情勢の特徴 - 2010年7月後半
●「民主党の政策調査会は21日、政府の2011年度予算概算要求に当たっての予算組み替え基準に対する提言をまとめ、政府に提出した。社会保障費の自然増1兆3000億円とは別に、成長戦略の分野などに振り向ける『元気な日本復活特別枠』としておおむね2兆円を設定するよう求めた。党は、近日中の閣議決定を要求している。各省が計3兆3000億円を拠出しなければならない状況で、公共事業関係費を前年度と同水準にすることが実質的に厳しい状況となりそうだ。提言では、▽経済成長や景気回復のための事業▽雇用拡大につながる事業▽人材育成や安全・安心のための事業▽マニフェスト(政権公約)充実のための事業――に予算を重点配分するため、「元気な日本を復活させる特別枠」としておおむね2兆円を設定するよう求めた。社会保障費の自然増分1兆3000億円とは別枠と説明している。財源は、無駄な事業の見直しや特別会計の見直しなどで生み出すとした。各省が『一律』で削減する拠出方法は、盛り込まなかった。官邸が各閣僚に特別枠予算の面出を指示する見込みだ。…前原誠司国土交通相が言明していた『公共事業関係費を前年度と同水準に維持する』ことは難しい状況になりそうだ。」(『建設通信新聞』2010.07.23)
●「国土交通省は、構造物のライフサイクルコストの算出手法を示す『ライフサイクルコスト算出ガイドライン(案)』の作成に乗りだす。各地方自治体などが使っているLCCの算出手法や、算出に必要となる劣化予測手法の評価項目などを整理した上で、河川や道路など施設横断的に使えるLCC算出手法を構築し、ガイドライン案にまとめる。本年度末までの作成を目指す。重大な損傷が起きる前に点検や補修を行い、施設の寿命を延ばす『予防保全管理』の導入を検討する自治体などに活用してもらう。…政府は6月中旬に公表した新成長戦略の重点施策の一つとして、社会資本ストックの効率的、戦略的な維持管理の実現を挙げている。国交省も国や地方の厳しい財政状況を踏まえ、今後の維持管理費の増大を抑えるため、損傷発生後に個別・事後的に対応する『事後的管理』から、早期に劣化部分を発見し、事故や大規模な修繕に至る前に対策を行う予防保全管理に転換する取り組みを推進している。予防保全管理は、地方では都道府県を中心に広がりつつあるが、市町村レベルでも取り組みをより推進するため、国交省は自治体が活用できる劣化予測手法を含むLCC算出方法を示すガイドライン案を作成することにした。」(『建設工業新聞』2010.07.16)
●「政府は、20日の閣僚懇談会で、2011年度予算の概算要求組み替え基準の骨子を提示した。これを受け、前原誠司国土交通相は同日の閣議後の会見で、概算要求に向けて、『「国家戦略局」のあり方や、207兆円の組み替えによる財源捻出によるマニフェスト(政権公約)の遂行を検証することが重要』とし、政権交代時に示した政治主導による予算編成の必要性を強調するとともに、国家戦略室の機能縮小に苦言を呈した。骨子について『加える面も出てくることがあり得るという前提で了解した』と説明し、10年度予算で既に前年度比18%減と大幅に削減したことを踏まえ、公共事業費の維持を改めて主張した格好だ。」(『建設通信新聞』2010.07.21)
●「国土交通省は、地方自治体が都市計画制度を運用する際に活用する都市計画運用指針の改正案をまとめた。5月にまとまった同省所管分野の成長戦略のうち住宅・都市分野で示された『大都市イノベーション創出戦略』の一環。改正案では、大都市の枢要地区にある都市再生特別地区を対象に容積率制限の緩和条件を拡充。開発事業者が特区域外の土地で行う環境貢献も容積率緩和の評価対象に加える。国交省は改正案への意見募集を得て9月の施行を目指す。」(『建設工業新聞』2010.07.21)
●「文部科学省は、自治体における学校耐震化への取り組み状況をまとめた。都道府県が独白に管内自治体に対し補助事業や無利子貸付事業を実施するなどの財政支援制度を設けているのは13都県あった。公立小中学校の学校設置者である市区町村では、基金を創設して耐震化の財源に充てているのが87自治体、PFI事業を活用して耐震化に取り組んでいるのが5自治体だった。また、4自治体は設計事務所との契約で、業務ごとでなく、複数年契約を結ぶことで切れ目のない設計業務を実施して耐震化を推し進めている。全国の公立小中学校校舎や体育館などを対象に実施した4月1日現在の耐震調査にあわせアンケート形式で調べた。・・・PFI事業を活用して耐震化に取り組んだのは、千葉県木更津市、東京都千代田区、石川県野々市町、京都市、香川県まんのう町の5自治体だった。設計事務所と複数年契約を結び、耐震化にかかわる設計者を確保したのは、東京都東村山市、兵庫県明石市と三木市、奈良県東吉野村の4自治体となっている。」(『建設通信新聞』2010.07.23)
