情勢の特徴 - 2010年10月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「地域の景気先行きで不透明感が拡大し、中でも建設は一層の厳しさに直面していることが、15日に日本銀行が公表した『10月の地域経済報告』で浮き彫りになった。公共投資は全国9地区すべてで減少。企業ヒアリングによる先行き見通しでは、公共投資削減の影響本格化が地域経済へのマイナス要因として上げた上で、建設業についてはさらなる雇用調整の可能性にも言及した。景気の回復・持ち直しペースが鈍化するなか、建設は今後一層厳しい局面を迎えることを示した格好だ。地域から見た景気情勢で、前回(7月判断)から悪化したのは、関東甲信越、東海、中国の3地区で、それ以外の6地区は前回判断と同じ横ばいだった。ただ公共投資については、北海道から九州・沖縄までの9地区全てが『減少』と判断、『持ち直し』ないしは『下げ止まり』判断が大勢を占めた設備投資とは明暗を分けた。」(『建設通信新聞』2010.10.18)
●「林野庁は20日、政府が新成長戦略で重点分野の一つに掲げた林業施策の推進に向けて『森林・林業の再生に向けた改革の姿』と題した新たな森林・林業基本政策の素案をまとめた。全国で森林の路網整備を徹底し、間伐を促進。住宅や公共建築物への国産材の供給を増やして産業振興と雇用創出を目指す。路網整備のための技術者育成なども盛り込んだ。11月中に最終とりまとめを作成し、必要な法制度の整備に入る。素案では、10年後に国産材自給率50%以上を目指すと明記。具体的な推進施策として林業生産の効率化や国産材の加工・流通体制の整備、木材利用の拡大などを挙げた。林業生産の効率化では、森林に入るための路網の整備方針を明確化する必要があるとして、一般車両の走行を想定する林道と、10トン積みトラックの走行を想定する林業専用道、林業機械の走行を想定する森林作業道に路網を整理して整備を促進する。」(『建設工業新聞』2010.10.21)
●「建設経済研究所は21日、建設経済モデルによる建設投資見通し(10年10月時点)を発表した。10年度の名目建設投資は、前年度比6.9%減の39兆2500億円と40兆円を割り込み、1977年度(約38.8兆円)の水準に落ち込むと予測している。民間建設投資は緩やかな回復基調にあるが、公共事業の削減による政府建設投資の大幅減が影響し、7月時点の見通しよりも700億円の下方修正となった。ただ、民間非住宅建設投資の回復基調が継続し、11年度の建設投資は前年度比1.0%増の39兆6600億円になるとみている。10年度の建設投資見込みの内訳は、政府建設投資13兆8200億円(前年度比18.2%減)、民間住宅建設投資13兆7100億円(0.1%増)、民間非住宅建設投資11兆7200億円(1.3%増)。うち政府建設投資の内訳は、建築1兆9800億円(15.0%減)、土木11兆8400億円(18.7%減)。政府建設投資には、政府が9月に公表した10年度経済危機対応・地域活性化対応予備費から支出するとした緊急防災対策費が含まれているが、補正予算は考慮していない。住宅着工の内訳は、持ち家が30.3万戸(5.6%増)、貸家が31.2万戸(0.2%増)、分譲が19.7万戸(20.7%増)となっている。住宅分野については、分譲と持ち家が堅調に増えているが、貸家は低水準だった昨年度の着工戸数をさらに下回り、回復が遅れている。所得・雇用環境の改善が見込めず、中古市場への需要流出も加味すると回復のペースは緩やかな範囲にとどまるとしている。」(『建設工業新聞』2010.10.22)
