情勢の特徴 - 2011年4月後半
●「東日本大震災の被災地で復旧・復興事業が本格化する中、官民連携で労働災害を防止する新たな取り組みがスタートする。厚生労働省の『東日本大震災復旧・復興工事安全プロジェクト』として、被災地で復旧作業を行う建設各社を中心に安全推進本部を5月中にも立ち上げ、建設業界が一体となって現地での安全対策を検討・展開する計画。被災地が広域に及ぶことからエリア別の協議体制を確立し、厚労省をはじめ、工事の発注機関と連携して安全衛生活動の強化・充実を図る。」(『建設工業新聞』2011.04.28)
●「林野庁、経済産業省、国土交通省、環境省は5日に開催された政府の『被災者向け住宅供給の促進等に関する検討会議』で住宅建設資材の需給状況について緊急調査結果を報告した。一般住宅の資材調達について主要な住宅建設資材流通事業者に対して流通量の震災前後の状況についてアンケート調査を実施。合板、パーティクルボード、グラスウールについては注文が増加しており『これら一部の資材では仮需が発生している状況』との回答があったという。その他、供給量が減少している資材も見られるが、『震災後の混乱が収まるにつれ、正常化する面も多いと考えられ』るとし、当面の間、動向を注視するとしている。さらに、一部資材で生産が再開できていない工場に関しては、再開に向けて関係省庁が連携して対応策を検討する。」(『日本住宅新聞』2011.04.15)
●「政府は東日本大震災の復興対策を盛り込む2011年度第2次補正予算案で、通常の建設国債や赤字国債とは別勘定の震災特例国債の発行と、償還財源となる復興税の創設を一体的に決める検討に入った。厳しい財政状況の中で国債増発を強いられるため、財政規律に配慮して市場の信認を確保する。ただ関連法案の成立には歳出の徹底的な見直しを踏まえた与野党合意が不可欠となる。」(『日本経済新聞』2011.04.16)
●「東日本大震災の影響で経営環境が悪化する中小企業への支援対策の一環で、経済産業省は新たに復興緊急保証制度や融資制度を創設する。補正予算案に震災関連対策として盛り込む考え。このほか、中堅・大手企業向け金融支援策の拡充なども検討している。」(『建設工業新聞』2011.04.18)
●「政府は22日の閣議で、4兆153億円の東日本大震災の復旧費を盛り込んだ2011年度第1次補正予算案の概要を決定した。道路や上下水道などインフラ復旧に1兆2000億円あてるほか、仮設住宅10万戸の整備など災害救助や、がれきの撤去などに8000億円超の費用を見込んでいる。国債の増発を避けながら財源を確保するため、年金財源を転用する。高速道路料金の「休日(土・日、祝日)上限1000円」を6月中に中止するとともに、『無料化実験』もやめる。」(『日本経済新聞』2011.04.22)
●日本政策金融公庫(日本公庫)が21日発表した1〜3月期の全国中小企業動向調査によると、従業員20人以上300人以下の中小企業の業況判断DI(「好転」とした割合から「悪化」の割合を引いた指数)は、東日本大震災前の回答がマイナス4.2だったのに対し、震災後の回答はマイナス10.4と悪化幅が急拡大した。4〜6月期の見通しも、震災前の回答がマイナス8.0だったのに対し、震災後はマイナス24.5と大幅に悪化。日本公庫は「実体経済への悪影響を懸念する見方が中小企業でも強まった」と説明している。調査期間は2月28日〜4月5日で、公庫の取引先5603社が回答。回答時期の比率は震災前が52%、震災後が48%だった。(『しんぶん赤旗』2011.04.23より抜粋。)
