情勢の特徴 - 2011年11月前半
●「国土交通省が10月31日発表した11年度上半期(4〜9月)の新設住宅着工戸数は43万2760戸(前年同期比6.1%増)となった。前年度に続き40万戸台には達したものの、1965年の統計開始以来、上半期としては4番目に低い水準。着工戸数は、8月まで6カ月連続で上昇してきたが、9月に入り、全体を下支えしていた首都圏でマンションの着工が落ち込むなど先行きには不透明感も漂っている。」(『建設工業新聞』2011.11.01)
●「オフィスビル市況は回復をうかがう局面に入った。3年にわたる賃料の値下がりを背景に企業の移転意欲が高まり、空室率はすでに低下し始めている。東日本大震災によって災害に強いオフィスを求める動きも強まり、賃料の下落も小幅になってきた。ただ足元では欧州債務危機による世界的な景気の先行き不透明感が強まり、企業の移転意欲が後退する懸念も出ている。」(『日本経済新聞』2011.11.04)
●「ベトナム北部で計画されているラックフェン港開発事業が、日越両国による初のPPP(官民連携)プロジェクトとして動きだす。岸壁や防波堤、アクセス道路整備などに円借款、コンテナターミナルの上物に民間投資を導入。総事業費は1000億円超に上る見通し。民間投資部分を受け持つ日本企業と現地の政府系企業との合弁会社が事業ライセンスを取得済みで、15年の開港に向け、関連工事が来年以降、順次発注される。」(『建設工業新聞』2011.11.04)
●野田佳彦首相は3日午後(日本時間同日夜)、フランス・カンヌで始まった20カ国・地域(G20)首脳会議で、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」との方針を表明した。これを実現するための関連法案を「2011年度内に提出する」とも強調した。10年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで、引き上げるとする方針は、6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部が決めた「社会保障・税一体改革成案」に盛り込まれたもの。しかし、同成案は、閣議報告にとどまり、閣議決定されていない。10月28日の臨時国会での所信表明演説でも、野田首相は消費税増税には触れていなかった。G20首脳会議では、首相は社会保障の財源問題について、「まず、財政再建をしっかりやらないといけない」とも述べた。(『しんぶん赤旗』2011.11.05より抜粋。)
●「東京商工リサーチが地方銀行、第二地方銀行81行を対象に行った11年度第1四半期末(6月末)の貸出金残高(連結決算ベース)に関する調査によると、建設業向け貸出金残高は前年同期比2.4%減の6兆4294億円で、08年3月末の調査開始以来、最低の水準に落ちこんだ。同社は『担保となる工事自体の減少が背景にある』と分析している。」(『建設工業新聞』2011.11.11)
●「野田佳彦首相は13日、米ハワイで閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。カナダやメキシコも参加の意向を示した。すでに交渉入りしている米国やオーストラリアなど9カ国は、市場の相互開放に向けた大枠を確認した。」(『日本経済新聞』2011.11.14)
●「米国やオーストラリアなど9カ国が結んだ環太平洋経済連携協定(TPP)の大枠合意は、同協定の大まかな形を示した。最大限の市場開放を進める方針を打ち出す一方、サービスや政府調達などでは限定的に例外を認める方針だ。日本が注目するコメなど物品の関税撤廃に例外が認められる余地はあるものの、明確な方針は示されていない。規制や制度面での具体的な言及はなかった。大枠合意ではTPPの基本的な理念や方向性などを明確にした。包括的な市場開放や広範な地域でのビジネスを促進するといった5つの特徴を明示。これまでの自由貿易協定(FTA)にはなかった横断的分野として、規制の統一や中小企業の貿易促進なども扱う。20以上の分野で同時並行的に交渉してきており、今回は、協定文書の進展状況などを簡単にまとめた。貿易自由化をめぐる部分では、原則的に市場を開放する方針も打ち出された。しかし、協定文書は一部しか固まっておらず、空欄も残っているという。市場開放では9ヵ国の首脳による生命で交渉国間の『既存のFTAで市場開放の例外が存在する』、『経済発展の違いを考慮する』と言及した。」(『日本経済新聞』2011.11.15)