●「政府の新成長戦略実現会議は、制度・規制緩和で地域の活性化、経済成長を促す『総合特区制度』の創設に向けた検討作業を本格化させる。民間や自治体などからアイデアを募り、先月までに延べ278団体から計450件の提案が寄せられた。個々の提案で示された規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置などを参考にしながら、制度設計・法案の検討を進め、年明けの通常国会に提出する見通し。順調に進めば、来年4月以降に特区提案を募集し、来夏の特区指定を予定している。今回出された450提案のうち、国際戦略関係は92件、地域活性化関係は358件。規制・制度改革の提案件数全体(重複あり)では2000件を超える。分野別ではグリーンイノベーション約300件、ライフイノベーション約420件、アジア経済戦略・科学・技術約300件、観光立国・農業的460件、その他約600件となっている。制度設計に本格着手するため、戦略会議の下に『総合特区制度、「環境未来都市」構想に関する会議』を設置。提案内容を踏まえ、優先的に検討を進める事項を各省と協議・調整し、その成果を特区法案や同法に基づく基本方針に反映させていく。」(『建設工業新聞』2010.10.25)
●「政府が26月に閣議決定する今年度補正予算案の概要が25日分かった。新成長戦略を進めるための対策費として3369億円を計上し、レアアース(希土類)対策や住宅エコポイントの対象拡充などに充てる。対策規模は財政支出4兆8513億円に公共事業の契約前倒し分(2388億円)を加えて約5兆1000億円にする。雇用・人材育成では、新卒者や若年者の就職支援などに511億円を充てるはか、雇用の下支えや重点分野の雇用創造事業なども合わせて3199億円を計上する。社会保障では、基金積み増しなど子育て支援に1112億円を盛り込んだほか、子宮頚(けい)がんワクチン接種推進、24時間地域巡回サービスなどに合計1兆1239億円を充てる。地方や中小企業対策では、地域活性化交付金として3500億円を盛り込み、公共事業の積み増しなどと合わせて3兆706億円を計上する。」(『日本経済新聞』2010.10.25)
●「政府は26日、円高・デフレに対応するための『緊急総合経済対策』を盛り込んだ2010年度補正予算案を閣議決定した。経済対策の規模は、補正予算として計上する4兆8513億円に、公共事業を前倒し契約する2388億円分の『国庫債務負担行為』(ゼロ国債)を加えた計約5兆1000億円。このうち、国土交通省関係は、補正予算が4859億円で、ゼロ国債が2052億円。29日に国会提出し、11月上旬の衆院通過を目指す。」(『建設通信新聞』2010.10.27)
●環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、日米の財界・大企業が両国政府に参加を求めてきたものだ。2年ぶりに東京で開かれた日米財界人会議は、8日に採択した共同声明で『遅くとも2015年までに実現』させるよう求めた。共同声明は、アジア太平洋地域での日米の『指導的役割』を強調。昨年、ワシントンで開いた際の共同声明では、経済連携協定は、『長期的な目標』との位置づけだった。経済連携協定を推進する菅直人内閣の誕生を受け、今年の声明では、期限を設けたうえで、締結に向け『今から取り組みを開始すべきである』と踏み込んだ。(『しんぶん赤旗』2010.10.27より抜粋。)
●「国土交通省は、26日に閣議決定した10年度補正予算案の国会審議が近く始まることから、予算案に盛り込んだ中小建設業者に対する経営支援策の実施に向けた準備作業に入る。現行の下請債権保全支援事業の拡充など資金繰り支援と、新分野で事業活動を行う企業への支援の二つが取り組みの柱。下請債権保全支援事業については、ファクタリング(売掛債権買い取り)会社を対象に拡充内容の説明を開始。予算が成立すれば年明けから新たな内容で運用する。新規事業活動支援では支援条件などを詰め、来年2月にも公募を開始する予定だ。補正予算案には、中小企業対策として資金繰り支援と新規の事業活動への支援に合計47億円を計上した。」(『建設工業新聞』2010.10.28)
