情勢の特徴 - 2011年10月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「建設産業界にとっても『政府調達』分野で影響を受ける、環太平洋連携協定(TPP)協定交渉入りの是非を視野にした、民主党の『経済連携プロジェクトチーム』(鉢呂吉雄座長)の初会合が14日開かれた。次回会合の17日に、政府調達を含む24分野のTPP交渉状況で日本が把握している情報の個別分野ごとの説明と、個別分野ごとの政府の考え方・方針を示すことを求めることを決めた。…交渉結果次第では、コンサル・工事含め現状の地方自治体発注で定められているWTO対象額が国と同様額まで引き下げられ、地方企業を中心に大きな影響を受けるとの指摘もあり、建設業界もTPPの行方に関心を寄せていた。」(『建設通信新聞』2011.10.17)
●「政府が今年度第3次補正予算案に盛り込んだ自治体向け支援策の全容がわかった。新設の『震災復興特別交付税』と『震災復興交付金』を活用し、東日本大震災の復旧・復興事業にかかる経費の全額を国庫負担とする。被災自治体は負担がゼロになることが確定する。3次補正で創設する復興交付税は1.6兆円。このうち6000億円は1次、2次補正の対象事業の地方負担分の肩代わりに充て、7000億円は3次補正の復興事業に充当する。残りの3000億円は地方税の減収分の穴埋めに使う。」(『日本経済新聞』2011.10.20)
●「東日本大震災の被災地の本格的な復旧・復興予算となる政府の11年度第3次補正予算案が決まった。国土交通省関係は国費ベースで総額1兆2448億円。大震災の復旧・復興経費に1兆0473億円、被災地を除く全国での災害復旧費に1975億円を充てる。財政状況の厳しい被災自治体に配慮し、復旧・復興経費を国が支援する『造成宅地滑動崩落緊急対策事業』や『津波復興拠点整備事業』『液状化対策推進事業』をそれぞれ創設する。」(『建設工業新聞』2011.10.24)
●「建設経済研究所と経済調査会は24日、2011・12年度の建設投資見通し(名目)を公表した。11年度は前年度比8.5%増の44兆6400億円、12年度は2.9%増の45兆9300億円と推計。全国的な災害対応による政府建設投資の増加だけでなく、分譲マンションを中心に民間住宅投資が本格的に回復していることや、民間非住宅建設投資も緩やかな回復基調にあることが、全体を押し上げた。建設投資のうち政府見通しは、11年度が13.3%増の18兆7800億円。当初予算の5%執行留保解除と、第3次補正予算と復興財源の基本的方針(7日の閣議決定)を加味した。12年度は各省概算要求の概要から推計し、1.1%増の18兆9800億円。」(『建設通信新聞』2011.10.25)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省が14日に公表した『2011年度版直轄工事等契約関係資料(10年度実績)』によると、公共工事の減少に伴い、入札参加者の増加が鮮明に表れている。一般土木工事(港湾空港関係除く)の一般競争入札のうち、特にWTO(世界貿易機関)対象の案件は1件当たり22者を超え、08年度以降増加し続けている。一方、10年度のWTOの契約金額は、前年度比18.5%減の1010億円にまで落ち込んでいる。10年度の一般競争入札の発注件数を工事等級別に見ると、A等級はすべてがWTO対象となり47件、B等級は74件、C等級は2919件、D等級は282件。10年度実績で入札参加者が増加した背景には、同年度予算の縮小に加えて補正予算が少額だったことなどから、競争が激化したといえる。」(『建設通信新聞』2011.10.17)
