情勢の特徴 - 2011年11月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「東日本大震災で大きな被害を受けた漁業関係者から、2011年度第3次補正予算の早期成立と執行に強い期待感が高まっている。3次補正分だけで、水産庁年間予算の2.5年分を計上。『水産庁にとって大変大きな金額。使い勝手をよく考えなければならない』(民主党水産政策ワーキングチーム=WT=の高橋英行座長)と民主も議論を開始した。漁港整備は地場マリコン企業が中心的役割を担うとみられ、水産庁の年間予算を上回る復旧事業が、岩手、宮城を中心に発注されることになりそうだ。」(『建設通信新聞』2011.11.17)
●「民主党は、インフラの新規整備や維持管理に民間の資金やノウハウを活用するPFI・PPP事業を拡大させるため、PFI事業者を資金面から支援する『官民連携ファンド』の創設に向けた検討を始めた。成長戦略・経済対策プロジェクトチーム(PT)に設置した『官民連携(PFI/PPP)小委員会』が18日に初会合を開催。ファンドの受け皿機関について議論を始めた。小委は11月中に受け皿案を固め、政府に12年度の予算計上を求める。」(『建設工業新聞』2011.11.21)
●「東日本大震災で被災した事業者のローンを買い取るための支援法(『二重ローン』対策法)が、21日の参院本会議でみんなの党を除く各党の賛成多数で可決、成立した。政府は今年度中に新たな買い取り機関を設立する方針。被災地の中核企業から小規模事業者まで幅広い事業者を支援対象とする。銀行がローンを売りやすいように買い取り価格も柔軟に設定する考え。ただ、事業再生が難航すれば、新機関はローンの回収が難しくなり国民負担につながる恐れもある。」(『日本経済新聞』2011.11.22)
●「政府の2011年度第3次補正予算が成立したことを受けて国土交通省は21日、一般公共事業と官庁営繕事業の配分額を決めた。配分額は5389億円(事業費ベース)で、うち復旧・復興関係は2193億円、全国防災関係は3196億円となった。宮城県石巻港の廃棄物受け入れによる埋立護岸整備に15億円、三陸沿岸道路など復興道路・復興支援道路の緊急整備に930億3100万円、被災地以外の道路防災・震災対策などに1261億0700万円などを配分する。」(『建設通信新聞』2011.11.22)
●「国土交通省は、2011年度第3次補正予算の成立に伴う所管事業の執行について、各地方整備局などに通達した。復興道路の整備などが盛り込まれている復旧・復興事業について、事業執行の『迅速化』や『効率化』に向け、『適切な規模での発注』を求め、被災者の雇用にも配慮して地域の中小建設業者の受注機会確保に努めること、とした。各発注者は、通達の方針に沿って第3次補正予算の工事を発注する。」(『建設通信新聞』2011.11.24)

行政・公共事業・民営化

●国土交通省がこのほどまとめた、地方公共団体のリフォーム助成制度の実施状況によると、今年度はすべての都道府県でリフォーム支援制度を実施(昨年度から7団体増加)。市区町村段階では1746団体のうち86%で実施されており、昨年度より177団体増加するなど、住宅リフォームの推進が加速している。…国交省によると、今年8月時点で全国で実施されているリフォーム支援制度は約6200制度。昨年度より約1200制度増加。内容としては耐震改修が最も多い。次いでバリアフリー改修、エコリフォーム促進、リフォーム促進(地域材利用促進、地場工務店振興、リフォーム市場活性化等)――の順だった。支援方法は「補助」が最も多く、「利子補給」、「融資(有利子)」――の順となっている。補助の要件に関しては、施工者の「要件なし」が6割以上を占めたが、地元事業者であることを条件としているものも773制度あった。」(『日本住宅新聞』2011.11.15)
●「東京都は太陽熱を給湯や暖房に利用したマンションや戸建て住宅の普及に乗り出す。今年度からの5年間、新築住宅に太陽熱利用システムを設置する事業者に費用の半額を補助する。事業に先立って関連メーカーから新技術を公募し、大和ハウス工業など22社のシステムを採用した。コスト面やデザイン性で優れた技術を普及させ、都内住宅の消費電力や二酸化炭素(CO2)の削減につなげる。」(『日本経済新聞』2011.11.16)
●「国土交通省は、東日本大震災を踏まえ、災害発生直後の港湾の応急復旧対応のあり方を見直す。各地方整備局と関連業界団体が結ぶ災害協定について、広域災害時の支援体制など課題を整理し、より実効性の高いスキームを検討。併せて、海上輸送ルートの啓開に必要なハード・ソフト両面の対応を調査する。各整備局と団体の意見をすり合わせ、非常時の復旧支援体制の強化・拡充に取り組む。」(『建設工業新聞』2011.11.16)