●経済産業省が22日発表した工場立地動向調査(速報)によると、2010年上半期(1〜6月)の国内の工場立地件数は352件と、前年同期比で17.8%減少し、半期別の集計を開始した1980年上半期以降で最低となった。新たな工場建設の減少は、内需や雇用にとって深刻だ。工場立地面積は500ヘクタールで同19.7%減少し、2002年上半期(393ヘクタール)、同年下半期(460ヘクタール)に次ぐ低水準。立地の減少について調査は、08年以来の世界的景気悪化に加え、円高や消費減退の中で、企業の「設備投資計画の凍結・見直しや投資意欲の減退」が起きたとしている。企業規模別でみると、全件数の39.5%を占める資本金1000万以上5000万円未満の企業による立地が139件で、前年同期比23.2%減少。4.3%を占める資本金100億円以上の企業は15件で、同54.5%減少した。(『しんぶん赤旗』2010.10.28より抜粋。)
●「景気の足踏み感が一段と強まってきた。経済産業省が29日発表した9月の鉱工業生産指数は前月比で1.9%の低下と4カ月連続で悪化。総務省が発表した9月の完全失業率は5.0%に小幅改善したものの、家計の消費支出は前年比で横ばいにとどまった。円高の悪影響に加え、エコカー補助金などの政策効果が途切れたため。米国や中国などの成長鈍化もあって、昨年春から回復を続けてきた国内景気は転換点を迎えている。」(『日本経済新聞』2010.10.29)
●「総務省が29日発表した9月の家計調査速報によると、2人以上の世帯の個人消費支出は物価変動を除いた実質で前年同月比横ばいとなった。8月までは3カ月連続で前年を上回っていたが、昨年9月に大型連休があった反動で、旅行への支出が減った。」(『日本経済新聞』2010.10.29)

行政・公共事業・民営化

●「政府は20日、前回の地域主権戦略会議(議長・菅直人首相)で設置が決まった『一括交付金化に関する地域主権戦略会議と関係府省との検討会議』(議長・逢坂誠二総務政務官)を開き、国土交通省などからヒアリングした。国交省などから、地域主権戦略会議で示された一括交付金の制度設計の考え方に疑問符を付ける意見が多数出された。会議の冒頭、逢坂議長は『地域主権戦略会議で示された方針を踏まえて制度設計を検討する』と、否定的見解を示す各府省にくぎを刺した。会議では、『交付金の使われ方が政策目的と離れるのは良くない』『自治体が必要な額は年度ごとに差がある。大規模投資を希望する自治体もある一方で二−ズのない自治体に一定額を配分するのは非効率だ。自治体の提出する計画に基づく配分が必要だ』『継続事業にしっかりと配分されるようにすべき』『ごみ焼却施設などは年度によって必要額が大きく違う。国定公園などは地域で偏りがでる』『(使途が限定されている)建設国債が財源になる交付金の使い道が、公共事業以外に使われるのは、説明が付かない』などの意見が出た。」(『建設通信新聞』2010.10.22)
●「国土交通省は、元請・下請企業間の取引を適正化する取り組みの一環で、建設業者への指導体制を拡充する。中小企業を対象にした取引・契約関連の相談窓口を持つ中小企業庁との連携を強化し、建設分野のトラブルへの対応の迅速化を図る考え。知事許可業者への是正指導については、立ち入り検査の実施率が低い自治体側の担当者のレベルアップも兼ね、各地方整備局の担当者が検査に同行する支援活動も近く開始する。省内外の協力・連携を深めて体制を強化。法令順守の意識向上とトラブルの未然防止につなげる。」(『建設工業新聞』2010.10.25)
●「都内の自治体で福祉関連施設を民営化する動きが相次いでいる。東京都練馬区は4カ所の特別養護老人ホームを2011年度に民営化し、足立区は8カ所の保育所の民営化を順次進める計画だ。企業などによる自主的な経営が実現することで利用者のニーズを満たす様々なサービスを提供できるようになる一方、自治体は人件費などを削減できるとしている。」(『日本経済新聞』2010.10.26)