●「世界貿易機関(WTO)の政府調達協定に関する多国間の改定交渉が本格化する。WTOは18日、協定内容の見直しや締約国の拡大などにより、年間3800億〜9700億ドル(約29.2兆〜74.5兆円)の市場が生まれるとの試算結果を公表した。市場のグローバル化によるメリットを国際社会に広く明示することで、今年12月に開く関係国の閣僚会合までの交渉妥結を促す狙いがある。公共事業への外国企業の参入などをめぐり、日本側は『これまで主張してきたことへの理解を求めつつ、現行の枠組みの維持を目指す』(国土交通省)構えだ。」(『建設工業新聞』2011.10.20)
●「国家戦略会議」の設置が21日の閣議で正式に決定された。…「国家戦略会議」は「税財政の骨格や経済運営の基本方針等の国家の内外にわたる重要な政策を統括する司令塔並びに政策推進の原動力」と位置づけられている。議長の野田佳彦首相のほか、閣僚6人と民間議員6人の構成で、民間議員の中心は、予想された通り、財界団体トップや財界系シンクタンク理事長が占めた。財界トップでメンバーとなったのは、日本経団連の米倉弘昌会長と、経済同友会の長谷川閑史代表幹事。長谷川氏は議員選任発表後の会見(18日)で、環太平洋連携協定(TPP)について「今月中に(民主)党あるいは政権として結論を出されるとのことなので、それに大いに期待したい」と表明するなど、その役割は明白だ。(『しんぶん赤旗』2011.10.23より抜粋。)
●「水道や下水道など海外の水事業への参入を目指している地方自治体が、相互連携の体制を強化し始めた。東京都の呼び掛けで昨年末に発足した協議組織に参加する自治体が増加し、従来の政令指定都市のほかに県も加わり始めた。各自治体がそれぞれ保有している情報や技術、人材の相互融通をさらに積極化する動きで、国内では前例のない自治体同士による共同受注も視野に入れている。…参加自治体は▽東京都▽札幌市▽さいたま市▽横浜市▽川崎市▽静岡市▽浜松市▽名古屋市▽京都市▽大阪市▽堺市▽神戸市▽岡山市▽広島市▽北九州市―に3県を加えた18団体となり、これに日本水道協会が加わっている。調整役は東京都と日本水道協会が担当。年3〜4回の会合(非公開)で情報交換などを行う。協議組織を発足させたのには、各自治体がそれぞれ独自に進めてきた海外事業の調査の内容や、収集した情報を共有することで無駄を省いたり、同一案件の入札で国内の自治体同士が競合するのを避けたりする狙いがある。併せて、複数の自治体が官民コンソーシアムに共同で参加して同一案件の受注を目指すことも想定。都によると、アジア地域での事業を主な対象として構想を検討するという。」(『建設工業新聞』2011.10.24)
●「国土交通省は、除雪や道路維持などの『地域維持事業』を受注した建設業者が、実際にかかった費用より安い代金しか発注者から受け取っていないケースがあるとして、地方自治体に対し、経費を適切に支払うよう要請する通知を25日付で出した。人員や機械の待機・維持管理にかかった費用を支払わない自治体があり、地方業者の経営を圧迫する一因になっていると判断。契約時に設定した基準時間に満たない作業量でも、基準時間分の人件費や建設機械の固定費の支払いを保証するよう求めた。」(『建設工業新聞』2011.10.26)
●「東日本大震災を受け、全国で津波に強い街づくりを進めるための制度整備が本格化する。国土交通省は『津波防災地域づくり法案』の概要をまとめた。都道府県知事が2段階の警戒区域を指定し、特に危険な区域での開発・建策行為を制限できるようにする。同法の施行に合わせ、関係法制度の改正も実施。ハード・ソフト施策を組み合わせた多重防御の津波防災体制の構築を急ぐ。政府は今臨時国会での同法案の成立を目指す。」(『建設工業新聞』2011.10.26)
●「東京外かく環状道路(外環)の早期着工へ――。東京都は、2012年度予算案に関連事業費として過去最大の約100億円を盛り込む方針だ。…10、11年度にそれぞれ計上してきた直轄事業負担金75億円に工事費相当分の25億円を積み上げる。過去最大となる予算額を用意することで、国に対して継続して工事費の計上を促すなど、総額で400億円の予算計上を要求。一刻も早い本体工事着手を求める、まさに都の事業推進への思いが反映された形だ。」(『建設通信新聞』2011.10.26)
