情勢の特徴 - 2010年12月前半
●「国土交通省がまとめた10月の建築着工統計調査報告によると、新設住宅着工戸数は前年同月比6.4%増の7万1390戸で、5カ月連続の増加となった。貸家が減少したものの、分譲住宅が37.1%増、持ち家が10.4%増と前年同月比増加が続いている。ただ、総着工戸数は10月として過去2番目の水準で、国交省は『足元では持ち直しの動きが見られるものの、依然として低い水準が続いている』(総合政策局建設統計室)との見方を変えていない。」(『建設通信新聞』2010.12.01)
●「公正取引委員会は、独占禁止法で規定されている『優越的地位の濫用』を適用しやすくするためのガイドラインを公表した。建設業界でこれまで問題視されてきた、下請け額の減額や設計変更などによる増額分拒否、元請積算による一方的な単価設定などについても、独禁法違反に当たる可能性があるものを細かな想定例で示しているのが大きな特徴。すでに2009年の改正独禁法で優越的地位の濫用にも課徴金が導入されており、今回のガイドライン策定で下請保護政策がより強化された格好で、元・下関係の是正につながる可能性がある。」(『建設通信新聞』2010.12.03)
●財務省が2日発表した7〜9月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資額は前年同期比5.0%増の9兆5550億円だった。四半期ベースでは14期ぶりに増加した。また経常利益は54.1%増、大企業が78%増と大きく伸ばした。売上高は6.5%増と3期連続の増収増益。エコカー需要の増加や、中国などアジア向け輸出の増加が企業動向の改善につながった。ただ、設備投資額はリーマン・ショック前の2007年7〜9月期の水準の7割にとどまる上、前期比(季節調整済み)では経常利益が横ばい、売上高は8.1%減少した。(『しんぶん赤旗』2010.12.03より抜粋。)
●「政府が新成長戦略で掲げるパッケージ型インフラの海外展開に向け、企業の受注活動を後押しするための金融支援策の検討が民主党内で始まった。民主党の成長戦略・経済対策プロジェクトチーム(PT)は、2日に開いた会合で国際協力銀行(JBIC)や関係企業からヒアリングを実施。各社からは外国為替資金などを活用した超大型案件への融資の仕組みづくりや、先進国向け融資枠の一層の拡充などの要望が出された。同PTは今回の意見を参考に、政府系金融機関の海外インフラ向けの金融支援強化策を年内にまとめ、政府に実現を働き掛ける。」(『建設工業新聞』2010.12.03)
●「国土交通省が成長戦略として掲げる大都市イノベーション創出戦略と、地域ポテンシャル発現戦略の具体策が明確になってきた。国土審議会政策部会国土政策検討委員会に設置した3つの検討グループのうち、大都市圏戦略と地域戦略の両検討グループは、2日までに検討結果の報告素案をまとめた。大都市圏戦略は、『戦略指針』と『戦略』の2層体系とし、実施主体として新たな官民連携主体の役割の明確化などを提示している。また、地域戦略では、国が認定した行政、民間が共同して組織する『地域連携協議会』が地域戦略を策定し、地域づくりの計画から実行までを一貫して進めるスキームを提示している。新しい公共を加えた3つの検討グループは22日の国土政策検討委員会に検討結果を報告、審議し、2011年1月13日に同委員会として最終報告案をまとめる予定だ。」(『建設通信新聞』2010.12.03)
●「企業の国内への投資を促進し、新たな雇用を創出するための『日本国内投資促進プログラム』が先月末に策定された。今年8月、政府の新成長戦略実現会議に設置された国内投資促進円卓会議(議長・大島章宏経済産業相)が、今後半年から1年の間に実施するべき対応策を検討してきたもので、企業の立地や投資の障壁を無くし、企業の負担軽減につなげる『企業立地促進総合プラン』などを打ち出した。立地関連規制の見直しでは、建築基準法や工場立地法などに関わる課題も盛り込まれ、11年3月までに具体的方針を決める予定だ。」(『建設工業新聞』2010.12.06)
