情勢の特徴 - 2010年12月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●菅直人内閣は16日、歳出の大枠を71兆円とする2011年度予算編成の基本方針と11年度税制「改正」大綱を閣議決定した。基本方針は、社会保障の「必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進め、11年半ばまでに成案を得(る)」と明記した。菅内闇として、社会保障財源を口実に消費税増税を含む税制「改革」案を11年半ばまでに取りまとめる方針を示したもの。(『しんぶん赤旗』2010.12.17より抜粋。)
●「政府は21日、2011年度予算案の『日本復活特別枠』を2.1兆円とする方針を固めた。当初想定の1.3兆円から増額する。羽田、成田など首都圏空港の整備事業や高速ブロードバンドの普及、若年層向け雇用対策などを盛り込む考えだ。ただ特別枠には成長戦略などに関係ない予算も4000億円以上計上されており、成長促進や雇用安定への即効性は不透明だ。特別枠は新成長戦略やマニフェスト(政権公約)政策などに予算を重点配分する枠組み。国土交通省は特別枠を使って首都圏空港の機能強化をめざす。羽田空港の発着枠拡大に向けて飛行機の駐機場を整備したり、滑走路を延長したりする事業について、特別枠以外も含めて数百億円以上が計上される見込みだ。…農林水産省の関連では、戸別所得補償の畑作部分について、1024億円を計上する。一定規模以上の森林を管理する事業者を支援する制度など『森林・林業再生プラン』関連は約300億円。…経済産業省の政策では、特別枠以外も含めてインフラ輸出関連で数百億円が盛り込まれる見通しだ。…特別枠には最低賃金の引き上げ事業も盛り込まれる。全国で最低800円という目標を達成するため、最低賃金が680円を下回る地方の中小企業を支援。賃上げを計画する企業に奨励金などを拠出する。11年度予算案の特別枠には小学校教員の人件費や在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)といった削減が難しい予算が少なくとも4000億円程度は盛り込まれる見通し。既存予算の看板をかけ替えて特別枠に計上する事例もある。」(『日本経済新聞』2010.12.22)
●「東京市場は30日、2010年の取引を終えた。外国為替市場で年平均の円相場は1ドル=87円75銭に上昇、1973年の変動相場制移行後で初めて80円台となった。欧州の財政不安や米国の金融緩和観測で円買いが進行。一服感のあった円買いは年末にかけ再び強まり、さらなる円高に警戒感も出ている。」(『日本経済新聞』2010.12.31)

