情勢の特徴 - 2011年1月後半
●東京都墨田区で建設中の東京スカイツリーの足元で、東武鉄道(本社=墨田区)が巨大ショッピングセンター開発を進めている。…東武鉄道はスカイツリーの建設地を含む3.7ヘクタールを「東京スカイツリータウン」として開発し、2012年春に開業する。スカイツリーのほか、オフィスやショッピングセンター(SC)が入る31階建ての超高層ビル、7階建ての複合施設が建設中。「年間集客想定2500万人」(東武鉄道)の大規模開発だ。…SCのテナントは物販や飲食など約300店。店舗面積は5万2000平方メートルに及び、区内の小規模小売店の総売り場面積の半分に匹敵する。観光客だけでなく、「毎日の生鮮食品」「日用品やサービス機能」(東武鉄道作成「商業施設のご案内」)までターゲットにしている。区内の老舗商店主の男性は「生鮮食品まで売られたら、地元商店との共存・共栄は難しい」と訴える。この男性は当初、SCに期待し、テナント出店を考えていた。下町の歴史を受け継ぐ「新・下町商店街」を施設内につくると広報していたからだ。出店を検討した経営者は少なくなく、昨年2月2日の区内事業者向けテナント募集説明会には309社が参加した。ところが、示された契約条件は「下町の商店はとうてい出店できない家賃」(老舗商店主の男性)だった。3.3平方メートルあたりの賃料(物販・飲食)は3〜5万円、さらに売り上げから月25万円を超えた額の8〜15%を払わなければなりません。周辺の平均的な賃料(同面積で約1万円)と比べて極めて高額だ。…地域振興を名目にスカイツリーを誘致した墨田区も「一般商店には厳しい賃料。東武に申し入れをしたが、区内事業者への優遇措置は講じられていない」(新タワー調整課の担当者)という。東武鉄道の本社広報は、周辺の街と一緒に発展する方針に変更はないとする一方、「下町を継承すると広報したが、『墨田区の』とは言っていない。区内に限定せずテナントを誘致したい」としている。(『しんぶん赤旗』2011.01.16より抜粋。)
●「地域金融機関の建設業向け融資額の減少が続いていることが、民間信用調査機関の東京商工リサーチの調査で分かった。建設業向けの貸出残高を大きく減少させた地方銀行・第二地方銀行の拠点地域と、前払保証会社統計で公共工事市場が大きく落ち込んでいる県はほぼ重なる。政府の資金繰り支援の一つの柱である緊急保証制度が零細企業を除き3月で打ち切りになることから、地方建設業界からは今後の資金繰りを不安視する声も広がっている。…建設業向け貸出残高は調査対象の9割に相当する72行が前年同期比で減少。82行全体の建設業向け貸出残高は、前年同期比5.9%減の6兆7615億6100万円にとどまった。l年間で貸出残高は4294億円減少した。建設業向け貸出比率も前年同期比0.4ポイント低下し4.4%にとどまった。直近の建設業向け貸出比率はリーマンショック以前の2008年3月期の5.3%から08年冬の緊急保証制度導入による資金繰り支援もあって5%から4%台後半で推移していた。」(『建設通信新聞』2011.01.17)
●「国連貿易開発会議(UNCTAD)は17日、2010年の海外直接投資(速報値)で、発展途上国向けが先進国向けを初めて上回り、全体の53%の5953億ドル(約49兆円)に達したと発表した。中国への投資が一段と増えたほか、資源国への投資も膨らみ、途上国向けは8.6%増となった。先進国向けは6.9%減で、明暗が分かれた。」(『日本経済新聞』2011.01.18)
●「国際協力機構(JICA)は、PPPによるインフラ整備を積極的に推進しているインドを対象に、日本を含む外国企業の投資促進に向けた調査に乗り出す。高い成長率を維持するため2012−17年に1兆ドルのインフラ投資を行う必要がある同国では約50%を民間資金で賄う必要があり、PPPによる民間投資の増加が不可欠な状況だ。また、日本政府の提案による「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)」を背景に日本企業の積極的な進出も期待されるため、外国企業が参入する際のボトルネック解消や支援体制の構築に向けて検討する。」(『建設通信新聞』2011.01.18)
●「マンション販売が復調の兆しを見せ始めている。不動産経済研究所(東京・新宿)が19日発表した2010年の首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県)の新規発売戸数は前年比22.4%増の4万4535戸と6年ぶりに前年水準を上回った。11年も10年比12.3%増の5万戸の見通し。近畿圏(大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山の2府4県)も10年は3年ぶりに増加に転じた。販売好調を追い風に、マンション各社は08年以降、手控えていた新規開発を再び積極化している。」(『日本経済新聞』2011.01.20)