●「矢野経済研究所では『東日本大震災における経済復興プロセスと主要産業に与える影響』をまとめ3月31日に公表した。調査方法としては阪神淡路大震災が、兵庫県に与えた影響を指数化し、被災地域の県民経済に適用したシュミレーションモデルとなっている。復興期の県民経済については、震災が各産業に与えるインパクトが阪神淡路大震災と同様と仮定すると、2011年度の建設部門は全年比167%増、金額ベースで1兆3.370億円が見込まれる。復興初年度から4年間における被災5県の建設部門の県内総生の総額は12兆2000億円を超える。住宅、一般建築物に対しての関心は高まるものの、直接的効果は限定的としている。公共施設、民間施設共に実施費用がボトルネックとなっていることに変わりは無く、また今回の震災被害では津波被害によりインパクトが大きく、地震被害が人々に与える影響、印象は総体的に低くなるとしている。」(『日本住宅新聞』2011.04.25)
●「東日本大震災の影響で寸断されたサプライチェーン(供給網)の復旧が進み始めた。経済産業省が26日発表した緊急調査で、被災した大手製造業の生産拠点70カ所のうち6割が既に復旧、3割も7月までに生産再開する見通しであることが分かった。部品や材料の代替調達先を見つけた企業も7割にのぼる。ただ7月までに十分な部品・部材を確保できると答えた企業は4割にとどまり、供給網の完全な復旧は秋ごろにずれ込む見通しだ。」(『日本経済新聞』2011.04.27)
●「建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所が26日に公表した2010・11年度の建設投資見通しによると、11年度の建設投資(名目ベース)が、前年度比8.3%増の42兆2500億円と予測した。復旧・復興費を5兆円程度と仮定したため政府建設投資が増加した一方で、民間投資は年度前半が落ち込み、年度後半から徐々に回復すると予測した。」(『建設通信新聞』2011.04.27)
●「東日本大震災後の景気の一時的な落ち込みが鮮明になってきた。経済産業省が28日発表した3月の鉱工業生産指数は前月比15.3%低下し、過去最大のマイナスになった。消費支出も前年同月比8.5%減と最大の減少幅を記録。家計にも震災の影響は及びつつある。原油高の影響で消費者物価指数は全国の先行指標となる東京都区部で4月に約2年ぶりにプラスに転じた。生産は4月以降に回復に向かう見通しで、景気は年度後半にかけて持ち直す公算が大きくなっている。」(『日本経済新聞』2011.04.28)
●「宮城県は11日、県議会に対して震災復興基本方針(素案)を提出した。あくまでも地域住民の意向を尊重した復興を目指す姿勢を示す一方で、被災地での無秩序な建築、投機的な土地取引を抑制するため、建築制限を実施。大きな被害に遭った沿岸部地域に関しては、住宅の高台への移転誘導を行うことなどの考えを明確にしている。」(『日本住宅新聞』2011.04.15)
●東日本大震災の復興ビジョンを策定する「復興構想会議」の五百旗頭真(いおきべまこと)議長が14日の初会合で、「東北モデル」とセットで復興財源として「国民全体で負担」する「農災復興税」の創設を打ち出した。…復興構想会議は、「復興に向けた指針策定のための復興構想について幅広く議論を行う」(閣議決定)もの。五百旗頭氏をはじめ、建築家の安藤忠雄氏、政治学の御厨貴(みくりやたかし)東大教授のほか、被災県の知事、脚本家、僧侶、会社役員など15人が委員。6月末までに第1次の提言をまとめるとしている。(『しんぶん赤旗』2011.04.16より抜粋。)
●東日本大震災被災地の病院では必死の医療活動が続いており、これ以上の震災関連死を防ぐため、いっそうの支援強化がまったなしだ。同時に、「官から民へ」「地方分権」のかけ声で、地方の医療を支える公立病院を切り締めてきた国の責任が厳しく問われている。津波で大きな被害を受けた岩手県釜石市では.2007年、市立釜石市民病院(250床)が、県立釜石病院(272床)との「統合」の名で廃止された。…釜石市の中心部にあった市民病院は、有権者の8割にのぼる「病院守れ」の署名運動で、民間病院として残った。しかし、外科や脳外科をそなえた救急医療機能はなくなり、慢性期のための療養病床に転換。病床数も6割に減った。…老朽化で耐震補強工事をする予定だったが、その前に地震がきた。