情勢の特徴 - 2011年3月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は東日本大震災の発生で当面の資金繰りや今後の復旧・復興資金に不安を抱える企業を支援するため、危機対応融資を発動する方針を固めた。リーマン・ショック後の2008年末に始めた危機対応円滑化業務を活用する予定で、融資枠は10兆円規模に膨らむ可能性がある。郵便貯金などを使った『災害復旧ファンド』(仮称)の検討にも着手した。大震災の復旧・復興に向けた公的金融支援の枠組みづくりが本格化する。」(『日本経済新聞』2011.03.19)
●「東日本大震災の復興に必要な仮設住宅や上下水道、橋梁向けの資材や住設機器などの増産が始まった。JFEスチールは仮設住宅向け鋼材の生産を約7割増やす。東京製鉄は橋梁の補強用鋼板など、積水化学工業は住宅水道用樹脂管の供給量をそれぞれ引き上げる。合板など一部資材は工場が被災し供給不足も懸念される。素材や住設機器大手は復興需要への対応を優先、西日本などの生産拠点を活用したり輸入を増やしたりすることで被災者の生活再建を支える。」(『日本経済新聞』2011.03.28)
●「東日本大震災に伴う関東・東北地方の電力不足に対応するため、経済産業省がまとめた緊急対策の原案が27日、明らかになった。対策は2段階に分かれ、まず短期の対策として地域を限った家電エコポイント制度や、個人住宅向け太陽光発電設備の設置支援など、家庭関連を軸に進める。中長期策は省エネ設備の導入支援など企業向けが中心。電力の利用効率を高め、不足の緩和を目指す。」(『日本経済新聞』2011.03.28)
●「首都圏の自治体が相次いで東日本大震災の関連の補正予算を編成している。被災したインフラの復旧に加えて、東北の被災者の支援に充当する。緊急性が高いため、多くの自治体が議会を開かずに専決処分で決定している。」(『日本経済新聞』2011.03.29)
●「一般会計総額92兆4116億円で過去最大の2011年度予算が29日、成立した。政府・与党は直ちに東日本大震災の当面の復旧策を盛り込む11年度第1次補正予算案の編成作業に着手。がれき撤去など2兆円程度の規模を想定し、4月中の国会提出を目指す。今後、本格的な復興に向けて2次、3次と累次の補正が必要とみられ、最終的に補正は10兆円を超すとの見方もある。財源確保に法人税減税や子ども手当などの見直しは必至で、政府内には所得税の一時的な引き上げを求める案も浮上している。」(『日本経済新聞』2011.03.30)
●「菅直人首相は29日の参院予算委員会で、消費増税を含む税と社会保障の一体改革の具体策と環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加について、予定していた6月の結論取りまとめを先送りする考えを表明した。首相自ら推進してきたが、東日本大震災と原子力発電所事故への緊急対応を優先する。政権運営の『錦の御旗』は野党から協力を得やすい震災復旧と復興に移り、税と社会保障などの方針決定をどの程度、延期するかは不透明だ。」(『日本経済新聞』2011.03.30)

行政・公共事業・民営化

●「東日本大震災の発生を受け、国土交通省は15日、発注済みの直轄工事や委託業務に対する一時中止命令を出すよう全国の地方整備局などに通知した。今回の地震で被災し、工事を施工できなくなっている現場がある点を考慮するとともに、被災していない企業による当面の災害応急対策を優先する。工事や業務の一時中止に伴い、必要となる予算の繰り越し手続きについては現在、関係機関と調整している。今回、施工できなくなった工事については、天災などで工事目的物に損害が発生した場合や工事現場の状態が変動した場合に発注者が受注者に工事の一時中止を命じなければならないという工事請負契約書の規定を適用。委託業務についても業務委託契約書の同様の規定に基づき、一時中止を命じる。当面の災害応急対策を優先して行うための工事の一時中止命令については、発注者が必要があると認める場合に工事中止命令を発令できるという工事請負契約書の規定を適用する。」(『建設工業新聞』2011.03.16)