●国から地方に配分される地方交付税は、2010年度当初予算比4799億円増の17兆3734億円である。国税5税(所得税・酒税・法人税・消費税・たばこ税)の約3割を交付税に充てる法定率分が増収となるのに加え、「地域活性化」事業の財源など別枠の加算(1兆2650億円)や10年度の繰越分(1兆126億円)によるとしている。地方税・地方譲与税も、1兆1519億円増の35兆5786億円。政府は「財源の充実」を強調している。しかし、地方交付税の振り替え制度である臨時財政対策債(国が返済分を地方交付税で措置する赤字地方債)は、1兆5476億円減の6兆1593億円。そのため、交付税と地方税などを合わせた一般財源総額(水準超経費除き)は58兆7790億円で、187億円の増にすぎない。一方、歳出については11年度の地方の社会保障関係費の自然増分などを8400億円程度とし、「対応する財源を確保」したとしているが、一般行政経費単独の伸びを315億円に抑え、給与関係経費は4164億円減、投資的経費(地方単独事業)も2777億円減(移し替え影響額除き)。自然増分を他の経費の抑制や公務員給与の削減で帳尻合わせした形だ。…11年度以降地方負担をなくすとしていた子ども手当については、10年度と同様に児童手当と併設とし、児童手当の地方負担分を継続する方針。「ひも付き補助金」を廃止し、自由裁量を拡大するという名目で、これまでの「社会資本整備」や「農山漁村地域整備」などの交付金の一部を振り替えるなどして、新たに「地域自主戦略交付金」を創設(11年度は都道府県分を対象に5120億円)。(『しんぶん赤旗』2011.01.22より抜粋。)
●「木造住宅の柱などに使う国産の杉・ヒノキ製材品の取引価格が高騰している。住宅着工の回復を背景に、大都市の戸建て分譲住宅や注文住宅に国産材を採用する住宅メーカーが増えているためだ。木材自給率の向上を目指した国の政策も需要拡大につながっているが、国内林業の後継者難や高齢化で国産丸太の供給は不足している。」(『日本経済新聞』2011.01.21)
●「政府は24日の臨時閣議で、2011年度の経済見通しを決定した。国内総生産(GDP)は物価の影響を除いた実質が前年度比1.5%増、名目が1.0%増と2年連続のプラス成長を見込む。公共投資は実質8.5%減と2年連続マイナスとなる一方、賃金の総額を示す名目雇用者報酬は1.1%増と2年連続の増加を見込む。10年度のGDP実績見込みは実質3.1%増、名目1.1%増とした。11年度の消費者物価指数(総合指数)伸び率は前年度比ゼロとなり、3年ぶりにマイナスを回避する見通しだが、11年度中のデフレ脱却は微妙な情勢だ。」(『日本経済新聞』2011.01.24)
●「政府の『新成長戦略実現会議(議長・菅直人首相)』は21日の会合で、『新成長戦略実現2011案』を提示した。新成長戦略実現2011は、昨年まとめた21の国家戦略プロジェクトを中心とした『新成長戦略』の施策の実行度合いや今後の進捗管理などを検証する、PDCAサイクルに基づく作業。具体的には昨年に掲げた新成長戦略の21国家プロジェクトと関連施策について10年の成果と、11年に見込まれる成果と課題を示しているのが特徴。中古住宅・リフォーム市場の倍増では、今年度内に老朽マンションの改修に係る決議要件の適用関係を整理し公表するほか、多様なマンション形態に対応した新たなマンシヨン管理のルール策定などマンションストック再生のための環境整備を盛り込んだ。またPFI制度では、コンセッション(事業権付与)方式として、公共施設等運営事業権(仮称)に係る制度創設を目的に、PFI法の改正法案を今通常国会に提出する。対象の公物分野を限定せずに検討した上で、公物管理の民間開放を行うほか、PFI専門家派遣制度を創設することを明記した。さらに、民間都市開発プロジェクトにかかわる規制緩和・金融措置として、特定都市再生緊急整備地域創設によって都市開発事業を強力に推進する目的で、都市再生特別措置法の改正案を提出するほか、金融支援として、民間都市開発プロジェクトに対するメザニン支援業務(貸し付け・社債取得)を創設することを盛り込んだ。このほか、住宅・建築物の省エネ基準適合義務化については、対象・時期・支援策などの工程表を作成することも明記した。」(『建設通信新聞』2011.01.25)
●「建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所が25日に公表した2010・11年度の建設投資見通しによると、11年度の建設投資(名目ベース)は、前年度比2.8%増の40兆2100億円と予測している。政府建設投資で4.9%の減少を見込んでいるものの、民間住宅投資は10年度後半からの回復基調が継続するとして、6.3%増を推測し、着工戸数も9.9%増の89万9000戸と予測。民間非住宅建設投資も同様に回復基調が継続し、8.1%増を予測している。建設投資は、前回の公表(10年10月)より、5500億円上方修正し、40兆円台に引き上げた。」(『建設通信新聞』2011.01.26)