●「日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)で、企業の足元の業況感は市場予想ほどは悪化しなかったが、景口気の回復が足踏みするなか、先行きへの慎重姿勢は強まっている。政策効果の息切れや長引く円高を背景に企業マインドが一段と冷え込めば、設備投資や雇用に波及し、足踏み傾向が長期化するリスクをはらんでいる。大企業製造業の業況判断指数(DI)は、足元がプラス5で市場予想をやや上回ったものの、3カ月先の見通しを示す『先行き』は市場予想を下回るマイナス2まで落ち込んだ。生産や輸出の減速傾向が見え始め、7期ぶりにDIが悪化した足元よりも、業況がさらに厳しくなると身構える企業が増えている。」(『日本経済新聞』2010.12.15)
●「日銀は14日、10月の追加金融緩和策の一環で設けた基金で、上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の買い取りを15日以降に始めると発表した。同基金による資産買い取り(総額5兆円)は順次開始しており、未着手だったETFとREITの購入で全面稼働する。リスク資産への投資マネー流入を促す『呼び水効果』を狙った措置で、マーケットでは日銀の購入開始を前に先回りした買いが活発になっている。」(『日本経済新聞』2010.12.15)
●「国土交通省は、空家をリフォームして、子育て世帯や高齢者世帯、障害者世帯に賃貸住宅として供給する場合に、リフォーム費用を最大100万円まで補助する『住宅セーフティネット整備推進事業』を実施する。補正予算の成立が前提だが、12月上旬には全国で事業者向け講習会を開催。空家対策と組み合わせた住宅セーフティネットの整備を狙う。補助対象の住宅は、戸建・共同問わず、床面積が25u以上の空家が1戸以上あり、改修工事後に賃貸住宅として管理することが条件。耐震、バリアフリー、省エネルギーのいずれかを含む改修工事が対象になる。補助額は改修工事費用の3分の1で、1戸あたり100万円が上限。ただし、改修した賃貸住宅は、10年間は規定に従い管理することが必要(事業者が賃貸人でない場合は賃貸人との約定が条件)。▽リフォーム後の最初の入居者を住宅確保要配慮者とすること(募集開始から3カ月以上の入居者を確保できない場合は、そのほかの者を入居させることもできる)▽住宅確保要配慮者の入居を拒まないこと▽地方公共団体や居住支援協議会から要請された者を優先的に入居させるよう努めるとなっている。住宅確保要配慮者は@子育て世帯(同居者に18歳未満の者がいる世帯)A高齢者世帯(60歳以上の単身者、60歳以上の者とその配偶者等)B障害者等世帯(入居者か同居者に身体障害者、精神障害者等がいる世帯)C収入が21万4000円を超えない者――としている。」(『日本住宅新聞』2010.11.25)
●「官民連携による地域戦略の制度創設を検討している国土審議会政策部会国土政策検討委員会地域戦略検討グループ(取りまとめ役・辻琢也一橋大大学院法学研究科教授)は1日に報告素案をまとめた。これまでのように個別具体の地方計画や事業に国が関与する姿勢を転換し、地域づくり計画から実行までを一貫して推進する官民連携組織となる『地域連携協議会』を創設。国土交通大臣が団体認定した上で、策定した地域戦略に沿って地域づくりを進める。国は、社会資本整備総合交付金の交付や、地域戦略推進のための予算支援などを想定している。報告素案は、▽地域の官民による内発的連携の必要性▽官民連携組織のあり方▽国の役割――など6章で構成。」(『建設通信新聞』2010.12.03)
●「国土交通省は来年から独立行政法人の都市再生機構(UR)が保有する賃貸住宅を民間企業や個人に売却する方針を固めた。家賃が月15万円以上などの高額物件を対象に、数年かけて最大約2万6000戸を販売する。民間よりも安いとされる家賃の引き上げも検討する。機構が抱える膨大な債務を圧縮して経営の効率化を目指すが、居住者からの反発も予想される。…URが保有する賃貸住宅は約76万戸。家賃が月15万円以上の高額物件は約2万6000戸あり、このうち約6000戸は月20万円以上の物件だ。…来年中に首都圏を中心に数百〜数千戸、数年以内には最大2万6000戸を一般競争入札にかける方針だ。」(『日本経済新聞』2010.12.05)
●川崎市議会総務委員会は9日、市発注の工事や業務委託で公正な賃金を確保することなどを目的にした公契約条例案を全会一致で可決した。15日に開かれる本会議で可決・成立する見通し。来年4月1日施行予定。同条例制定は政令市では全国で初めて。川崎建設労連、土建川崎協議会、建設横浜川崎支部、川崎労連が繰り返し、制定を要求してきた。…条例案は、施策の基本方針に「市内中小企業者の受注機会増大を図る」「事業実施に従事する者の労働環境整備を図る」などが盛り込まれ、一部の工事請負、業務委託契約に従事する労働者に支払われる賃金の下限額を定めている。(『しんぶん赤旗』2010.12.10より抜粋。)