入院患者の受け入れは困難になっている。釜石地域では、隣町・大槌町の県立大槌病院、個人病院が壊滅。釜石市中心街や鵜住居町(うのすまいちょう)の個人病院も全壊、流失した。そのため、いま県立釜石病院には外来患者が殺到している。…釜石市では、震災前、年間1300人近い救急搬送があった。市民病院が半分以上を受け入れていたが、市民病院廃止後は、県立病院が全部引き受けることになった。市民病院との「統合」で県立病院の医師を増やす約束だったが、増えないままだ。(『しんぶん赤旗』2011.04.17より抜粋。)
●「国土交通省は東日本大震災の被災者向けの公営住宅を大量整備する。整備する住宅は、民間アパートの買い上げなどを含めて6万戸超にのぼる見通し。建設にかかる国の負担率も通常より大幅に引き上げて75%にする。永住に向けた住宅を整備することで被災者の生活再建を支援する。」(『日本経済新聞』2011.04.21)
●「民間活力を積極的に導入し、大都市や地方の市街地再生を促す改正都市再生特別措置法が、20日の参院本会議で賛成多数で可決、成立した。都市再開発を重点的に進める地域で官民連携によるインフラ整備を促進。新たな金融支援制度や道路占用許可基準の特例制度の創設などで大都市圏や地方の街づくりを後押しする。東日本大震災の被災地では行政機能が著しく低下しており、同法を利用した復興街づくりも一つの選択肢となりそうだ。改正法では、大都市の国際競争力を高めるため、国が『特定都市再生緊急整備地域』を指定し、官民連携でインフラ機能の高度化などに取り組む。東京や大阪など、今後10カ所程度を段階的に指定する方針だ。」(『建設工業新聞』2011.04.21)
●「政府は20日、菅直人首相の諮問機関『東日本大震災復興構想会議』の下部組織として設置した『検討部会』(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)の初会合を首相官邸で開いた。復興会議が6月末にまとめる第1次提言に向け、都市計画、災害などの各分野の専門家19人が被災地復旧・復興への個別課題を議論し、5月上旬に意見を集約して同会議に報告する。会合には枝野幸男官房長官、五百旗頭真復興構想会議議長も出席。」(『建設工業新聞』2011.04.21)
●経済産業省原子力安全・保安院に、原発メーカーや電力会社などの企業出身者が多数採用されていることが、日本共産党の吉井英勝衆院議員の調査で明らかになった。職種は、安全規制の業務にあたる原子力保安検査官など。なかには出身企業が作った担当する例や、退職後に元の企業に再就職した例もあり、これで安全規制の実効性が保てるのか、が問われている。…保安院が設置された2001年以来、民間から採用された職員は少なくとも82人にのぼる。出身企業などの内訳は、原発メーカーの東芝が22人と突出しているほか、関西電力とIHI(旧・石川島播磨重工業)が6人、三菱電機が5人など。採用時の職種は、50人以上が原子力保安検査官で、安全審査官や原子力防災専門職などにも採用されている。(『しんぶん赤旗』2011.04.21より抜粋。)
●「政府は22日、東日本大震災で被災した県や市町村がインフラの復旧事業を行えない場合に国が権限を代行して復旧に当たれるようにする特例法案と、被災地の計画的な復興を促すために市街地で最長8カ月の建築制限期間を設定できるようにする特例法案を閣議決定した。近く国会に提出し、早期の成立を目指す。自治体の復旧事業を代行できるようにする法案では、被災した市町村や県から国や県に対して事業代行の対象事業は、漁港、港湾、道路、海岸、地滑り防止、下水道、河川、急傾斜地崩壊防止の9分野。下水道を除く8分野については、県が代行を要請する場合には国に行い、市町村が代行要請を行う場合には国または県のどちらかを選べる。市町村が管理する下水道施設の復旧は県が代行する。費用負担に関しては、国や県が復旧工事を代行した場合も、自ら復旧工事を行った場合と市町村などの負担割合は同じにする。」(『建設工業新聞』2011.04.25)