●「東京23区で、橋の長寿命化のための修繕計画をまとめる区が相次いでいる。定期的に損傷を点検し、早期に補修して長持ちさせる。橋の寿命は約50年といわれ、高度成長期に建設された橋が今後次々と対象に上る。多額の費用がかかる架け替え時期を延ばし、計画的な架け替えや補修を実施して建築コストの平準化を狙う。」(『日本経済新聞』2011.01.18)
●「予定価格の事後公表など地方自治体におけるダンピング(過度な安値受注)対策で、都道府県の取り組みが県内市区町村の取り組みに影響を与えていることが分かった。国土交通省によると、都道府県が予定価格や調査基準価格・最低制限価格を事前公表していれば、県内市区町村で事前公表している割合が高く、都道府県が事後公表していればその県内の市区町村も事後公表している割合が高い。予定価格などを事後公表とするといったダンピング対策を市区町村にまで広げるためには、都道府県の取り組みがかぎを握っていると言えそうだ。」(『建設通信新聞』2011.01.18)
●「関西国際空港の隣駅、りんくうタウンに降り立つと、そびえ立つ超高層ビルの向こうに一面のすすき野が広がっていた。総事業費は、府の事業として実施した公団道路用地の取得・整備などと合わせて約7000億円。「税金を使わず『現代の宝島』を造る」と宣伝された副都心事業だが、この失敗による府民負担は2800億円を超る。659億円かけたゲートタワービル(高さ256メートル)も完成から8年で被たんし45億円で売却。一方、起債を引き受けた銀行の利息収入は1700億円以上だ。「府財政がこれほど悪化したのは、大阪経済の地盤沈下などによる税収減、国の『三位一体改革』による負担増とともに、1990年代の公共事業乱発と大型開発の連続失敗が大きい」。財政学が専門の大阪教育大学の高山新教授は、5.2兆円に上る府の借金の背景をこう指摘する。ところが、府が昨年発表した「大阪の成長戦略」は、規制緩和や法人税減税(最大「ゼロ」)など直接の大企業支援策とともに、関空と阪神港の国際拠点化や高速道路整備といった企業活動のための都市基盤整備を列挙。「成長戦略」は「大阪都構想」と一体のものだ。(『しんぶん赤旗』2011.01.18より抜粋。)
●公共事業関係予算は、特殊要因である一括交付金化の減少分を含め5兆4799億円と2010年度比で5.1%減となった。予算規模では10兆円近くに膨れ上がった1990年代後半の6割弱の水準になっている。民主党政権は「コンクリートから人へ」を掲げ、大型事業についても一定の見直しを行ってきた。直轄ダムの建設予算は10年度比9.7%削減した。各地で反対運動が広がっているスーパー堤防事業については、「事業仕分け」で「廃止」とされたことも受け、予算計上されなかった。直轄高速など道路関係は0.8%減、空港整備も36.4%減らす。しかし、「見直し」に逆行する動きもある。大型公共事業のうち、東京外郭環状道路など大都市圏の大型道路建設計画は継続の方向だ。「国際競争力の強化」の名で、京浜・阪神の2港を物流拠点(国際コンテナ戦略港湾)として機能強化を図る事業にも316億円が計上された。10年度予算比でほぼ倍増だ。東京外郭環状道路は、その一部の東京・練馬区―世田谷区間約16キロを地下トンネルで結ぶ巨大工事だ。総事業費は1兆数千億円で、道路会社と国、東京都が費用を負担することになっている。現在、地上に建設する部分の用地買収などが行われている。…小泉「構造改革」路線のもとで強められた「都市再生」分野でも、大企業本位の街づくりを進める「プロジェクト支援事業」に35億円を計上。民間資金を活用した「成長戦略」の推進に7億円を付けました。菅政権が推進する「新成長戦略」の具体化として、「特別枠」で重点配分されることになりました。大企業・財界の要求にこたえる事業だ。国民生活関連では高齢者向けの住宅供給を支援する事業に325億円を計上。道路、河川、下水道など社会資本の急速な老朽化を踏まえ、それらの維持・更新、耐震化の事業予算も不十分ながら増額される。公共事業のあり方として、高速道路や大規模開発など大型事業を抜本的に見直し、小規模、維持管理、国民生活に密着した事業を中心にすえる転換が求められる。そのことは、地域の中小企業・建設業の仕事と雇用を増やす上でも急務である。(『しんぶん赤旗』2011.01.18より抜粋。)
