情勢の特徴 - 2010年4月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「2010年度の建設投資は40兆円割れで、1977年度水準に――。建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所が20日に公表した09・10年度の建設投資見通しによると、10年度の建設投資(名目ベース)は、前年度比9.0%減の38兆5100億円と予測。国の公共事業関係費の減少などから政府建設投資が大幅に減少し、77年度並みの水準になるとみている。民間住宅投資は09年度に底を打ったとの判断から2.1%増としたものの、民間非住宅建設投資は建築投資が6.5%減、土木投資も2.7%減と低水準で推移するとし、76年度以来の10兆円割れを予測している。10年度の政府建設投資は、同年度予算で国の公共事業関係費が18.3%減となり、地方単独事業費の投資的経費も5.8%減と見込んでいるため、18.3%減の15兆6900億円と予測し、『77年度並みの水準』になるとみている。ただ、10年度に創設した『社会資本整備総合交付金』の地方公共団体での計上など不確定要素も多いとしている。」(『建設通信新聞』2010.04.21)
●「財務相の諮問機関である財政制度等審議会が26日に約1年3カ月ぶりに本格的に再開し、経済成長と財政再建の両立に向けた議論を始めた。菅直人財務相は社会保障への歳出拡大などで経済成長を目指す考え。その財源を確保するために超党派で消費税率引き上げを念頭に議論を進めるとみられ、財制審を理論武装の場として活用する方針だ。」(『日本経済新聞』2010.04.27)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通は、住宅・都市分野の成長戦略として、国際競争拠点特区(仮称)を新設するとともに、東京、大阪で官民連携による戦略プロジェクトを実施する。このほか、『新しい公共』の担い手による地域づくりや『エコ・コンパクトシティ』を進め、『低炭素都市づくりガイドライン』も策定する。今後、大きな課題となるマンション再生に向けた改修・建て替えの促進策にも取り組み、住宅市場・建築投資の活性化による内需拡大を目指す。…住宅・建築投資活性化やストック再生も内需拡大につなげる成長戦略の柱の一つ。具体的には、住宅投資を促進するため、優良な新築住宅や中古住宅の購入、リフォームなどに対する支援を拡充するとともに、今後大きな課題となるマンション再生に向けて管理ルールの見直しや改修・建て替えなどの促進策を講じる。…国交省の、成長戦略会議(座長・長谷川閑史武田薬品工業社長)では、これらの施策を重点項目に位置付け、5月下旬にまとめる最終報告には優先順位を明示する。同省では、短期的に実施する施策を2011年度に予算化し、同年度から具体化する予定だ。」(『建設通信新聞』2010.04.16)
●「政府が国産材の普及促進による林業再生を本格化する。国土交通省は4月から都道府県が認証する木材を使う住宅に最大120万円を補助する制度を導入。農林水産省は新増設する公共建築物での利用を義務付ける方向で検討に入っている。関連産業の振興で地方活性化や雇用創出につなげる考えだが、物流や販路などの面で課題は山積。国産材の普及につなげられるか手探りだ。」(『日本経済新聞』2010.04.17)
●「中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)の総会が22日、国交省で開かれ、入札契約制度の改善に向けた議論がスタートした。公共工事を受注する建設業者に義務付けられている経営事項審査(経審)制度の見直しと、建設工事標準請負契約約款の改作が大きなテーマで、中建審は今後、6月に開く第2回会合で新たな経審基準と標準約款改正の項目と方向性を議論。夏に開く第3回会合で経審の審査基準の改正案をとりまとめる。併せて改正基準約款も決め、関係者への使用勧告を行う。」(『建設工業新聞』2010.04.23)
●「国土交通省は28日、成長戦略会議(座長・長谷川閑史武田薬品工業社長)を開き、同省所管5分野の成長戦略案をまとめた。建設業界にとって大きな焦点となっている『国際展開・官民連携』の分野では、国内でPPP(公民連携)・PFIを拡大して戦略的・重点的にインフラ整備を進めると同時に、海外でも通用するノウハウを蓄積。アジアを中心に資金調達や運営も含めたインフラ事業の獲得を目指すとした。トップセールスなど国交省の積極的な働き掛けにより、20年までに新たな海外受注を合計10兆円以上確保する目標も掲げた。併せて同省関連のPPP・PFI事業費を20年度までに2兆円拡大するとしている。戦略案は5月に開く会合でもう一度議論し、同月中に最終決定する。」(『建設工業新聞』2010.04.30)