●「馬淵澄夫国土交通相は14日の閣議後の記者会見で、建設産業の再生方策について議論する有識者会議『建設産業戦略会議』を設置すると発表した。初会合を17日に省内で開く。公共工事削減と民需低迷による市場縮小で厳しい経営を強いられている地域建設業の再生策を中心に、建設産業全体の今後のあり方について議論する。地域の建設業者に公共投資をきめ細かく配分する方策などが議題に挙がる予定だ。来年1月初旬に建設産業戦略の基本方針を策定し、来年6月に最終とりまとめを行う。…馬淵国交相は会見で、『公共事業、社会資本整備の本来の役割の一つに地方への再分配機能というものもある』とした上で、『(建設市場が縮小する中で)地域のコミュニティーや産業で重要な役割を担う地域建設業の疲弊は目を覆うばかり』と特に地方建設業の厳しい現状に懸念を表明した。…議論の方向性については『社会資本整備のパイが拡大していく中での配分ではなく、地域の末端の産業にも行き渡る公共投資の再配分などに関して真っ正面から議論したい』と述べた。」(『建設工業新聞』2010.12.15)
●「厚生労働省が11月30日に公表した『10月勤労統計調査』で、これまで月間実労働時間が170時間を超えている建設業と運輸・郵便業のうち、建設業だけが月間実労働時間が前年同月比で増加したことが分かった。労働時間の増加率は、月間現金給与額の伸びを上回っており、厳しい経営環境を反映して労働環境の『きつさ』も拡大した格好だ。厚労省の10月勤労統計(事業所規模5人以上)で、建設業の総実労働時間は前年同月比0.7%増の172.2時間となった。170時間を超えたのは、建設業を除けば174.3時間の運輸・郵便業だけ。ただ運輸・郵便業は0.3%減とわずかながらも総実労働時間は減少した。…10月調査で建設業は、所定内労働時間と所定外労働時間、さらには出勤日数すべてが前年同月と比較して増加した。」(『建設通信新聞』2010.12.01)
●「総務省が11月30日に公表した10月の労働力調査で、建設業就業者は前年同月比23万人減の493万人となったことが分かった。全体の就業者数は前年同月と比べ15万人増の6286万人と2カ月連続の増加となった。主要産業就業者数の前年同月比較で、建設業の23万人減は最大。…また企業に雇用される雇用者も10月の建設業雇用者数は前年同月と比較して19万人減の402万人となった。建設業からの離職では、一人親方なども含まれる就業者数の大幅減少が指摘されてきたが、雇用者数も就業者数と同様の離職状況にある。一方、完全失業率(季節調整値)は5.1%と前月比0.1ポイント悪化した。悪化は4カ月ぶり。」(『建設通信新聞』2010.12.01)
●「国土交通省がまとめた10月の建設労働需給調査によると、主要6職種平均の過不足率が0.5%(プラス数値が大きいほど技能労働者が不足)で前月より0.4ポイント不足感が拡大した。特に、型枠工(建築)と鉄筋工(建築)の不足感が強い。今夏から始まった一部職種での技能労働者不足は酷暑が原因との声があったものの、暑さが引けた10月も不足が続いており、構造的な技能労働者不足が顕在化してきたとも言えそうだ。職種別では、型枠工(建築)が前月より0.5ポイント不足感が強まり2.0%、鉄筋工(建築)が前月より0.2ポイント不足感が強まり0.9%となった。両職種とも、7月から4カ月連続の不足となった。とび工は前月より1.1ポイント過剰感が改善してマイナス0.4%、左官も前月より0.1ポイント過剰感が改善してマイナス0.6%と、ともに改善に向かっている。」(『建設通信新聞』2010.12.01)
●「登録基幹技能者の育成が職人の処遇と地位向上につながる−。このスローガンの下、建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)が加盟団体に対し、登録基幹技能者の育成事業の推進と発注者・元請企業への活用の働き掛けを強力に行うよう訴えている。その背景には、公共発注機関が総合評価方式の入札で評価項目として登録基幹技能者を活用し始めたことや、大手ゼネコンの間に優秀な職人を評価、優遇する動きが出てきたことがあり、同時にこの機を逃すと職人の地位向上はできないという危機感もある。『登録基幹技能者の処遇と地位が向上すれば、これに続こうと若い職人たちが定着し、職人を目指す人も入ってくる』と才賀会長。建専連では、これからが正念場として登録基幹技能者の周知活動を積極的に展開していく方針だ。」(『建設工業新聞』2010.12.03)