●「東京都八王子市は、小学校の普通教室空調機設置事業で使用する資材の調達方法に競り下げ方式(リバースオークション)を採用する。これまでは工事の落札業者が空調機器を調達して設置していたが、資材購入に関する部分でAランクなど大手の業者が有利となり、結果的に地元企業の受注が減少しているため、業者負担を軽減し、市内中小企業の受注機会を拡大させる観点から、資材購入先を先に決める資材購入先指定方式を試行することにした。自治体での導入は全国初となる。」(『建設通信新聞』2011.10.27)
●「佐藤信秋議員は27日、公共調達について会計法で定められている予定価格の上限拘束性撤廃を視野にいれた、公共調達の適正化へ向けた改革提言を、超党派で行うことを明言した。同日の参院国土交通委員会で佐藤議員は、地方建設業が価格競争激化で疲弊し災害対応も難しくなっていることと、官積算の予定価格が標準価格の性格である以上、『予定価格の上限拘束をはずすなど公共調達を変える必要がある』と前田武志国土交通相に質した。前田国交相は、『地方建設業は今後地方で必要な維持・修繕・更新のお守り役。公共調達の適正化指摘はそのとおりだと思う』とした上で、『超党派で地場の優良企業が存続できるための提言をしてほしい』と要請、佐藤議員は『早急にまとめ提言する』と応えた。27日の参院国交委質疑を踏まえ、公共調達研究会は具体的提言へ向け31日にも会合を開く予定。」(『建設通信新聞』2011.10.28)
●東日本大震災や7月末の新潟・福島豪雨災害、台風12号、15号による災害―。こうした大規模災害の救援・復旧で大きな役割を発揮したのが、国土交通省地方整備局だ。いま、政府が「地域主権改革」の名で、地方整備局をはじめとする地方出先機関を廃止し、地方移譲しようとしていることに対して、各地で反対運動が広がっている。…全国一律で、迅速な復旧活動ができたのは、国の出先機関として、同じ法律や基準で災害対応機器を常備していたからだ。地方整備局は道路・河川などの整備・管理、大規模災害での経験を蓄積している。これらの活動を専門的に担っているからこそ、緊急時の対応ができる。地方整備局が廃止、地方移譲されれば―。国土交通労組の高津公明副委員長は、「地方ごとに指揮系統が異なれば、大規模災害時に全国的な支援が困難になる。国民の安全と安心を守るべき国の防災、災害対応に対する責任を放棄することになる」と指摘する。20日に開かれた政府の地域主権戦略会議で、野田佳彦首相が出先機関廃止の推進を表明。政府は昨年末、2012年の通常国会に法案を提出し、2014年度中に事務・権限の移嬢を目指すとの閣議決定をしている。地方移譲されれば、各出先機関の機能を維持できるのか。国土交通省は、2010年度までの5年間で予算1兆2800億円、職員2200人を削減された。地方整備局の職員も毎年200人前後減らされ、深刻な人手不足だ。その上、財政基盤が弱い自治体に移譲されれば、緊急の災害対応はもとより、防災のための河川整備や砂防事業、日常生活のための道路・河川維持、橋やトンネルなどの補修ができなくなる恐れがある。しかも道路や河川の整備・管理の財源である建設国債(残高245兆円)も地方移譲に含まれる予定だ。また、基礎自治体が管理することになれば、新たな地方債の発行など、重い負担を抱えることになる。出先機関廃止について議論している「アクション・プラン」推進委員会は、9月に「中間とりまとめ」をだす予定だったが、先送りされた。今年、多発した災害への対応で、地方整備局が大きな役割を発揮したことから、その検証や大規模災害への国のかかわりを議論する必要に迫られたためという。(『しんぶん赤旗』2011.10.28より抜粋。)