●「政府の行政刷新会議は22日に行った『提言型政策仕分け』で、中長期的な公共事業のあり方について議論し、『選択と集中』をより厳格化して事業の重点化を図った上で、新規投資は厳しく抑制するとの評価結果をまとめた。維持更新についても、ストックの全体像を詳細に把握し、民間活力を積極的に取り込みながら進めるべきだと今後の方向性を示した。」(『建設工業新聞』2011.11.24)
●野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加表明したことで米国はかさにかかって要求受け入れを日本に迫っている。…米国の姿勢ははっきりしている。「交渉に参加するために、日本はTPPの高い貿易自由化基準を満たし、米国にとって関心のある事項、つまり非関税障壁を含む農産物、サービス、工業製品に対する貿易障壁に関する具体的問題に対処する準備ができていなければならない」野田首相の交渉参加表明を受けた米国通商代表部の声明。自分たちの要求をのまなければ日本を交捗に入れないということだ。野田首相との会談でオバマ米大統領は「TPP交渉に参加するすべての国は協定の高い水準達成に向け準備する必要がある」と念を押した。…日本政府は交渉参加に向けた事前協議のため、早速、省庁横断の組織立ち上げに動いている。「関係国がどういう思いを持っているか、情報収集していかなければならない」と野田首相はいう。しかし、実際には単なる情報集めではない。各国、特に米国の要求にどう対応するか―野田内閣は日本国民の利益を裏切る方向にさらに動いて行くことになる。(『しんぶん赤旗』2011.11.25より抜粋。)
●「国土交通省は28日の中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会第3回基本問題小委員会で、技術者データベース(DB)など以外の建設業法改正時に検討する項目として、建設業の許可後に暴力団になった企業の排除や技術検定での不正行為への罰則を検討していることを明らかにした。あわせて、法改正事項ではないものの、施工体制台帳での登録基幹技能者の記載欄追加など育成・評価・処遇向上策や、技術者DBで登録可能な民間資格などを検討する考えを示した。」(『建設通信新聞』2011.11.29)

労働・福祉

●「厚生労働省は、東日本大震災の被災地向け特例として認めている失業手当の給付期間延長について、さらなる延長は実施しない方針を固めた。最短で来年1月から、給付が切れる人が順次出てくる。…震災被害が大きかった地域では、雇用保険の失業手当の給付期間を最大で210日間延長してきた。」(『日本経済新聞』2011.11.22)
●「厚生労働省の専門家検討会は21日、除染作業に従事する労働者の放射線障害対策報告書を決めた。報告書は、作業場所の放射線の平均空間線量の度合いによって、放射線に汚染された土壌の除染や汚染災害廃棄物処理を請け負う建設業など除染等事業者に対して求める対策を示したガイドラインと、事業者に義務付ける内容が柱。厚労省は福島県内で今後、本格化する除染作業のガイドラインとするほか、事業者への義務付けは2012年1月から適用する方針。報告書は、▽被ばく線量管理の対象及び被ばく測定線量管理の方法▽被ばく低減のための措置▽汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置▽労働者教育の内容▽健康管理のための措置▽安全衛生管理体制――で構成。」(『建設通信新聞』2011.11.22)
●環太平洋連携協定(TPP)の締結・交渉参加国の労働組合は、TPPが雇用と国民生活に重大な影響をあたえるとして、つよい懸念を表明している。各国の労働組合は昨年来、各国政府に要請書を提出している。オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、アメリカのナショナルセンター(労働組合の全国組織)は連名で2010年3月15日、「TPP交渉に関する労働組合宣言」を発表している。このなかで「貿易協定により労働者の良質な雇用が犠牲となり、投資家が新たな大きな機会を得るようなことを許すわけにはいかない」と強調し、「TPPは、良質の雇用の創出を促進し、勤労者の権利と利益をまもり、長期にわたり均衡のとれた経済発展をもたらし、健康的な環境をもたらすものでなければ支持できない」と宣言している。