●「大畠章宏国土交通相は15日の記者会見で、東日本大震災への同省の対応状況を説明するとともに、災害対応に全力で取り組む建設業界に対し、『全国の建設業界の代表からも(支援の)申し出を受けている。大変ありがたい』と謝意を表明した。建設業界へのメッセージも別途公表し、『これからの被災地復興で地元建設業の果たす役割は決して小さくはない』と指摘するとともに、『家族や友人らを失い、心痛の中にあっても、地域の復興に貢献しようとする無私の心と使命感に頭が下がる思いだ』と胸の内を明かした。東北6県の各建設業協会では、11日の地震発生直後に災害対策本部を立ち上げ、発注者と連携しながら不眠不休でがれきの撤去や被災者救出に協力してきた。国交省には全国の建設業協会からも支援の申し出があり、大畠国交相は『申し出をすべてありがたく受けたい』と述べた。」(『建設工業新聞』2011.03.16)
●「東日本大震災の応急復旧作業に当たる建設業者への当面の支援策が整った。国土交通省は17日までに、復旧工事を優先させるための施工中工事の一時中止措置、応急復旧工事の前金払いの実施、資機材輸送に関する緊急通行車両の証明書発行の迅速化に対応。復旧作業に不可欠なガソリンや軽油を建設会社が確保するための措置についても関係機関と調整をつけたという。…建設業の復旧対応支援については、東北建設業協会連合会が東北地方整備局に対し、▽施工中工事の工事中止命令▽応急復旧工事の前金払いの実施▽ガソリン、軽油の確保▽年度末の資金繰りへの配慮―の4項目を要望。資機材輸送に関する緊急通行車両の証明書の確保も求めていた。これらについては全国建設業協会(全建)からも国交省本省に同様の申し入れを行っていた。施工中工事の中止命令については、施工者の意向を確認した上で同省直轄工事で対応するほか、都道府県と政令市にも同様の対応を要請。市区町村工事にも徹底させ、建設会社が災害復旧に全力を投入できる体制を整えた。応急復旧工事に関しては、請負契約書を交わさずに概算の見積額であっても工事の前払金を受け取れる措置を取った。各地方整備局や都道府県・政令市に通知しており、市区町村にも同様の対応を要請。建設会社が前払金を受け取るには、保証事業会社の保証証書を発注者に提出する必要があるが、急を要する場合にはFAXでの送付も可能とする。復旧作業に不可欠なガソリンや軽油を建設会社が確保するための措置にも対応。業界から要望のあった4項目のうち年度末の資金繰り以外はすべて措置済みとなった。国交省は当面、資金繰りには応急復旧工事の前金払いで対応することにしているが、追加措置もあり得るという。」(『建設工業新聞』2011.03.18)
●厚生労働省は16日、独立行政法人雇用・能力開発機構が管理する雇用促進住宅について、緊急避難場所として提供することを決め、同機構は都道府県所長に対し通知した。…現在利用可能な雇用促進住宅は、全国で4万2132戸。東北地方だけでも、7826戸ある。…ただし、今回の通知では、住宅で電気やガス、水道が使用できないとするなどの問題点があった。(『しんぶん赤旗』2011.03.18より抜粋。)
●「政府は東日本大震災の被災地の復旧や復興を急ぐため、緊急の税制減免策を導入する検討に入った。大震災による損失を補填するために2010年度以前に納めた法人税を還付するほか、工場や住居の復旧が困難な企業や個人の固定資産税を11年度分以降は非課税とするのが柱。被災者の生活支援を中心とした緊急対策に続き、税制減免や危機対応融資などの復旧・復興支援の枠組みを整える。」(『日本経済新聞』2011.03.21)
●「国土交通省は、東日本大震災で被災した自治体工事での建設業者の資金繰り対策をまとめ、18日付で都道府県や政令市に協力を求めた。同省直轄工事と同様、被災工事については『被災前の工事の出来高』に応じた年度内の支払いを検討するよう要請。困難な場合には、『被災後の工事の出来高』と『被災損害合計額の発注者負担分』の年度内支払いを求めた。支払えない場合には、受注者に『被災損害合計額の発注者負担分』の予定額(概算額)を債権譲渡し、地域建設業経営強化融資制度を活用できる体制を整える。調査・設計業務についても同様の措置を講じるという。」(『建設工業新聞』2011.03.22)
●石原慎太郎東京都知事が築地市場(中央区)の移転先とする東京ガス工場跡地(江東区豊洲)で、東日本大震災により約90カ所で液状化現象が生じていたことが、日本共産党都議団の調査で明らかになった。…同予定地が地震に弱い地域であることが、改めて浮き彫りになった。(『しんぶん赤旗』2011.03.23より抜粋。)