●「国土交通、総務両省は25日、東日本大震災に伴う当面の災害復旧事業を早期に進めるため、入札・契約の基本的な考えをまとめ、被災地の9県・政令市に送付した。応急復旧など緊急性を要する事業は随意契約とするとともに、今後本格化するこれ以外の当面の復旧事業には指名競争入札や、一般競争入札の手続期間の短縮によって、入札・契約を短期集中的に行えるようにする。当面の復旧事業としては、がれき撤去やライフライン、公共施設の復旧など、2011年度第1次補正予算案に盛り込まれた事業を想定。被災者の雇用への配慮も示している。」(『建設通信新聞』2011.04.26)
●「産業振興の分野で関西広域連合がまず取り組むのが、中小企業やベンチャー企業への支援策づくりだ。1月中旬に支援策の指針案をまとめたのに続き、今月20日、有識者委員会を設置した。委員会の審議を経て、広域連合版の産業振興計画『関西産業ビジョン(仮称)』を策定する。府県が別々に中小・ベンチャーを支援するのではなく、連携した方が効果の大きい分野を中心に広域支援体制を築く。東京への一極集中やアジアヘの生産拠点のシフト、産業構造の転換の遅れなどで停滞が続く関西経済。その再生の担い手育成が最大の狙いだ。府県が競争入札を経ずに、ベンチャー企業から随意契約で物品を購入できる『調達認定制度』を強化。大型見本市への共同出展や、大手企業と中小企業の取引拡大に向けた商談会の開催、各府県の試験研究機関の連携も検討する。広域連合の村上和也・産業振興総務課長は『取り組みを通じ、関西に力強い産業をつくりたい』と話す。。」(『日本経済新聞』2011.04.28)
●「総務省は、東日本大震災の被災地で自治体が発注する工事を対象に前払金の割合を引き上げるため、地方自治法施行令と施行規則を改正した。通常の前払金は請負代金の4割以内と定めているが、27日から5割以内に引き上げた。同日付で各都道府県に通知した。資材購入や労働者確保などの着工資金が足りない被災企業が工事を請け負うケースも想定されるため、前払金の割合を高めて資金繰りを円滑化し、迅速な復旧・復興につなげる。対象は東日本大震災で災害救助法が適用された岩手、宮城、福島の3県の全域と青森、茨城、栃木、千葉、長野、新潟の6県の一部市町村が発注する土木建築工事(1件当たりの請負代金の額が50万円以上)。工事に必要な調査や設計、機械の製造など前払金の割合も通常の3割以内から4割以内に引き上げる。国交省直轄工事の前払金については既に同様の引き上げ措置を講じている。」(『建設工業新聞』2011.04.28)
●東日本大震災の巨大地震に伴う地盤沈下のため、仙台平野で海抜0メートル以下の面積が地震前の3平方キロから16平方キロに増え、5.3倍になったことが28日、国土交通省の調査で分かった。同省は高潮や雨で浸水しやすいとして、注意を呼び掛けている。国交省は、仙台市の七北田川から宮城県山元町の磯浜漁港にかけての仙台平野を調査。仙台空港南側の岩沼市周辺や亘理町の阿武隈川南側で、地盤沈下により海抜0メートル以下となった所が多くあった。七北田川流域や仙台市若林区、仙台空港の北側でも沈下が目立つ。これらの地域では地盤が20〜50センチ程度沈下しており、海水面から20〜30センチ程度低くなったとみられる。(『しんぶん赤旗』2011.04.30より抜粋。)
●「『福島県では地震と津波、放射能に加え、風評被害の問題も起きている。福島県の木材はほかの県では売れない。木材を食う人がいるのかと思うが、放射能が恐いということで、県内の製材会社は他の県から受注を止められた』。12日に開かれた応急仮設木造住宅建設協議会の設立記者会見で、震災対策本部長に就任した和田正光エコ・ビレッジ(福島県いわき市)社長は被災地の厳しい経営環境を訴えた。協議会は工務店の集まりである全国中小建築工事業団体連合会、大工など職人で構成する全国建設労働組合総連合と、日本建築士会連合会の3団体が8日に設立した。地元の材料、工務店、大工、建築士をできるだけ活用して木造の仮設住宅を建設することで、雇用の確保と地域経済の活性化を目的としている。」(『建設通信新聞』2011.04.18)