さらにこの4カ国の労働組合にチリとペルーの労働組合が加わった6カ国のナショナルセンターは同年5月10日、オーストラリア、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、アメリカの各国政府にたいして要請書を提出している。要請書は、「労働組合を含めた市民社会が交渉過程に参加できるように定期的な窓口を設定しなければならない」とのべ、情報公開と意見聴取などの措置をつよく要求している。そして、「最低限、これらの措置を実施しなければ、最終的な協定は市民社会の広範な支持を期待することはできない」と結んでいる。…TPPに対しては、締約・交渉参加国の労働組合だけではなく、国際産業別労働組合も同様の懸念を表明している。国際金属労連(IMF)は、ことし8月30日に「TPP交渉に関する声明」を発表した。「貿易は、雇用の増大を支援し社会的保護を向上させることによって、また労働者の基本的権利と環境基準、人権、民主主義を促進することによって生活水準を向上させることを目的として、公平の原則にもとづいておこなわれなければならない」として、「いかなる貿易協定においても、協定に参加するすべての国における持続可能な発展と質の高い雇用の創出を、重要かつ明確な目標とすえるべきである」とのべています。(『しんぶん赤旗』2011.11.22より抜粋。)
●「東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城、福島3県で、復旧作業中に発生した労働災害で10月末までに12人が亡くなり、負傷者は262人に上ることが24日、3県の労働局のまとめで分かった。阪神大震災では発生から約1年間で死傷者が944人に上っており、各地の労働基準監督署はこうした例を教訓にパトロールを強化して事故防止に努めている。…労災事故が多かったのは宮城県で、5人が死亡、141人が負傷。福島県でも4人が犠牲になり、77人がけがをした。岩手県では死者が3人、負傷者は44人に上った。3県の死傷者の約8削が建設業に従事していた。宮城労働局によると、事故の約4割は家屋の屋根や足場からの転落。地震で被災したお寺の屋根瓦の修復作業をしていた男性作業員が足場から落ち、命綱となる安全帯を着用していなかったために死亡事故につながったケースもあった。宮城県内の労働基準監督署は9月末までに、がれき撤去や家屋の解体現場約500カ所のパトロールを実施。作業員がアスベスト(石綿)の吸入を防止するためのマスクを着用していなかったり、作業中の重機の周辺を立ち入り禁止にしていなかったりなど、安全対策上の問題点を指摘したという。」(『日本経済新聞』2011.11.24)
●「東日本大震災からの復興に向けた工事発注が今後、本格化する中で、技能者の不足と賃金上昇という強い懸念が広がっている。日本建設大工工事業協会が24日に発表した『型枠大工雇用実態調査』によると、震災復旧による賃金への影響がまだ顕著になっていない8月末時点で東北地域の技能工の1日の賃金(交通費・諸経費込み)が前年比5%上昇。年末までにさらに型枠大工がひっ迫すると回答した企業が8割を超えたほか、中部以西の企業からも『技能工が東日本に流れている』との声もあり、構造的な技能者不足に復興需要が加わることで、急激な技能者不足と賃金の急上昇が予想される。」(『建設通信新聞』2011.11.25)
●「『トンネルじん肺救済法案』をめぐる議論が再度加熱し始めた。今夏に民主党PTが決定した民主ADR(裁判外紛争手続き)を使って、過去にトンネル工事を受注した元請けが過去の賠償額比率で案分して基金に拠出する、いわゆる『C案』ではなく、トンネルじん肺訴訟原告団などが主張する『A案』を軸にした救済法案の今国会への提出を求める動きが強まっているのが理由だ。民主党は、C案を決めたプロジェクトチームに代わって24日、『トンネルじん肺ワーキングチーム』(WT、中根康浩座長)が、再度議論を開始した。法案の枠組みをめぐり民主党内、与野党内で綱引きが本格化しそうだ。」(『建設通信新聞』2011.11.25)
●「国土交通省は、従業員を社会保険に加入させないことで経費を削減している『保険未加入企業』の排除策を検討する一環で、保険加入が進まない要因を元講や下請企業に調査、分析した結果をまとめた。下請の保険加入を元請が確認・指導する制度上の仕組みがないことに加え、下請側にも、保険料の事業主負担の重さや技能労働者の手取り重視志向など保険加入を妨げる要因があることがあらためて浮き彫りになった。行政側が保険加入状況の実態を把握していないことも要因に挙げた。」(『建設工業新聞』2011.11.28)