●「政府は28日、東日本大震災の被災地復興に向け、特区を設けて各種規制の緩和策や金融・税制の優遇策などの特例措置を講じるための『東日本大震災復興特別区域法案(復興特区法案)』を閣議決定した。法案は近く臨時国会に提出される。11道県の222市町村が復興特区法案の適用対象地域となる。…政府は28日、東日本大震災の復興財源として期間限定で所得税と法人税を増税することなどを盛り込んだ『復興財源確保法案』を閣議決定した。増税期間は所得税で10年、法人税で3年間。規模は11.2兆円。政府は同日、11年度3次補正予算案も合わせて国会に提出した。」(『建設工業新聞』2011.10.31)
●「前田武志国土交通相は28日の閣議後の記者会見で、タイのバンコクで起きている大洪水の被害に関連し、同様の洪水被害が起きることが想定される近隣のアジア各国に対し、日本の防災技術を活用して積極的に支援を行っていきたいとの意向を表明した。支援に当たっては、『日本の持っている知見、技術、経験を生かしてインフラ、防災業務、避難体制、土地利用規制など災害経験にかかわるパッケージシステムを提供するよう官民連携で取り組む』と述べ、防災技術などをパッケージにして輸出する方法を検討する考えを示した。」(『建設工業新聞』2011.10.31)

労働・福祉

●「厚生労働省は、省内事業仕分け(行政事業レビュー)で『一定期間経過後に事業の廃止』と判定された建設雇用改善助成金制度について、2012年度にゼロベースで見直すことを明らかにした。学識者や建設産業界の労使双方で構成する検討組織で議論し、12年夏をめどに一定の結論を出す予定だ。」(『建設通信新聞』2011.10.18)
●「民主党プロジェクトチーム(PT)が調整できず宙に浮いていた『トンネルじん肺救済法案』が与野党協議の場に持ち込まれ、20日からの臨時国会に提出される可能性も出てきた。18日の全国じん肺弁護団連絡会議が主催した会合に出席した公明党の漆原良夫国会対策委員長は『次の国会(臨時国会)で成し遂げたい』と表明し、行政と建設業界を『障害』と批判した。漆原発言は、法案の柱である基金創設の拠出金について、トンネル受注会社に負担させる『A案』を念頭にしている模様。A案からADR(裁判外紛争解決手続き)を関与させ、過去の賠償額比率で按分する『C案』に歩み寄った経緯が一方的に反故(ほご)にされたわけで、今後の与野党協議は大きな関心を呼びそうだ。」(『建設通信新聞』2011.10.20)
●「厚生労働省は、放射性物質に汚染された土壌や廃棄物の除染作業のガイドラインと、元請けの安全教育など法令で新たに義務付ける関係法令改正検討に着手した。11月末までに骨子・素案を固め、2012年1月からの施行を目指す。これまで原発など管理された施設内の放射線業務だけにしか適用法令がなく、施設外の除染などの作業についての安全管理基準などはなかった。来年1月からのガイドラインと安全教育義務付けなど労働安全衛生法省令改正施行を受け、除染は廃棄物処理を行う建設業界も元請け責任として、新たな対応が求められることになる。」(『建設通信新聞』2011.10.25)
●「厚生労働省や経済産業省、内閣府などは25日、東日本大震災の復興事業にかかわる雇用創出効果をまとめた。第3次補正予算案に盛り込んだ雇用対策は総額6.1兆円で、58万人の雇用創出・維持が見込めると試算した。被災地での農林水産業や観光業などの支援に取り組むほか、企業への補助金支給濠進めて中長期の雇用の確保を目指す。」(『日本経済新聞』2011.10.26)
●「厚生労働省がまとめた2011年1−9月の労働災害発生状況(速報、10月7日時点)によると、建設業の死亡者数は305人となった。このうち99人は津波など3月11日の東日本大震災を直接の原因とする『震災労災』だった。震災労災を除いた建設業の死亡者は206人で、前年同期に比べ14.9%減(36人減)となった。全産業に占める割合は31.2%と0.2ポイント上昇した。また、東日本大震災の復旧・復興関連労災では、休業4日以上の建設業死傷者が264人に上っている。」(『建設通信新聞』2011.10.28)

建設産業・経営