●「職離れや若年者の入職者数減など建設技能労働者確保の必要性が叫ばれる中で、国土交通省が『建設技能労働者の人材確保のあり方に係る検討会』(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大工学部教授)を立ち上げ、対策の検討を始めた。すでに一部職種では技能労働者不足が顕在化し、抜本的な対応策が求められる中で、検討会の議論に注目が集まっている。検討会では、9月30日から10月19日にかけて元請企業12社(日本建設業団体連合会関係8社、全国建設業協会関係4社)、専門工事業団体12団体に対し、人材確保についてヒアリングを実施した。ヒアリングによると、元請企業と専門工事業団体ともに将来的な技能労働者不足や優秀な職長を確保する必要性については共通の認識となっている。」(『建設通信新聞』2010.12.06)
●「東京都港湾局東京港管理事務所は、造園工事の入札参加資格要件に登録造園基幹技能者の現場常駐を初めて義務付けた。都が初めて同制度を活用したことで基幹技能者の認知度向上に弾みがつく。ただ、都が全庁的に基幹技能者制度を活用するためには超えるべきハードルは多い。『港湾局としての明確な方針のもとに参加条件に入れたわけではない。試行的に導入した今回の結果を受けて必要があれば検討したい』(東京港管理事務所)というように、資格者の絶対数が不足していることや社会的認知度の低さなど、都庁内にも賛否さまざまな声があり、基幹技能者の適正評価、同制度の普及拡大には、まだ時間がかかりそうだが、大きな一歩となったことは確かだ。」(『建設通信新聞』2010.12.08)
●「完成工事高に占める維持修繕工事の割合が中小建設業者ほど高くなっていることが国土交通省の調べで明らかになった。08年度時点の完工高に占める新設と維持修繕の工事額の割合をみると、完工高500億円以上の企業の維持修繕額が全体の15%だったのに比べ、完工高1億円未満の企業の維持修繕額は49%と大幅に高かった。国交省は建設市場の縮小で経営が悪化する地方の中小企業対策の生き残り策の一つとして、ストック市場への進出を支援しており、今回の調査結果からも有望市場であることがみてとれる。」(『建設工業新聞』2010.12.02)
●「国内の住宅市場が伸び悩むなか、大手住宅メーカーの海外進出が相次いでいる。ターゲットは中国やタイなど経済成長が著しく、消費者の所得水準が向上する新興国だ。現地の富裕層などに、品質面で優れた日本の住宅需要が膨らむとみている。日本の大手住宅メーカーの特徴は工場を駆使した工業化住宅。部材の大量生産などでコストを下げる一方、製品管理の技術にも定評がある。日本国内では四季による寒暖の差や湿度への対応も欠かせないことから、品質や施工のレベルも高いとされている。」(『日本経済新聞』2010.12.04)
●「東栄住宅は3日、2011年1月期の連結純利益が前期比2倍の68億円になる見通しだと発表した。従来予想は57億円。住宅ローン減税や贈与税の非課税枠の拡大、低金利などの政策効果で、戸建て住宅の販売が計画を上回る。業績好調を受け、11年1月期の期末配当を従来予想より15円増やす。記念配当10円を含めると、年間配当は55円になる。売上高は13%増の915億円の見通しで、従来予想を61億円上回る。戸建て住宅の売上計上戸数が計画を上回ることが主な要因。営業利益は2.9倍の87億円の見通しで、予想より19億円増えそう。増収に加え、住宅の建設費や用地の仕入れ価格が計画を下回る。販売が好調なため、広告宣伝費なども見込みより少なくなる見通し。前期に計上した棚卸し資産の評価損がなくなり大幅増益になる。」(『日本経済新聞』2010.12.04)
●「日揮と積水ハウスはサウジアラビアでの住宅事業で提携する。断熱性に優れた建材で省エネルギー効果を高めた住宅を、現地の中所得者層などに販売する。酷暑などで空調コストがかさみがちな中東に、日本の強みである省エネのノウハウを売り込む。」(『日本経済新聞』2010.12.04)