行政・公共事業・民営化

●「政府の地域主権戦略会議(議長・菅直人首相)は16日、出先機関改革のアクション・プランを決定した。出先機関の事務・権限をブロック単位で移譲する受け皿となる広域行政制度を整備するため、2012年通常国会に法案を提出する。14年度中に事務・権限を広域行政に移譲する。広域行政制度は、既存の広域連合制度を活用する諸課題について検討した上で、整備する。ブロック単位で都道府県などとは異なる広域の行政体をつくる考え方。…広域行政体に既存の出先機関の事務・権限をすべて移譲することを基本とし、広域で意思統一が図られた地域から順に移譲する。移譲される事務・権限に必要な財源を固から移転しつつ、税源の移譲についても『検討する』と明記した。直轄道路・河川については、一つの都道府県内で完結する一般国道や一級河川を移管する。それ以外の国道・河川は、すでに国と都道府県・政令市で移管に向けた協議が進んでおり、受け皿となる広域行政体が整うまでに協議がまとまれば、都道府県・政令市に積極的に移管する。事務・権限の移譲に伴って、人員の移管も必要となるため、総合的に調整する体制を整備する。」(『建設通信新聞』2010.12.17)
●「政府の地域主権戦略会議(議長・菅直人首相)は16日、第9回の会合を開き、『地域の自主性を確立するための戦略的交付金(一括交付金、地域自主戦略交付金)』の制度内容を決定した。ただ、『国と地方の協議』などで提示していた制度概要と大きく変更がなく、今後、早急に詳細な制度内容を提示するよう地方自治体から強く求める声が上がるのは必至とみられる。2011年度から地域自主戦略交付金となるのは、▽交通安全施設整備費補助金の一部▽消防防災施設整備費補助金▽学校施設環境改善交付金(仮称)の一部▽水道施設整備補助▽農村漁村地域整備交付金の一部▽工業用水道事業費補助▽社会資本整備総合交付金の一部▽自然環境整備交付金の一部――の8補助金・交付金。11年度は都道府県分の5000億円を配分する。市町村(政令市含む)分の5000億円は12年度から配分する。配分方法は、各地方自治体に外形基準という『客観的指標』に基づいて算定された上限額を設定した上で、地方単独事業の経費と国庫補助事業の地方負担分の合計額を示した実施計画に基づいて交付額を決定する『地域活性化・きめ細かな臨時交付金』を参考とする。…各地方自治体は、地域自主戦略交付金化する補助金・交付金の対象事業の範囲であれば、自由に事業を選択できる。ただし、事業規模の要件は設定する。…客観的指標の内容や、事業の事後チェックの方法、配分手続きなど制度の詳細はほとんど見えておらず、金額とおおまかな制度概要が決まっただけだ。このため、11年度予算の編成に向けて各都道府県から制度の詳細な内容を提示するよう強く求める声が上がるのは必至な状況だ。」(『建設通信新聞』2010.12.17)
●菅直人内閣は24日、2011年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額で92兆4116億円と10年度当初予算を1124億円上回り、過去最大となった。3年連続で国債発行額が税収を上回るなど、借金と税外収入に頼る予算案だ。…11年度予算案は、税収の見込み額40兆9270億円に対し、国債発行額を44兆2980億円と見込んだ。このうち、赤字国債は38兆2080億円と過去最大になった。…歳出では、三大都市圏環状道路整備など大都市圏の道路インフラ重点投資として1118億円を計上するなど、大企業支援を重点化した。「元気な日本復活特別枠」に2兆1000億円を配分した。そのうち、在日米軍への「思いやり予算」が1858億円を占めた。…11年度税制「改正」では、大企業・大資産家優遇税制を温存する。国と地方を合わせた法人実効税率は5%引き下げを実現。証券優遇税制については現行では11年末の期限を2年延長する。(『しんぶん赤旗』2010.12.25より抜粋。)
●「政府は24日の臨時閣議で、11年度予算案を決定した。国土交通省分の予算案(国費ベース)は総額5兆0010億円で、前年度比10%減。公共事業関係費も4兆2796億円と12%の減額となった。成長分野やマニフェスト(政権公約)関連施策に重点配分する『元気な日本復活特別枠』には4456億円が計上された。補助金の一括交付金化に伴う減額などもあり、厳しい予算編成となった。公共事業予算が減少する中、国土のミッシングリンク(未連結区間)解消や国際コンテナ戦略港湾の整備、予防的な治水対策の強化など、成長戦略分野に予算を重点配分する。国交省分の公共事業関係費の内訳は、治山治水が5909億円(前年度比4%減)、道路整備が9862億円(増減なし)、港湾空港鉄道等が3372億円(11%減)、住宅都市環境整備が4771億円(5%減)、公園水道廃棄物処理等が443億円(48%減)などとなっている。従来の社会基盤整備のほか、他の府省や民間との連携を強化した新たな枠組みでの事業展開も加速。PPPによる社会資本の整備・管理システムの導入促進や、官民連携による建設産業・鉄道システムの国際展開、大都市の国際競争力強化、医療・介護と連携したサービス付き高齢者向け住宅の供給促進などに取り組む。…現行の社会資本整備総合交付金の都道府県分のうち3760億円が内閣府計上の『地域自主戦略交付金(仮称)』に移行することなどもあって、減額圧力が強まった。…政府は、24日に閣議決定した11年度予算案に『地域自主戦略交付金(仮称)』の創設を盛り込んだ。社会資本整備交付金のうち、規模の小さい事業について新交付金に組み替え、全府省の投資補助金を一括交付金化するというもの。今回は都道府県分が対象となる。社会資本整備総合交付金についても、現行4分野を一つに統合する。…新交付金には5120億円、社会資本整備総合交付金には1兆7500億円をそれぞれ計上した。…このほか、維持管理費分の直轄事業負担金について、耐震改修など事業が10年度には残っていたが、11年度はこれらも廃止する。これにより、維持管理費分の直轄負担金は全廃されることになる。」(『建設工業新聞』2010.12.27)
●「川崎市市議会で、『公契約』規定を盛り込んだ契約条例の一部改正案が15日に可決された。工事発注などに当たって、労働者に市が決めた作業報酬下限額以上の支払いを義務付ける公契約の条例化は2009年9月に条例を制定した千葉県野田市に続き2例目で、政令市としては全国初となる。11年4月1日から施行する。…川崎市の条例適用範囲は、予定価格6億円以上の工事、規則で定める同1000万円以上の業務委託契約、指定管理者と締結する公の施設管理協定で、11年4月l日以降に公告する工事などに適用する。11年度の作業報酬下限額は公共工事設計労務単価、市の生活保護基準を参考に3月に決める。」(『建設通信新聞』2010.12.27)