●「中建審は26日の総会で、建設工事標準請負契約約款の改正内容も固めた。改正内容を踏まえて秋までに順次地方自治体などに勧告する。公共工事と民間工事(甲と乙の2種類)の標準請負契約約款、建設工事標準下請約款のすべての約款が対象で、契約変更時などの受発注者間の協議段階から調停人を活用するよう明記。公共工事の約款には請負者に責任のない工期延長に伴う増加費用の発注者負担の条文を盛り込んだ。四つの約款については、現場レベルでトラブルの未然防止と迅速な解決を図る観点から、受発注者協議の段階から中立的な調停人が立ち会い、円滑な協議を行うよう規定を追加。協議が整わなかった場合には建設工事紛争審査会で解決を図るなどとした。国交省は本年度にモデル事業を実施する予定。」(『建設工業新聞』2010.07.27)
●「中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)は26日、東京都内で総会を開き、国交省の提示した経営事項審査(経審)の改正事項を了承した。法的整理による再生企業に対し、再生期間中は社会性等評点(W点)から一律60点を減点するなどの審査基準の改正と、ペーパーカンパニーの虚偽申請を防ぐ経審データ異常値検出システムの見直しなどが柱。国交省は8月中に虚偽申請防止策をまとめ、順次システム改正を行う一方、審査基準の改正内容は今秋をめどに省令、告示、通知を見直し、来年度からの施行を目指す。」(『建設工業新聞』2010.07.27)
●「国土交通省の社会資本整備審議会と交通政策審議会の総会と両審議会計画部会の合同会議が26日開かれた。審議会・部会では、2008−12年度までの5年間の社会資本整備目標を定めた『社会資本整備重点計画』の抜本的見直し案を来夏までにまとめる予定。前原誠司国交相は、政権交代による政策転換や、人口減少と急速な少子高齢化進展という社会環境の変化と、直面している深刻な財政状況を踏まえ、『政策の大きな変化が求められており、社会資本整備重点計画も抜本的に見直すことにしたい』と、今後の議論に期待を示した。今後、審議会・部会で既存の社会資本整備重点計画見直し議論を進めるにあたり、国交省は、▽社会資本整備の将来的ビジョン提示▽人口減少・少子高齢化・深刻な財政状況という制約下での社会資本整備のあり方――を見直しの論点例として示した。」(『建設通信新聞』2010.07.27)
●「国土交通省は、建設業の海外展開支援策として、直轄工事への国際的な入札方式の導入を検討する。海外で広く行われている設計付き工事発注方式によるコンソーシアムのほか、受発注者間の各手続きを明確化する役割を持つ第三者技術者などの仕組みの導入を検討し、日本企業が海外プロジェクトに挑戦しやすくなる体制を整える。導入に向けた課題などを早期に整理する考えだ。27日に開いた『国交省直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会』で示された。…海外で普及しているFIDIC(国際コンサルティング・エンジニヤ連盟)土木工事標準約款に準拠した契約を行い、国内建設業の海外工事への参加を促す。国交省は今後、第三者技術者が分担する発注者の責務や内容や、第三者技術者の責務による瑕疵担保責任の内容の明確化、受注者からの要請に対する手続の明確化に加え、第三者技術者が担う技術者の能力選定方法などについても検討する方針だ。」(『建設工業新聞』2010.07.28)
●厚生労働省は14日、最低賃金で働くよりも生活保護での収入が多い「逆転現象」が12都道府県で起きているとの調査結果を公表した。時給換算のかい離額は5〜47円に上ります。2009年度の最低賃金アップで逆転現象が解消した千葉、秋田両県が再び逆転。また、かい離額は生活保護費の上昇により両県を含め11都道府県で拡大した。かい離が最も大きいのは神奈川の47円で、東京の40円が続いた。厚労省は14日、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)に調査結果を提示。中央最低賃金審議会では、政府目標の時給800円の達成とあわせて、「逆転現象」の早期解消が課題となる。(『しんぶん赤旗』2010.07.17より抜粋。)
