情勢の特徴 - 2011年2月前半
●「内閣府が31日発表した2009年度の国民経済計算(確報)によると、土地などの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は09年末に前年比3.4%減の2712兆4000億円となった。マイナスは2年連続。特に国、地方を合わせた『一般政府』の正味資産の減り方が大きく、1980年の統計開始以降、初めて負債が資産を上回った。」(『日本経済新聞』2011.02.01)
●「国土交通省が1月31日発表した10年(1〜12月)の新設住宅着工戸数は、前年比3.1%増の81万3126戸となり、2年連続の100万割れとなった。78万8410戸まで落ち込んだ前年に比べれば増加したものの、空室の目立つ貸家を中心に新規着工は伸び悩んで低迷を脱し切れず、1965年ころの水準にとどまった。新設住宅の着工床面積は7291万平方メートル(前年比6.7%増)だった。」(『建設工業新聞』2011.02.01)
●「海外から日本への直接投資が低迷している。2010年の対日投資額は1447億円のマイナスで、4年ぶりに資金引き揚げなどに伴う流出額が流入額を上回った。リーマン・ショックの後遺症で10年前半に外資の撤退や拠点の統廃合が相次いだことが要因だ。日本に対する成長期待の薄さも一因とみられ、投資資金は高成長が続く新興国に向かっている。」(『日本経済新聞』2011.02.09)
●「上場不動産投資信託(REIT)が市場からの資金調達を増やしている。1月は公募増資と投資法人債(社債に相当)の合計で455億円を調達し、昨年6月以来、7カ月ぶりの高水準だった。日銀の資産買い入れ策で信用力が回復しているためだ。REITは東京都心で物件取得を活発化しており、不動産市況の悪化を和らげる一因になりそうだ。」(『日本経済新聞』2011.02.10)
●「財務省は10日、国債や借入金などを合わせた『国の借金』総額が2010年末時点で919兆1511億円に達したと発表した。09年末に比べて47兆6407億円増え、過去最悪を更新した。今年1月時点の推計人口(概算値)で計算すると、1人あたりの借金は約722万円となる。・・・10年末時点の内訳は国債が753兆8080億円、借入金が55兆561億円、政府短期証券が110兆2870億円だった。国債は09年末に比べて48兆円あまり増えた。」(『日本経済新聞』2011.02.11)
●「国土交通省は、市区町村による2009年度の工事発注規模や発注工事分野などを調査した結果をまとめた。市区町村では、請負工事1億円以下の工事のうち、1000万円以下が約7割を占め、新設・改修・維持別では新設・改修工事が8割弱を占めた。調査は、地域建設業経営強化融資制度の導入可能性を把握するため、全国1750市区町村(有効回答数は1500前後で、質問によって異なる)の発注担当部局を対象に実施した。・・・工事分野別で見ると、道路が全体の67.8、%、下水道が13.9%、河川が1.0%、そのほかが17.3%となった。特に九州や四国、中部は道路が80%前後を占めた。下水道の割合が最も高かったのは、北陸で28.1%だった。北海道が40.9%を占めるなどした『そのほか』は、大半が建築工事。新設・改修・維持別では、新設工事が18.8%、改修工事が57.8%、維持工事が20.9%、そのほかが2.5%だった。新設は、沖縄が61.9%を占めたものの、そのほかでは35%未満だった。いずれの地区でも改修の発注率が高く、北海道では73.0%が改修工事となった。維持工事が最も多かったのは九州で、新設が17.5%、改修が47.5%、維持が30.4%、そのほかが4.6%だった。」(『建設通信新聞』2011.02.14)
●「国土交通省がまとめた2010年の建設工事受注動態統計調査報告によると、同年の受注高は前年比0.3%減の41兆5984億円で、01年の調査開始以来、過去最低となった。前年の最低水準を下回り、ピーク時の01年(61兆5987億円)に比べると約3分の2の水準まで落ち込んだ。このうち、元請受注高は1.1%減の29兆1475億円で、過去最低値を示した。公共機関からの受注高は10.7%減の9兆2367億円で過去最低、ピーク時(01年、18兆3713億円)から半減した。民間受注高が前年より若干上向いた一方で、政府の進める公共事業予算の削減姿勢が受注高に鮮明に表れた格好だ。