●「農林水産省は東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた漁業の再生に向けて、漁港の再編を進める検討に入った。岩手、宮城、福島各県にある11カ所の大型漁港を軸に重点的に整備し、水産加工工場なども集めて生産性を大幅に引き上げる。一方で200カ所以上ある小規模の漁港は地域の特性に配慮しながら集約していく。震災からの復興に合わせ、国際競争力のある漁業拠点にすることを目指す。」(『日本経済新聞』2011.04.20)
●「民法学者で東大教授時代からこれまで民法改正議論をリードしてきた、内田貴法務省参与は21日、日本の民法改正は、契約法のグローバルスタンダードへの影響力行使と、中小企業の法務コストを下げるメリットがあることを強調した。同日開いた民主党法務部門・契約法改正検討ワーキングチーム(前川清成座長)の会合で説明した。民主WTは、法務省内で進められている民法(債権法)改正議論で見直し対象的400条文が1000条を超える可能性があることを踏まえ、『民法改正は経済界から消費者、各省庁に関係する大きな問題。膨大な条文が突然出て(法案提出)きても細かな審議はできない』(前川座長)として、論点整理の前段階から議論を始める目的でスタートしていた。」(『建設通信新聞』2011.04.22)
●「東日本大震災の被災者支援や復旧作業などのために被災自治体へ派遣された国家公務員が延べ2万人超となったことが23日、総務省の調べで分かった。派遣元は15省庁・機関で、業務も救援物資の調整やインフラの復旧調査など幅広い。収束の見通しが立たない東京電力福島第1原子力発電所事故への対応を強化するため、市町村への幹部級職員の派遣も始めた。」(『日本経済新聞』2011.04.24)
●「建設業労働災害防止協会(錢高一善会長)は、東日本大震災の復旧・復興工事における労働災害防止に向けて、『災害復興工事安全衛生対策チェックリスト』を作成した。建設業労働災害防止規程をベースに、復興工事で特に確認すべきポイント40項目をリストアップしたもので、伊藤正人事務局長は『悪条件下での作業となるため、労災という悲惨な目に遭わないよう、その動機付けになることを願って作成した』と強調した。」(『建設通信新聞』2011.04.25)
●住宅設備機器メーカー大手INAX(現リクシル)の子会社INAXメンテナンスで修理・補修業務を委託契約していた「カスタマーエンジニア」(CE)と呼ばれる労働者(全日本建設交運一般労組の組合員)について、最高裁判所が「労働組合法(労組法)上の労働者」と認定する判決を出しました。判決の意義について、弁護団の村田清治弁護士に聞いた。12日の最高裁判決は、就労実態にもとづく事実認定を丁寧に行い、東京高裁判決を破棄した。新しい画期的な基準を示したとか、労組法上の労働者の範囲を広げたという判断ではないが、労組法で保護される労働者と判断する要素を示している。(『しんぶん赤旗』2011.04.27より抜粋。)
●「総務省が28日発表した3月の完全失業率(季節調整値)は4.6%となり、前月に比べ横ばいとなった。就業者数が前月に比べ46万人減り、雇用情勢の改善に足止め感が出ている。厚生労働省が同日発表した有効求人倍率は前月と比べ0.01ポイント高い0.63倍となる一方、雇用の先行指数となる新規求人数は前月比7.1%減となった。労働市場にも東日本大震災の影響が出ている。」(『日本経済新聞』2011.04.28)
