情勢の特徴 - 2012年2月前半
●「国土交通省は31日、2011年の新設住宅着工戸数が前年比2.6%増の83万4117戸になったと発表した。前年比プラスは2年連続。住宅ローンの金利優遇策などが個人の住宅購入を下支えした。地域別には、東京・埼玉・千葉・神奈川の首都圏が5.0%増と好調だった。都心部のマンションを中心に着工が増えた。ただ関西圏や中部圏は前年比マイナスにとどまった。」(『日本経済新聞』2012.02.01)
●「経済産業省は2日、東日本大震災で寸断された部品・素材のサプライチェーン(供給網)強化のための国内立地補助金の交付先を決めた。補助金は約2000億円で、企業の国内工場への投資総額は約240事業で1兆2700億円となる。円高などを背景に懸念されている産業空洞化を防ぎ、国内の雇用を確保する狙いだ。」(『日本経済新聞』2012.02.03)
●「2011年度補正予算と12年度予算案における東日本大震災復旧・復興と全国防災の建設に関連する分野を日刊建設通信新聞社が財務省の資料を基にまとめたところ、総額で12兆3882億円に上ることが分かった。全国防災や台風12号などの災害対策費を除く、被災地関係の復旧・復興予算は11兆0100億円となった。12年度末までにこれら予算が執行される。」(『建設通信新聞』2012.02.03)
●「財務省が8日発表した2011年の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は9兆6289億円の黒字にとどまった。前年比43.9%減で、1985年以降の現行方式で最大の減少率となった。円高などで輸出が減る一方、原子力発電所の停止で燃料輸入が急増。輸出から輸入を差し引いた貿易収支が赤字に転落したことが主因だ。」(『日本経済新聞』2012.02.08)
●「日米両政府は7日、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた事前協議の初会合を米ワシントンで開いた。日本側は農業分野などに配慮しつつ、すべての品目を自由化交渉の対象にする方針を正式に表明した。米国側は、自動車、保険、農業の各業界の意見を紹介する形で日本に市場開放を求める姿勢をにじませた。」(『日本経済新聞』2012.02.08)
●「商社を中心とする日系企業がミャンマーでの事業参入の検討に入った。双日は工業団地の建設を計画、三菱商事や丸紅は相次ぎ現地駐在員を増やす。ミャンマーの民主化や開放を前提に欧米各国は同国への経済制裁を緩和する方向で検討している。6千万人を超える人口や天然ガスなど豊富な埋蔵資源を背景に今後、インフラ開発や工場新設が急ピッチで進むとみて、各社は事業化を前提に体制整備を急ぐ。」(『日本経済新聞』2012.02.10)
●「内閣府が13日発表した2011年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算で2.3%減となった。マイナス成長は2四半期ぶり。円高や世界景気の減速にタイの洪水が重なり、輸出が低迷した。先行きについては、震災からの復興需要の本格化に伴い、緩やかな回復軌道に戻るとの見方が多い。」(『日本経済新聞』2012.02.13)
●「環境省は、東京電力福島第一原発事故の警戒区域内などで実施する直轄除染請負業務の発注方式を見直した。事業者を決める初弾業務で採用した最低価格落札方式一般競争入札から、企画競争方式にする。受注希望者に企画書を提出してもらい、省内の審査委員会が業務の工程や除染実施方法の提案などを審査し、最高点を得た者を契約候補者にする。また、地域実情の精通度と地元の雇用確保貢献度を評価する『地域配慮』を審査項目の一つとし、地元事業者の受注機会確保に配慮した。」(『建設通信新聞』2012.02.01)
●「国土交通省は、12年度に発注する公共工事の設計業務委託などの積算に用いる技術者単価(基準日額)を決めた。全19職種平均で前年度比1.4%の下落となった。設計業務は7職種中すべての単価が前年度を下回り、7職種平均で前年度比1.7%下落。測量業務(5職種平均)は0.9%下落、航空関係(4職種平均)は1.2%下落、地質業務(3職種平均)は1.8%下落の単価がそれぞれ設定されている。」(『建設工業新聞』2012.02.02)