民間工事は、4.0%増の19兆9108億円とプラスに転じたものの、過去最低となった昨年に次ぐ過去2番目の低水準となり、2年続けて20兆円を下回っている。このうち、建築・建築設備工事(1件5億円以上)も0.1%増の4兆7834億円で過去2番目の低水準を示している。不動産業が34.5%増の1兆9976億円、サービス業が8.0%増の1兆3521億円と増加したものの低水準で推移している。製造業は、27.4%減の5405億円となるなど、民間も『依然として厳しい受注環境が続いている』(総合政策局建設統計室)。民間の土木・機械装置工事(1件500万円以上)は、0.4%減の3兆0991億円となった。公共機関の受注工事(1件500万円以上)は、11.8%減の8兆7316億円で、過去最低となった。このうち、国の機関も25.9%減の2兆9884億円で過去最低、地方の機関も2.1%減の5兆7432億円で過去2番目の低水準を示している。国は1兆6100億円(前年比34.1%減)、独立行政法人は4426億円(21.2%減)、政府関連企業等は9358億円(9.0%減)。過去最低となった国の落ち込みが目立っている。」(『建設通信新聞』2011.02.14)
●「国際協力機構(JICA)は、円借款の活用を念頭にインフラ分野のPPP(公民連携)事業を途上国で展開するため、民間からの公募手続きを経てべトナムの新国際空港や高速道路、インドネシアの廃棄物処理施設など11件のプロジェクトを採択した。1.5億円を上限にJICAが調査費を負担し、官民が連携して事業計画を策定。海外でのPPPインフラ事業実現を目指す。アジアの膨大なインフラ需要に応えるには公的セクターの資金だけでは限界があるため、民間資金と円借款を組み合わせることで、より効果の高い途上国支援を実現。政府が新成長戦略で掲げる海外インフラのパッケージ展開を後押しする。」(『建設工業新聞』2011.02.01)
●「特定緊急輸送道路沿いにある民間建物の所有者に11年度から耐震診断を義務付ける東京都が、耐震補強のための設計や改修・改築に対する補助制度を拡充する。適用対象の大部分に当たる補強設計と延べ床面積5000平方メートル以下の改修・改築を実施する場合、所有者負担は現行の3分の1から6分のlに軽減される。都は夏ころまでに拡充した補助制度を適用できる対象建築物を絞り込み、早期の運用開始を目指す。大地震の発生確率が高まる中、緊急輸送道路沿いの建物の耐震補強は急務だ。」(『建設工業新聞』2011.02.01)
●「政府内で、現行の調達・契約制度における予定価格の上限拘束性を検討課題として掲げる動きが出ている。行政刷新会議に設置した公共サービス改革プログラムを策定する分科会で、上限拘束性を検討課題に位置付け、『予算の範囲内での弾力的な予定価格の設定』などを今後さらに検討する必要がある項目として示した。3月に閣議決定する予定の同プログラムでは、会計法の改正にまでは踏み込めず、継続検討にとどまる見込みだが、政府内の会議が上限拘束性の問題を指摘するというこれまでにない展開となっている。」(『建設通信新聞』2011.02.02)
●「日本土木工業協会(土工協)や全国建設業協会(全建)など五つの建設業団体は、公共調達制度の改善に関する提案をまとめ、超党派の国会議員で構成する『公共調達適正化研究会』にそれぞれ提出した。元請業者の団体からは、予定価格のあり方について、『標準的な価格』という位置付けに見直すとともに上限拘束性を撤廃するべきだとの要望が相次いだ。2段階選抜方式の原則実施を求める意見も強かった。土工協は、国際標準に沿った新たな入札契約方式を可能とする『(仮称)公共調達基本法』の制定を提案。全建は、災害対応や除雪など地域保全の工事を対象に指名競争を行う『地域保全型入札制度』の創設を求めた。」(『建設工業新聞』2011.02.02)
●「日本土木工業協会の中村満義会長は3日、理事会後の会見で、与野党の参議院議員で構成する公共調達適正化研究会に提案した『(仮称)公共調達基本法』の制定に触れ、『ことしの意見交換会を大きく前進させるきっかけとしたい』との見解を示した。予定価格制度の撤廃、二段階選抜方式や交渉方式の導入、調査基準価格の引き上げなど提案内容の実現に期待を寄せた上で、『具体的な制度設計の際には、われわれも最大限協力したい』とも述べた。」(『建設通信新聞』2011.02.04)