●「民間信用調査機関の東京商工リサーチは8日、11月の建設業倒産(負債額1000万円以上)件数を公表した。11月の建設業倒産件数は、前年同月比5.1%減の275件で、17カ月連続で前年同月を下回った。倒産抑止が続いていることについて、東京商工リサーチは『緊急保証制度や中小企業円滑化法など政策効果が続いている』と分析している。2010年計でも過去3年続いた4000件台を下回るのは確実で、建設業倒産の抑止が鮮明になりつつある。」(『建設通信新聞』2010.12.09)
●「国土交通省の建設工事受注動態統計調査報告(速報値)によると、10月単月の元請受注高合計は、前年同月比2.6%減の2兆2450億円と2カ月連続で落ち込んだ。日本建設業団体連合会が会員企業48社を対象に調査した10月単月の受注実績結果も13.2%減の5250億円と2カ月連続で前年同月を下回っており、ともに民間は上向いたものの、公共機関・官公庁が大きく落ち込んだ。」(『建設通信新聞』2010.12.10)
●「積水ハウスが9日発表した2010年2〜10月期連結決算は、最終損益が135億円の黒字(前年同期は106億円の赤字)だった。住宅版エコポイントや住宅ローン減税などの政策効果で、主力の戸建て住宅の販売が伸びた。前年同期に滋賀工場閉鎖に伴う特別損失約45億円を計上した反動もあり、収益は大幅に改善した。売上高は前年同期比17%増の1兆604億円と、2〜10月期としては2期ぶりに1兆円台を回復した。注文型の戸建て・賃貸住宅は事業売上高が前年同期から4割近く拡大。…営業損益は292億円の黒字(同90億円の赤字)、経常損益は291億円の黒字(同94億円の赤字)に回復した。受注増加で工場稼働率が改善し、粗利益率は16.9%と前年同期から1.6ポイント高まった。11年1月期の連結業績については、売上高が前期比9%増の1兆4750億円、最終損益が300億円の黒字(前期は292像円の赤字)との従来予想を据え置いた。」(『日本経済新聞』2010.12.10)
●「中小の住宅会社が省エネルギー住宅を相次ぎ投入している。太陽光発電システムや家庭用燃料電池といった機器に頼らず、建物の断熱性や気密性、採光の工夫などで省エネを実現。最先端の機器利用を前面に出す大手との違いを訴える。住宅エコポイントなどで拡大する需要に対応しつつ、価格が上がりすぎないようにして、資金に余裕のない顧客層を掘り起こす。分譲住宅の創建ホームズ(東京・杉並、矢箆原祐介社長)は内断熱と外断熱を組みわせ、断熱・気密性能を従来比4割高めた新商品『心地家(ココチエ)』を発売した。暖房した熱を逃さないように、排気時の熱を回収する換気もつけ、エアコン1台で家全体の温度を快適に保てるという。…注文住宅中堅のアキュラホーム(東京・新宿、宮沢俊哉社長)は主力の『OPTIS』を刷新しエコ機能を標準仕様にした。長い軒の出を周囲に配置して日差しを制御する。年間を通して直射日光が入る東西側には熱を遮断するガラスを取り付け、太陽の高度が低い冬場のみ日があたりやすくなる南側は通常の複層ガラスにして、日射熱を効率的に取り入れる。…エヌ・シー・エヌ(東京・港、田鎖郁男社長)も太陽光や風を活用する自然共生型の住宅の取り扱いを始めた。来年3月末までに、登録施工店を通じて100棟分の販売を計画。蓄熱材などの部材も開発し、来年初めにも発売する。医院建築などが主力の建築舎(東京都八王子市、斎藤敏晴社長)は『パッシブハウス』と呼ぶ省エネ住宅の展開を開始。ドイツの研究所から性能保証を取得した。高気密・高断熱が特徴で、換気も工夫。価格は約3.3平方メートルあたり82万円で、各地の工務店にも建築のノウハウを提供して普及を目指す。」(『日本経済新聞』2010.12.15)
●欧州では各国の緊縮政策に対し、反対運動が広がっている。欧州労連(ETUC)が9月の第1次統一行動に続き、12月15日を中心に呼びかけた第2次統一行動として、17カ国の労組がデモ・集会、ストなどを計画、あるいはすでに実施している。欧州労連は欧州各国で実施されている赤字削減、緊縮政策が欧州全体の景気後退や失業、賃下げを生むと反対。代案として景気刺激のための大規模投資や、欧州連合共通の債券を発行して財政の弱い国をカバーすることなどを求めている。(『しんぶん赤旗』2010.12.12より抜粋。)