●「馬淵澄夫国土交通相は26日の衆議院国土交通委員会で、事業仕分け結果に沿った監理技術者資格者証の廃止に伴う建設業法の見直しの中で、『(建設業が)地域の担い手といった位置付けも、一つの観点としては必要ではないかと思っている』と答弁した。中川治衆議院議員の質問に答えた。国交委員会で中川議員は、『建設業では今、将来有望な職人が辞めている。技術力ある職人が日本から消える瀬戸際だ』など、建設業の厳しい状況を説明した上で、建設業法について『1949年に施行し、1971年に大改正した。抜本改正の時期にきているのではないか』と質問した。これに対し馬淵国交相は、『私も建設業に従事していたので、(状況は)よく分かる。厳しい経済環境で働く場として敬遠されているのも承知している』と現在の建設業の状況に理解を示し、『高度経済成長から維持管理の時代で、新しい公共事業の担い手として建設業のあり方は議論されるべきだ。地域の再配分機能を社会資本整備は果たさなければならない』と環境の変化を指摘。その上で、『これが意味するのは、建設業が地域の担い手であるということだ。その意味で、建設業法の見直しの中では、地域の担い手といった位置付けも、一つの観点としては必要ではないかと思っている』との見解を示した。」(『建設通信新聞』2010.10.27)
●「関税障壁などを取り除き、幅広い分野で自由化を実現する環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定(TPP)参加を巡る政府・与党の混乱が続いている。菅直人首相は11月中旬に横浜市で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前の11月上旬をメドに対処方針の閣議決定をめざすが、党内抗争も絡んで対立は先鋭化。初心を貫けるか、首相は厳しい立場に追い込まれている。TPPはシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が2006年に締結した。貿易や投資、人の移動など幅広い分野の自由化を目指す。すべての物品の関税を即時または10年以内に撤廃するのが原則で、通常の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)より参加のハードルが高い。米国やオーストラリアなど5カ国もTPPに参加する方向で交渉している。米国と日本が参加すれば締結国の中で大きな比重を占めるため、事実上の『日米FTA』になるとの見方も出ている。TPPに参加する場合は特定分野を除外して交渉を始めるのが難しいといわれる。日本が関税をかけているのは約5900品目で、その多くが無税となる可能性がある。TPPの経済効果については、3府省が27日にそれぞれの試算を提示した。内閣府の試算では、日本がTPPに参加すると実質国内総生産(GDP)が0.48〜0.65%増え、参加しないと0.13〜0.14%減る見通し。ただ経済産業省や農林水産省の試算とは大きく食い違っており、どの結果を採用するかで立場が分かれそうだ。」(『日本経済新聞』2010.10.28)
●「国土交通省は、アジアの新興国などで計画されている都市開発事業への日本企業の参入支援に乗りだす。経済成長や都市化が著しい複数の新興国を対象に、都市開発の方針や法制度、市場環境などを調査。これを基に、企業が事業参入の可否を判断するための留意点などをまとめた提言を来春までにまとめる。日本企業の高度な環境技術や開発ノウハウを生かした海外の都市開発市場への展開を後押しする。」(『建設工業新聞』2010.10.28)
●「政府の行政刷新会議は28日、事業仕分け第3弾の2日目の討議で公共事業予算を管理する社会資本整備事業特別会計を『廃止』と判定した。同特会を財源とするスーパ−堤防事業も『廃止』としたほか、道路整備など5事業で『10〜20%の予算圧縮』を求めた。民主党が掲げる『コンクリートから人へ』の方針を反映させたが、公共事業関連予算の大幅削減には反発も予想される。…社会資本整備事業特会の5勘定のうち港湾整備など4勘定を一般会計化すると結論づけた。」(『日本経済新聞』2010.10.29)

労働・福祉

