情勢の特徴 - 2010年8月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「内閣府は16日、2010年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が前期比年率で0.4%だったと発表した。自公政権時代からの政策効果が途切れつつある一方で、設備投資などが盛り上がりを欠き、予想外の低成長だった。同期のGDPは今後改定される可能性はあるが、景気の先行きには陰りもみえる。回復局面の景気が一時的に停滞する可能性もちらつき始めた。…4〜6月期が低成長になった原因の一つは、個人消費が前期比横ばいにとどまったことだ。家電や自動車など耐久財の消費が同期の成長率を0.1ポイント押し下げた。家電のエコポイント制度の一部変更を見越して3月に薄型テレビの駆け込み需要が発生し、同期にその反動が現れた。公共投資も前期比3.4%減と4四半期連続でマイナス。『4〜6月期のGDPから見えてくるのは、今の政府の無策ぶりだ』とバークレイズ・キャピタル証券の森田京平氏は指摘する。…輸出増→投資→雇用・所得→個人消費という好循環もうまく働かなかった。4〜6月期の設備投資は0.5%増と小幅。同期の企業業績は『絶好調』だったが、グローバル競争にさらされる企業はリスクやコスト増に敏感なままだ。7〜9月期以降の先行きはどうか。景気回復ペースがもたつき、生産活動が低迷する『踊り場』局面に差し掛かっているとの見方も出始めた。」(『日本経済新聞』2010.08.17)
●「建設業に対する金融機関の融資額減少に歯止めがかからない。全産業に対する金融機関の総貸出残高はリーマンショック以前を上回る水準で推移している一方、建設業向け貸出残高は、中堅企業、中小企業を中心に減少の一途をたどっている。1件当たりの融資額はこの5年間で企業規模を問わず、ほぼ一定額であることから、建設業にとっては金融機関から融資案件の絞り込みを厳しくされている形だ。…建設業向け貸出残高を2006年6月末と10年6月末の5年間で比較すると18.4%減の2兆7977億円減少した。内訳は、中小企業21.1%減、中堅企業は58.6%減と大幅な減少だったのに対し、大企業は3.6%減にとどまった。一方、金融機関の全産業に対する総貸出残高は06年6月末と10年6月末比較で、3.6%増の14兆6285億円増加した。5年間の全産業の企業規模別比較では、中小企業が0.6%減、中堅企業12.9%減、大企業20.4%増となっており、いずれも建設業向け融資額の減少幅の方が上回っている。」(『建設通信新聞』2010.08.17)
●「森ビルは東京23区の大規模オフィスビルの空室率が2012年末にかけて徐々に低下するとの予測をまとめた。09年末に5.9%だった空室率は12年末には4.6%まで改善する。11〜12年にはリーマン・ショック前に計画された大規模物件が相次いで完成し供給量が増えるが、景気が上向くとともに需要も盛り返すとみている。」(『日本経済新聞』2010.08.18)
●「全国中小企業団体中央会が20日公表した『7月の中小企業景況調査』で、7月のDI値(好転から悪化を引いた値)が8指標すべてで前月と比べ上昇したことが分かった。中小企業全体の景況感は8カ月連続の上昇で前年同期比では33.1ポイント改善しマイナス37.2とマイナス30ポイント台まで戻した。ただ建設業の回復スピードは17業種中最低。中小企業を取り巻く環境がこの1年間で大きく好転しつつある中、建設業だけが回復基調から取り残された格好だ。」(『建設通信新聞』2010.08.23)
●「急激な円高進行と株安に建設業界の不安が拡大している。ドル・ユーロに対し円だけが高い現状に対し、自国・域内の景気回復を最優先する傾向が米国、欧州に強まっており、日本単独の為替介入では円高傾向に歯止めをかけるのが難しいとの見方が大勢を占めていることが理由。この状況が続けば今後民間設備投資への意欲が減退しかねない。また政府には財政出動による景気回復のシナリオ選択はほぼ皆無。そのため公共工事の激減を民間工事市場回復によって補うという建設業界の期待も、円高・株安による国内民間設備投資減少という最悪のシナリオの前にしぼみつつある。」(『建設通信新聞』2010.08.26)
