情勢の特徴 - 2011年7月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、東日本大震災の影響で足元の企業景況感が悪化する一方で、サプライチェーン(供給網)寸断などを比較的短期間でこなし、秋口にかけて急回復するとの見通しを裏付けた。ただ、震災が残した爪痕は地域や業種によって濃淡がある。海外景気の減速や電力不足の長期化など下振れ要因もくすぶっている。」(『日本経済新聞』2011.07.02)
●「政府は5日、11年度第2次補正予算案を閣議決定した。東日本大震災の追加的な復旧対策を中心に盛り込み、財政支出額は1兆9988億円。東京電力福島第1原子力発電所事故の賠償負担を含めた事故対応に2754億円、被災地の『二重ローン対策』に774億円、復旧・復興予備費に8000億円、被災自治体が自由に使える地方交付税交付金に5455億円を充てる。政府は15日に国会に提出し、今月中の成立を目指す。」(『建設工業新聞』2011.07.06)
●民間信用調査会社の帝国データバンクは8日、東日本大震災の「被害甚大地域」に本社を置く企業のうち4割超が営業不能状態にあるとする調査結果を発表した。「津波の被害が特に大きかった地域」と「原発事故による立入禁止区域・計画的避難区域」(「被害甚大地域」)に本社のある5004社のうち集計可能な4280社を対象にした調査で、「事業再開」の企業が51.6%(2210社)、「事業休業中」の企業が10.2%(438社)だった。同時に、「震災前の本社所在地に建物が存在しない」「代表者および会社関係者と連絡がとれず、取引先からも消息が聞けない」ことから、「実態判明せず」と判断される企業が38.1%(638社)にのぼった。合わせて、48.3%(2070社)が実質的に営業不能状態だった。(『しんぶん赤旗』2011.07.09より抜粋。)
●「経団連がまとめたエネルギー政策に関する提言案が11日明らかになった。原子力発電について、『引き続き重要で、着実に推進していく必要がある』と位置付け、『定期点検を終えた発電所を速やかに再稼働させるべきだ』と求めている。電力の安定供給のため先行き5年の工程表をまとめるよう要請。温暖化対策については『ゼロベース』で議論し直すよう主張している。」(『日本経済新聞』2011.07.12)
●「国土交通省は11日、5月の建設工事受注動態統計調査報告をまとめた。受注高は前年同月比8%減の2兆6969億円で、同月としては過去最低となった。ただ、東日本大震災を受けて民間の復旧工事が顕在化したほか、東北以外で大規模な火力発電施設にする工事が増加していることが明らかになった。」(『建設通信新聞』2011.07.12)

行政・公共事業・民営化

●「東日本大震災をきっかけに、東京都内の自治体で住宅などの耐震化促進に力を入れる動きが広がっている。各自治体には、耐震診断や耐震改修工事への助成制度などに関する住民からの問い合わせが急増。6月の定例議会では、補正予算に追加費用を盛り込み、制度の拡充などに取り組む区が相次いだ。」(『建設工業新聞』2011.07.01)
●時給1000円未満で働く神奈川県内のサービス業や保育、学童保育などさまざまな業種の20代〜70代の労働者50人が30日、県の最低賃金が生活保護を下回っているのは、憲法や最賃法に違反するとして、神奈川労働局長を相手に最貸を1000円以上に引き上げることなどを求める全国初の訴訟を横浜地裁に起こした。同県の現行最賃は前年と比べ29円上がって時給818円となったものの、月150時間働いても12万2700円にしかならず、提訴の際に発表した原告らの声明では「単身者でも食べて生きていくことも非常に困難」などと指摘している。声明では、2007年の最賃法改正の際、当時の厚生労働大臣は「生活保護を下回らない」と答弁したが、4年経過しても改善されていないと指摘。月額の生活保護費から時給の最賃額を決める計算方法が非現実的であるなど「ごまかし」があるとして、正当な計算をすれば時給1000円以上になると強調している。(『しんぶん赤旗』2011.07.01より抜粋。)