●「建設経済研究所は19日、建設産業の雇用や人材育成などに関する実態調査の結果を公表した。雇用については、直近5年間で約5割の企業が正社員数を削減。人材育成に関しても、技能者教育を自前から外部教育機関の利用に切り替える割合が高く、各社がコスト削減や業務の効率化に取り組んでいることが分かった。就業者が高齢化する一方で、若年入職者が減り続けている構造を早急に改善するための施策を打ち出す必要性も指摘している。調査は、経営事項審査を受けた企業から無作為に抽出した3000社を対象に実施した。回答率は24.8%。直近5年間の正社員数の傾向については、47.0%の企業で減少傾向にあり、41.4%の企業が横ばいと回答した。減少傾向と回答した大手企業(資本金10億円以上)は65.1%を占め、非常に高い割合を示している。人員整理についても4社に1社が実施中で、特に大手企業は2社に1社の割合で実施されていた。」(『建設工業新聞』2010.10.20)
●生活保護受給世帯が2009年度に月平均で127万4231世帯に上り、9年連続で最多を更新したことが20日、厚生労働省の福祉行政報告例結果で分かった。前年度より12万5465世帯(10.9%)増と大幅に増えており、同省は「リーマン・ショック以降の不況で失業した現役世代の生活保護申請が急増した」とみている。報告によると、生活保護を受けた実人数は月平均176万3572人で、前年度より17万952人増加した。65歳未満の現役世代失業者らは41.5%増の17万1978人と急増した。(『しんぶん赤旗』2010.06.24より抜粋。)

建設産業・経営

●「東京商工リサーチがまとめた2010年8月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比6.2%減の313件となり、14カ月連続して前年同月を下回った。依然として『景気対応緊急保証制度』や『中小企業金融円滑化法』などの政策効果が続いている。ただ、こうしたなかで前年同月比の減少率が3月の4.4%減以来、5カ月ぶりに1桁台となり、地区別倒産件数は9地区のうち東北、中部、北陸、四国、九州の5地区で前年同月を上回り、今後の動向が注目される。負債総額は、10.0%減の429億8600万円。平均負債額は4.1%減の1億3700万円となった。」(『建設通信新聞』2010.10.18)
●「事業量の減少に伴い市場環境が変化し、建設業の元請・下請取引にも変化が生じていることが、建設経済研究所の調査で明らかになった。かつては特定の元請・下請が継続的取引を行う傾向にあったが、元請は新規業者を含めコスト優先で下請を選定。下請も特定の元請を決めずに取引先を広く求め、仕事量の確保に努めるようになってきたという。合理性のみを追求して一元的取引が増えればさまざまな弊害も懸念され、同研究所は建設産業全体の将来を考えた元請・下請のパートナー関係の再構築が必要と強調している。調査結果は、同研究所が19日に発表した『建設経済レポート』に掲載されている。今年7月に3000社を抽出してアンケートを実施。745社から回答を得た(回収率24.8%)。」(『建設工業新聞』2010.10.20)
●「日本建設業団体連合会(日建連)の野村哲也会長は20日の理事会後の記者会見で、社会の利便性が高まり、国民からみて望ましい社会資本の整備などに関する提言を検討していく方針を表明した。野村会長は、『内需も輸出もバランス良くならないと(日本経済は)成り立たない』と指摘し、そのために『日建連として提言や提案をしていく』と語った。提言をまとめる時期は未定としたが、国民がぜひともやってほしいと望むような取り組みや、発注者や国民が重要性に気付いていないような取り組みについて、建設業界の立場から国土交通省などに提案したいとの考えを明らかにした。」(『建設工業新聞』2010.10.21)
●「海外建設協会(海建協、竹中統一会長)は、10年度上半期(4〜9月)の会員企業45社の海外受注実績をまとめた。受注件数は計814件で、総受注額は3709億円(前年同期比24.0%増)だった。件数、受注額ともにプラスに転じており、海建協は08年秋のリーマンショック以降の低迷は底を打ったとみている。現地法人による受注が前年同期の2倍起と大きく伸びたのが特徴で、米国、東欧、アジアで大幅増となった。日系企業が発注した工場関連工事の受注が好調で、円高対策として日本のメーカーが生産拠点の海外移転を進めていることが背景にあるという。」(『建設工業新聞』2010.10.22)