●「ゼネコン(総合建設会社)が、戸建て住宅の地盤が大地震で液状化するのを防ぐ工事の受注に動き出す。竹中工務店は大規模な都市開発で活用する液状化対策技術を宅地造成の分野に応用し、住宅街の対策工事を開拓。戸田建設なども工事費を抑える新技術を実用化した。東日本大震災を機に戸建て住宅用地の液状化防止工事への需要が伸びており、各社は新技術をテコに受注につなげる。」(『日本経済新聞』2011.10.17)
●「東京商工リサーチがまとめた2011年7月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比9.7%増の315件となり、3カ月連続して前年同月を上回った。地区別では、9地区のうち関東、中部、近畿、四国、九州の5地区が増加した。負債総額は4.2%減の420億0800万円となった。金額としてはことし最大だったものの、平均負債額は12.5%減の1億3300万円にとどまり、7月としては、過去20年間で最少規模だった。これは負債1億円未満が12.4%増の199件になるなど、小規模企業の倒産増加が影響した。」(『建設通信新聞』2011.10.19)
●「日本建設業連合会(日建連)の野村哲也会長は、19日の理事会後に記者会見し、建設業界の景況について『(日建連会員企業の)受注統計では前年度比実績を上回っているものの、一昨年度実績には届いておらず、上向いている感覚はない』と述べ、厳しい受注環境が続いているとの認識を示した。政府が検討を進めている環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合の建設業界への影響については『日本経済が活性化されるなどの議論がされていないので分からない』と語り、現段階では業界への影響などを判断するのは難しいとの見方を示した。TPPの議論について、同席した中村満義(土木本部長)副会長は個人的見解と前置きした上で、『景気に対する何らかの刺激が必要』との考えを示す一方、『(参加に)反対する業界などに対し、どうソフトランディングさせていくのかも見極めるべきだ』と指摘。各産業界に与える影響を十分に検討する必要があるとの考えを示した。山内隆司副会長(建築本部長)は『(参加することで)日本経済がプラスになるのかどうかという議論が必要』と述べた。」(『建設工業新聞』2011.10.20)
●「GATS(WTOサービス貿易一般協定)とUIA(国際建築家連合)の『建築実務におけるプロフェッショナリズムの国際推奨基準に関するUIA協定』などを背景に1990年代から2000年初頭にかけて議論された設計者資格(建築士制度)の国際化対応問題が再燃する可能性が出てきた。現在、政府内で環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加の是非が議論されており、政府がまとめた『環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の分野別状況』では、対話の当面の優先分野としてエンジニア、建築士などが対象とされていることが明らかになった。交渉参加が決まれば、サービス貿易の一つとして設計者資格の相互認証も協議の対象になる。」(『建設通信新聞』2011.10.26)
●「政府は年内にも、全国の主要な地方銀行74行と連携して、業績が低迷している中小・零細の建設業者の再編支援に乗り出す。M&A(合併・買収)や転廃業に向けた専門家の助言を国費で受けられるようにし、銀行に新たな経営戦略の立案や融資などを要請する。公共事業の減少や過剰な業者、従業者数を抱える建設業界の経営効率化を目指す。」(『日本経済新聞』2011.10.28)
●「全国建設産業教育訓棟協会(才賀清二郎会長)は、国土交通省から受託した『建設技能労働者の成長分野への対応促進に関する業務』の一環として、リフォーム・メンテナンスと環境・エネルギーの二つの分野に関する検討委員会を設置し、27日に都内で初会合を開いた。需要低迷が続く建設産業の中でも成長が期待されるこれらの分野の建設技能労働者を育成するため、効果的な研修カリキュラムとテキストを作成することなどが狙い。…今回の受託業務では、リフォーム・メンテナンスと環境・エネルギーの二つの分野を対象とし、顧客ニーズに的確に対応するとともに、効果的に工事などを行える建設技能労働者の確保と育成を図るための人材育成プログラムを構築する。」(『建設工業新聞』2011.10.28)