●「東日本大震災の被災地で、休眠不休で復興支援に追われる自治体職員の疲労がピークに達しつつある。自らも親族を亡くしたり、住まいを失ったりしながら『自分が悲しむのは支援のあと』と業務を続けているが、過労で倒れるケースも出ている。震災発生から2週間。避難生活の長期化をにらんだ態勢の見直しが急務となっている。『毎日、時間無制限で役所業務をこなしてきた。もう限界に近い』。福島県浪江町の上野晋平副町長(64)は力なく話す。震災翌日の12日、同県二本松市に臨時役場を開設し、14カ所の避難所に分かれて暮らす町民の支援をしている。震災後数日間は早朝4時から会議を開き、日をまたいで業務をこなす日々が続いた。住み慣れた穏やかな港町は津波被害で海岸部の約500戸が壊滅。中心部は福島第1原子力発電所から20キロ圏の避難指示区域に入っており、いつ戻れるかも分からない。23日時点で5、6人の職員が高血圧などの不調を訴え、業務を離れた。」(『日本経済新聞』2011.03.25)
●「港湾空港技術研究所と国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)は、東日本大震災に伴う東北地方の港湾の被災状況(速報)を明らかにした。1896年の明治三陸地震を上回る最大23.6メートルの津波が発生し、八戸港(青森県)や大船渡港(岩手県)では防波堤本体(ケーソン)の水没や港口部の洗掘といった被害を受けた。釜石港(岩手県)も大きな被害を受けたものの、観測データから推測される津波の高さを下回る浸水高が実測され、津波防波堤が一定の効果を果たしていたことが分かったとしている。国交省の要請を受け、同研究所と国総研が16〜19日に現地調査団を派遣し、各港湾の被災状況をまとめた。」(『建設工業新聞』2011.03.25)
●「国土交通省は、東日本大震災で震度5強以上の揺れが観測された市区町村を対象に、土砂災害の危険個所を調べる緊急点検を本格化させる。今後の融雪や梅雨期の降雨で地盤が緩み、土砂災害が起きる恐れがあると判断した。対象は14都県209市区町村に及び、約3万力所を調べる。梅雨期までにすべての点検を終える予定。点検結果を市区町村に提供し、土砂災害の効果的な防止策の実施につなげる考えだ。緊急点検の対象は、▽青森県(5市町)約190カ所▽岩手県(19市町村)約7930カ所▽宮城県(34市町村)約7600カ所▽秋田県(2市)約240カ所▽山形県(4市町)約430カ所▽福島県(45市町村)約6740カ所▽茨城県(37市町村)約1730カ所▽栃木県(21市町)約3660カ所▽群馬県(5市)約680カ所▽埼玉県(8市町)約240カ所▽千葉県(19市町)約280カ所▽東京都(5区)約30カ所▽神奈川県(3市町)約140カ所▽山梨県(2市村)約50カ所−の合計約2万9940カ所。」(『建設工業新聞』2011.03.25)
●「東日本大震災で損壊した陸海空の幹線物流網の復旧が急ピッチで進み、国土交通省の集計で復旧率はほぼ9割に達した。東北自動車道が一般車両も通れるようになり、港湾も15港すべてが開港。滞っていた人とモノの流れが改善しつつある。ただ東北新幹線の全面再開は4月下旬の見通しになるなど、鉄道の復旧率はなお半分程度。細い道路しかない小規模な避難所への物資の輸送などにも課題が残る。」(『日本経済新聞』2011.03.29)
●「国土交通省は、同省が発注する工事の入札で設定する低入札価格調査の基準価格を4月から見直す。調査基準価格を設定できる範囲は従来通り予定価格の70〜90%とするが、最新データに基づき計算式を見直し、従来は予定価格のおおむね83〜84%となっていた工事の調査基準価格を2%程度引き上げる。土木関係建設コンサルタント業務についても、11年度から新たな積算手法を導入するのに伴い計算式を改定することで調査基準価格は数%上がる見込み。4月1日以降に入札公告する工事・業務(予定価格1000万円以上)に適用する。」(『建設工業新聞』2011.03.30)
●「神奈川県は、11・12年度の競争入札参加資格認定者数を公表した。全体の工事業者数は5214者となり、前回に比べ75者減少。内訳を見ると、県内業者が3910者で前回に比べ137者減少しているが、県外業者は1304者となり、62者増加した。」(『建設工業新聞』2011.03.30)
●「国土交通省は、4月1日以降に入札公告する国土交通省所管の直轄工事を対象に、低入札価格調査基準価格を改定する。算定式のうち現場管理費の割合を引き上げるため、低入札調査基準価格が予定価格の83−84%から、85−86%に引き上がるとみられる。また、業務についても新しい積算手法の導入に合わせた調査基準価格の算定式を作成した。予定価格の74−76%から、76−77%程度になる。予定価格が1000万円を超える工事・業務が対象。29日付で各局(港湾局、官房官庁営繕部含む)や各地方整備局などに通知した。」(『建設通信新聞』2011.03.30)