●「インド西部のグジャラート州政府は、日本の自動車部品メーカー向けの工業団地を開発する。電力・水道などのインフラを州政府が整備。デリー首都圏などに比べ割安な土地や労賃も売り物に、中小企業を中心に30〜40社の誘致を目指す。同州では先月、スズキの印子会社が工場用地取得を決めるなど、日米欧の自動車大手の進出が相次ぐ。州政府は部品産業の積極誘致で自動車産業の一大集積地に育てたい考えだ。」(『日本経済新聞』2011.11.15)
●内閣府が14日発表した2011年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.5%増、年率換算で6.0%増だった。1年ぶりのプラス成長だが、東日本大震災の影響でマイナス成長となった前期の反動増だ。物価変動を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比1.4%増、年率換算で5.6%増だった。実質GDPの増減率に対する寄与度は、内需がプラス1.0%、輸出から輸入を差し引いた外需はプラス0.4%だった。輸出が前期比6.2%増と大きく増えたことが反映している。(『しんぶん赤旗』2011.11.15より抜粋。)
●「政府は1日、東日本大震災からの復興の司令塔となる復興庁設置法案を閣議決定した。来年4月までに発足。本部を置く場所は内閣とし、被災地ではなく東京に設置する。法案の付則には閣僚1人、副大臣1人、政務官3人の増員を盛り込んだ。復興事業の実施は従来通り国土交通省など他省庁が担うが、復興担当相に他の閣僚への勧告権を持たせ、調整機能を強化する。」(『日本経済新聞』2011.11.01)
●「会計法や地方自治法が定める入札時の予定価格の上限拘束性の見直しなどを検討する超党派国会議員による公共調達適正化研究会の議論が10月31日、8カ月ぶりに再開された。同日の会合では、予定価格の上限拘束性の撤廃などを視野に、公共調達を適正化する新法案を議員立法で制定するというこれまでの議論の方向を転換。公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の改正によって対応する考えが打ち出された。研究会の委員長を務める脇雅史参院議員(自民)は『来年の通常国会で審議に入りたい』と述べ、改正案の取りまとめに意欲を示した。」(『建設工業新聞』2011.11.01)
●「国土交通省は、復興道路として早期完成を目指す三陸沿岸道路などの工事で、CM(コンストラクション・マネジメント)方式の採用を検討している。CMR(コンストラクション・マネジャー)として建設会社やコンサルタント会社の技術力を活用し、総事業費1兆円に及ぶ事業の設計や施工のスピードアップを図る。設計段階での区間ごと設計内容の調整や、設計者・施工者・発注者の設計思想の統一化、工事段階での『第三者技術者』の役割をCMRが担う方向で検討している。」(『建設通信新聞』2011.11.07)
●「国土交通省は、住宅リフォームに関する自治体の支援状況の調査結果をまとめた。全都道府県と1746市区町村での取り組みを8月時点で調査した結果、ほとんどの自治体に支援制度があり、その中でも対震改修やバリアフリー改修、エコリフォーム促進を目的とする制度が大半を占めた。」(『建設工業新聞』2011.11.07)
●「東京都は7日、2012年度予算の各局からの要求状況を公表した。一般会計の要求総額は6兆2389億円で11年度当初予算比とほぼ同水準だった。東日本大震災を踏まえ建物の耐震化予算を5倍に拡充。円高に伴う産業の空洞化対策や五輪招致費も盛り込んだ。来年1月下旬をめどに予算原案をまとめる。」(『日本経済新聞』2011.11.08)
●「政府は6日、大都市のビジネス、商業拠点としての競争力アップに向け、改正都市再生特別措置法で新たに導入した『特定都市再生緊急整備地域』に、東京、大阪など7都市11地域を指定する方向で調整に入った。同地域の開発には税制面や各種規制の優遇措置を適用し、官民連携により集中的にインフラを整備。国際企業の誘致競争などで、成長著しいアジア諸国の大都市に勝てる環境づくりを進める。」(『建設通信新聞』2011.11.08)
●「国土交通省は、東日本大震災の被災地で災害公営住宅の建設を加速するため、岩手、宮城、福島3県内にある被災市町村の支援に乗り出す。供給計画や基本計画の検討などにノウハウを提供するとともに、必要に応じてPFI・PPP事業などの民間資金を活用した整備手法も探る考え。2011年度第3次補正予算で創設する東日本大震災復興交付金(仮称)には、全体で約2万戸分の建設費として1兆円規模の予算を見積もっている。」(『建設通信新聞』2011.11.08)
●「東京都は来春にも都内の全てのマンションの総戸数や築年数、管理状況などの基礎情報を集めたデータベースを構築する。都内では約10年で築40年を超す分譲マンションが40万戸以上に膨らむ見通し。東日本大震災で老朽化マンションの耐震化や建て層えは喫緊の課題。240万戸ともいわれる都内マンションの実態を把握、来年度以降に建て替えや耐震化を促すテコとして活用する。」(『日本経済新聞』2011.11.09)