●「総務省は住民投票制度を法制化する。自治体が建設する大規模施設の是非などを対象に、投票結果の政策への反映を義務付ける。24日召集の通常国会に提出する地方自治法改正案に盛り込む。…今回、法律に明記するのは結果に従わなければならない『拘束型』の投票制度だ。対象は市民会館のような一定規模を超す公共施設の建設と、議員定数などを想定する。住民投票については早くから法制化を求める声があった一方で、学識経験者らの間では慎重論が少なくなかった。基地問題や原子力発電所の建設など国政に直結するテーマで拘束型の投票を認めると、様々な支障が出る可能性があるからだ。このため、今回も国道や空港などの重要なインフラや法律に基づいて設置しなければならない施設は外す考えだ。庁舎や市民ホールなど対象になる施設でも、実際に住民投票をするかどうかは自治体の判断に委ねる。総務省は2012年度から、現在は国と事前に協議が必要な地方債の発行を一部自由化する。借金をする自由を自治体に与える一方で、今回の法改正を通じて箱物の建設に対する住民の監視機能を強める狙いがある。」(『日本経済新聞』2011.01.19)
●「国土交通省は、24日にも召集される通常国会に、『港湾法および特定外貿埠頭の管理運営に関する法律を改正する法律案』や『交通基本法案(仮称)』など8本の法案を提出する方針だ。港湾法などの改正では、港湾の種類に国際基幹港湾と国際拠点港湾(いずれも仮称)を追加し、コンテナふ頭を株式会社に一体運営させる制度を創設する。2月上旬に提出の予定だ。交通基本法では、交通施策に関する基本理念と、国、自治体、事業者などの責務を規定する。提出は3月上旬を予定している。『都市再生特別措置法を改正する法律案』も提出し、官民連携を通じて都市の国際競争力を高めるため、都市開発を促進する金融支援制度や、都市再生に貢献する工作物についての道路占用許可の特例制度を設ける。提出は2月上旬になる予定。『踏切道改良促進法を改正する法律案』では、踏切改良を促進する措置を引き続き講じるとともに、地域の実情に応じて柔軟に踏切改良を行えるよう、国土交通相の指定手続きを見直す。2月上旬の提出を目指して作業を進める。『関西国際空港および大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置および管理に関する法律案(仮称)』も3月上旬に提出。両空港の管理を一体的に行う『新関西国際空港株式会社(同)』を設立し、事業を適正に運営できる体制を整える。このほかの提出予定法案は次の通り。▽高齢者の居住の安定確保に関する法律を改正する法律案=高齢者の居住の安定を確保するため、身体機能の低下に対応し、生活相談などが受けられる『サービス付き高齢者住宅(同)』の登録制度を創設。2月上旬提出予定。▽日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律を改正する法律案=JR各社の経営基盤の強化を図るため、鉄道建設・運輸施設整備支援機構による支援措置を構築。2月上旬提出予定。▽航空法の一部を改正する法律案=航空従事者技能証明資格として准定期運送用操縦士の資格を創設。3月上旬提出予定。」(『建設工業新聞』2011.01.19)
●「川崎市が、今後の住宅政策のあり方について検討するために設置した『第5次川崎市住宅政策審議会』(会長・小林重敬武蔵工大教授)は18日、川崎市市役所第4庁舎で会合を開き、答申案について話し合った。新たな施策として、市民・NPO・民間事業者などによる『パートナーシップ型事業提案制度』の創設を提言。具体イメージとして、▽住宅バンクプロジェクト=地域の住環境に関係する情報や資源を収集し提供する▽高齢者居住支援プロジェクト=高齢期を迎えても安心して住み続けられる仕組みを構築する▽都市農地を活用した近隣住まいプロジェクト=賃貸住宅事業と体験農園をパッケージ化する―の三つを挙げている。」(『建設工業新聞』2011.01.19)
●「外務省は、政府開発援助(ODA)による途上国支援の効果を最大化するため、援助案件に対する管理体制を強化する。援助の的確性や透明性を高めるため、有識者や非政府組織(NGO)などによる第三者組織を設置し、案件形成の段階から外部の専門家の意見を取り入れる。プロジェクトの具体的な成果指標を事業実施決定に併せて明示し、成果の達成状況の公表も推進。対象国別に定めている援助方針も簡潔かつ戦略性の高い内容へと改編する。」(『建設工業新聞』2011.01.20)
●「全国の市区町村が発注する工事の入札で、総合評価方式の採用が順調に広がっている。国土交通、総務、財務の3省が24日発表した公共工事入札契約適正化法に基づく10年度の入札契約実施状況調査(10年9月1日時点)結果によると、総合評価方式を取り入れている市区町村(試行導入を含む)は、前年同期に比べ4.2ポイント多い61.7%となり、初めて6割を超えた。市区町村発注の工事は、国の発注工事などと比べ規模も小さく、技術的難易度も低いとみられ、手続きの事務負担などが少ない簡易型や特別簡易型の総合評価方式を増やす傾向も目立っている。」(『建設工業新聞』2011.01.25)