●「東日本大震災で大きな被害を被った岩手県、宮城県、福島県の工務店・設計事務所等の支援に向けて、全国中小建築工事業団体連合会(全建連)・工務店サポートセンター(JBN)、全国建設労働組合総連合(全建総連)、日本建築士会連合会(士会連合会)が連携して動き始めた。8日に、3県の工務店と地域材を活用した木造の応急仮設住宅の建設を目的とした協議会設立で合意。3県の応急仮設住宅を受注し、被災地の工務店の雇用・仕事の創出を目指す。」(『日本住宅新聞』2011.04.15)
●「日本建設業連合会(日建連)は15日、『東日本大震災に係る被災地域の復興に関する提言』を発表した。単なる原形復旧ではなく、被災地の新たな地域づくり、まちづくり、そして日本全体の新たな創造を目指すためには、政府の強力なリーダーシップの下、明確な指揮命令体制を確立し、復興に向けた計画を早急に策定・実施すべきと指摘。その上で、今後の復興を強力かつ計画的に推進するための7項目を提言している。日建連は、日本建設業団体連合会、日本土木工業協会、建築業協会の3団体が合併して、1日に発足。その初弾となる提言は、@指揮命令体制の確立A広域的な復興基本計画とインフラ整備計画の策定B地域づくり・まちづくりの支援C財源の確保D雇用の確保E電力・エネルギー需給対策の策定F「産・官・学」一体となった復旧・復興への取り組み――の7項目で構成。」(『建設通信新聞』2011.04.18)
●「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う損害賠償の指針をつくる文部科学省の『原子力損害賠償紛争審査会』(会長・能見善久学習院大教授)は15日に初会合を開き、各省庁が所管する業界の規模や被害状況などを報告した。経済産業省中小企業庁によると、避難区域の12市町村で働く約6万人のうち、建設業の従業者は約20%の1万1742人で、業種別の最多であることが分かった。また、建設業は1382の事業者が存在し、避難区域約8000事業者のうち17.4%を占める。避難区域の年間建設投資額は、国土交通省の推計で約1000億円。工事継続が困難であることや放射性物質で汚染された重機・資機材の処分費用発生など、建設業でもさまざまな損害が発生している。」(『建設通信新聞』2011.04.19)
●「下請建設業者の元請向け債権の支払い保証を国が支援する『下請債権保全支援事業』の利用件数や保証額が急増している。国土交通省によると、3月の保証債権数は1005件、保証総額は48億1400万円、利用した企業は383社で、いずれも過去最高。国交省が昨年末に実施した保証対象となる元講企業の要件緩和や、新たな保証方式の導入によって使いやすさが増したことが増加の一因とみられる。東日本大震災で元請が被災して下請代金が支払い不能になる可能性があった保証債権も順調に支払われ、下請企業のセーフティーネットの役割を果たしていると同省はみている。」(『建設工業新聞』2011.04.19)
●「東京商工リサーチがまとめた2011年1月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比12.4%減の233件となり、19カ月連続で前年同月を下回った。月次倒産件数が250件を下回ったのは1994年8月の240件以来で、依然として『景気対応緊急保証制度』や『中小企業金融円滑化法』など政策効果が続いている。負債総額は、4.3%増の409億4300万円となった。負債10億円以上の大型倒産が5件(前年同月4件)で、平均負債額が19.0%増の1億7500万円だった。従業員別では、5人以上10人未満が22.9%増の59件と増加し、今後の動向が注目される。」(『建設通信新聞』2011.04.19)
●「車両も燃料もあるのに運べな。資材の輸送に伴うコスト負担が、東日本大震災被災地の仮設住宅建設に影響をおよぼしそうだ。被災地からの帰りの積み荷がなく輸送効率が悪いことに加え、政府の援助も出ないため、ある物流事業者からは『仮設住宅には正直かかわりたくない』という声も聞こえる。あわせて、首都圏の車両排ガス規制も輸送の足かせとなっている。余震や資材不足のほかにも仮設住宅建設を妨げる要素が、思わぬところから出てきそうだ。」(『建設通信新聞』2011.04.20)