●「国土交通省で、津波防災に向けた技術基準などの検討が本格化する。盛土構造の道路を『二線堤』として活用する際の技術上の課題などを探る検討会を8日に立ち上げたほか、港湾施設でも『粘り強い構造』を実現するための技術基準の検討を始める。被災地だけでなく、全国的な津波防災施設整備の際に活用することになる。」(『建設通信新聞』2011.11.09)
●「国土交通省は9日、東日本大震災復興特別区域法案に盛り込む特例措置や基準緩和の概要をまとめた。防災集団移転促進事業は、補助対象の事業スキームと施設の用途を拡大するほか、宅地・農地一体整備事業の創設、環境影響評価手続きの簡素化といった各省にまたがる事業や手続きに対して、迅速な復興を実現するためにあらゆる手法を適用していく。」(『建設通信新聞』2011.11.10)
●「国土交通省は年内にも、津波で浸水する恐れのある宅地のかさ上げ事業を国庫負担で始める方針だ。東日本大震災の被災地が対象で、事業費の全額を国が負担する。津波対策に関しては住居の高台移転も検討されているが、通勤に不便な場所への移転を嫌がる被災者も多い。国が資金支援し、もともと住んでいた宅地をかさ上げする事業を後押しする。」(『日本経済新聞』2011.11.12)
●「中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)は11日、東京都内で総会を開き、災害対応や除雪などの『地域維持事業』の実施を条件に地元の中小・中堅建設業者に結成を認める『地域維持型JV』の運用方法を追加した『共同企業体(JV)運用準則』を了承した。JV準則の改正は13年ぶり。中延審は同日、国や都道府県などの公共発注機関に改正準則に準拠して各機関のJV運用基準を見直すよう勧告した。」(『建設工業新聞』2011.11.14)
●国土交通省は11日、災害を軽減させるパッケージシステムを世界各国に提供する取り組みを検討していることを明らかにした。具体的には、タイの洪水に対する国交省のさまざまな支援を含め、水害だけでなくインフラ、防災情報、避難体制、土地利用規制といった、災害軽減につながるパッケージシステムを世界各国に対して提供できるように、官民連携を通じた取り組みを検討している。同日、自民党国土交通部会で示した。(『建設通信新聞』2011.11.14)
●「東京都が発注する都営住宅の基本設計業務で過度の低価格受注が頻発している問題で、『1円』の超安値受注が14日再び発生した。同日見積もり合わせを実施した千石1丁目団地(江東区)の新築基本設計で、安値受注対策の初弾として管理技術者の配置・実績を参加要件に追加したが狙った効果は出なかった。所管の都市整備局は『(管理技術者の配置・実績の要件化は)品質確保の強化には効果があるだろうが、最大の目的である受注価格の適正化には働かなかった』(鶴松博総務部技術管理課長)と失敗を認めた。」(『建設工業新聞』2011.11.15)
●「厚生労働省は31日の社会保障審議会で、社会保障の保険料を見直して高所得の会社員の負担を増やす議論に着手した。年金は月収60万5000円以上の約210万人の負担を増やし、介護も企業の平均年収に応じて保険料を決める新方式を導入する。低所得者の負担を軽減するのが主な狙いだが、働き盛りの40〜50歳代に負担が集中することになり、経済の活力を損なう懸念がある。」(『日本経済新聞』2011.11.01)
●「厚生労働省は、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質で汚染された土壌や廃棄物の除染作業に当たる労働者の放射線障害防止対策で、除染作業を請け負う事業者に対し、現場での作業に入る前に汚染状況の事前調査を実施した上で、作業計画を策定することを、新たに制定する法令で義務付ける方針を明らかにした。法令対象外で、自ら除染や汚染廃棄物処理を行う住民や農業従事者など向けとなるガイドラインにも、作業計画の策定などを規定する予定だ。」(『建設通信新聞』2011.11.02)
●「東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島3県で、失業して雇用保険の失業手当を受けた人のうち、受給期間内に新たな職が見つけられず期間を延長した人が9月末現在で計1万2705人に上ることが7日、厚生労働省のまとめで分かった。昨年の9月末は3213人で、約4倍となっている。被災地での再就職は極めて難しく、厳しい雇用情勢があらためて浮き彫りになった。」(『日本経済新聞』2011.11.07)