●「国が各省の縦割りで地方自治体の事業に補助金を出す『ひも付き補助金』を段階的に廃止し、予算の使途に対する自治体の裁量を拡大する『地域自主戦略交付金(仮称)』。補助金の一括交付金化の一環として政府が11年度に新設するこの制度をめぐり、11年度予算案の編成作業を進める自治体が困惑している。交付金の総額と制度の基本スキームは示されているものの、具体的な配分基準や配分額が決まっておらず、自治体側は予算案に対象事業を組み込んでよいかどうか分からない状況。影響を懸念した全国知事会は、早期の制度設計と地方へのきめ細かな配慮を政府に求める緊急声明を出した。地域自主戦略交付金は、各省が所管する投資補助金の一部を内閣府に計上する交付金に移行させた上で、客観的な指標に基づいて各自治体に配分する。自治体は、配分額の範囲内で各省の枠にとらわれずに事業を自由に選択して実施計画を策定。内閣府が各自治体の実施計画を取りまとめて集計した金額を、各省に移し替えて交付する仕組みだ。11年度は第1段階として、都道府県分の補助金を一括交付金化する。内閣府が公表しているスキームによると11年度の交付金は総額5120億円。補助金からの制度変更の影響を緩和するため、初年度は年度間・地域間の変動・偏在が小さい事業で、ピーク時に交付額が大きく増えるような大規模事業ではなく、比較的小規模な補助事業を対象とし、交付金全体の9割程度は、継続事業がストップすることのないように配分する方向だ。だが、現段階ではっきりしているのはここまで。各都道府県ごとの配分額(交付限度額)は国の11年度予算と関連法案が国会で成立しなければ正式には決まらない。第l次の配分は主に継続事業に充てる9割分が対象。残りの1割分については『客観的指標』に基づいて交付限度額を決定するとしており、内閣府は『慎重な検討を要する』として、第2次配分の通知時期は『7月』というめどを示している。自治体側にとって気になるのはまず交付限度額。初年度は継続事業への配慮があるとはいうものの、交付金の規模が分からなければ自治体側の予算は組みにくい。しかも『継続事業』の定義も明確ではない。11年度予算の編成作業が本格化している自治体の中には、当初予算への計上はとりあえず見送り、6月の補正予算で対応するといった動きも出てきそうだが、その分、工事発注などに遅れが生じる可能性もある。もう一つの問題が「客観的指標」。この指標によって交付限度額の算定式が変わってくるからだ。自治体にとっては今後の地域のインフラ整備を大きく左右されかねない。片山善博総務相は18日の閣議後記者会見で、検討中の客観的指標と算定式について『(自治体間で)かなり利害が対立しており、両方を満たすのは難しく、どの辺でバランスを取るか』と課題を指摘している。こうした不透明な状況を心配した知事会は18日、緊急声明を発表し、▽継続事業の定義・範囲、配分方法の早期明確化▽客観的指模に基づく配分算定方式の早期具体化▽条件不利地域に加え、社会資本整備の遅れている地域や財政力の弱い地域への配慮▽交付対象の具体的事業とそれ以外の補助金との関係、対象事業の細目での規模要件の早期明確化―などを政府に求めた。」(『建設工業新聞』2011.01.25)
●「国土交通省が全国で進める直轄ダム事業などの再検証作業が各地で動き始めた。再検証の対象ダムは、同省直轄と水資源機構が実施主体となる事業を含め30事業。これまでに、うち22事業で再検証を行う『検討の場』が設置された。利水目的で事業に参画する地方自治体などに対してダムの必要性などを照会する作業も各ダムで進んでおり、再検証の作業が今後本格化する。再検証を行うダムは自治体が事業主体となる補助ダムを含めると83事業。うち国交省の地方整備局が事業主体となる国直轄ダムが25事業(北海道3、東北3、関東5、北陸1、中部3、近畿2、四国2、九州6)、水資源機構が実施主体となるダムが5事業(関東1、中部1、近畿2、九州1)となっている。」(『建設工業新聞』2011.01.27)
●「日本土木工業協会が超党派の参議院議員で構成する『公共調達適正化研究会』に提案した具体的な入札契約方式の内容が分かった。公共発注機関が『予定価格制度』や『一般競争入札の原則』に縛られない入札契約方式を採用できるよう『(仮称)公共調達基本法』の制定を求め、その共通ルールに基づき、予定価格を標準価格に変更することを始め、二段階選抜方式、交渉方式など国際標準に沿った新たな入札契約方式の導入を提案している。土工協の提案は、@(仮称)公共調達基本法の制定A現行法令の範囲内で改善可能な対策の早急な実施B官公需法の適正な運用――の3項目。公共調達基本法は、技術力の適切な評価、活用とそれを通じた適正な競争環境の整備が狙い。会計法、地方自治法の『予定価格制度』や『一般競争入札の原則』を前提とせずに、国、地方自治体、独立行政法人、高速道路会社など全公共発注機関が共通のルールで調達可能な仕組みづくりを求めている。」(『建設通信新聞』2011.01.27)