●「民主党国土交通部門会議の建設技能者賃金対策ワーキングチーム(WT、座長・中川治衆院議員)は、国土交通省などが定める11年度の公共工事設計労務単価に関する提言をまとめ、同省政務三役に提出した。提言では、公共工事を発注する際の積算に使われる労務単価が、毎年の公共事業労務費調査を基に設定されることについて、『市場価格』だけに重点を置いたシステムであり、建設技能労働者の賃金低下を招く一因になっていると指摘。予定価格の設定方法を規定する会計法予決令に、労務単価の上値補正が行える規定を追加することを検討するよう求めている。」(『建設工業新聞』2011.02.04)
●4年前のいっせい地方選挙でも大きな争点となった地方自治体による「大企業呼び込み」競争。巨額の税金をつかいながら、うたい文句の「雇用拡大」にも結びつかず、破綻が明らかになっている。・・・44の道府県に企業誘致の補助金制度がある(1月24日現在)。4年前の2007年にくらベ24の道府県が補助上限額を引き上げている。なかには岩手や兵庫、山口のように上限額を設定しない県(山口は土地取得補助)や、150億円(大阪府)、100億円(和歌山県)のように巨額の補助金を積み上げる自治体もある。しかし企業誘致で「雇用拡大」などをめざす政策は破綻している。シャープ亀山工場(三重)のように、補助金を受けながら撤退・売却する事例も相次いでいる。長野県から3億円の補助を受けて05年に伊那工場を操業したNECライティングは、昨年11月末に工場を閉鎖。同社全体で正社員300人をリストラした。日本共産党は県議会で、解雇された従業員の面倒を最後まで見るよう知事が指導すべきだと要求している。非正規雇用が拡大している例もある。北海道では2005〜09年度の5年間で、雇用増に対する補助金の約3割が非正規雇用の拡大に回り、2009年度には非正規への補助金が7割弱を占めている。大企業の身勝手な生産拠点の撤退は、雇用や地域経済に多大な影響を与える。フランスでは工場閉鎖の際、経営側と労働組合が話し合うだけでなく、地方自治体も関与して、解雇者への支援や地域経済活性化プランを作成し、企業が必要な財政負担をするしくみ(労使関係近代化法)がある。(『しんぶん赤旗』2011.02.06より抜粋。)
●「国土交通省は4日、『我が国建設企業の海外市場戦略検討委員会』(座長・大本俊彦京大客員教授)を開き、建設企業の委員が各社の海外市場戦略についてプレゼンテーションした。全委員とも『今後、海外市場にしっかり進出していかなければいけない』との認識で一致し、海外の優先度を高め、経営戦略の柱の一つとして位置付ける姿勢を紹介。海外拠点の構築を始め、PPP、コンセッション、CM(コンストラクション・マネジメント)への事業進出や、必要に応じてM&A(企業の合併・買収)にも積極的に取り組む考えが示された。」(『建設通信新聞』2011.02.07)
●「川崎市は、無電柱化(電線類地中化)整備基木方針案をまとめた。主要駅や区役所周辺などを重点整備エリアに位置付け、安全で快適な歩行空間の確保や安定したライフラインの提供を図る。重点整備エリアの方針などを踏まえ、おおむね3カ年で整備する路線を順次選定し、事業を推進する。市は3月8日まで実施するパブリックコメントなどを踏まえ、同月末をめどに方針を策定する。方針案では、無電柱化を優先的に進める重点エリアとして▽主要駅周辺▽区役所周辺▽バリアフリー重点整備地区▽緊急交通路▽景観計画特定地区・都市景観形成地区――の5つを設定している。」(『建設通信新聞』2011.02.07)
●「福岡市は、既存の青果部3市場を同市東区のアイランドシティ(人工島)に移転統合する新青果市場整備事業について、これまで検討していたPFIの導入を断念する可能性を示唆した。他都市の先進事例に比べVFM(バリュー・フォー・マネー)が低く、市場関係者もPFI導入に反対しているため。今後、市直営(従来方式)を前提に農林水産省との協議を行う。基本設計は11年度に市直営で行う意向で、これも踏まえ同年度中に事業方式を正式決定する。」(『建設工業新聞』2011.02.07)
●「政府が新成長戦略の柱として今国会で成立を目指す総合特区法案の全容が8日、明らかになった。環境、医療、観光などの成長分野に集中的に取り組む地域を特区に指定。稼働していない工業地域に病院やホテルを建てられるようにしたり、民間企業に特別養護老人ホームへの参入を解禁したりするなど、特区で緩和する規制の優先10項目を明記した。10項目以外でも自治体と国の協議によって柔軟に規制を緩和できる規定を盛り込んだ。・・・法案は新成長戦略が掲げる@環境・エネルギーA医療・健康Bアジア経済C観光・農林水産業――の四大重点分野で拠点づくりを狙う。重点分野に取り組む企業に対しては設備投資額の一部を法人税から控除。失業や貧困、森林の再生など社会問題に取り組む中小企業に出資した個人への所得控除も盛り込んだ。」(『日本経済新聞』2011.02.09)