●「政府が東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している基本法案の素案が31日、明らかになった。5年間を『集中復旧復興期間』と位置付け、集中して人、物、カネを投入。復興財源を確保するため、復旧復興特別税の創設や震災国債の発行、日銀引き受けの検討を打ち出した。首相を本部長に全閣僚で構成する復旧復興戦略本部を設置。震災復興担当相の下に復興庁の新設も明記した。」(『日本経済新聞』2011.03.31)
●「政府は、東日本大震災の被災地復旧に向けて被災者生活支援特別対策本部の下に府省横断の五つのプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、すべてのPTが29日までに本格的な協議を始めた。5PTのうち、インフラの復旧対策を担当する『被災地の復旧に関する検討会議』(座長・平野達男内閣府副大臣)は、今後6カ月間で優先的に取り組むインフラ整備事業などを示す復旧対策を近くまとめる。被災した市町村や県がインフラの復旧事業を行えない場合を想定し、県や国が河川、下水道、がれき処理などを代行できるようにする制度改正も大きな柱になる見通しだ。」(『建設工業新聞』2011.03.31)
●「国土交通省は、建設資機材の過剰な在庫保有を抑制するよう建設業や資機材業界の127団体に29日付で要請した。東日本大震災の被災地復旧に向けて建設資材で不足が懸念されていることを踏まえた措置で、買い占め行為などをせず、実需に基づく資機材の適切な調達・供給を行うよう、各団体を通じて会員各社に協力を求めた。資材需給の安定化を図ることで、被災地の応急復旧工事をはじめ全国の建設工事の円滑施工を促すのが狙い。買い占めなどがあった場合の通報窓口も各地方整備局や民間資機材調査機関(経済調査会、建設物価調査会)に設置した。」(『建設工業新聞』2011.03.31)

労働・福祉

●「国土交通省は15日、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県から応急仮設住宅の増産要請があったことを明らかにした。3県は既に建設用地の確保に動き始めている。国交省は、同省の職員4人に加え、過去に応急仮設住宅の用地確保や建設に当たった経験を持つ東京都、大阪府、兵庫県、都市再生機構から新たに12人の支援職員を現地に派遣する方針だ。国交省は過去のこれまでの震災の経験を踏まえ、今回の震災の発生直後に住宅生産団体連合会(住団連)に対し、おおむね2カ月で少なくとも3万戸程度の仮設住宅を供給できるよう準備を要請していた。3県はプレハブ建築協会(プレ協)に対して正式に仮設住宅の生産を要請。必要戸数は岩手県が8800戸、宮城県が1万戸、福島県が1万4000戸の合計3万2800戸となっている。」(『建設工業新聞』2011.03.16)
●「国土交通省は25日、2011年度の公共工事設計労務単価(基準額)の公表とあわせ、1級技能士と登録基幹技能者の資格保有者の賃金水準を初めて参考公表した。1級技能士を保有している鉄筋工は、鉄筋工の設計労務単価(全国平均)より3−4%賃金が高いなど、資格保有者の賃金水準が全国平均より高いことが明確になった。企業が人材確保・育成に活用することを期待している。11年度公共工事設計労務単価は、全職種全国単純平均で前年度比0.8%減の1万6342円だった。」(『建設通信新聞』2011.03.28)
●巨大港湾開発に巨額の税金をつぎ込み、港湾運営を民営化する港湾法改定案に、全国港湾労働労働組合連合会(全国港湾、糸谷欽一郎委員長)と全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟、新屋義信会長)はともに反対している。予算を災害復興にまわせと、港湾労働者の団体が一体となって共同の取り組みをすすめている。港湾法改定案は、京浜や阪神の5港を国際戦略港湾に指定し、2011年度予算で514億円(国費327億)を計上。水深16メートルの岸壁などに2020年度まで約5500億円を投入するもの。また、「国際戦略港湾」などでコンテナ埠頭(ふとう)などを一体的に運営する株式会社を港湾運営会社として指定できるようにするもだ。(『しんぶん赤旗』2011.03.31より抜粋。)