●「国土交通省は、地方・中小建設会社の海外展開を支援するため、専門家によるアドバイザリー事業や全国セミナーを実施する。政府が新成長戦略で掲げるインフラ技術の輸出拡大策の一環で、自社の技術やノウハウを生かして海外進出を考えている建設会社に対して専門家が助言・指導する相談窓口を25日に設置した。11月から12月にかけて全国5カ所で海外市場の現状や実際の進出事例などを説明する『海外展開セミナー』も開く。海外進出の意欲と競争力を備えた企業の進出を後押しする。」(『建設工業新聞』2010.10.26)
●「大手ゼネコンの間で2011年3月期(中間)決算の業績予想を増益修正する動きが相次いでいる。26日までに、上場大手ゼネコン4社中、大林組、大成建設、鹿島の3社が業績修正を発表。3社とも工事進捗の遅れなどから売上高は減少するものの、工事利益率が改善するため、営業利益や経常利益を上方修正する動きで共通している。売上高は、各社とも前年同期実績より低めに見積もった期初予想から、さらに減少する見通し。3社の下げ幅は8.7%−10.0%。一方、利益率の改善は『資機材費の低下、工事の追加や変更など』(鹿島)や、『販管費の削減が順調に進む』(大成建設)ことなどが主な要因だ。大林組は、完成工事総利益率を期初から2.1ポイント増の7.7%に修正した。当初は土木、建築ともに5.6%と予想していたが、土木が10.7%、建築は6.7%に改善する見通し。大成建設は、9.2%を見込んでいる。土木は5.5%だが、建築が10.5%となり、全体を底上げする。鹿島は、期初から4.6ポイント増の10.9%。土木が11.7%、建築が10.5%と、土建ともに2桁台に達する見通しだ。純利益は、鹿島が期初予想の8倍を超える161億円に修正したほか、大成建設も73.3%の増加を予想。一方、有価証券評価損などによって53億円の特別損失を計上する大林組は、期初から60.0%の減少となる。大林組が11月9日、清水建設が10日、鹿島と大成建設が11日に11年3月期第2四半期(中間)決算の発表が予定されている。」(『建設通信新聞』2010.10.27)
●「大手化学メーカーの積水化学工業と三井化学は26日、そろって連結業績予想を上方修正した。積水化学は好調な住宅部門が業績を押し上げ、三井化学は自動車生産の回復を受けて石化関連部門の採算が改善した。いずれも政府の経済対策の効果が収益の押し上げに寄与した。積水化学が発表した2011年3月期の業績予想は売上高が前期比8%増の9270億円、純利益は89%増の220億円。従来の純利益予想は175億円で、45億円の上プレとなった。修正の要因は住宅部門の業績改善だ。政府の経済対策の一環として継続実施されることになった住宅ローンの金利優遇策などを追い風に、4〜9月期の新規住宅受注(棟数ベース)が前年同期に比べて9%増えた。住宅に使う部材のコスト削減を進めたほか、太陽光発電システムの設置などリフォーム事業も順調だった。一方、三井化学は4〜9月期予想を上方修正した。連結最終損益は前年同期の313億円の赤字から171億円の黒字に転換し、利益額は従来予想を31億円上回った。」(『日本経済新聞』2010.10.27)