●「2010年の建設業の従業員数が前年比0.5%減の16万4984人となり、1994年の調査開始以来、最低になったことが国土交通省のまとめでわかった。前年実績を下回るのは3年連続で、ピーク時の94年と比べて4割近く減少した。売上高も13兆317億円と3年連続で減少した。景気低迷や公共事業の減少が背景にあり、建設会社は一段の経営効率化を迫られそうだ。」(『日本経済新聞』2011.11.09)
●「大和ハウス工業の2012年3月期の連結経常利益は前期比27%増の1000億円程度になる見通しだ。従来予想を70億円上回る。住宅版エコポイントなど政府の需要刺激策を受けて、4〜9月期に住宅販売が好調に推移。都心部を中心に女性向け賃貸物件も伸びる。売上高は5%増の1兆7800億円前後、営業利益は20%増の1050億円程度となりそう。それぞれ従来予想を300億円、100億円上回る。けん引役は都市部を中心とした賃貸アパートの設計・建設。女性向けなど入居者層を絞った新商品の効果が出る。オフィスや商業施設を建設する事業施設部門も好調で、収益増に寄与しそうだ。」(『日本経済新聞』2011.11.03)
●「上場ゼネコン各社の11年4〜9月期決算の発表が8日から本格化する。東日本大震災で生じた工事遅延や復旧工事などの影響が本格的に反映される見込み。直近の業績予想修正によると、5月ごろの予想と比べ、売上高は落ち込む一方、利益率が上昇している企業が自立つ。ただ、大幅な営業増益となった前年同期と比べると減溢となる企業が多く、営業赤字の企業も全体の4割に上る。10日に大手4社の決算が出そろい、11日までには連結売上高1000億円以上(11年3月期ベース)の24社は発表を終える予定。…19社のうち、売上高を上方修正したのは五洋建設、三井住友建設、熊谷組の3社だけ。鹿島、長谷工コーポレーションは修正せず、残り14社が下方修正した。震災による工事遅延の影響が大きいとみられる。営業損益は10社が上方修正、8社が下方修正と分かれた。1社は変更しなかった。上方修正は手持ち工事の完成工事総利益率(粗利益率)が予想を上回ったことが主因。下方修正の理由としては売上高の減少に加え、震災による工事採算の悪化、労務費、資材費の上昇などが挙げられた。円高による為替差損の影響も少なくなく、大林組は20億円の為替差損を織り込み、経常利益を下方修正した。」(『建設工業新聞』2011.11.07)
●「住生活グループのLIXILは7日、洪水で操業停止中のタイ工場の製品生産を一時的に日本に移管し、最大1000人のタイ人従業員を国内3工場などで受け入れると発表した。政府が日本での代替生産を支援するため、日系企業で働くタイ人の就労ビザの要件緩和などを進めていることなどを受けた措置。日本での生産移管に必要なノウハウの導入のために、タイ従業員の受け入れを検討する企業も増えている。」(『日本経済新聞』2011.11.08)
●「海外建設協会(竹中統一会長)が会員企業48社を対象に調査した2011年度上期(4−9月累計)の海外工事受注総額は、前年同期比65.9%増の6076億6300万円と大幅に伸びた。円高の影響で、日系企業の工場を中心に海外への設備投資が進んだ結果、アジア、欧州での受注が堅調に伸び、中東、アフリカも大きく前年同期を上回った。今後については、ギリシャ情勢など不透明な面もあるが、欧州での受注比率が小さいため影響は少なく、100億円以上の受注案件も既に前年度を上回っているため、通期は1兆円を超える見通しだ。」(『建設通信新聞』2011.11.08)
●「日本原子力研究開発機構は福島第一原子力発電所事故に伴い、警戒区域や計画的避難区域などに指定されているエリアで実施する『除染モデル実証事業』の委託先を決めた。対象となる福島県内の12市町村のうち、Aグループ(南相馬市、川俣町、浪江町、飯館村)を大成建設、Bグループ(田村市、双葉町、富岡町、葛尾村)を鹿島・日立プラントテクノロジー・三井住友建設JV、Cグループ(広野町、大熊町、楢葉町、川内村)を大林組が担当する。10月7日から21日まで行った公募には、12者から応募があった。除染対象物には森林、農地、宅地、大型建造物・建物、道路の5項目を設定。汚染度合いごとに除染計画を立案する。現場作業期間は1カ月程度を想定している。作業員の放射線防護や除去物の保管・処理にも万全を期す。モデル実証は、内閣府からの委託事業として同機構が実施するもので、予算上限は1自治体当たり6億円程度を見込む。実施内容の評価・報告は、2012年3月2日までに完了させる。」(『建設通信新聞』2011.11.09)