建設産業・経営

●「日本建設業団体連合会(日建連)、日本土木工業協会(土工協)、建築業協会(BCS)の3団体は16日、東日本大震災への災害対策に関する緊急要望を大畠章宏国土交通相に提出した。地方自治体など公共工事発注者や民間工事の発注者に対し、施工中の工事の一時中止など要請するよう求めた。会員企業などが、国などの求めに応じて資機材や役務の提供などの応急支援を行っているが、費用負担に関するルールが無いため、明確なルールの構築も要望した。さらに、被災地でガソリン不足が深刻化し、支援活動に支障が生じているため、国として万全な措置を講じるよう求めた。」(『建設工業新聞』2011.03.17)
●「東日本大震災で甚大な被害を受けた東北・関東の各地で、被災者の支援や被災地の応急復旧に向けた取り組みが拡大している。ゼネコン各社は総力を結集し、支援物資の大量搬送などに不可欠なインフラの復旧に力を注ぐ。被災地への技術者派遣も2次、3次と増員を続けており、支援体制は厚みを増している。その一方で、被災エリアが広範囲に渡り移動には車両が不可欠なことから、ガソリンなど燃料確保の問題が日増しに深刻になっている。」(『建設工業新聞』2011.03.18)
●「全国建設業協会(全建淺沼健一会長)は17日、東日本大震災の発生に伴い、国土交通省が関係発注機関に対して応急復旧工事の優先的実施を要請したことを、傘下の各都道府県建設業協会(建協)に通知した。施工中の工事の一時中止や、応急復旧工事での円滑な前金払いの実施などが盛り込まれており、会員企業に周知して災害復旧活動に円滑に対応していく。救援物資の二−ズを把握するアンケートも順次取りまとめている段階で、ある程度集計した上で、被災地以外の各ブロックの建協に物資確保への協力を求める方針だ。」(『建設工業新聞』2011.03.18)
●「東日本大震災を受け、日本橋梁建設協会と会員企業は、橋梁の点検・調査を開始した。橋建協は、地震発生直後の11日、『東北地方太平洋沖地震対策本部』を設置し、災害対応態勢を整備していた。地震発生直後から、橋建協に対し、首都高速道路会社、東日本高速道路会社、東北地方整備局、北陸地方整備局、茨城県などから橋梁の点検・調査・補修依頼があった。橋建協は、点検・調査結果については、随時橋梁管理者に報告するとともに、最終的には報告書としてもまとめる予定。」(『建設通信新聞』2011.03.18)
●「外国籍の人材を採用する動きが建設産業界に広がっている。日刊建設工業新聞社は、設計事務所、建設コンサルタント、ゼネコン、道路舗装会社、設備工事会社を対象に外国籍社員に関するアンケートを実施した。調査では、50人以上を抱える日建設計を筆頭に多くの社が外国籍社員を雇用し、その数を拡大しようとしている実態が明らかになった。グローバル市場では、語学にたけ、進出する地域の文化を熟知した人材が貴重な存在になるだけに、優秀な外国籍社員をいかに抱えられるかが、競争力強化の大きな要素になる。また、ダイバーシティー(多様性)の視点から、外国籍社員による異文化の注入で、社業に新たな変革をもたらすことへの期待感も大きいようだ。」(『建設工業新聞』2011.03.23)
●「日本土木工業協会(土工協)が、『建設市場の変化に対応したビジネスモデルの提案〜「脱・請負」とグローバル化〜』と題する報告書をまとめた。建設市場が量・質ともに大きく変容していることに対して企業が十分に対応しきれていないとして、ビジネスモデルの抜本的な見直しが必要だと指摘。請負に依存した体質からの脱却とともに、グローバル化への対応を加速させる方向性を示し、経営層に対して意識改革を促す内容となっている。公共インフラPPP市場の確立など行政側の環境整備の重要性も訴えた。報告書の内容を紹介する。」(『建設工業新聞』2011.03.24)
●「ゼネコン(総合建設会社)が相次いでインド市場の開拓に乗り出す。前田建設工業は5月末をめどに、清水建設は4月にインドに現地法人を設立する。日本の製造業のインド進出に対応し、機動的な営業活動などが可能な体制を整備。受注拡大を加速させたい考えだ。」(『日本経済新聞』2011.03.29)