●「神奈川県は、民間活力を導入した県産木材供給拠点整備に向け、2011年度に事業者提案を公募する。現行スケジュールでは、11年度に事業者を選定した上で基本計画を策定し、12年度の整備着手を目指している。県は06年に民間提案を公募し、応募があった3グループの中からlグループを選定したが、リーマンショックを発端とした経済状況の悪化を受け、整備計画をいったん休止していた経緯がある。県内林業・木材産業の振興に向けた県産木材の加工・流通システムの再構築が必要との判断から、11年度予算案に供給拠点基本計画検討費として720万円を新規計上し、事業者提案に基づく拠点整備を再開することにした。」(『建設通信新聞』2011.02.14)
●「厚生労働省が1日発表した毎月勤労統計調(速報)によると、2010年の労働者1人当たりの現金給与総額は月平均31万7092円と前年比0.5%増え、4年ぶりに前年を上回った。基本給などは低迷が続く一方、残業代などは大幅に伸び、3年ぶりに前年比プラスとなった。総労働時間も4年ぶりに増加した。景気の持ち直しにより、働く人の所得環境も最悪期を脱しつつある。・・・5人以上が働く事業所の基本給や家族手当などを含んだ所定内給与は10年は前年比0.2%減の24万5098円と5年連続でマイナスになった。一般労働者数が減る一方で給与が低いパートタイムの数が増えたため、給与水準全体では横ばい圏にとどまった。残業代や休日出勤手当などの所定外給与は前年比9.1%増の1万8186円と大幅に伸び、3年ぶりのプラスになった。ボーナスなど特別に支払われた給与も1.5%増と4年ぶりのプラスになった。物価の下落を考慮した実質賃金指数は前年比1.4%上昇した。毎月の総労働時間は平均146.2時間と前年を1.4%上回った。プラスになるのは4年ぶり。残業など所定外労働時間が8.9%増の10.0時間と3年ぶりに伸びたためだ。特に製造業で所定外労働時間が32.3%増の13.9時間となった。ただ同日発表した10年12月の現金給与総額は前年同月比0.4%減の54万8381円となり、10カ月ぶりのマイナス。冬のボーナスなど特別に支払われた給与が中小企業で減ったことが響いた。労働時間は1.2%増と12カ月連続で増えた。」(『日本経済新聞』2011.02.01)
●「国土交通省は、2010年12月の建設労働需給調査をまとめた。主要6職種平均の過不足率は0.0%(プラス数値が大きいほど技能労働者が不足)で、過不足均衡状態となった。不足が続いていた鉄筋工(建築)が過剰状態に転じた一方で、過剰状態が続いていた型枠工で不足状態が強くなっている。型枠工(土木)は、2カ月連続で過剰だったものの、前月より0.5ポイント過剰状態が解消して0.0%の均衡状態になった。型枠工(建築)は前月より0.4ポイント不足状態が緩和したものの、いまだ1.5%の不足となっている。鉄筋工(建築)は5カ月続いた不足状態が、マイナス1.2%で過剰状態に転じた。鉄筋工(土木)も、前月より0.5ポイント不足状態が改善し、0.0%で過不足均衡となった。左官は前月より0.4ポイント過剰感が強まりマイナス0.5%で、一方でとび工は0.4ポイント過剰感が改善してマイナス0.1%となった。」(『建設通信新聞』2011.02.01)
●「建設現場の技能労働者の確保策を検討している国土交通省の有識者会議『建設技能労働者の人材確保のあり方検討会』(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)は、1月に同省が発表した『建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針』のうち、技能者確保に関する具体策の検討を始める。・・・検討会は、3月上旬に入札契約制度の見直しに関する提案(中間まとめ)、6月には制度改正の提案(最終まとめ)を行う。」(『建設工業新聞』2011.02.02)