●「大手ゼネコン(総合建設会社)4社が2011年4〜9月期に受注した工事は東日本大震災の災害廃棄物(がれき)処理などで土木部門が前年同期比56.4%増加し、全体の受注高も8.7%増の1兆7679億円となった。ただ、建築部門はマンションを免震化するなどの理由で計画を見直す動きが相次ぎ、受注高は2%減の1兆3019億円にとどまった。土木工事は公共事業の抑制で減少傾向が続いていたが、4〜9月期は被災地の自治体が発注したがれき処理のほか、東京・築地市場の移転先で土壌を浄化する東京都発注の工事など大型案件が相次ぎ、鹿島、清水建設などが受注を伸ばした。大手4社の土木部門の受注高合計は4659億円となり、期初の予想よりも4割以上多かった。建築工事は震災の影響で計画見直しが相次ぎ、清水建設と大林組の受注高は前年同期を下回った。『免震構造に変更したいとの意向で受注契約が延びたマンション工事があった』(大林組)ほか、円高で国内に工場を建てる需要も不振だった。」(『日本経済新聞』2011.11.10)
●「太平洋セメントはベトナムで生コンクリート事業に参入する。南部の生コンクリートメーカーを買収、北部には三菱マテリアルと共同で生コン工場を新設した。セメントから生コンの生産・販売までを一貫して手掛けることで、収益力を高める。太平洋セメントのセメント事業の海外売上高比率は約2割。内需拡大が見込めないため、海外展開を加速する。」(『日本経済新聞』2011.11.11)
●「11日に開かれた中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)の総会では、運用準則が了承された『地域維持型JV』について、建設業界の委員から歓迎する意見が出される一方、地域維持型JVを導入する要因となっている過当競争への対応も必要だとの声も上がった。」(『建設工業新聞』2011.11.14)
●「全日本漁港建設協会(長野章会長)は、東日本大震災で被災した東北地方の太平洋沿岸の漁港の復旧・復興工事が今後本格化するのに備え、地元業者への優先発注や現場技術者の専任配置要件の緩和などの支援措置を、国や被災県の担当部署に要望する。長野会長をはじめ、同協会の被災3県(岩手、宮城、福島)の各支部長の連名による要望書を、所管する水産庁や3県の担当課に近く提出する予定だ。」(『建設工業新聞』2011.11.14)
●「道路舗装大手8社の11年4〜9月期決算が出そろった。東日本大震災の応急復旧工事に協力したのに加えて、前期の反動や『(震災以外の)新設工事があった』(NIPPO)ことから、受注高(単体ベース)は全社が前年実績を上回った。ただ、12年3月期は、西日本地域をはじめ工事量の増加が総体的に期待しにくく、震災復興を含む公共投資関連の先行きも見通せないことを理由に、予想を据え置く社が多く、最大手のNIPPOは、今のところ前期実績に届かないとみている。」(『建設工業新聞』2011.11.15)
●全国公団住宅自治会協議会は1日、「UR賃貸住宅を公共住宅として守れ」と、国会要請集会を開いた。行政刷新会議が検討する「UR賃貸住宅の民営化」(特殊会社化)に反対するもので、97団地、219人が参加した。林守一全国代表幹事は「民営化されれば、利益第一になる」と、公団住宅に増えている高齢者に、公的な支援が行き届かなくなると指摘。「公団住宅が残せるよう、事業仕分けやワーキンググループのもくろみを打被したい」と述べた。井上紘一事務局長は、国鉄や郵政などが民営化される中で、いまだ民営化されていない都市再生機構(UR)と、公団住宅は「徹底的に狙われている。風雲急を告げる事態」と述べ、公団住宅を守る運動を広げようと訴えた。(『しんぶん赤旗』2011.11.02より抜粋。)
●「国土交通省はこのほど、応急仮設住宅を検証する都道府県ワーキンググループを設置することを決めた。東日本大震災の被災者向け仮設住宅に関しては、用地選定に時間がかかったり断熱対策等が後手に回るなど、様々な課題が浮かび上がっている。ワーキンググループでは特に、都道府県と市町村、建設部局と福祉部局など関係者間の連携、契約、清算など、実務面で支障になる課題を中心に整理・検証。今後の震災に備え、都道府県向けのマニュアルを作成する。」(『日本住宅新聞』2011.11.05)
●「福島第一原子力発電所の事故に伴い、放射性物質に汚染された土壌などの除染作業へ向けた体制づくりが進む中、実際の作業によって発生する汚染廃棄物を一時的にストックする仮置場の確保が、福島県内59自治体のうち11自治体にとどまっていることが分かった。9日、衆議院予算委員会で細野豪志環境相が明らかにした。また同相は、現時点で想定する1兆1482億円の除染・汚染廃棄物処理費用(中間貯蔵施設整備や高濃度汚染地域対策費用は別計上)について、『上回る可能性もある』と処理費増加にも言及した。」(『建設通信新聞』2011.11.10)