●「国土交通省は、『社会保険未加入対策の具体化に関する検討会』の初会合を開き、建設業許可・更新時での加入状況の確認方法など論点を提示した。l・2月までに計3回の会合を開き、2012年2月に具体策を取りまとめる。12年度当初に必要な政省令・告示を改正、周知・啓発期間を経て、12年夏ごろから施行する予定だ。社会保険未加入問題については、国交省の建設産業戦略会議が企業単位で100%、労働者単位で製造業並みの加入を目指すとした目標設定を提言。保険加入を徹底するため、建設業法施行規則を改正し、建設業許可・更新の申請書類で保険加入状況を記載した書面を追加するほか、同法で規定している特定建設業者が下請けに対して指導すべき事項に保険加入関係規定を追加。省令を改正して特定建設業者が施工体制台帳や再下請通知書、作業員名簿などで下請けの保険加入状況を確認するなどの方向性が示されている。特定建設業者による下請けへの指導内容・方法を示したガイドラインの作成や、法定福利費の適正な見積もり・原価確保を徹底する発注者向けのガイドラインも整備する考え。事業所への立入検査や未加入企業への行政指導・処分、保険担当部局への通報、経営事項審査での未加入企業の減点幅拡大(告示改正)なども検討事項となっている。」(『建設通信新聞』2011.10.31)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「東日本大震災では、廃木材の量が1000万トンにものぼるといわれており、現在、どのように処理をするか、さまざまな検討が始まっている。岩手県ではこのほど、応急仮設住宅の団地内に、廃木材を活用したパーティクルボード『復興ボード』による仮設集会施設が2棟完成した。設計・施工したのは地元工務店5杜による宮古・下閉伊モノづくりネットワーク林産部会や関連企業、大学など。プロジェクトは仮設から恒久住宅へと移行し、『地場産材+復興ボード+地域工務店による施工』の復興住宅の開発が進められている。」(『日本住宅新聞』2011.10.15)
●「国土交通省は、災害時の応急仮設住宅整備のあり方を検証するため、都道府県の担当者らで組織するワーキンググループ(WG)を立ち上げる。東日本大震災で顕在化した建設・供給・管理面の課題を整理し、解決策を探る。参加する都道府県を募り、11年度内に数回の会合を開く予定。検証結果を基に、都道府県向けのマニュアルを作成する。」(『建設工業新聞』2011.10.19)
●東日本大震災で発生したがれきの7割を抱える宮城県で、処理が大幅に遅れている。北部では焼却施設の土地を確保できず、仮置き場に積まれたままだ。火災も相次いでおり、住民の間に不安が広がっている。国が解決に全面的に乗り出すことが求められている。(『しんぶん赤旗』2011.10.19より抜粋。)
●「政府は21日、住宅エコポイントの再開やフラット35S金利引き下げ幅拡大などを盛り込んだ、本年度第3次補正予算案を閣議決定した。住宅エコポイントは新たに、エコリフォームと併せて、耐震改修を実施した場合に15万ポイントを別途加算するほか、リフォーム瑕疵保険に加入すれば一律1万ポイント発行する。」(『日本住宅新聞』2011.10.25)
●環境省は29日、東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質の除染に関する工程表を発表した。除染で出る土壌などの汚染廃棄物を安定的に管理する中間貯蔵施設は、2012年度内に福島県内で設置場所を選定。14年度内に中間施設への搬入を始め、各自治体の仮置き場での保管期間は3年程度に収めるとしている。(『しんぶん赤旗』2011.10.30より抜粋。)

その他