●「厚生労働省は、一定レベル以上の知識や技術・技能を持つ外国人の活用を企業に促す取り組みを強化する。外国人採用の阻害要因を整理し、日本の雇用・労働環境の実態を踏まえた実践マニュアルを策定した。これから採用を検討する企業に、セミナーや雇用管理指導などを通じて周知する考え。建設業界も含めて雇用の多様化に取り組む企業の人材戦略を後押ししていく。」(『建設工業新聞』2011.02.14)
●「国土交通省が1月31日発表した10年(1〜12月)の建設工事受注統計によると、大手50社の受注総額は前年比2.1%増の10兆2466億円となった。2年ぶりのプラスになったものの、政府の公共事業費削減などの影響で公共工事の受注が落ち込んだため、統計開始以来2番目の低水準にとどまった。国内受注は0.9%増の9兆7007億円とほぼ横ばいだったが、海外受注は26.9%増の5460億円と大幅に増えた。」(『建設工業新聞』2011.02.01)
●「建築業協会(BCS)は、設計施工一貫方式を対象とした『BCS設計施工契約約款』を改正した。新約款では、プロジェクトの特性に沿った柔軟な意思決定に対応するため、二つのタイプを用意。初期段階では簡単な設計契約にとどめておき、実施設計段階で施工の契約内容を決定する『設計合意方式』と、初期段階で一括契約を締結する『工事確定合意方式』について、具体的な契約約款や使用する合意書・契約書などをまとめた。設計施工一貫方式では、工事監理の責任がゼネコンに一元化されることなども明確化した。」(『建設工業新聞』2011.02.01)
●「住宅瑕疵担保履行法に基づく資力確保措置の実施状況である第2回基準日(平成22年9月30日)における届出手続きの受理状況が、国土交通省住宅生産課より平成22年12月27日付で公表されている。・・・22年4月1日から9月30日末半期の建設業者数と引き渡し戸数は24万124戸、3万4025事業者。今回の公表より引き渡しゼロの事業者も発表され、1万684事業者はゼロであった。引き渡しゼロの建設業者は対象建設業者のおよそ3分の1に及ぶ。つまり新築元請け工務店の実数は2万3201事業者ということになる。(微小誤差は供託事業者があるため)。同じく宅建事業者と引き渡し戸数は9万3555戸、7811事業者。宅建事業者の引き渡しゼロ事業者数も2090事業者を数える。第1回、第2回基準日の結果を資力確保の方法である保険と供託で分析をしてみると、現在の住宅業界の実相が顕著に判明する。@瑕疵保険事業者届出建設業者総数は増加A実行棟数建設事業者総数は減少、B保証金供託事業者数は変わらず、C大企業の他にも瑕疵保証供託を行う建設業(工務店)の存在。」(『日本住宅新聞』2011.02.05)
●「建設産業の再生方策を検討する国土交通省の有識者会議『建設産業戦略会議』(座長・大森文彦東洋大教授・弁護士)は、1月6日にまとめた『建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針』について、業界からの意見聴取を始めた。3日の会合では、日本土木工業協会(土工協)が、基本方針で地域建設業への対策に大きな重点が置かれていることに疑問を呈し、透明性を確保しつつ効率的に社会資本整備を進めるという公共事業政策の本旨を踏まえるべきだと主張。全国建設業協会(全建)は、災害対応や除雪など地域を維持する工事について、透明性や公平性などを確保した指名競争方式(地域維持型契約方式)を創設するよう提案した。」(『建設工業新聞』2011.02.07)
●「日本建設業団体連合会、日本土木工業協会、建築業協会(BCS)の3団体と、全国建設業協会は4日、国土交通省の建設産業戦略会議に対して『建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針』を踏まえたアンケート結果を報告した。日建連などは、大手、中小を問わず、建設産業全体が厳しい状況にあることを訴え、行き過ぎた地域保護政策とならないようけん制し、全建は、地域性や条件を限定した上で、透明性、競争性、公平性を確保した指名競争入札の一部導入を求めた。」(『建設通信新聞』2011.02.07)
●「長谷工コーポレーションの2010年4〜12月期連結営業利益は、前年同期比約6割増の200億円前後になった公算が大きい。08年の金融危機以降冷え込んでいたマンション市況が上向き、施工物件の売れ行きが好調だった。経常益、純利益も増加を確保したもようだ。売上高は3000億円前後とほぼ横ばいとなったもよう。マンション需要の回復を見込み建設を進めていた案件が昨秋から相次ぎ完成。09年から販売費・一般管理費の見直しを進めており、利益率が改善したようだ。」(『日本経済新聞』2011.02.08)