労働・福祉

●「厚生労働省は16日、失業手当を2011年度中に引き上げる方針を決めた。失業手当は毎年改定されているが、07年度以降は引き下げが続いており、引き上げは5年ぶりになる。雇用情勢が引き続き厳しいうえ、最低賃金が上昇していることなどにも配慮した。…11年度は下限額を256円引き上げて1856円にする。上限額は30歳未満が6435円(290円増)、30〜45歳末満が7150円(325円増)、45歳〜60歳未満が7865円(360円増)となる。失業者が短期間で再就職したときに支給している『再就職手当』も増額する。現在は失業手当の残りの受給日数分の40〜50%に相当する額を給付しているが、来年度中に給付率を50〜60%に引き上げる。失業手当と再就職手当の引き上げによって、雇用保険は年間で約310億円の支出増となる見込みだ。」(『日本経済新聞』2010.12.17)
●「厚生労働省は20日、2011−15年度の5カ年を計画期間とする第8次建設雇用改善計画の策定に向け、議論のたたき台となる『建設労働問題に関する論点』案をまとめた。建設労働の課題として、@労働条件、労働環境A職業能力開発B若年労働者の確保C新分野対応支援などのその他――の4項目を掲げ、適正な価格での受注を推進する環境の整備や土曜閉所の推進、雇用関係の明確化、教育現場と連携した進路・職業指導などの取り組みが必要との考えを示した。…課題に挙げた労働条件と労働環境では、労働保険加入や教育訓練の必要性を前提とした適正な価格での受注を推進する環境整備について、関係者に理解を求め、改善する方策の検討が必要とした。また、若年者の入職・定着の推進とワーク・ライフ・バランスの観点から、長時間労働解消に向けた取り組みをより進めるべきとしている。…非自発的な『一人親方』というべき働き方が生じているとし、請負関係か雇用関係かを実態に即して区別し、雇用関係にあるときは、雇用関係を明確にして労働関係法令を適切に適用する必要性を指摘した。請負関係にある場合は、労働者災害補償保険の特別加入制度などの加入促進が必要としている。」(『建設通信新聞』2010.12.21)
●「『鉱業・建設業』の2020年の就業者数は、09年比で41万−169万人減少する――。労働政策研究・研修機構が政府の新成長戦略の目標値を踏まえて推計した20年の産業別就業者数の将来推計でこうした結果が明らかになった。全体の就業者数は09年比で55万人減少するとし、産業別では『鉱業・建設業』とともに『飲食店・宿泊業』『卸売・小売業』が減り、『医療・福祉』『情報通信業』などが増加するとの結果が出た。また、産業別の構成比でも『鉱業・建設業』は、09年に全産業の8・3%を占めていたものの、20年には7.7−5.6%にまで落ち込むとの結果が出た。…参考ケースとして推計した、現在の構造のまま変化しない05年一定ケースでの『鉱業・建設業』は、09年比41万人減の479万人となった。産業関連分析でよく使われる『RAS法』によって20年の産業構造を推計したケースでは、『鉱業・建設業』の20年の就業者数は351万人となり、09年と比べ169万人減少するとの結果が出ている。…今回の推計結果からは、新成長戦略の実行が進むと『鉱業・建設業』就業者数の減少は今後も続くことになる。」(『建設通信新聞』2010.12.21)