●「東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県塩竃市で、災害公営住宅の建設事業がスタートした。同市から要請を受けた都市再生機構が住宅を建設し、整備完了後に市が買い取る。同震災後、都市機構に災害公営住宅の建設を要請するのは全国で初めて。1日に開かれた事業着手式では、佐藤昭市長と小川忠男都市機構理事長が基本協定に調印した。初弾として戸建て住宅と集合住宅各約40戸の整備に着手し、2013年度の完成を目指す。」(『建設通信新聞』2012.02.02)
●「仙台塩釜と石巻、松島の3港を一体的にとらえた統合港湾の長期構想と港湾計画を検討する宮城県統合港湾長期構想委員会(会長・鬼頭平三日本港湾協会理事長)の初会合が1月30日、仙台市宮城野区の仙台ガーデンパレスで開かれ、3港それぞれの長期構想に基づく空間利用構想が示された。3月に開く次回会合で、主要施設の規模や工程計画、整備主体、資金計画などを盛り込んだ港湾計画素案をまとめる予定だ。県は2012年度早期に3港を統合し、一体的な事業を展開したい考えだ。」(『建設通信新聞』2012.02.02)
●「国土交通省は、東日本大震災の被災地の復興が迅速に進むよう、被災市町村に全国の都道府県などからまちづくりの専門家を派遣する。津波で大きな被害を受けた太平洋沿岸部の43市町村などが派遣先となる。国交省の呼び掛けに対して全国から約160人の専門職員を派遣可能という回答があったという。」(『建設工業新聞』2012.02.06)
●「東京都は、木造住宅が密集する地域を不燃・耐震化するための取り組みを加速させる。区域を指定し、建て替え時の所有者負担を減らす仕組みを設けるほか、延焼防止効果がある都市計画道路を、従来計画を5年前倒しして整備。20年度までに、延焼をほぼ完全に防げる目安とされる『不燃領域率70%』の達成を目指す。」(『建設工業新聞』2012.02.08)
●「政府は7日、今通常国会に提出する『都市再生特別措置法改正案』を閣議決定した。大規模地震発生時に都市再生緊急整備地域内にいる滞在者の安全を確保するための措置を実施する。近く国会に提出し、成立後3カ月以内に施行する。同改正法案では、全国の都市再生緊急整備地域で国や地方自治体、都市開発事業者、公共公益施設管理者、鉄道事業者、大規模ビルの所有者・テナントが設置している『都市再生緊急整備協議会』において、大規模地震が発生した際の滞在者の安全を確保するための計画を作成する仕組み。退避経路や退避施設、備蓄倉庫などの都市再生安全確保施設を整備・管理するほか、退避施設への誘導、災害情報・運行再開見込みなど交通情報の提供、備蓄物資の提供、避難訓練などを計画で定めて実施する。」(『建設通信新聞』2012.02.08)
●「国の出先機関を廃止して、府県など広域自治体が新たな広域組織に、その事務・権限を移譲する出先機関改革議論が、各論に入った。具体的議論を進めてきた政府のアクション・プラン推進委員会が9日に開いた会合で、国土交通省、経済産業省、環境省の3省は、出先機関を廃止し事務・権限を移譲する場合の個別法との整合で不都合があるかどうかを整理した内容を提示した。また会議では、広域的実施体制の枠組み議論で大きな焦点となっていた大規模災害時の緊急対応についてもイメージ案を示したほか、7市町からの意見聴取概要も示した。」(『建設通信新聞』2012.02.13)
●「国土交通省東北地方整備局は、2011年度第3次補正予算で新規事業化された三陸沿岸道路などに導入する、事業促進PPPの実施方針を固めた。新規事業化区間を10−20キロの範囲で10工区程度に分け、各工区に民間技術者チームを配置。発注事務所チームと連携し、事業進捗管理や関係機関との協議・調整などの業務を実施する。公共事業で工事着手前の川上分野のマネジメントに民間活力を活用する全国初の試みとなる。3月上旬に簡易公募型プロポーザルの手続きを開始し、4月下旬にも委託先を特定する予定だ。」(『建設通信新聞』2012.02.13)
●「東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う放射物質の除染作業で、日本原子力研究開発機構(JAEA)が9日、大量に発生する土壌などの除去物を仮置き場に設置する作業を福島県内で公開した。内閣府から委託された除染モデル実証事業の一環で、仮置き場の安全性や、焼却処分した場合の影響などを検証する。」(『建設工業新聞』2012.02.13)