●「国土交通省は、約14兆円の負債を抱える都市再生機構の抜本改革に本格着手するため、当面の改革工程表を策定した。自己改革の進ちょく度合いを定期的に管理して事業縮小、組織合理化を着実に進める考え。組織内カンパニー制度の導入や都市再生事業の実施基準厳格化など、事業執行の透明性向上に取り組む。東京都内を中心に高額賃貸物件の一部を11年度中に公募・入札で売却する予定だ。」(『建設工業新聞』2011.07.04)
●「東京・世田谷区は、公契約のあり方について広く検討するため、学識者を交えた検討委員会を設置し、公契約条例の制定も視野に入れた議論を9月にも始める。検討委は学識経験者3人、区の理事者6人程度で構成。本年度は、検討の進め方の確認や論点の整理などを行い、12年度以降に実態把握調査やヒアリングを実施。入札契約制度の見直しや、公契約条例制定の是非などを検討していく。」(『建設工業新聞』2011.07.05)
●「福島県の復興ビジョン検討委員会(座長・鈴木浩福島大名誉教授)は2日、第6回会合を県庁内で開き、ビジョンの提言案をまとめた。基本理念の最上位に原発依存からの脱却を掲げたほか、国も含めた官民共同での復興、県外避難などで分断されたふるさとの再生を明記。復興への民間活力導入や放射線の研究・医療施設整備、世界との交易拡大を視野に入れたインフラ整備推進など、60の復興施策を示した。同委員会は近く佐藤雄平知事に提言を提出。県は県民の意見聴取を経て8月上旬に復興ビジョンを成案化する。提言案では、緊急に取り組むべき施策として市町村の復興支援や被災者の生活再建支援を挙げたほか、地域の再生・発展、新たな産業の創出、災害に強い社会づくり、再生可能エネルギーの飛躍的推進、原子力災害の克服などを進めるとした。このうち、原子力災害の克服では、放射線の最先端研究・医療施設を県内に整備。災害に強い社会づくりでは、被災したインフラ復興への民間活力導入を明示したほか、世界との交易拡大を視野に入れ県土整備を進める方針も掲げた。」(『建設工業新聞』2011.07.05)
●「国土交通省は、PFI手法を活用した公営住宅の建て替えや長寿命化を円滑に進めるため、マニュアルを作成する。PFIの導入で増える地方公共団体の業務を支援することで、全国的90万戸の老朽住宅の更新を急ぐ。手続きや期間に関する事項に加えて、官民連携の新たなツールとなるコンセッション方式の導入可能性なども合わせて検討していく。公営住宅のPFIによる建て替え事業はこれまで27件の実績がある。ただ、PFIは導入可能性の検討に始まり、特定事業の選定、提案書の評価など、業務の負担が大きく、実施に踏み切ることをためらう地方公共団体も多い。」(『建設通信新聞』2011.07.05)
●「国土交通省は、PFI・PPP手法などを活用した官民連携事業の推進に向けて行った自治体や民間事業者から提案公募で、計144件の提案が寄せられたことを明らかにした。今後、絞り込み作業に着手する。東日本大震災の復興関連では、インフラファンドを活用し、仙台空港の整備・運用と観光産業を核にした地域活性化に取り組む案などが寄せられた。」(『建設工業新聞』2011.07.06)
●「東日本大震災の被災地では、復旧作業と並行しながら復興計画の検討も進みつつあるが、復興に向けた手段や手法は地域によってさまざまだ。宮城県名取市では、被災住民が中心となって複合リゾートを誘致する動きが活発化してきた。住民らの提言では、名取市の仙台空港周辺地域にカジノを核とした観光拠点の整備を提案。一方、日本PFI・PPP協会(植田和男理事長)もかねてから『復興カジノ』の具体像を探ってきたが今回、住民の提言と連動する形で、国土交通省に対して正式に提案書を提出した。…6月26日の日曜日、名取市で復興に向けたリゾート機能の誘致をテーマとしたシンポジウムが開かれた。…主催は、津波被害を受けた名取市北釜地区の住民らで結成した『名取市東部震災復興の会』(鈴木英二会長)。シンポジウムには佐々木一十郎名取市長も駆け付けたほか、カジノの実現に向け新法を検討している国際積ゾーンでは、農業の復興と先端技術企業などの誘致を目指す。震災復興カジノゾーンには、カジノやショッピング、統合医療機能などを配置し、世界中の富裕層を呼び込みたい考え。『震災復興特区』の枠組みを活用して実現を目指す方針で、『専門家や建築関係の方々のアイデア』(同会)なども借りながら、さらに計画をブラッシュアップしていく。」(『建設通信新聞』2011.07.06)