●「建設関連業3業種(測量、地質調査、建設コンサルタント)の年間受注総額が、ピーク時に比べて4〜6割も減少していることが国土交通省が調べたデータで分かった。一方、業者数の減少幅は最大でも1割程度にとどまる。建設業と同様に関連業でも、供給過剰によって競争が激化していることをうかがわせている。」(『建設工業新聞』2011.04.21)
●「三菱電機ビルテクノサービスは、PPP(公民連携)の取り組みを強化する。1日付で従来のPFI推進室を部組織の『PFI・PPP推進室』(井上証策室長)に格上げ。これまで積み重ねてきたPFIの実績をベースに、多様化する官民連携の業務形態に幅広く対応していく。ゼネコン、リース会社、商社、設計事務所、各種施設の運営会社などPFIを手掛ける50〜60社と構築しているネットワークを生かしながら、24時間体制で昇降機や空調機器の保守を手掛けていることを売り物にしてプロジェクトに参画。PPPを通じて、同社が目指すファシリティー事業の拡大に貢献していく。」(『建設工業新聞』2011.04.21)
●「清水建設は2012年春入社の新卒採用に外国人留学生向けの専用説明会を導入した。仕事内容や福利厚生についての周知不足で留学生に応募を敬遠されてきたと判断じ、情報のミスマッチ解消に踏み出した。語学や海外文化に強い優秀な人材を集めやすくして、事業のグローバル展開に弾みをつけたい考えだ。」(『日本経済新聞』2011.04.25)
●「国土交通省は、社会保険に未加入の建設会社の排除や、重層下請構造の是正などについて総合工事業や専門工事業団体に実施したヒアリングの結果をまとめた。すべての団体が、公正な競争をするためには保険加入の徹底が必要だと指摘。建設業許可の際のチェックなどが未加入企業の排除には効果的との意見が出た。重層下請構造は是正すべきだとの意見も多く、元請の指導や工事の平準化など業界の自主的な取り組みを求める意見が目立った。」(『建設工業新聞』2011.04.25)
●「日本建設業連合会(新日建連)は、財政制約下でのインフラ投資のあり方を検討した政策提言『「選択」と「集中」によるインフラ整備』をまとめた。優先投資すべき分野に『安全・安心の確保』と『大都市の国際競争力強化』を列挙。減災対策への重点投資で自然災害リスクなどの『弱み』を克服する一方、新エネ・省エネ技術などの『強み』を生かした都市づくりを進める必要性を指摘した。投資エリアの縮小による都市経営コストの削減も提言した。」(『建設工業新聞』2011.04.27)
●「東日本大震災で津波による大きな被害を受けた岩手県の陸前高田市や大船渡市と隣接する住田町では、独自に、町産材を使った木造の応急仮設住宅を整備中だ。気仙スギの産地として知られ、『森林林業日本一の町づくり』を掲げていた同町では、町の特性を活かした被災者支援に取り組んでいる。応急仮設住宅は町有地3カ所に93戸を建設。木造平屋一戸建(9坪)、小家族用(2−3人)の2DK(洋室4畳半2部屋)で、トイレは洋式・水洗、風呂、給湯器、ガスコンロ(2口)、エアコン付き、駐車場1戸1台分、室内飼育を基本にペットを飼うことも可能だ。軸組工法で、合板は一切使わない。」(『日本住宅新聞』2011.04.15)
●「被災地の復旧・復興に向け、災害に強い創エネルギー・水循環型下水処理システムの構築や都市計画上の開発許可における特例措置、官民連携による復興調査支援などを実施する案が浮上している。地方自治体が復旧・復興を進める際に、二−ズに応じて国土交通省が対応できるよう施策メニューのアイデアとして挙がっているもので、今後、具体的な検討を進める見通しだ。」(『建設通信新聞』2011.04.18)