●「全国建設業協会(淺沼健一会長)は、与野党の参議院議員で構成する『公共調達適正化研究会』に災害対応や除雪など地域に貢献している地元企業を認定し、優先的に指名する『地域保全型入札制度(指名競争入札)』の導入を提案した。工事の規模だけでなく、その特性や目的に応じた発注を前提に、現行の総合評価方式による一般競争入札に加え、簡易な総合評価方式による制限付一般競争入札と公募型指名競争入札の導入や維持工事、除雪工事での複数年契約も求めている。」(『建設通信新聞』2011.01.28)
●「国土交通省は、昨年7月の公共工事標準請負契約約款改正への都道府県の対応状況調査(10年11月時点)結果をまとめた。標準約款の改正内容を契約書に反映させる時期については、5県が10年度中、33道府県が11年4月と回答し、8割が見直す方針を示した。ただ、主な改正事項(5項目)のうち『受発注者間の協議段階からの公正・中立な第三者の活用」の規定を取り入れる自治体は4団体しかなく、国交省は今後、運用方法の明確化を含め対応を検討する考えだ。中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)が昨年7月に勧告した標準約款改正の柱は、▽甲(発注者)・乙(請負者)の略称見直し▽工期延長に伴う費用増について当事者間の負担の明確化▽紛争が生じる前の受発注者間の協議段階からの公正・中立な第三者の活用▽現場代理人の常駐義務の緩和▽受注者が暴力団等である場合の解除権の創設―の5項目。」(『建設工業新聞』2011.01.31)
●「国土交通省は、11年度に発注する公共工事の設計業務委託などの積算に用いる技術者単価(基準日額)を決めた。設計業務7職種中5職種の単価が前年度を下回り、7職種平均で前年度比0.6%の下落となった。」(『建設工業新聞』2011.01.17)
●「日本経団連は17日、2011年春季労使交渉の経営側の指針となる『経営労働政策委員会報告』を発表した。定期昇給の維持には理解を示したが、各種手当や一時金を含めた給与総額の1%引き上げという連合の要求は『極めて厳しい』と位置付けた。業績は回復しているものの、なお十分ではないとの判断が背景にある。」(『日本経済新聞』2011.01.18)
●「厚生労働省は雇用保険とは別に、仕事を探している人の再就職を支援する『第2の雇用の安全綱(セーフティーネット)』を2011年度に再編する。失業者の復職を後押しする仕組みなど7つの政策を導入したものの、利用が低迷したり不正利用が目立ったりしたため、職業訓練中の生活費を支給する制度など4つに集約する。各制度には重複部分も多く、複雑な制度をスリム化して適正な利用を促す。」(『日本経済新聞』2011.01.19)
●「厚生労働省は、11〜15年度の『第8次建設雇用改善計画』の素案をまとめ、24日開いた労働政策審議会(労政審、厚労相の諮問機関)の建設労働専門委員会に提示した。素案では、『高い意欲と能力を持つ建設労働者が安心して生活できる労働環境のための建設雇用改善の推進』と、『建設産業の将来を担う若年労働者の確保』を図ることを主要課題に設定。技術者の高齢化が深刻化する中で、技能伝承や若年者の入職促進、建設業内外での新分野への進出支援などを重点施策に挙げている。…雇用改善の主要施策として、▽若年建設技能者の育成・確保▽建設業内外への円滑な労働移動と新分野進出を支援▽職業能力開発の推進▽労働力需給調整機能の強化―などを通じて、雇用の安定化に取り組む方針を掲げた。」(『建設工業新聞』2011.01.25)
●「厚生労働省は、小林正夫厚生労働大臣政務官と有識者5人で構成する『安全から元気を起こす懇談会』の初会合を26日に開き、産業現場における企業の自主的な労働災害防止活動を活性化させる方策の検討に着手した。安全活動に意欲のある企業が評価される仕組みや、公共工事発注者の配慮として国が率先した取り組みを行うことの必要性などを議論し、3月末までに懇談会として労災を減らすためのビジョン(提言)を策定する。提言の策定に向けた主な論点は、▽安全活動に意欲のある企業が評価され、企業活動が活性化する仕組みや運動が必要▽現場の創意工夫による安全活動活性化のため、現場安全活動のマンネリ化・形骸(けいがい)化を防ぎ、モチベーション(動機付け)を維持向上させ、達成感を実感できる取り組み▽人材が生き生きと活躍する安全・快適な職場づくりに向けた現代の若者に対する安全教育の進め方、女性や高齢者の視点に立った職場づくり▽公共工事では大規模工事に限らず、競争の中でも安全確保に万全を期すことが基本になっていることを踏まえた、発注者配慮として率先した国の取り組み――の4項目が示されている。この論点をもとに今後、2回懇談会を開いて提言をまとめていく。」(『建設通信新聞』2011.01.28)