●「企業会計基準委員会は26日、不動産開発型の特別目的会社(SPC)を連結対象とする公開草案を議決した。年内に最終決定し、2012年4月から強制適用とする方針。開発型SPCは不動産会社などの間で自社の資産・負債を膨らませずに大型ビルやマンションを開発する手法として使われているが、新基準の適用で事業モデルの変化を迫られそうだ。…SPCの連結見直しについては国際会計基準審議会(IASB)との共通化作業の一環で進めていたが、IASBの議論が遅れていることから会計基準委は一部のSPCの扱いについて先行して決定した。不動産会社のほか、顧客の資産を流動化している金融機関などが影響を受けそうだ。一方、自らの資産をSPCに譲渡した案件のみ特例として基準の適用はしない方針だ。大手不動産3社の連結外SPCの資産規模は、10年3月期で合計約1兆8000億円に達している。」(『日本経済新聞』2010.08.27)

行政・公共事業・民営化

●「政府はインフラ投資の促進に向け、官民連携の新基金(ファンド)を創設する方向で調整に入った。東京外郭環状道路や関西国際空港に活用する案が浮上している。財源確保が難しくなるなか、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)を後押しする狙い。まず国が呼び水となる資金を拠出することで、メガバンクや企業、個人投資家などが出資に応じやすくなる体制を整える。」(『日本経済新聞』2010.08.16)
●「国土交通省は、都市再生特別措置法を改正して大都市の国際競争力を強化する実施スキームを固めた。現行の都市再生緊急整備地域内で、特に都市拠点施設などを整備すべき地区を戦略的プロジェクトエリアに指定し、地方自治体や民間事業者で構成する官民協議会が整備計画を作成、地方自治体や官民協議会が戦略的プロジェクトを実施する。同法の改正案は、早ければ2011年通常国会にも提出するとみられており、国交省は官民協議会などによる整備計画作成支援や事業実施支援のための必要経費を11年度予算概算要求に盛り込む見通しだ。…改正する都市再生特別措置法では、大都市の国際競争力強化のために、国際カンファレンス(会議)施設や広域交通拠点施設といった都市拠点施設・都市基盤を戦略的に整備すべきエリアを国が指定する仕組みを導入する。指定するエリアは、現行の都市再生緊急整備地域内で特に都市拠点施設などを整備すべき一部エリアを限定する形になる見込み。指定エリアでは、関係地方自治体や民間事業者、国などが参加する法定の官民協議会を設置。協議会で事業内容や事業主体、実施期間を明記した整備計画を作成する。整備計画には、国が支援すべき施設を協議会の合意の上で明記する見通しだ。地方自治体や官民協議会が事業主体となって、整備計画に記載した事業を実施する。国交省は、11年度予算の概算要求で、官民協議会が整備計画を策定するための費用を助成したり、事業を支援する仕組みを盛り込む見通しだ。特に大都市の国際競争力強化を進めるエリアを選択して、国の支援を集中するための仕組みとなり、対象地区は限定されそうだ。」(『建設通信新聞』2010.08.20)
●「国土交通省は23日、2011年度の税制改正要望と組織・定員要求の考え方を民主党国土交通部門会議に提示した。組織・定員要求では、不動産・建設業行政と土地行政の一元化などを示した。国交部門会議としては、26日にも概算要求に対する提言を菅直人首相に提出する。経済対策についても、国交部門会議として『即効性のある施策』をまとめ、26日にも党の政策調査会に提出する予定だ。小泉俊明座長は住宅の耐震改修補助を提案する考えを示した。国交省は、11年度の組織・定員要求の考え方として、▽高速鉄道、港湾、高速道路、水インフラなどの国際展開支援のための省内横断体制確立▽できるだけダムによらない治水への政策転換や流域全体での総合的管理推進のためのなどの国際展開促進に向け、インフラ整備需要の獲得を支援するための税制上の特例措置を創設する考え。PPPによる社会資本整備システム導入に向け、コンセッション方式導入に伴うPFI促進税制の改善やPFI施設の税制軽減措置の拡充を示した。 国際競争拠点都市整備や国際コンテナ戦略港湾整備、サービス付き高齢者住宅の供給促進に向けても税制改正を要望する見通し。」(『建設通信新聞』2010.08.24)
●「国土交通省は、社会資本整備審議会道路分科会事業評価部会(部会長・家田仁東大大学院教授)で、2011年度予算概算要求に盛り込む新規の大規模道路事業個所として那覇空港自動車道小禄道路など4カ所を正式に了承した。部会の中で国交省は、各事業の事業費と工事費の内訳金額を提示した。4カ所合計の総事業費は1460億円を予定している。」(『建設通信新聞』2010.08.24)