●「東京都は2012年度、民間空き家の再生事業に乗り出す。高齢者が互いを見守りながら共同生活する『グループリビング』などに活用する場合、都が改修費の一部を補助する制度を設ける。都内では空き家が急増し防災・防犯の問題が浮上している一方、見守りが必要な独り暮らしの高齢者が増えいている。空き家を有効活用することで問題解決につなげる。」(『日本経済新聞』2012.02.15)
●「東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)などが発注する工事で入札不調が多発している問題で、国土交通省は14日、対策を正式決定した。不調の大きな原因となっている技術者不足を補うため、被災地と被災地外の業者が共同企業体を組む「復興JV」制度を創設。主任技術者の兼任要件も緩和する。労務費の高騰に対応して労務単価の見直し期間を短縮し、実勢価格を積算に反映させる。」(『建設工業新聞』2012.02.15)
●「国土交通省は、国や自治体が発注する東日本大震災の復旧・復興工事で、予定価格に市場・現場の実態を適切に反映させる方策を導入する。設計労務単価を実勢価格に合わせて近く改定。今後発注する工事の予定価格に反映させるほか、通常年1回の改定サイクルを原則3カ月程度に短縮する。既契約工事についても、契約のインフレスライド条項を適用して請負額を変更できるようにする。」(『建設工業新聞』2012.02.15)
●1990年から2009年の19年間で社会保障財源に占める企業・事業主負担の割合が年々減少し、09年には3割以下となったことが本紙の試算でわかった。医療・福祉・介護など社会保障給付費の財源は、本人と企業が拠出する保険料と、公費負担、資産収入などから構成されている。同期間の社会保障給付は66兆3678億円から121兆8326億円へと1.8倍に増加している。(『しんぶん赤旗』2012.02.04より抜粋。)
●岡山県倉敷市潮通の水島コンビナート内にあるJX日鉱日石エネルギー水島製油所工場の海底トンネルの落盤事故で7日、行方不明になった作業員は、いずれも工事を請け負った鹿島建設(東京都港区)の下請け会社の作業員だった。自力で脱出した角井健次さん(61)は「危ない。逃げろ」という叫び声を聞き、階段を駆け上がったという。角井さんは、目や耳の痛みを訴え、病院に搬送された。同消防局によると、立て坑は直径約11メートルで、現在海面の高さまで水が来ている。県警は潜水士6人を出動させたが、水がにごって視界不良な上、がれきが多く二次災害の恐れもあるなどとして、同日夕、捜索をいったん打ち切った。(『しんぶん赤旗』2012.02.08より抜粋。)
●「国土交通省が1月31日発表した11年(1〜12月)の建設工事受注統計によると、大手50社の受注総額は前年比4.0%増の10兆6576億円となった。増加は2年連続だが、受注額自体は09、10年に次いで統計開始以来3番目の低水準となり、厳しい受注環境をうかがわせている。」(『建設工業新聞』2012.02.01)
●「東日本大震災と津波被害に加え、東京電力福島第一原発事故による放射性物質汚染への対応が求められている福島県内で、地域再生と復興へ向け地元建設産業の連合組織結成が相次いでいる。除染事業受託を目的した福島市内企業などによる事業支援組合や、南相馬市でも市内建設業による事業協同組合が相次いで設立された。南相馬の隣接市である相馬市でも地元建設業を中心にした事業協同組合設立の動きが始まるなど、除染事業や地域復興事業に地元企業連合で対応する動きが加速している。」(『建設通信新聞』2012.02.01)
●「国土交通省が開会中の通常国会に提出を予定している不動産特定共同事業法の改正案は、一定の要件を満たすSPC(特別目的会社)が不動産特定共同事業を実施できるようになり、同事業者の許可要件も緩和される。このため、再開発事業などのノウハウを生かす場面が広がる可能性が高く、ゼネコンなどに寄せられる期待は大きくなる。同省は、老朽化した建物の耐震化や集約化を目的とした法改正によって今後10年間で約5兆円の新規投資が創出されると試算している。」(『建設通信新聞』2012.02.02)