●「建設業倒産で老舗企業の破たん割合が増加していることが、帝国データバンクの2010年建設業倒産(法的整理が対象、負債額1000万円以上)動向調査で浮き彫りになった。業歴3年未満の新規企業の倒産割合が減少するなか、業歴20年以上の破たん割合が半数を超えるなど、小規模でかつ老舗企業の苦境が拡大しつつある。10年の建設業倒産は前年比8.9%減の3136件と減少したものの、過去10年では08年、09年に次いで3番目の高水準となった。このうち倒産企業の業歴別では、いわゆる老舗企業と言われる30年以上の企業が979件で全体の31.2%と最多を示した。20−30年未満企業も全体の24.3%の763件で、業歴20年以上の企業倒産が半数を占めた。一方、業歴3年未満の企業倒産割合は1.8%と06年からの5年間で初めて2%台を切った。この5年間、業歴30年以上の老舗と20年以上の企業を合わせた倒産の割合は高まっていることと、負債額5000万円未満の倒産が1422件と全体の4割以上を占めていることを合わせれば、新規参入企業よりも企業規模の小さな老舗企業の方がより経営苦境に陥っているとの見方もできそうだ。」(『建設通信新聞』2011.01.18)
●「不動産各社が老朽化したマンションの建て替え事業を本格化する。新日鉄子会社の新日鉄都市開発(東京・中央)や野村不動産、旭化成ホームズが相次いで受注を増やす。建て増し部分を新たに分譲することで収益を確保する。…新日鉄都市開発は三井物産と共同で東京・原宿の団地6棟を地上19階建てのマンション1棟に建て替える事業に参加する。2011年春にも着工し13年完成を目指す。住戸数は従来の約2倍の約220戸に増やす予定で、建て増し部分を一般分譲する。総事業費は100億円前後とみられる。…東京旭化成ホームズは大阪市内で地上5階建て、総戸数18戸のマンションを地上15階建て、52戸に建て替える。総事業費は約15億円。11年4月に着工、12年末の完成を目指す。…野村不動産と三井不動産は東京・世田谷で17棟の大規模マンション群の建て替え計画に参加する。総戸数は現在の約2倍にあたる900戸弱に増やす。大成建設子会社の有楽土地も東京都三鷹市で都市再生機構が主導する建て替えに参加する予定だ。現在の容積率に余裕があるマンションを建て替える場合、建て増しが可能。不動産会社はこうした事業に参画することで建て増し住戸の分譲権を得られる。収益性の商い好立地の用地取得は年々難しくなっているため、都心部マンションの建て替えで収益確保につなげる思惑もある。国土交通省によると国内のマンション総戸数は09年末に約560万戸。築30年以上経過したマンションは約2割とみられる。一部には耐震強度の確保など大規模修繕では対応できないものもある。ただ、住人の高齢化などで建て替え計画がまとまるケースはまれ。」(『日本経済新聞』2011.01.21)
●「全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)は、超党派の国会議員で構成する『公共調達適正化研究会』に提案する要望事項の大枠をまとめた。国と地方とを分けて考えた調達制度の構築や、予定価格ではなく『標準価格』を活用する手法への移行を提案。入札参加企業数の絞り込み、落札者決定過程の省力化なども求める。会計法令など既存の概念にとらわれることなく、『斬新な提言としていく』(淺沼会長)考え。全建は、長期的な視点からの『公共調達のあるべき姿』に関する提言も検討する方針で、11年度事業計画の大きな柱の一つにする。」(『建設工業新聞』2011.01.21)
●「国土交通省の建設工事受注動態統計調査報告によると、2010年11月単月の元請受注高合計は、前年同月を3カ月連続で下回る1.4%減の2兆1918億円だった。一方、日本建設業団体連合会が会員企業48社を対象に調査した11月単月の受注実績結果は4%増の6170億円と3カ月ぶりに前年同月を上回った。前年同月が過去最低水準だったため、低位での推移に変わりはなく、1977年度以来の建設投資40兆円割れが現実味を帯びてきた。国交省統計によると、元請受注高のうち、公共機関からの受注は3.7%減の7523億円と12カ月連続で前年同月を下回り、民間からの受注も0.1%減の1兆4396億円と先月の増加から再び減少に転じた。下請受注高を含めた受注高の合計は3カ月連続で前年同月を下回る1.1%減の3兆1531億円。その4−11月累計の受注高は0.8%減の26兆7800億円となった。」(『建設通信新聞』2011.01.21)