●「省エネや地球環境に配慮した『エコ住宅』を普及させようと、全国の自治体が独自の対策を打ち出している。助成制度にとどまらず、企業と連携して地元産の木材を使ったモデルハウスを開設したり、実際に住宅の販売に乗り出した自治体もある。地域の温暖化対策を推進するとともに、住宅着工の減少に苦しむ地元工務店や林業の振興につなげようと知恵を絞る。…東京都品川区は2010年度、家庭用燃料電池『エネファーム』やヒートポンプ式の電気給湯器『エコキュート』を設置する区民向けに、費用の一部として4万〜80万円を助成する制度を開始。予算額を約3割上回る計約900万円分の助成申請があった。区は『給湯器を買い替えるなどの際、環境配慮型の製品を選ぶ意識が高まっている』(都市環境事業部)とみる。…北九州市は市住宅供給公社を通じて企業と共同で、新日鉄社宅跡地に太陽光パネルやオール電化を備えた分譲マンション(123戸)の建設を始めた。事業費は32億円で完成は来年5月。エコ住宅は一般に通常より2〜3割高いが、約2100万円(約80〜90平方メートル)に抑えた。…モデルハウスを整備する自治体も増えている。長野県は建設業者に計3億円を補助し、今春、県独自の基準を満たした11棟を県内各地域に完成させた。『できるだけ多くの県民に良さを確かめてもらう』(県建設部)狙い。県産材を50%以上使った『信州型エコ住宅』で、地元の木材利用で輸送に伴うCO2排出量の抑制や間伐による森林保護にもつなげる。国の住宅版エコポイント制度で、『エコ住宅』への関心は高まっている。ただ、一生に1度の買い物だけに広く購入を促し、地域の雇用創出につなげるには時間がかかりそうだ。」(『日本経済新聞』2010.08.25)
●「国土交通省は27日、11年度予算の概算要求を発表した。一般会計の要求総額は前年度比2.2%増の7兆7079億円で、うち災害復旧を含む公共事業費の総額は10年度当初予算比0.5%減の4兆8342億円。10年度に『コンクリートから人へ』の方針に基づき大幅削減した公共事業費は、政権公約で掲げた削減数値を達成したとしてほぼ同規模を要求する。同省の成長戦略で示す国際展開・官民連携など5分野の施策の実現に重点を置き、国際コンテナ戦略港湾整備や官民連携による建設産業の国際展開、PPPによる社会資本の新たな整備・管理システムの導入などを盛り込んだ。」(『建設工業新聞』2010.08.30)
●「国土交通省は2011年度予算概算要求で、建設企業の金融支援強化として6億2000万円、成長戦略の担い手となる建設産業の育成と事業転換の促進として3億5300万円を盛り込んだ。下請債権保全支援事業と地域建設業経営強化融資制度の事業期間を1年間延長するほか、新たな下請債権保全策の導入を助けるための助成・支援や、PPPやエコ建築などに展開しようとする建設会社に対する専門家派遣などによる支援を実施する予定だ。」(『建設通信新聞』2010.08.30)

労働・福祉

●「建設業労働者の労働時間と出勤日数が全産業で唯一増加基調にある。直近統計で、月間総実労働時間も175時間を突破。170時間を超えたのは建設業と運輸・郵便業だけだ。建設業は過去、『危険・汚い・きつい』の3K職場の代名詞と言われてきた。技術革新や職場環境改善で『危険・汚い』の2Kは緩和されたものの、労働時間の長期化で『きつい』の1Kの解消にはまだ時間がかかりそうだ。」(『建設通信新聞』2010.08.16)
●総務省が17日発表した4〜6月期平均の労働力調査によると、完全失業者(349万人)のうち失業期間1年以上の人は、前年同期比21万人増の118万人に上がった。比較可能な02年以降では、IT(情報技術)バブル崩壊後の2003年4〜6月期(127万人)に次ぐ過去2番目の高水準。前期(10年1〜3月期)からさらに4万人増えた。…失業期間別の内訳は、2年以上が前年同期比11万人増の62万人で過去2番目の多さ。1年以上2年未満は10万人増の56万人、6カ月以上1年未満は7万人増の52万人だった。これに対し、3カ月以上6カ月未満は11万人減の51万人、3カ月未満は26万人減の114万人。一方、全雇用者のうち非正規社員は58万人増の1743万人と、2期連続で前年を上回った。このうちパート・アルバイトは女性・学生中心に56万人増えたが、派遣社員は15万人減った。正社員は81万人減の3339万人と、5期連続で前年を下回った。(『しんぶん赤旗』2010.08.18より抜粋。)