●「三菱地所は東京・大手町東地区の再開発に乗り出す方針を固めた。総事業費は1500億〜2000億円。2018年にも着工、3棟程度の超高層ビルを建設する。三菱地所が大手町・丸の内地区に持つオフィスなどの賃貸面積は約150万平方メートル。20年までに約215万平方メートルまで拡大する方針で、今回の再開発はその中核となる。『都心3区』と呼ばれる東京・千代田区、中央区、港区のオフィス需要は底堅いと判断した。」(『日本経済新聞』2011.07.08)
●「高速道路会社の発注工事で、低価格入札の増加に歯止めが掛からない。日刊建設通信新聞社が東日本、中日本、西日本、首都、阪神の高速道路5社における2010年度の低入札発生状況を調査したところ、契約件数に対する低入札の発生率は全体で5割を超えた。低入札は09年度に急増したが、10年度はさらに拡大し、5社すべてで増加傾向が続いている。特に大型工事での発生が著しく、東、中、西日本3社のWTO(世界貿易機関)案件は計47件すべてが低入札で、発生率は100%となった。」(『建設通信新聞』2011.07.08)
●「国土交通省は、津波に強いまちづくりを推進することを目的にした『津波防災まちづくり法案(仮称)』の検討に入る。社会資本整備審議会(国交相の諮問機関、社整審)と交通政策審議会(同、交政審)の計画部会(部会長・福岡捷二中央大研究開発機構教授)が6日に大畠章宏国交相に提出した津波防災まちづくりに関する緊急提言の内容を基に法案を作る。今月中に開く計画部会にたたき台を提示。今秋の臨時国会に法案を提出する考えだ。緊急提言は、東日本大震災を教訓に、まちづくりの中に『ハード・ソフトを組み合わせた多重防御の発想による防災・減災対策』を実現する仕組みを盛り込むよう求め、市町村が行う地域ごとの津波防災まちづくりを都道府県と国が支援することを提案した。」(『建設工業新聞』2011.07.08)
●「政府は8日の閣議で、東日本大震災の被災地で発生した災害廃棄物(がれき)を、市町村に代わって国が行えるようにする特例法『がれき処理代行法案』(東日本大震災により生じた廃棄物の処理の特例に関する法律案)を決定した。今国会に提出し、成立を目指す。 自治体の負担を軽減するのが狙いで、被災市町村の要請に応じ、国ががれきの処理を代行できるようになる。」(『建設工業新聞』2011.07.11)
●「被災地の企業・個人の『二重ローン』問題を、自治体自身も抱えているケースが浮き彫りになった。過疎地域に認められている『過疎対策事業債(過疎債)』を使って整備した道路、上下水道などのインフラが地震と津波で被害を受け、過疎債の償還が残っているのが代表例だ。また総務省が行った過疎地域向け調査では、東北3県の市だけでも宮古、釜石、石巻、栗原、二本松、田村の6市が過疎債発行のために必要な『過疎地域自立促進市町村計画』の計画期間内の事業終了が不可能と答えた。今後、過疎地域自治体への新たな対応が求められるのは確実と言える。」(『建設通信新聞』2011.07.12)

労働・福祉

●「国土交通省の有識者会議『建設技能労働者の人材確保のあり方検討会』(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)は6月30日の会合で提言案をまとめた。社会保険未加入企業について、排除方策の全体像を示した上で1年程度の周知期間を設け、行政、元請・下請企業が一体となって監督・指導を強化。実施から5年後をめどに、加入義務のある建設業許可業者で加入率100%を目指すとした。同検討会は7月下旬に開く会合で最終提言をまとめる。」(『建設工業新聞』2011.07.01)
●「勤労者退職金共済機構(勤退共、額賀信理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共、櫻井康好本部長)は6月30日、東京都内で運営委員会と評議会を開き、10年度の決算と業務実績報告書を原案通り了承した。…新規加入目標(12万7000人)に対する達成率は98%。加入促進の取り組み強化を図っていたが、東日本大震災の影響などにより目標数に届かなかった。…東日本大震災を踏まえた対応では、被災した加入者に対し、手帳や証紙の再発行などの特例措置を講じている。5月末までに事業主からの申し出により1315件の手帳再発行などを行ったという。」(『建設工業新聞』2011.07.01)