●「厚生労働省は、失業手当などに充てる雇用保険の料率を2012年度に引き下げる方向で検討に入った。11年度の1.2%から0.2ポイント引き下げ、1.0%にする案を軸に調整する。保険料率は労使それぞれが半分ずつ支払う仕組み。足元での雇用保険財政の収支に余裕があることから、労使の負担を軽減する狙いがある。」(『日本経済新聞』2011.11.29)
●10月の完全失業率は4.5%となった。…完全失業者数が急増した結果だ。季節調整値でみると、就業者数は6246万人と前月と同水準でしたが、完全失業者数が292万人と25万人増加した。一方、非労働力人口は22万人減少した。就職できそうにないとあきらめてきた層が、生活苦などから求職活動を始めたためと考えられる。被災3県では宮城の完全失業率が前月の5.5%から7.5%に大幅に悪化。震災復旧関連の短期の仕事の多くが契約切れになったことが主な要因と考えられる。岩手は3.9%(前月4.1%)、福島が4.5%(同4.7%)だった。一方、厚生労働省が同日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の0.67倍だった。有効求人倍率は、求職者1人当たりの求人数を示すもので、3人に2人分の求人しかないことになる。正社員の有効求人倍率は前年同月比0.08ポイント増の0.43倍で、依然として2人に1人分の求人もない。(『しんぶん赤旗』2011.11.30より抜粋。)

建設産業・経営

●「日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が事務局を務める日本創生委員会のタスクフォース『復興〜未来創生特別委員会(中村英夫委員長)』は17日、ことし6月にまとめた緊急プロジェクト提言の中間報告を行った。緊急プロジェクトのうち、既存ダムの弾力運用による水力発電の増強については、当初の30万キロワット増強では過小との評価があったため、ダムのかさ上げを加えた再開発で合計約370万キロワットに改め、検討を開始した。具体的には、電力ダムを除く日本全国のダムを対象に、事前放流方式の採用やオールサーチャージ方式ダムの制限水位方式への変更、利水放流の完全従属発電の運用変更などエネルギーを最優先した運用変更や若干の施設変更で約200万キロワットの発電増強を実現する。」(『建設通信新聞』2011.11.18)
●「地方建設業の資金調達先である地方銀行、第二地方銀行の総貸出額に占める建設業向け貸出割合の貸出比率が減少し続けている。東京商工リサーチは『地銀、第二地銀81行建設業向け四半期別貸出金残高調査』を公表、2011年6月末時点の建設業向け貸出金残高が、調査開始以来最低水準にとどまったことを明らかにした。『受注工事』が資金調達の担保とも言われる地方建設業にとって、貸出残高と連動して減少を続ける地方建設業向け建設市場の縮小は、新規の資金調達も難しくなっている厳しい環境の裏返しでもある。」(『建設通信新聞』2011.11.18)
●「東京商工リサーチがまとめた2011年8月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比6.3%減の293件となり、4カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、地区別では、9地区のうち関東、近畿、四国、九州の4地区が増加した。負債総額は6.2%減の402億8200万円となった。平均負債額は前年同月と同額の1億3700万円だった。8月としては、前年と並んで過去20年間で最少規模にとどまった。これは負債1億円未満が10.4%増の200件になるなど、小規模企業の倒産増加が影響した。」(『建設通信新聞』2011.11.18)
●「東京商工リサーチがまとめた2011年9月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比14.3%減の262件となり、2カ月連続で前年同月を下回った。ただ、業種別でみると、電気工事業は前年同月の17件が22件、建具・屋根工事業を含むその他の職別工事業が15件から19件と増加が目立った。負債総額は37.1%減の284憶3400万円でことしの最少額だった。負債10億円以上の大型倒産が前年同月の6件から1件にとどまったことが影響した。平均負債額は26.5%減の1億0800万円となった。」(『建設通信新聞』2011.11.29)