●「全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)が、地域建設業の災害対応能力を把達するため、会員企業の分布状況を調べたところ、会員企業が不在の市区町村が多数生じている実態が明らかになった。地方部では、会員不在市区町村は北海道が34と全国で最も多く、各都道府県内の市区町村に占める不在市区町村の割合を見ると、福島県が約24%で最も高かった。全建会員企業のような地域建設業者が不在の地域は、災害時に初動対応ができない『災害対応空白地域』になっている恐れがあるという。特に人材や重機が少ない地方や中山間地域、半島・離島などが深刻とみられる。全建はさらに詳しく調査して対応を検討し、『災害対策行動指針』の見直しなどにつなげる。」(『建設工業新聞』2011.02.08)
●「大手不動産会社が中国などアジア諸国で相次ぎ新規事業を活発化している。国内の不動産市場はリーマン・ショック後の低迷から回復してきたが、『今後の経済の潜在力を考えれば海外にも目を向ける必要がある』(中堅不動産幹部)との見方は根強い。各社は経済成長を背景に住宅やオフィスビル、商業施設の需要が伸びているアジア地域に熱い視線を送っている。三井不動産は中国・寧波(浙江省)で伊藤忠商事などと組み、高級ブランド品などを割安で販売する大型アウトレット施設を建設中。寧波は上海に近く、集客が見込めると判断した。海外で商業施設を展開するのは初めてで、今春開業の見通し。同じく中国の天津では、子会社の三井不動産レジデンシャル(東京)がシンガポール企業などと連携し、マンションなど約2650戸の住宅分譲に参加。中国では不動産バブルの懸念が高まり、当局が住宅価格の抑制措置などに乗り出しているが、三井不は『潜在需要を見込める大きな市場なのは間違いない』と期待する。東急不動産は昨年末、上海の日本人向け高級賃貸マンションの運営事業に参入。中国市場でノウハウを培い、将来の海外事業拡大に備える。一方、べトナムに注目しているのが三菱地所だ。昨年11月、シンガポールの投資会社などと共同で、ハノイとホーチミンで高層マンション開発事業を手掛ける方針を決めた。成長著しい同国で経験を積み、アジアで不動産事業を展開したい考え。森ビルはアジアで大型複合施設の設計や運営のコンサルティング業務を拡大する計画。東京の『六本木ヒルズ』など多くの再開発を進めてきた経験を生かし、既に受注実績がある韓国に加え、中国や台湾でも顧客獲得を狙う。」(『建設工業新聞』2011.02.08)
●「東京商工リサーチがまとめた2010年12月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比2.2%減の300件となり、18カ月連続して前年同月を下回った。依然として、景気対応緊急保証制度や中小企業金融円滑化法などの政策効果が続いているものの、減少幅が10年としては最も縮小し、3カ月ぶりに300件台に上昇した。負債総額は18.3%減の444億7700万円となった。負債10億円以上の大型倒産は37.5%減の5件(前年同月8件)で、平均負債額が16.3%減の1億4800万円にとどまった。12月の平均負債額が1億5000万円を下回ったのは、1989年の9400万円以来21年ぶりのことで、小規模企業の倒産が目立った。」(『建設通信新聞』2011.02.08)
●「東京商工リサーチがまとめた2010年(1−12月)の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年比13.7%減の3523件となった。最近では1994年の3378件に次ぐ低水準で、06年の3855件以来、4年ぶりに4000件を下回った。負債総額は42.2%減の5277億3800万円となり、負債額が100億円以上の大型倒産は前年の8件から1件にとどまった。これに伴い平均負債額も33.l%減の1億4900万円となり、90年の1億3900万円以来の低い金額となった。また、地区別件数では9地区すべてで前年を下回り、北海道、東北、北陸、近畿、中国、四国、九州の7地区の減少率が2桁減となった。上場企業の倒産もゼロだった。」(『建設通信新聞』2011.02.10)