●厚生労働省の雇用政策研究会はこのほど、「持続可能な活力ある社会を実現する経済・雇用システム」と題する新たな雇用・労働政策の方向性をまとめた報告書を出した。報告書では、「正規・非正規労働者の二極化」「少子高齢化の進展」など情勢の変化をあげて、「雇用の質の向上」や女性・高齢者らの労働力化、セーフティーネットの強化などを打ち出している。自公政権の規制緩和路線がもたらした雇用破壊と貧困拡大に対応しようという問題意識はうかがえる。(『しんぶん赤旗』2010.07.20より抜粋。)
●「日本建設産業職員労働組合協議会は20日、加盟38組合の2010年賃金交渉の中間報告を明らかにした。6月末時点で妥結は21組合で、月例賃金は(基本給+家族手当)は大多数が定昇を確保したものの、ベアを確保できたのはわずか1組合(前年は5組合)で、一時金も前年を8組合(同7組合)が下回り、年収ベースでは、一時金の減少分で16組合が前年の水準に比べて落ち込む結果となった。ことしの特徴は、組合側の『一時金水準は生活給』との主張に対して、会社側が従来の業績連動だけでなく、受注見通しを判断材料に加えたことで、09年会社業績は利益を確保したものの、工事受注が低迷し、10年度以降の見通しが立たないことを理由に厳しい回答が多く見られ、一部では『雇用』『会社存続』を理由に大変厳しい交渉結果の組合もあった。一時金は単純平均2.1カ月(19組合)で、前年に比べて0.24カ月減少。その結果、定昇は大多数の組合で確保したものの、年収ベースでは前年より単純平均が0.51%減となった。16組合が年収ベースで前年水準を下回り、08、09年同時期(いずれも7組合)に比べて非常に多い結果となった。…初任給は、6組合が引き上げを要求し、3組合で引き上げられた。うち2組合で日建協が賃金交渉基本構想の要求水準に掲げる学卒年齢22歳・総合職21万円を達成。1組合では、会社側の提案で10年度から大卒初任給が現行に比べて1万円の引き上げが決定した。」(『建設通信新聞』2010.07.21)
●ゼネコンなどの建設現場でリーダーとして働いている労働者が25日、仕事の減少と賃金・単価下落を打開し、後継者が育つ建設産業をつくろうと、東京都内で大手企業従事者決起集会を開いた。全建総連東京都連や東京、千葉、神奈川の土建一般労組などが呼びかけたもの。会場には作業着姿で「仕事をよこせ!生活できる賃金を!」「ダンビング受注のしわ寄せやめろ!」と染め抜いた鉢巻き姿の労働者700人が集まった。…現場からの告発では、分譲戸建て住宅をつくるパワービルダーで働く男性が「道具の修理や車のガソリンも自分もちで苦しい」と発言。大手ゼネコンの現場からは「エレベーターシャフトの上から物が落ちてきた。安全管理者が派遣労働者だった。安全がないがしろにされている」と怒りの声が上がった。田口正俊全建総連都連書記長は、「大手ゼネコン27社と住宅企業主要8社の内部留保総額は約3兆7000億円ある」と指摘し、安全に働くルール確立へ現場からのたたかいを呼びかけた。(『しんぶん赤旗』2010.07.26より抜粋。)
●「大阪府を中心とした多くの建設工事現場で、生コンクリートの供給がストップし、長期間にわたって工事の休止を余儀なくされるという異例の事態が起きている。大阪府と兵庫県の一部をエリアとする生コンクリート関連産業の労働組合が、価格の適正化などを求めて無期限ストライキを実施しているためだ。工事に欠かせない生コンの供給がストップしたとあって現場への影響は大きく、建築物の竣工や道路の開通などに遅れが生じかねない状況となっている。…このゼネストは、関西地区の生コン関連経営団体と労働団体が6月27日に開いた『危機突破総決起集会』での決議事項の順守を求め、関連3労組で構成する生コン産業政策協議会などが実施している。集会では、▽工場新増設の反対▽適正価格1万8000円▽契約ベースから出荷ベースへの契約形態移行▽現金取引の完全実施▽JISA5308の改定強化▽輸送運賃の引き上げ▽圧送基本打設料金の収受―などを求める決議が採択された。同協議会は、7月2日に大阪広域生コンクリート協同組合、5日に阪神地区生コン協同組合、6日に近畿バラセメント輸送協同組合にストを通告。府内の7割に当たる約90社が製造・出荷を停止したほか、12日には近畿コンクリート圧送労働組合もストに突入し、多くの建設現場で2〜3週間も工事がストップする状況となった。一方、こうした中で同協議会は、14日に阪神地区生コン協同組合の緊急物件について選別出荷を開始。20日からは圧送労組がストを中断しているほか、23日には大阪広域生コン協同組合で適正価格(新価格)に合意した物件から選別出荷を開始するなど、新たな動きも出てきている。」(『建設工業新聞』2010.07.27)