●「自治体が学校の改築・耐震工事の発注を手控えることで、地方建設業への影響が懸念されていた学校耐震化工事の発注が一転して、一気に進む可能性が出てきた。18日に行われた民主党の玄葉光一郎政調会長と自民、公明各党政調会長との個別会談で、第一次補正予算案に野党が提示していた学校耐震化(約340億円)と中小企業の資金繰り支援(約100億円)を加えたことが理由。ただ東日本大震災の被災地以外の地域の建設業界には、地域建設市場の減少や資金繰り不安が広がり始めている。」(『建設通信新聞』2011.04.20)
●「国土交通省は19日、東日本大震災の被災者向け応急仮設住宅の発注計画を公表した。生産能力ベースでは5月中に3万戸以上を完成できる供給体制を確保。岩手・宮城・福島の被災3県の1週間ごとの発注予定戸数を明示し、大型連休明けの5月13日までには累計3万1736戸の仮設住宅が発注される見通しだ。大畠章宏国交相は19日の閣議後の記者会見で、『(仮設住宅建設用の)土地は現時点で2万6000戸分を確保し、あと2週間の積み上げで3万戸の土地の確保にめどを付け、発注を急いでもらいたい』と述べた。」(『建設工業新聞』2011.04.20)
●東日本大震災で、家屋のがれきなど災害廃棄物の処理が難航している。被害の大きい東北3県では、がれきを一時保管する仮置き場が不足している上、行方不明者の捜索が続いていて、処理量も膨大。環境省は全国的な支援態勢の構築を急いでいる。環境省の推計では、災害廃棄物は岩手県600万トン、宮城県1600万トン、福島県290万トンで、3県の合計2490万トンは阪神・淡路大震災の1.7倍となっている。一般廃棄物扱いとなるがれきは、市町村に処理責任があるが、量が多過ぎるため岩手、宮城両県の一部の市町村は、県に撤去や焼却などの処理を委託した。被害の激しい自治体では「行方不明者の捜索が先で、本格的な撤去作業はまだ」(岩手県陸前高田市)という状態だ。(『しんぶん赤旗』2011.04.24より抜粋。)
●「東日本大震災の復興に向けた政府の有識者会議で今後の街並み再生の議論が出てきた。23、24の両日に首相官邸で開かれた復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)と下部組織の検討部会(部会長・飯尾潤政策研究大学院教授)では、委員からコンクリート製人工地盤を利用した津波に強い街づくりや、国や県が所有者に地代を払って土地を借り上げて再整備を効率的に進める提案などが相次いだ。ただ、委員の数も多く、意見集約は難航も予想される。」(『建設工業新聞』2011.04.26)
●「大畠章宏国土交通相は26日の閣議後の記者会見で、東日本大震災で発生した液状化被害について『どう対応するかはあらためて検討する場を設けていきたい』と述べ、大型連休明けにも専門家による支援策の検討組織を立ち上げる考えを明らかにした。大畠国交相は、23日に液状化被害を受けた千葉県香取市内を視察した結果を踏まえ、『想像をはるかに超える規模の液状化が地域全体で発生している。従来の考え方では対応できない』と指摘。さらに閣議前に松本龍防災担当相とも液状化対策で意見を交換し、新たな枠組みで液状化の被害を受けた地域の支援策を考えるべきだという認識で一致。新たな検討組織の設置を決めたことを明らかにした。」(『建設工業新聞』2011.04.27)
●ドイツのメルケル首相は15日、ベルリンで国内の16の州(特別市を含む)の州首相とエネルギー政策転換について会談し、国内にある17基の原発の早期廃止で合意した。メルケル政権は福島原発事故後、国内原発総点検の実施を決め、昨年、打ち出したばかりの原発稼働延期計画を凍結。現在、1970年代につくられた原発など8基の稼働を一時停止している。原発稼働延期計画では、シュレーダー前政権が決めた2021年までの原発撤退を見直して、平均で12年の稼働を延期し、最長の原発は2036年までとしていた。具体的な短縮期間は決まっていないが、政府案では、原発からの完全撤退を2020年ごろとしている。(『しんぶん赤旗』2011.04.17より抜粋。)