●「厚生労働省は、東日本大震災の被災地で実施しているがれき処理作業での労働災害防止に向け、作業現場の集中パトロールに着手した。また、今月中に処理作業に当たる地元事業者を対象に、安全に処理作業を行うための集団指導も実施する。…労働局職員がパトロールをし、防じんマスクなどを配布して、保護具の適正な使用、安全な作業方法などを巡回指導する。建設業労働災害防止協会の安全専門家も参加する。集団指導では、防じんマスク着用の徹底、熱中症予防、車両系建設機械と作業員との接触防止などを指導する。また、日本保安用品協会の保護具アドバイザーが防じんマスクの正しい装着方法実演する。」(『建設通信新聞』2011.07.08)
●厚生労働省は8日、2011年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を閣議に報告し、公表した。東日本大震災で大きな打撃を受けた雇用の見通しについて「予断を許さない状況にある」とし、被災地の雇用に対する支援を呼びかけた。白書が明らかにした震災の影響による非正規労働者の雇い止め(4月17日まで)は3155人だが、実態ははるかに深刻とみられる。白書は「被災者が仕事を通じて経済的な自立を回復」できるよう「支援の充実が大切」と強調した。(『しんぶん赤旗』2011.07.09より抜粋。)

建設産業・経営

●「長大は6月30日、『東日本大震災からの復興に向けて―長大の知恵と技術、思いを集めて』と題し、都市や環境など分野ごとの基本計画編とPPP/PFI事業計画編で構成する提案書をまとめた。永冶泰司社長は、『いままでの経験を生かして、新たなまちづくりに貢献することが使命である』と強調、提案は行政、住民が自由に利用することを認めている。」(『建設通信新聞』2011.07.01)
●「東京商工リサーチが8日発表した11年上半期(1〜6月)の建設業の倒産(負債1000万円以上)は1696件(前年同期比2.9%減)で、上半期としては94年以来、17年ぶりに1700件を下回った。負債総額も2168億95百万円(22.2%減)と、上半期としてはこの20年で最も少なかった。」(『建設工業新聞』2011.07.11)
●「東北3県・沿岸部に本社がある企業のうち、東日本大震災で被害が甚大だった地域に本社がある『建設業』は1742社で、全体の3割を超えることが帝国データバンクの調査で分かった。岩手、宮城、福島3県沿岸部の『津波の被害が特に大きかった地域』と『原発事故による立入禁止区域・計画的避難区域』に本社のある5004社のうち、集計可能な4280社を主な対象に、被災後の活動状況、今後の事業継続方針について現地で聞き取り調査したもので、津波や原発被害が大きい『被害甚大地域』の4割、2070社が営業不能状態にあり、現在判明している関連倒産31社のおよそ70倍に上る。帝国データバンクによると、『今後、復旧・復興までの期間が長引くほど、先行きの見通し難から事業継続を断念し、倒産手続きに移行する可能性は高く、関連倒産の件数が急増する可能性も十分にある』という。」(『建設通信新聞』2011.07.11)
●「建設産業専門団体連合会(才賀清二郎会長)、建設産業専門団体近畿地区連合会(近畿建専連、北浦年一会長)と近畿地方整備局との意見交換会が12日、大阪市のKKRホテル大阪で開かれた。インフラの維持管理の現状や方針などについて議論したほか、建専連側はダンピング(過度な安値受注)の是正や登録基幹技能者の積極的な活用などを要望した。」(『建設通信新聞』2011.07.14)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「東日本大震災の被災者向けの仮設住宅のうち、宮城県の石巻、気仙沼の2市と女川、南三陸の2町で、依然として約4500戸の建設のめどがついていないことが、国土交通省のまとめで2日までにわかった。政府は8月中旬までに希望者全員を入居できるようにするとの目標を掲げており、同省は県と各市町に用地確保や発注促進を急ぐよう要請している。同省によると、4市町は計約1万4700戸の仮設住宅の建設を要請しているが、約1万200戸分しか用地が確保できていない。別の自治体であれば用地はほぼ確保できる見込みで、7月初旬に発注すれば8月前半に完成できる環境は整っているが、地元を離れたくないと考える被災者が多いことから、市町側はそれぞれの自治体内に建設したい意向が強いという。」(『日本経済新聞』2011.07.03)
