自の支援策が相次いでいる。・・・参入を資金面から支援する自治体が多い。・・・ノウハウの伝達を後押しする試みも目立つ。・・・ただ新規参入のハードルは低くない。全国建設業協会(東京・中央)によると、農業や介護などへの進出を試みた建設業者の多くが失敗。『参入から2、3年は赤字を覚悟しなければならない叫が、そんな余裕もない』同協会)のが実情だ。このため単独で公共事業を増やす自治体も多い。47都道府県のうち、福岡、長野など28都府県が10年度予算で単独事業を増やした。」(『日本経済新聞』2010.03.29)
●「国土交通省は、地方・中小建設企業の海外進出支援事業を加速させる。海外進出への意欲と能力のある企業が初めの一歩″を踏み出せるように『地方・中小建設企業のための海外進出ガイダンス』を作成した。海外に進出している中小企業の実例調査を踏まえ、海外進出の形態、手順、リスクなどを具体的にまとめている。2010年度は、アドバイザー制度を創設するとともに、優位性を持つノウハウの発掘・整理を行い、地方・中小建設企業の海外進出支援事巣をスタートさせる。ガイダンスは29日に発表する。」(『建設通信新聞』2010.03.29)
●「国土交通省が、既存の補助金と交付金を統合して2010年度予算で創設する社会資本整備総合交付金(新交付金)の事業費ベースでの都道府県への配分額は計4兆3712億円となった。事業費のうち国費は2兆1677億円で、当初予算に盛り込んだ新交付金の予算2兆2000億円の98.5%を当初段階で配分する。当初段階の全配分額が、既存計画を『社会資本整備総合整備計画』とみなす経過措置を採用した。・・・前年度の補助事業(補助金と交付金の合計額)と、10年度に新交付金に統合されない補助金と新交付金の合計額を比べると、総額が13%減となった。沖縄県が前年度比1%増となった以外は、すべて前年度配分額より少ない。」(『建設通信新聞』2010.03.30)
●「国土交通省は、2010年度予算が成立したことを受け、国交省関係予算の配分方針と配分額を決めた。一般公共事業費(事業費ベース)は、前年度比15.1%減の7兆8078億円で、このうち2兆3560億円が直轄事業で地方整備局発注、5兆4518億円が補助事業で都道府県などの発注となる。官庁営繕を除く一般公共事業費は、7兆7796億円で前年度比15.0%減、うち直轄事業は15.7%減の2兆3278億円、補助事業は14.7%減の5兆4518億円となっている。官庁営繕事業費は、34.3%減の282億円。165億円が年度当初段階で配分保留となった。」(『建設通信新聞』2010.03.30)
●「国土交通省は30日、2010年度の公共工事設計労務単価(基準額)を公表した。51職種の全国単純平均は前年度比1.5%減の1万6479円となった。主要12職種のうち、交通誘導員Aを除く11職種が前年度から下がった。ただ、47都道府県が設定している職種区分は2324区分あり、うち638区分で平均単価が上昇している。さく宕工や設備機械工など9職種は前年度より平均単価が低下した区分(都道府県)より、上昇した区分(同)の方が多かった。」(『建設通信新聞』2010.03.31)
●総務省が30日発表した労働力調査(速報)によると、2月の完全失業率(季節調整値)は4.9%と前月と同率だった。失業率の高止まりが続いている。完全失業者数は、実数で見て前月から1万人増加の324万人。激しい「派遣切り」がおこなわれた昨年の2月と比べても25万人増となっており、前年同月比では16カ月連続の増加となっている。就業者数は、前年同月比80万人減で、25カ月連続の減少。このうち自営業主などで51万人減、業種別では製造業で54万人減となっており、依然として中小・零細の倒産を含めた製造業での減少が大きな部分を占めている。失業理由別では、「勤め先都合」が前年同月比16万人増の110万人と、解雇・倒産の動きは止まっていない。(『しんぶん赤旗』2010.03.31より抜粋。)
●「東京商工リサーチがまとめた2010年1月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比26.3%減の266件となり、7カ月連続して前年同月を下回った。都道府県別では、32都道府県が前年同月比で減少し、地区別では9地区のうち関東を除く8地区で前年同月を下回っている。『緊急保証制度』や公共工事の前倒し発注などの効果から、全国的な倒産の減少が続いている。負債総額は69.4%減の392億2200万円となり、7カ月連続して前年同月を下回った。平均負債額も58.5%減の1億4700万円に低下した。」(『建設通信新聞』2010.03.19)
●「日本PFI協会(植田和男理事長)とカザフスタンPPPセンター(スマグロフ・ボラット・S理事長)は25日、PPP(公民連携)の相互協力に関する覚書に調印した。カザフでは、道路や鉄道など21のインフラPPPの計画があるほか、病院や学校、保育所にもPPPを採用し、日本の優れた技術やPFIの経験を導入したい意向。今後、情報交換や共同調査、人材育成などで協力し、日本企業が同国のプロジェクトに参加できる枠組みの構築を目指す。同協会がPPPの協力関係について覚書を交わしたのは、インドネシアに次いで2カ国目。」(『建設工業新聞』2010.03.26)
●「竹中工務店、鹿島など大手ゼネコン5杜は2010年度中に『海外建設人材情報データベース』(仮称)を構築する。海外の工事現場で即戦力となる人材情報を蓄積し、人材面でのリスクを低減する試みだ。データベースには日本の建築現場で研修を受けた経験がある外国人留学生や技能実習生、海外工事の経験が豊富な建設会社OBなどの人材情報を登録する。具体的には日本で研修を受けた期間、報酬、海外工事の経験、専門の技術分野といった情報を日本語と英語で登録しておく。海外で工事を受注したゼネコンは、プロジェクトに適した人材をデータベースの中から選んで雇用する。・・・データベースは5社以外のゼネコン、専門工事会社も利用できるようにする。建設業の海外展開を支援する政策を掲げる国土交通省もデータベース構築を支援し、業界団体の海外建設協会がデータベース運用をめぐる調整役を担う。」(『日本経済新聞』2010.03.29)
●「国土交通省は4月から、消費者が安心して住宅リフォームを利用できるようにする制度を始める。国交省認可の保険会社がリフォーム内容を検査し、欠陥が見つかった場合は、補修費用を支払う保険の仕組みを導入する。必要のない工事を加えられたり、過大な費用を請求されたりしないように無料での見積もり相談も受け付ける。トラブル発生時には弁護士らが助言する体制も整える。保険制度は、工事案件ごとに加入する形式とし、保険をかけるかどうかば任意。リフォーム会社が工事を発注する顧客に意思を確認したうえで、リフォーム会社の名義で加入する。保険料はリフォーム費用が300万円以下の場合で、5万〜10万円程度となる見通し。多くの場合は工事代金に上乗せされるが、リフォーム会社が負担するケースもある。保険会社は原則としてリフォーム工事の終了後、建築士による工事内容の検査を実施。欠陥があった場合は、保険金で補修費用の8割をまかなう。リフォーム会社が倒産した場合は、消費者に補修費用の全額を支払う。」(『日本経済新聞』2010.03.19)