●離職率が上昇し、一般労働者は46万人減少、理由では契約期間満了と経営上の都合が増えている―。厚生労働省はこのほど、2009年度の雇用動向調査結果を発表した。それによると、09年1年間に退職または解雇された離職者は724万人で、新たに採用された入職者684万人より40万人増加している。離職率は16.4%(前年比1.8ポイント増)で、常用労働者(期間の定めなし、1カ月超または日々雇用で前2カ月に月18日以上雇われた者)のおよそ6人に1人に当たる。(『しんぶん赤旗』2010.08.18より抜粋。)
●建物の解体現場から出る廃棄物を砂利に再利用する「再生砕石」に、人体に有害なアスベスト(石綿)が含まれている事例が多数あることが、さいたま市の市民団体の調査で明らかになった。再生砕石は全国各地で、駐車場や工事現場、河川の沿道など住民に身近な場所で使われており、肺がんの原因になるといわれるアスベストの環境への放出が懸念されている。(『しんぶん赤旗』2010.08.19より抜粋。)
●「建設業の産業規模縮小が依然続いている。総務省の労働力調査(4−6月期平均)で、建設業の雇用者(役員を除き正規・非正規職員、従業員の合算)は、前年同期比3.1%減の334万人にまで減少した。2008年4−6月平均の380万人から、わずか2年で46万人が減少した計算だ。建設産業の市場規模も、国土交通省の受注動態調査では元請けと下請けの受注分を合計した受注高合計が、09年度は08年度比13.0%減、今4−6月期で3.0%減と減少が続いている。市場規模の先行指標である受注高は回復の兆しも見えず、労働力を指標とする産業規模はさらに縮むことは確実だ。」(『建設通信新聞』2010.08.19)
●「日本建設業団体連合会(野村哲也会長)は、昨年4月に発表した『建設技能者の人材確保・育成に関する提言』のうち、▽賃金の向上▽建設業退職金共済制度の普及▽重層下請構造の改善▽作業所労働時間・労働環境の改善――の4項目に対する会員企業の取り組み状況をアンケートし、可能なものからロードマップを策定する方針だ。…提言には、掲げた各項目を2013年度末をめどに実現すると明記しているが、厳しい経営環境下に加え、取り組みにも温度差が見受けられるため、日建連は、アンケートで実態を把握した上で、実現の可能性が高いものから順次具体化していきたい考えだ。」(『建設通信新聞』2010.08.19)
●「東京労働局は都内の2010年度の最低賃金(時給換算)を現行より30円引き上げ、821円とすることを決めた。初めて800円を上回り、10月24日から適用する。現行の最低賃金は791円で、引き上げ額が30円以上になるのは1977年度以来という。ただ、生活保護の水準よりはなお10円低い状態が続く。」(『日本経済新聞』2010.08.25)
●「厚生労働省の省内事業仕分け(行政事業レビュー)で『一定期間経過後に廃止』と判定された建設雇用改善助成金が、2011年度は存続することが明らかになった。同省は11年度予算の概算要求で、助成金の必要額として前年度比20.3%増の42億1900万円を計上した。地方建設業協会など業界の人材確保・育成事業の原資は確保された形だ。事業仕分けでの指摘を受け、同省と国土交通の両省は、11年度から検討組織を立ち上げ、産業構造が変化する中での建設産業の将来像について議論する。この検討結果を踏まえた上で、助成金制度をゼロベースで見直す方針だ。…11年度からは、現行4類型の助成金を教育訓練と雇用改善の目的別の2類型に整理する。具体的には、建設教育訓練と建設業人材育成支援の助成金に加え、一般会計から支出している建設業新分野教育訓練助成金を一本化して『建設教育訓練助成金』とする。要求額は34億7400万円。また、訓練内容などによって2つに区分されている建設事業主に対する賃金助成の上限額を見直し、『対象平均賃金日額の5分の4で上限額は7000円』に改める。」(『建設通信新聞』2010.08.30)

建設産業・経営

●「大手・準大手ゼネコンの第1四半期(4−6月)受注高は、22社中12社が前年同期実績を下回った。22社合計は前年同期に比べ8.1%も落ち込んだ。土木、建築ともに受注を伸ばしたのは鹿島、五洋建設、戸田建設、ハザマ、浅沼組の5社にとどまっている。例年より厳しく目標を立てた年間受注見通しではあったが、各社とも総じて受注が伸び悩み、今四半期の単純達成率は14%の低水準となった。2008年秋から続く受注の厳しさはいまだ消えていない。」(『建設通信新聞』2010.08.16)