●「地盤工学会(日下部治会長)は、東日本大震災による地盤災害で明らかになった課題とその対策をまとめた提言『地震による地盤災害の課題と対策―2011年東日本大震災の教訓と提言―』の素案をまとめた。震源から遠く離れた東京湾岸の埋め立て地などで広範囲に発生した液状化被害を取り上げ、宅地の液状化対策に関する法規制の強化などを提言している。素案への会員の意見を踏まえ、来年早々にも最終報告を発表する。提言素案は、地震による地盤災害対策の一環で09年に作成した学会提言の検証と評価に関する委員会(委員長・日下部会長)がまとめた。日下部会長は『今回の震災では未経験の課題が数多くあった。とりわけ、公共と私有の構造物の被害に落差が大きかったのには驚かされた』と指摘。提言でも私有地対策に多くを割いた。」(『建設工業新聞』2011.07.05)
●東日本大震災から間もなく4カ月を迎える9日、国や岩手県の施策に住民の声を反映させ、被災者・被災地主体の復興を目指そうと、「救援・復興岩手県民会議」が発足した。盛岡市勤労福祉会館で開かれた結成総会には約200人が参加した。…代表世話人に、加藤善正県生協連会長理事、中里前陸前高田市長を含む8氏を選んだ。…安全・安心な社会創造研究所代表で大船渡市出身の佐藤隆雄氏が「東日本大震災の応急対応から復旧・復興を考える」をテーマに記念講演をした。(『しんぶん赤旗』2011.07.10より抜粋。)
●「東京電力福島第1原子力発電所事故の損害賠償範囲を検討する政府の原子力損害賠償紛争審査会は14日、17の産業分野別に設置している専門委員会の調査報告書を公表した。建設・不動産分野の報告書は、賠償範囲として、計画的避難区域と緊急時避難準備区域内で仕事がなくなったことによる逸失利益や、原発事故発生時に契約済みまたは着工済みの案件の解約による損失、事故がなければ得られたであろう復旧・復興関連の業務費などを挙げた。」(『建設工業新聞』2011.07.15)
●「東京電力福島第一、第二原子力発電所事故による損害実態を調べていた政府専門委員の調査結果が、14日にまとまった。建設業の損害は、事故発生時点で契約済みや着工済み案件の解約、工事延期に伴う追加的費用の発生、事故がなければ得られていたと考えられる復旧工事・復興業務の需要、技術者の退職による受注機会の喪失・減少など多岐にわたっている。営業損害の終期は、本社を移転して従前の水準にまで受注額を引き上げるのに相当の期間が必要な建設業の特性を踏まえ、実情を配慮すべきとした。」(『建設通信新聞』2011.07.15)
●「東日本大震災の被災者を受け入れるため、福島県いわき市のいわきニュータウンに杉材を主体とした自然素材による応急仮設住宅の建設が進められている。正倉院などで有名な、日本古来からの板倉造りを改良した『板倉構法』の住宅で、従来の応急仮設住宅にはない、木のぬくもりが感じられる良好な居住環境を提供できるのが特徴だ。施工は佐久間建設工業(同県三島町)が担当。地場産の木を積極的に使い、大工など現地の職人を大量に雇用するなど、復興に向けた地域活性化のモデルケースとしても注目されている。」(『建設通信新聞』2011.07.15)

その他

●国連環境計画(UNEP)はこのほど、報告書「世界再生可能エネルギー投資動向」を発表、昨年2010年の世界の再生可能エネルギーヘの投資が前年比32%増加したことを明らかにした。10年の再生可能エネルギーヘの投資額は2110億ドル(約17兆400億円)に上がった。09年の投資額は1600億ドルで、04年との比較では540%の増加となった。(『しんぶん赤旗』2011.07.12より抜粋。)