●「建設業界主要上場53社の2011年3月期の売上高の合計は02年3月期より約3割落ち込み、10年間の純利益の合計は4889億円の赤字だったことが東京商工リサーチの調べで明らかになった。一方で、経常利益は一定額を確保している上、自己資本比率は改善するなど、『53社の収益は低迷しているものの、独自の経営改善策と金融機関の支援策が効果を見せ、財務体質は改善している』(東京商工リサーチ)。」(『建設通信新聞』2012.02.03)
●「東北地方の中小工務店が再生可能エネルギーと高度な省エネ技術を組み合わせた『ゼロエネルギー住宅』の開発に動き出した。太陽光発電システムなどを活用して電気を作る一方、冬場の寒さ対策で磨いた高断熱技術を発展させ、電力消費量をトータルでゼロにする自給自足型≠フ家づくりを目指す。東日本大喪災後の復興需要を取り込もうと、東北では住宅大手が攻勢をかけている。地場工務店は強みを生かせる次世代型住宅に活路を見いだす考えだ。」(『日本経済新聞』2012.02.06)
●「清水建設、鹿島、大成建設、大林組の上場ゼネコン大手4社の11年4〜12月期連結決算が7日、出そろった。業績の先行指標となる受注高(単体ベース)は、4社そろって前年同期を上回った。東日本大震災の復旧関連工事の影響で、清水、鹿島、大林の3社は公共土木工事の受注が増加し、中でも鹿島と清水は倍増させた。清水は公共の建築工事の受注も倍増させたほか、大成は国内外の建築工事の受注が24.0%増と好調だった。12年3月期の受注高は3社が前期を上回ると予想している。」(『建設工業新聞』2012.02.08)
●「竹中工務店は、一定の条件を満たした優良職長を『マイスター』に認定し、手当を上乗せする制度を新設した。11年度は全国で120人を認定する。協力会社組織の竹和会が各地区で開く定時総会で対象者に認定証を授与する。まず大工など5職種を対象に運用し、職種の拡大を図っていく。同制度では、登録基幹技能者と1級技能士の両資格を持ち、業務評価が一定レベル以上にある職長をマイスターに認定する。各地区の竹和会の定時総会で認定式と表彰式を行い、前年度の勤務実績に応じて手当を支払う。具体的には、前年度に同社の現場で150日以上働くと、l日当たり2000円の手当を10日単位(150〜159日で30万円など)で直接支給。同社の現場でマイスターとして3年間、年間150日以上働き、一定の評価が得られると『シニアマイスター』に認定され、手当が3000円に増額される。」(『建設工業新聞』2012.02.09)
●「東光電気工事と丸本組(本社・宮城県石巻市、須田輝夫社長)は、特別目的会社(SPC)を設立し、石巻市に太陽光発電所を建設する。『地元の雇用を生む』とともに、『地権者の泊生産組合が出資するため、売電収益が地域に還元される』(青木宏明東光電気工事執行役員E&E関連事業部長)。計画規模は10メガ(lメガは100万)ワットで、全国でも有数、東北で最大規模になるという。14日、SPCを設立する。総事業費は35億円。2013年8月の運転開始を予定している。被災地で太陽光発電、また、SPC方式でプロジェクトが具体化するのは初めて。」(『建設通信新聞』2012.02.13)
●「東京商工リサーチがまとめた2011年12月の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比8.3%減の275件となった。地区別では9地区のうち、北海道、東北、関東、中部、北陸の5地区が前年同月を下回った。一方で中国は64.2%増の23件、四国が37.5%増の11件、近畿と九州が前年同月と同数になり、西日本での増勢機運が注目される。負債総額は、99.9%増の889億4700万円だった。負債100億円以上の大型倒産が2件あったことが影響した。平均負債額は、118.2%増の3億2300万円となった。」(『建設通信新聞』2012.02.14)
●「国と地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」することを目的とする公営住宅の直接供給の管理戸数が2005年度の216万7622戸から09年度には215万1325戸と約1万6300戸も削減されていることが分かった。…都道府県別の公営住宅の管理戸数(05年度と09年度の増減率)では47都道府県のうち37道県で削減している。東京、神奈川、大阪など大都市も横ばい、または減少傾向だ。また民間賃貸住宅を買い取ったり、借り上げて公営住宅にする方式で削減分を補う傾向もある。(『しんぶん赤旗』2012.02.06より抜粋。)