●「海外建設協会(海建協、竹中統一会長)は、10年度第1四半期(4〜6月期)の会員企業(45社)の海外受注実績をまとめた。総受注金額は約2061億円と前年同期を37.6%上回り、受注件数も378件と前年同期より21.2%増えた。1件で受注額が50億円を超えた大型案件は6件で、五洋建設がシンガポールで受注した約248億円の病院新築工事が最大の案件となっている。」(『建設工業新聞』2010.08.20)
●「東京商工リサーチがまとめた2010年6月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比18.5%減の317件となった。3カ月ぶりに300件台に上昇したものの、12カ月連続して前年同月を下回った。『景気対応緊急保証制度』や『中小企業金融円滑化法』などの政策効果のほか、09年度補正予算の未契約繰越分の発注も下支えの一因になった。負債総額は56.1%減の476億4400万円だった。負債額が10億円以上の大型倒産が前年同月の18件から77.7%減の4件に減ったことが影響した。これに伴い、平均負債額は46.2%減の1億5000万円となった。都道府県別では、25都道府県が前年同月比で減少し、地区別では9地区のうち8地区が前年同月を下回った。」(『建設通信新聞』2010.08.27)
●「公共事業が大幅に減少する中、中小土木建設業者などが保有する人材と機械を活用し、森林整備事業などの担い手として育成・支援していくことを目的に『全国林業事業協同組合』(理事長・福島啓史郎前参議院議員)が設立された。経済産業省が2012年度にも導入を開始する再生可能エネルギーの全量買い取り制度にも対応し、間伐材などのバイオマス原料を安定的・継続的に発電会社に供給する受け皿としての役割も担っていく。」(『建設通信新聞』2010.08.31)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通、環境、経済産業の3省は12月末で適用期間が終了する『住宅エコポイント』制度について、来年度も継続する方向で検討を始めた。国交、経産両省は住宅への省エネ基準適用の義務化についても検討を進めているが、『規制強化だけでなく支援策の充実(ムチとアメ)が必要』との考えから、同制度の継続が浮上した。対象に給湯器等を加えることを求める声もあるが、『制度が複雑になり効果が薄れる』と否定的な意見も根強く、協議が続いている。」(『日本住宅新聞』2010.08.25)
●「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は、2006年4月から10年6月末までの4年3カ月間に戸建て住宅で実施した耐震診断1万5352件を対象とした調査結果をまとめた。耐震診断した建物のうち、耐力が耐震基準の1.0未満だった建物が85.5%を占め、1月の前回調査と比べて0.6ポイント増加した。耐震補強工事の平均施工金額は約150万円で、約14万円増えるなど工事金額の上昇傾向が見られた。工事は、リフォームと一体的に行うケースが増えているとみている。」(『建設通信新聞』2010.08.27)
●「政府の新成長戦略のうち、グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略の柱に位置付けられている経済産業省の『次世代エネルギー・社会システム実証』事業が本格的に始動する。国内実証地域に選ばれた横浜市、愛知県豊田市、京都府のけいはんな学研都市、北九州市の4地域のマスタープランがまとまった。実証事業では、情報技術(IT)を利用したスマートグリッド(次世代送電網)や低炭素交通システム構築などのスマートコミュニティーづくりに取り組む。4地域の実証期間は2010−14年度の5年間で、総事業費は約1270億円。4地域合わせて約60社・団体が実証事業に参加。4地域で5000世帯超をスマートグリッドで結ぶ計画だ。」(『建設通信新聞』2010.08.30)

その他

●「全米不動産協会(NAR)が24日発表した7月の中古住宅販売件数は季節調整済みの年率換算で383万戸となり、前月に比べ27.2%減った。前月比マイナスは3カ月連続。水準は同じ基準でさかのぼれる1999年以降で最低となった。前年同月に比べると25.5%落ち込んだ。米政府の住宅減税が4月末で終了したことに伴う影響が大きいが、厳しい雇用情勢も住宅販売を下押ししたとみられる。」(『日本経済新聞』2010.08.25)