労働・福祉

●「失業の長期化が鮮明になってきた。失業期間が3カ月以上に及ぶ完全失業者は2009年に200万人を超えた。2年連続の増加で、金融危機前の07年に比べて3割以上増えている。深刻なのは若年層(15〜34歳)で、求職と求人がかみ合わない『ミスマッチ』が目立つ。再就職が難しい状況が続いており、景気回復後も失業の長期化に歯止めがかからない恐れがある。」(『日本経済新聞』2010.04.16)
●「総務省が16日発表した2009年10月1日現在の推計人口では、65歳以上の老年人口が総人口に占める割合が22.7%に達し、過去最高を更新した。なかでも都市部とその近郊の高齢化が鮮明になっている。・・・都市部ではもともと、総人口に占める高齢者の割合が地方より低かった。だが1960年代前後に仕事を求めて都市部に集まった世代が高齢化し、ここにきて高齢者の割合が上昇している。首都圏郊外の新興住宅地などに住む『団塊の世代』を中心に、都市部の高齢化はさらに急ピッチで進む。高齢化問題の焦点は地方から都市部に移るとの見方も出ている。」(『日本経済新聞』2010.04.17)

建設産業・経営

●「国土交通省が建設業の新分野への展開事例・支援施策集に掲載された97企業の収支状況を調べた結果、約3割の企業が『黒字』または『黒字がほぼ定着』となっていることが分かった。新規事業への投資を行ってから売り上げ計上までの平均期間は1年1カ月、利益計上までの平均期間は2年5カ月で、1年以内に利益を計上できた企業も11社あった。国交省が新分野に進出した企業の収益動向を調査したのは初めて。」(『建設工業新聞』2010.04.20)
●「大手・準大手ゼネコンなどが加盟する日本建設業団体連合会(日建連、野村哲也会長)と日本土木工業協会(土工協、中村満義会長)、建築業協会(BCS、山内隆司会長)の3団体が、統合へ向けた検討を開始する。21日に開かれる日建連の理事会で、野村会長が表明する。統合により、建設業界団体としての総合力を強めることなどが狙い。日建連は今後、会員へのアンケートを行い、合併に対する意向を調べる。統合への賛成が多い場合には、5月26日に開く本年度の通常総会で合併に関する基本方針を決議し、来年4月の統合を目指す。」(『建設工業新聞』2010.04.21)
●「日本建設業団体連合会(日建連、野村哲也会長)が27日まとめた会員企業49社の09年度の受注総額は、3年連続のマイナスとなる9兆9275億円(前年度比13.3%減)だった。受注総額の10兆円割れは1978年以来、31年ぶり。民間・官公庁工事受注ともに1割を超す減少。民間工事は不動産業からの受注が前年度比14.4%減と落ち込んだ影響が大きく、不動産業からの受注は詳細な発注業種別集計を始めた91年度以降で最低水準となった。」(『建設工業新聞』2010.04.28)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は、人口減少や地球環億問題に対応した集約型都市構造『コンパクトシティー』の実現に向け、地方自治体が現在の都市構造と、将来コンパクトシティーに移行した場合の都市構造を比較・検証できる分析・評価ツールの開発に乗りだす。街並みや都市交通網の整備・再編を検討する自治体にツールを提供し、高齢者配慮や環境負荷の小さな都市構造への転換を後押しするのが狙い。本年度中に評価モデルの試作版を作成し、来年度から実証試験を行う考えだ。」(『建設工業新聞』2010.04.26)

その他