●「西松建設など建設準大手の従業員1人当たり受注高が2011年3月期に相次いで増加に転じそうだ。人員削減を進めたため。各社は今期の受注高は緩やかに回復するとみているが、想定を下回った場合は工事量に経営規模を合わせるために、追加リストラを迫られる可能性もある。従業員1人当たり受注高は建設会社の採算を測る目安となる。各社は完成工事総利益率で10%を前提に1人当たり受注高で1億円を維持できるかが、間接部門を含む全社的な経費を賄える目安とされる。前期に連結売上高が2000億円以上だった準大手8社の平均値は9100万円程度。大手4社は平均で約1億1000万円と準大手の苦境が際立っている。西松建では6月までに582人が希望退職の募集に応じ、今期末までに全社員の4分の1に当たる計900人の人員削減が完了する見通し。1人当たり受注高は前期に7200万円程度だったが、計画通りの受注を獲得できれば今期は約9900万円まで改善するとみられる。五洋建設でも7月までに従業員の8%に相当する220人が早期退職し、1人当たり受注高は前期の約9500万円から1億1千万円程度に増加する見通し。団塊世代の退職で従業員数は各社減少傾向で、改善幅は広がりそうだ。一方、大手4社(鹿島、清水建設、大成建設、大林組)では今期は1億2000万円前後となる見通しで、大規模な人員削減に乗り出す例はまだ出ていない。」(『日本経済新聞』2010.07.17)
●「東京商工リサーチがまとめた2010年5月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比14.6%減の273件となり、11カ月連続して前年同月を下回った。依然として『景気対応緊急保証制度』(従来の緊急保証制度の内容を拡充して名称変更)や『中小企業金融円滑化法』などの政策効果が続いている。負債総額は3.4%減となったものの、ことし最多の564億1500万円となった。このため平均負債額は13.1%増の2億600万円だった。都道府県別では25道府県、地区別では9地区のうち5地区がそれぞれ前年同月を下回った。」(『建設通信新聞』2010.07.26)
●「建設産業専門団体連合会28日、国土交通省との定例意見交換会を都内で開いた…。6月から建専連が行ってきた各地方整備局との意見交換会を踏まえて五つの共通議題を抽出し、元請・下請関係の適正化や基幹技能者の活用などについて議論した。五つの共通課題は▽元請・下請関係の適正化と一括下請負禁止などの法令順守▽ダンピング受注の是正と施工前契約の指導の徹底▽基幹技能者の積極的活用▽公共工事における安全費用と法定福利費の確保▽技能者の確保・育成。元請・下請関係の適正化では、建専連が元請費用に含まれるはずの廃棄物処理費、清掃費、場内駐車場代などを事前の打ち合わせもなく差し引かれていると指摘。ダンピング受注の影響か、着工後に事前協議した額より低い金額を提示される場合もあるとして、施工前契約の徹底や赤伝処理の是正についての指導を要請した。これに対し国交省は、根拠のない一方的な値引きが行われているという指摘もあるとして、元講・下請関係の留意点を示した『建設業法令順守ガイドライン』のいっそうの周知に努める考えを表明。ダンピング受注に関しては、既に8割の都道府県が中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)のモデル以上のダンピング基準を設けている点を説明し、さらに市町村への働きかけを強める方針を示した。『建設業取引適正化推進月間(仮称)』を創設し、自治体とも連携して元請・下請取引の適正化に向けた活動を展開する計画も明らかにした。」(『建設工業新聞』2010.07.29)
●「中小企業・下請企業保護政策が、国土交通省でも強まっている。建設業就業者数500万人近くのうち大半を占める中小企業・下請従事者に対する配慮が今、建設産業政策の大きな柱になっていることが背景にある。建設市場回復にめどが立たない中で、政策の重点的柱を下請保護へと大きくかじを切ったように見える国交省に対し、元請けは戸惑いを隠せない。」(『建設通信新聞』2010.07.30)