●「高速道路会社がアジアを中心に海外事業を強化する。橋の維持管理などの技術支援や、日本式の自動料金収受システム(ETC)などを売り込む。道路の設計や建設、運営を一括で請け負う大型案件への参画も狙う。国内で道路建設などの事業が縮小するなか、海外事業を新たな収益源に育てる。東日本高速道路はETCやカーナビ、電光掲示などを駆使して渋滞を防ぐ高度道路交通システム(ITS)をインドの環状道路に導入するのを支援する。コンサルティング会社と共同で国際協力機構(JICA)から約1億8000万円で事業を受注した。ETCなどの売り込みも加速する。中日本高速道路はべトナムで橋の設計や維持管理を支援する事業を始めた。研修や維持管理のマニュアル作りも進める。同国政府からの受注額は日本円で約1億7000万円。西日本高速道路は米国で、老朽化の進む橋を赤外線やハイビジョンカメラで検査する事業への参入を目指す。道路建設など大型案件への参画を狙い、現地事務所を開設する動きも目立つ。東日本高速はインドのニューデリー近郊のグルガオンに事務所を新設した。西日本高速はインドネシアに開設する予定。中日本高速はベトナムでハノイに次ぐ2カ所目の拠点を検討中だ。」(『日本経済新聞』2010.10.27)
●「バナホームは27日、2011年3月期の連結純利益が前期比36%増の33億円になりそうだと発表した。従来予想を7億円上回る。住宅ローン減税や住宅エコポイント制度など政府の消費刺激策が追い風となり、主力の戸建て住宅販売が想定以上に伸びる。不採算だった住宅展示場の統廃合などコスト削減も寄与する。」(『日本経済新聞』2010.10.28)
●「100年以上改正されなかった民法(債権法)の抜本的大改正へ向け27日、民主党も議論を開始した。設計から工事、維持補修まであらゆる契約の最上位法律である民法改正の動向によっては、官民発注者と建設産業界との関係、商慣習が大きく変わる可能性もある。すでに法務省内では、委任・請負など契約に関する権利・義務や瑕疵(かし)担保責任期間の見直し、損害賠償範囲のほか、新たに下請負人の直接請求権付与などが議論の検討項目に挙がっていた。民主党は今後『債権法改正はあらゆる省庁、経済界、消費者に関係するため幅広く集中的に議論していく』(民法債権法検討ワーキングチーム=WT=座長の前川清成参議院議員)方針。」(『建設通信新聞』2010.10.28)
●「大和ハウス工業の2010年4〜9月期の連結純利益は前年同期比31%増の280億円程度になったもようだ。従来予想(34%減の140億円)から一転して大幅な増益となる。住宅版エコポイントや住宅ローン減税など政府の景気浮揚策が追い風となり、戸建て販売が想定以上に伸びた。4〜9月期の好調を受けて、適期見通しを上方修正する公算が大きい。」(『日本経済新聞』2010.10.29)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は、18日に開いた社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長・越澤明北大大学院教授)で、住宅リフォームの市場規模について6兆円程度と推計。日本の住宅投資に占めるリフォームの割合は27.3%で欧米諸国と比べて小さく、住宅滅失までの年数も英国や米国の半分以下となっている。住宅リフォームの市場規模は、10平方メートル以上の床面積の増加を伴う工事が約1.0兆円、10平方メートル未満の床面積の増加を伴う工事が約0.1兆円、設備の維持修繕費が約3.6兆円で計約4.7兆円。これに共同住宅の修繕工事約0.4兆円、賃貸住宅のリフォーム約1.3兆円を加え、総額6兆円と推計している。」(『建設通信新聞』2010.10.19)
●「住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、リフォーム相談の実施状況をまとめた。2009年度のリフォーム相談件数は3252件で、4年ぶりに増加し、悪質リフォームが社会問題化した05年に次ぐ件数になった。10年度上期(4−9月)も2412件で前年同期比161%増と前年度を大幅に上回るペースで増加している。同センターでは、ことし4月に『リフォーム見積相談』と『専門家相談(リフォーム)』を新たに開始。相談件数の増加について『知名度が高まってきた』とみている。リフォーム相談の不具合事象は、これまでと同様に『雨漏り』が1位。次いで、塗装や外装材などの『はがれ・外れ』、配管などからの『漏水』の順となっている。」(『建設通信新聞』2010.10.25)

その他