●「国土交通省は21日、国内建設企業の海外展開の課題や施策を議論する検討会の初会合を開いた。諸外国と比べて日本の建設業の海外進出が不十分な実態を踏まえ、海外の建設市場や建設企業の動向、国の支援策などを調査する。初会合では、国交省が外国の建設市場や海外建設企業の動向など基礎データを紹介。建設企業の委員からは、海外展開に向けて人材育成の必要性についての意見が異口同音に寄せられ、『力を入れているが一朝一夕にはいかない』『外国人の登用も考えている』といった声も出された。2月4日に開催する次回は、建設企業の委員から海外展開の状況や課題などを聴取し、具体的な検討に入る。」(『建設通信新聞』2011.01.24)
●「東京商工リサーチがまとめた2010年11月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比5.1%減の275件となり、17カ月連続して前年同月を下回った。依然として『景気対応緊急保証制度』や『中小企業金融円滑化法』などの政策効果が続いているものの、減少幅は3月の4.4%減に次ぐことし2番目に低い水準だった。地区別では、9地区のうち北海道、東北、関東、四国の4地区が前年同月を上回り、全国的な倒産減少に緩みがみえる。負債総額は30.9%減の373億3500万円。平均負債額は27.4%減の1億3500万円にとどまり、11月としては1990年の1億1500万円以来、20年ぶりに1億5000万円を下回る低水準となった。」(『建設通信新聞』2011.01.24)
●「国土交通省は21日、2008年時点の住宅耐震化率の都道府県別データを公表した。対象年を統一したデータ公表は初めて。全国平均は79%で、最低は島根の65%、最高は東京の87%。過去に被災経験のある自治体や今後、大規模地震の発生リスクが高い自治体が上位を占めた。大都市での整備が進む一方、規模の小さい都道府県では遅れが目立っている。…南海地震などで被災が予想され各和歌山や、新潟・中越地震の被災経験がある新潟はともに70%で、.耐震化率はワースト6位。同省担当者は『地方ほど住宅の建て替えや改修が遅れ、耐震基準を定めた1981年以前の物件が多く残っている』と分析。各自治体に資金補助制度の整備など支援拡充を呼びかけている。」(『日本経済新聞』2011.01.22)
●「『住生活基本計画』の見直しについて議論している国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長=越澤明・北海道大学大学院教授)は17日、全国計画の変更案と数値目標を示した成果指標案について審議した。経済成長時代の終焉や本格的な少子高齢社会、人口・世帯減少社会の到来などを踏まえ、住宅のセーフティネット的な役割を強調。住宅の耐震性や高齢化対応、省エネルギー対策など10年後の成果指標案も示した。計画変更案では、新たに『効果的・効率的な施策展開』の項目を追加した。厳しい財政状況を踏まえ、国民の住生活の安定を確保するために必要不可欠な施策、住宅の低炭素化など他領域にも効果をもたらす施策等に限定し、『市場環境の整備に関する施策を重視』すると強調。さらに、『住宅投資による内需拡大効果を最大限発揮するため』、環境対応、高齢者対応等の成長分野への投資を重視した施策を展開することを盛り込んだ。」(『日本住宅新聞』2011.01.25)
●「政府の行政刷新会議規制・制度改革に関する分科会は、248項目の規制・制度についての見直し案をまとめた。2011年度からの容積率の既存不適格物件の建て替え方策検討に向けた実態調査や、区分所有法の決議要件について関係省庁と連携した総合的検討の開始、老朽再開発ビルの再々開発事業に向けた検討開始など住宅・土地分野で11項目を提示した。2月上旬の各省政務協議、3月上旬の『規制仕分け』などを経て、同月下旬に政府方針を閣議決定する。」(『建設通信新聞』2011.01.28)
●「独立行政法人の都市再生機構(UR)は、運営する賃貸住宅の家賃を5年ぶりに引き上げる方向で検討に入った。全76万戸のうち約10万戸を対象に、4月にも平均で月1000円程度上げる見通し。国内の所得環境に薄明かりが見えてきたことから、据え置いていた家賃を上げ、民間の賃貸住宅の家賃に近づける。…URは民間の運営する賃貸住宅の家賃との格差を埋めるため、3年に1度、市場家賃より大幅に安い物件の賃料を改定し、引き上げていた。2008年秋の世界的な金融危機後にURを所管する国土交通省が景気低迷を踏まえ定期改定を当面凍結するよう要請。家賃引き上げを見送っていた。URは家賃改定で、賃貸事業で抱える約11兆円もの債務を少しでも圧縮したい考え。引き上げには、対象となる住民の反発も予想され、実現性に不透明な部分も残る。賃貸住宅最大手のURによる家賃引き上げは民間の賃貸住宅の家賃に影響が出る可能性もある。URの源流となった日本住宅公団などは、多くの賃貸住宅を民間より安価な家賃で運営していた。このため古い賃貸物件の一部は『少なくとも1〜2割は民間より家賃が安い』(不動産関係者)という。」(『日本経済新聞』2011.01.30)