建設産業・経営

●「東京商工リサーチがまとめた2010年10月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比14.0%減の294件となり、16カ月連続して前年同月を下回った。また、10月としては1993年の295件以来、17年ぶりに300件を下回った。前月は減少幅が2カ月連続で1桁となり動向が注目されたが、依然として『景気対応緊急保証制度』や『中小企業金融円滑化法』などの政策効果が続いている。負債総額は42.4%減の350億3100万円となった。この大幅減は、負債10億円以上の大型倒産が前年同月の11件から81.8%減の2件にとどまったため。」(『建設通信新聞』2010.12.20)
●「日本建設業団体連合会、日本土木工業協会、建築業協会(BCS)の3団体は17日、東京・紀尾井町のホテルニューオータ二で合同の臨時総会を開き、合併契約を承認した。日建連の定款も改正し、新団体『日本建設業連合会』の2011年4月l日誕生が正式決定した。臨時総会後には、国土交通省に合併認可を申請、合併認可書の受領は11年1月初旬の見通し。第1回通常総会は同年4月27日に開く。」(『建設通信新聞』2010.12.20)
●「馬淵澄夫国土交通相は、建設産業の再生方策を議論する有識者会議『建設産業戦略会議』を17日に設置したのを受けて日刊建設工業新聞社などのインタビューに応じ、今後の議論の方向性について語った。この中で馬淵国交相は『公共事業のパイが縮小する中で地方の疲弊は激しい』と指摘した上で、地域建設業は地域のコミュニティーや産業を支える重要な役割を持ち、『なくなれば災害対応の空白地域が生まれる』と懸念を表明。戦略会議で大手、中堅、中小などのそれぞれの役割を整理するとともに、地域への公共事業の分配の仕組みを議論し、『節度ある市場メカニズムをつくる』と強調した。」(『建設工業新聞』2010.12.22)
●「国土交通省がまとめた『建築物リフォーム・リニューアル調査報告』によると、2009年度の国内全体の建築物のリフォーム・リニューアル工事の受注高は、7兆7618億円で、前年度と比べて11.5%減少している。このうち、住宅関係の工事は、6.0%減の2兆9557億円、住宅関係以外の工事は14.5%減の4兆8060億円。共同住宅、戸建住宅、学校の校舎、事務所の工事受注高が多かった。目的別では、劣化や壊れた部位の更新・修繕、省エネルギー対策工事の受注件数が目立つ。住宅の工事は内装、給水給湯排水衛生機器設備の工事が多く、非住宅建築物の工事では内装、電気設備工事の受注件数が目立っている。」(『建設通信新聞』2010.12.24)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「馬淵澄夫国土交通相は、『建築基本法』を制定するとともに、建築基準法や建築士法など建築関連法規を抜本的に見直す考えを表明した。検討に当たっては、『建築基本法制定を前提に置いた検討会を設置する』方針。建築基本法がどこまで及ぶかはこれからの議論になるが、『個別規定や集団規定まで及ぶと、都市計画法までかかわってくる』との考えから、期限を区切らず幅広く議論する。国交省では、年内に委員の選定など準備を進め、早ければ年明けにも有識者による委員組織を設置し、議論をスタートさせる。(『建設通信新聞』2010.12.20)

その他