●「住宅版エコポイント制度のスタート以降(3月8日からポイントの申請受付)、窓のリフォームが好調に推移している。これまでのエコポイントの発行件数は6月末時点での累計が5万9420戸。このうち、リフォームが81.64%(4万8512件)を占めるが、なかでも窓の断熱改修は4万7979件(80.75%)に上がっている。経済産業省が、前年度の出荷数量の比較が可能なリフォーム用ガラスと内窓についてまとめた結果によると、2月以降の出荷量は増加傾向だ。サッシメーカー、ガラスメーカー等を対象に実施した聞き取り調査(内窓は枚数単位、リフォーム用ガラスはu単位)の結果、内窓の前年同月比の出荷量は2月以降増加が続き、3月は3倍超、4月以降は前年同期比4倍前後で推移している。…都道府県別にみると、大都市圏を中心に件数が多く、やや東高西低の傾向にある。6月末時点の累計では、最も多いのが東京都で3129件。次いで2000件を超えているのが新潟県2597件、千葉県2250件、神奈川県2249件、埼玉県2193件、兵庫県2149件、北海道2031件、大阪府2010件の7道府県。以降、愛知県1866件、富山県1716件、広島県1595件と続いている。」(『日本住宅新聞』2010.07.15)
●「社会資本整備審議会住宅宅地分科会は7日に会議を開き、住宅の耐震化率やバリアフリー化率の達成指標などを示した住生活基本計画(全国計画)の見直しに向けた議論をスタートした。今後、経済環境の悪化といった最近の社会経済情勢の変化を踏まえ、意見をまとめる。政府は分科会の意見を踏まえた上で年度内に新基本計画を閣議決定する考え。…同計画の目標は@良質な住宅ストック形成・将来世代への承継A良好な居住環境の形成B多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備C住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が柱。量から質への転換を目指している。現行計画の策定当時から大きく変化したのが、年収の減少や失業率の悪化をはじめとした経済構造・情勢。昨年は新設住宅着工戸数が大幅に減少したほか、住宅投資も減少傾向にあり、一次取得層の購買力にも階層分化が見られる。一方で、現行計画にも盛り込まれているが、本格的な人口減少・少子高齢化社会を迎え、高齢者の単身世帯の増加など、新たな課題も浮かび上がってきている。さらに、環境に対する関心も高まってきており、地球温暖化対策への対応も喫緊の課題となっている。」(『日本住宅新聞』2010.07.15)
●公立小中学校の校舎や体育館などの施設12万4238棟のうち、震度6強以上の地震で倒壊する危険性が高い建物が、4月1日時点で推計7498棟(6%)に上ることが21日、文部科学省の調査で分かった。2009年度中に1682棟の耐震化が完了した半面、耐震診断が進んだ結果、1871棟が新たに震度6強以上で倒壊する危険があると判定され、危険な建物は前年同期から189棟増加した。調査結果によると、耐震性に問題があるとされたのは、耐震性がなく未改修が3万1665棟、耐震診断未実施が1469棟の計3万3134棟で、全体の26.7%は耐震性に欠ける。このうち、震度6強程度で倒壊する危険性の高い建物は、診断未実施分も含め、推計7498棟ある。全体の耐震化率は73.3%で、前年から6.3ポイント改善した。都道府県別では、大阪が最多の545棟、次いで北海道503棟、埼玉394棟など。耐震化率は、神奈川(96.1%)、静岡(94.3%)、宮城(93.5%)などが高く、山口(53.0%)、広島(53.3%)、茨城(55.7%)などが低い状況にある。調査には、09年度補正予算などで工事中の建物や、10年度当初予算などによる耐震化事業は含まれていない。政府は10年度予算予備費も活用した耐震化事業の実施を地方に促しており、これらの工事が完了すれば、耐震性に問題のある建物は、約9400棟減り、約2万3700棟になる見込み。…学校耐震化予算は、自公政権下の2009年度予算では、当初予算と補正予算あわせて2588億円が計上された。しかし、政権交代後、鳩山前内閣は、自公政権時代の予算要求をやり直し、高校無償化以外の文教予算を前年度当初予算以下に抑えるよう指示。さらに「事業仕分け」で予算縮減と判定した。その結果、市町村が予定していた耐震化計画の半分以下しか実施できないことになり、批判が噴出。結局、10年度予算の予備費から772億円を追加的に耐震化にあてることになったが、10年度当初予算とあわせても1682億円にとどまる。(『しんぶん赤旗』2010.07.22より抜粋。)