●「不動産大手の森トラストは月内に、JR東京駅に近い東京・京橋で主力ブランドの高層オフィスビル建設に乗り出す。事業規模は800億円程度とみられる。東京建物も八重洲の中規模ビルを24日に開業する。東京都心では六本木や品川、汐留・新橋などで大型ビルの集積が進んだが、最近は三井不動産や三菱地所も東京駅周辺で大規模なビル開発を進めている。中部や近畿、東北への新幹線を利用しやすい東京駅周辺のビル供給力が高まり、地区間競争が激しさを増しそうだ。」(『日本経済新聞』2011.11.23)
●「建設コンサルタンツ協会が会員を対象に、10年1−12月の期間中の決算業績を分析したところ、公共事業費削減の影響を受け全会員の平均総売上高は25億2800万円で前期比2.8%減だったが、営業利益は9530万円で81.5%増と大幅に伸びていた。売上高は2年連続減少なのに、なぜ利益が増加したのか。答えは職員を削減する一方、外注費も削減して外に出るお金を抑えたからだ。『乾いたぞうきんをさらに校った』結果の利益である。これを裏付けるデータとして、調査対象340社のうち、売上高当期純利益率が0−0.5%未満は60社、0.5%以上1%未満は40社で、3分の1近くの100社は純利益率1%未満という低水準にあえいでいた。」(『建設通信新聞』2011.11.24)
●「清水建設は22日、シンガポールの中心地、シティーホールに計画されている延べ約5万平方メートルの再開発事業を現地資本から受注したと発表した。シティーホール駅近くの劇場『キャピトル・シアター』をはじめ歴史的建造物の改修保存や一般ビルの建て替えを行う。シンガポールのチェシャムプロパティーズ、ペレニアル、トッププロパティーインベストメントの特定目的会社から約200億円で受注した。施工者選定には、韓国やシンガポールの建設会社も参加。清水建設は、過去の施工実績や現場の運営手法が高く評価され、受注に成功したという。22日に現地で起工式を行った。竣工は14年11月。」(『建設工業新聞』2011.11.24)
●「東日本建設業保証は、東日本地域の建設会社2万6607社を対象とした『10年度決算分析』をまとめた。企業の総合的な収益性を示す総資本経常利益率はマイナス0.80%で、前年度より0.93ポイント改善した。売上高は減少したが、それ以上に完成工事原価の減少幅が大きかったのが収益性改善の大きな要因。完成工事原価の減少は外注費が減ったことが主因という。5年ぶりに上昇に転じたものの、依然として赤字は続いており、明るさが見えたとは言い難い状況だ。調査対象は、東日本地域(同社営業エリア、23都県)に本店がある専業の総合工事業、電気工事業、管工事業。対象決算期は、10年4月期〜11年3月期。」(『建設工業新聞』2011.11.24)
●日本が環太平洋連携協定(TPP)に参加すれば、地方の公共事業に外国企業の参入が広がり、地元連投業者が大きな打撃を受ける恐れがある。神奈川県川崎市の事例でみると、中学校校舎の改築、市営住宅の新築など、地域密着型の公共工事にも影響が広がりそうだ。政府や都道府県、政令指定都市が発注する公共工事は、一定規模以上のものについて外国企業にも入札を開放することになっている。調査によると、2008年虔の川崎市発注工事のうち、国際入札を実施しなければならない工事は契約額約50億円の1件だった。これは市外の大企業が受注した。ところが、もし日本がTPPに参加し、参加交渉国のうち最も低い国際入札基準(契約額約7億円以上)の採用を求められた場合、国際入札対象工事は一気に10件に拡大する。増加する9件のうち過半にあたる5件は市内の中堅・中小事業者が受注していた。(『しんぶん赤旗』2011.11.26より抜粋。)
●「ゼネコン(総合建設会社)大手の単体の海外での工事受注高が2012年3月期に増加する見通しだ。円相場の高止まりで顧客企業が海外に生産拠点を移管しているほか、アジアでインフラ整備の需要が増大しているのに対応する。中東やアフリカの大型土木工事で巨額の損失処理を迫られた案件もあり、リスク管理が課題となりそうだ。」(『日本経済新聞』2011.11.30)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「平成23年度第3次補正予算が11月21日に成立し、復活¥Z宅エコポイント(復興支援・住宅エコポイント)もスタートした。対象工事期間は、新築が10月21日から、リフォームは11月21日から、いずれも来年10月31日までに着工・着手したもの。東日本大震災の復興支援という性格を強く打ち出し、発行されるポイントの半分は被災地産品など復興支援商品としか交換できないため、追加工事への『即時交換』も発行ポイントの半分しか利用できなくなる。また、ポイントの発行数は旧制度での発行分と合算されるため注意が必要だ。」(『日本住宅新聞』2011.11.25)

その他