●「東日本大震災で災害対応に従事している宮城県建設業協会の佐藤博俊会長ら正副会長は28日、東北建設業協会連合会(菅原三朗会長)を代表して、脇雅史参議院議員、佐藤信秋参議院議員を始め、宮城県選出の与野党国会議員、国土交通省幹部らを訪れ、『激甚による「原型復旧」にとらわれない抜本的な災害に強い社会資本整備の推進』など10項目を要望した。佐藤会長らは不眠不休で災害対応に当たっている地元企業への優先発注・活用を強く訴えた。」(『建設通信新聞』2011.03.29)
●「東京都内の中小企業経営者らでつくる東京中小企業家同友会(藤田昭男代表理事)は、東日本大震災の影響について、300社を対象とした緊急アンケート結果をまとめた。8割の会員が震災で直接、または間接の影響を受けていると回答した。特に、『製造や建設関連の業種が何らかの形で影響を受けているとする回答が目立った』(同友会)という。同友会では、会員企業から寄せられた意見などを集約し、『東日本大震災に関する緊急要望』を作成。東京電力の計画停電で中小企業が受ける影響を回避する手だてを講じるほか、金融支援、資材の買い占めや価格つり上げに対する適切な対処などを、国や東京都に求める。」(『建設工業新聞』2011.03.30)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省が15日公表した東日本大震災に伴う住宅・建築物の被災調査状況(同日午前5時時点)によると、11都県39市町村の9447件のうち、約1割強の1150件が『危険(赤)』と判定された。『要注意(黄)』が2310件、『調査済み(緑)』が5987件。危険度判定調査を実施している他の11市町村の結果も今後報告される」(『建設工業新聞』2011.03.16)
●「東日本大震災の震源地から300キロ離れた千葉県浦安市。震度5強の揺れに見舞われた埋め立て地は、液状化現象で地面がゆがみ、今も水道やガスが使えない状態が続く。不便な生活を強いられるが、東北地方の甚大な被害に思いを寄せる住民からは『我慢するしかない』という声も漏れる。都心からわずか10キロの住宅街に、深刻な被災地の光景が広がる。液状化で地中から泥状の砂が大量に噴き出し、地面は波を打ったように隆起し、電柱は今にも倒れんばかりに傾いている。特に被害が大きかったのが、JR新浦安、舞浜駅近くの住宅街。湿った砂を取り除く作業が至る所で行われた。」(『日本経済新聞』2011.03.24)
●「東北地方に甚大な被害をもたらした東日本大震災は茨城県や千葉県などを中心に、関東地方にも大きな爪痕を残した。茨城で最大の海水浴場を抱える大洗町は主要な産業である観光と漁業が大打撃を受けた。千葉県旭市は主に太平洋沿岸部で、津波と地震による死者が現時点で13人と県内で最多となった。各地では産業への打撃も大きく、復旧には時間がかかりそうだ。」(『日本経済新聞』2011.03.26)
●「東京電力福島第1原子力発電所の敷地内の土壌からプルトニウムが検出され、放射性物質の放出が予想した以上に広がっている状況が明らかになった。『人体に影響を及ぼす濃度ではない』(東電)としているが、核燃料から放出した可能性が高い。これ以上、放射性物質が飛散しない対策に全力を挙げる必要がある。」(『日本経済新聞』2011.03.29)

その他

●「東日本大震災の余波が、日本との経済関係が密接な東南アジア諸国連合(ASEAN)各国に広がり始めた。輸出入の停滞で域内の生産活動に支障が出ているためだ。経済発展のエンジン役である製造業に深刻な打撃を与える事態となれば、成長見通しの下方修正を迫られる可能性もある。」(『日本経済新聞』2011.01.01)
●ベルリンなどドイツの主要都市で26日、同国の全原発17基の閉鎖を求めるデモが実施され、合わせて約21万人が参加した。ドイツからの報道によると、行動は環境団体などが主催し、ドイツ労働組合総同盟(DGB)や国政野党の90年連合・緑の党、社会民主党が支持。ベルリンで9万人、ハンブルクで5万人、ケルンで4万人、ミュンヘンで3万人が参加し、ドイツ史上最大の反原発行動となった。スローガンの一つは「福島は警告する。すベての原発を停止せよ」。DGBのミヒャエル・ゾンマ一議長はベルリンで「原発産業の人々に言いたい。あなたがたのうそ、『確約』、危険軽視はもうたくさんだ」と述べた。メルケル首相は福島第1原発の事故を受けて、ドイツ国内の原発の稼働延長計画を再検討する意向を示したのに加え、1980年以前に稼働を始めた7基を一時停止している。27日には、バーデン・ビュルテンベルク州議会選挙があり、原発問題も争点となっている。(『しんぶん赤旗』2011.03.28より抜粋。)