●「住友不動産が8日発表した2010年4〜12月期連結決算は、純利益が前年同期比6%減の443億円だった。オフィスビルの空室率上昇や賃料下落で不動産賃貸事業の収益が落ち込んだ。マンション分譲は住宅ローン金利の低下など政策効果の恩恵で好調だった。売上高は11%増の5714億円だった。10年12月末時点の既存オフィスビルの空室率は8.7%と1年前より1ポイント弱悪化。不動産賃貸事業は81億円の減収だった。一方で、マンションは前年同期比49%増の4099戸を顧客に引き渡し、552億円の増収だった。」(『日本経済新聞』2011.02.09)
●「ゼネコン(総合建設会社)大手4社の2010年4〜l2月期連結決算が8日、出そろった。企業の国内投資手控えが響き売上高は全社で2割前後減少したが、採算管理の徹底などで利益率が改善。大成建設を除く3社で純利益が増加した。ただ事業環境の先行きには明るさが見えず、4社とも11年3月期の適期予想を据え置いた。」(『日本経済新聞』2011.02.09)
●「上場道路舗装会社の2011年3月期第3四半期決算が出そろった。受注高、売上高、利益ともそろって厳しい状況で、通期の業績予想を引き下げる動きも出てきた。受注競争の激化に加えて、『ストレートアスファルトの価格が上昇傾向にあるなど大変厳しい状況』(大林道路)が道路舗装会社の業績を直撃している。NIPPO、前田道路、日本道路、大林道路、東亜道路工業、世紀東急工業の6社の決算を調べた。連結受注のみ公表している東亜道路工業を除く5社のうち、単体受注高が前年同期を上回ったのは前田道路だけだった。5社合計は、建設が前年同期比13.5%減、製品販売が3.5%減で全体では10.9%減。建設事業の落ち込みが大きい。連結売上高はNIPPOと世紀東急工業を除く4社が前年同期比増を達成した。6社全体では0.4%減。営業損益は大林道路以外の5社が黒字を確保したが、6社全体では営業、経常、純利益ともに前年同期の半分程度の水準に止まった。」(『建設通信新聞』2011.02.14)
●「国土交通省が2008年11月に創設した建設業の資金繰りを支援する『地域建設業経営強化融資制度』の融資金額が制度創設当初に比べて小口化している。制度を活用するために必要な債権譲渡は、1億円を超える案件が減っている一方で、5000万円以下が制度創設時に比べて1.3倍になっている。中小企業の倒産が増加しつつある中で、比較的小規模な工事を施工する地域の中小建設業による資金繰り二−ズが高まっているためと見られる。10年度補正予算で実施した融資対象工事の拡充では、1月に適用第1号案件があった。」(『建設通信新聞』2011.02.14)
●「国土交通省と厚生労働省は、高齢者が安心して暮らすことができる住まいを確保することを目指し、今国会に『高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)』の改正案を提出する。有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅(高専賃)等に関する新たな登録制度『サービス付き高齢者住宅(仮称)』制度.を設置することが柱。建物やサービスに一元的な基準を設けることで医療・介護・住宅が連携した安心できる住まいの供給を促進する孝えだ。」(『日本住宅新聞』2011.02.05)
●「国土交通省は、住宅のリフォームなどに関する消費者の意識調査結果をまとめ、9日開かれた『中古住宅・リフォームトータルプラン検討会』(座長・高木佳子弁護士)の初会合で報告した。リフォームの相談先は、地元密着の工務店が約4割と最多。次いで、リフォーム専業、大工職人、ハウスメーカー、住宅設備メーカーが続き、1割弱のホームセンターも上位に入った。実際の依頼先の比率も同様の傾向だった。上位の三つは特に成約率も高いが、相談すると断りにくいという消費者側の心情も見て取れる。メーカーなどの企業に対しては相談した割合に比べて成約率が低く、気軽に相談でき、断りやすいという面もあるようだ。」(『建設工業新聞』2011.02.10)
●「米国やオーストラリア、ベトナムなど9カ国の通商政策担当者は14日からチリのサンティアゴで環太平洋経済連携協定(TPP)の第5回拡大交渉を開く。関税の取り扱いを含む全分野について協議する予定で、米国などは『原則関税撤廃』といった高い基準の設定を主張するとみられる。日本は6月をメドに交渉参加の是非について結論を出す方針で、交渉の行方が注目される。」(『日本経済新聞』2011.02.13)