情勢の特徴 - 2012年2月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「東日本大震災の被災地の東北で基礎工事に使う鋼材など建設資材の復興需要が強まってきた。道路舗装用のアスファルトや護岸工事向けの鋼矢板、セメントの出荷が伸びている。基礎工事に続いて住宅建設に使う合板や水道管などの需要も順次本格化すれば、全国の素材出荷が増え、景気を押し上げる要因になりそうだ。東北で需要増が目立つのがアスファルト。幹線道路の復旧工事が増えてきたためだ。…セメント需要も伸びている。セメント協会(東京・中央)によると、東北のセメント出荷は昨年8月から5カ月連続で前年同月を上回った。…一方、合板など住宅向け資材の荷動きはまだ本格化していない。被災地の土地利用計画がまとまるのが遅れたうえ、人手不足で建設が滞っている。…被災地では倒壊した家屋の建て直しだけでなく、破損箇所の補修が終わっていない住宅も多い。基礎工事が進んだ後は、住宅向け資材の需要も盛り上がりそうだ。」(『日本経済新聞』2012.02.17)
●消費税率が10%に増税されたら、GDP(国内総生産)が2.5%低下し、雇用は114.9万人減少する―。労働運動総合研究所(労働総研)が21日、こんな試算を発表した。「消費税の増税は、日本経済の再生の道を閉ざし、日本経済を奈落の底″につき落とす」と警鐘をならしている。試算は、消費税を現行の5%から10%にした場合の影響を総務省の「産業連関表」を利用して計算したもの。それによると、家計消費支出が13兆9180億円減少する。この減少額は、2010年の家計消費支出278兆3510億円の5%に相当。これにより国内生産額が21兆2643億円、付加価値額が12兆2046億円減少する。この結果、雇用者は就業者ベース(雇用者+個人事業主+家族従業員)で157.5万人分、雇用者ベース(有給役員+雇用者)で114.9万人分減少する。国・地方あわせて税収が2兆1660億円減少する。(『しんぶん赤旗』2012.02.22より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、歩掛かりを用いずに工事費を積算する『ユニットプライス型積算方式』の仕組みを見直し、新たに『施工パッケージ型積算方式』として土木工事で試行を始める。新方式は、機械経費、労務費、材料費を一つにまとめた施工パッケージ単価で直接工事費を積算し、残る共通仮設費と一般管理費などの間接費は従来の歩掛かりを用いた積み上げで算出する。10月1日以降に入札を行う土木工事のうち、ユニット単価の収集が進んでいた舗装、道路改良、築堤・護岸の3工種で試行を始める。」(『建設工業新聞』2012.02.16)
●「東京23区の2012年度予算案が15日出そろった。一般会計の総額は、前年度比l.5%減の3兆1988億5900万円。景気低迷による歳入や交付金の減少などにより、18区がマイナス予算編成となった。普通建設事業費も4.6%減の3660億0400万円と全体では縮小したが、中央、目黒、杉並、文京など9区は増額した。江戸川区のように一般会計が減額となる中で、景気刺激策としての公共事業に積極投資する自治体もあった。東日本大震災や福島第一原発事故を受け、建築物の耐震化促進事業を拡充する動きや空間放射線量の監視・測定に注力する取り組みも目立っている。」(『建設通信新聞』2012.021.16)
●「国土交通省が東日本大震災の復旧・復興工事の入札不調対策として14日、『復興JV』制度の創設などを決めたことに対し、事業の円滑化や技術者の有効活用につながると評価する声が上がる一方、対策が遅すぎるという指摘が出ている。…震災の被災地では、公共事業の縮小などにより技術者が減少していた中で、復旧・復興事業の発注で需要が急増。技術者・技能者の不足や、人材不足に伴う労務費の高騰などが要因となって入札不調が増加している。このため国交省は、被災地域の建設会社と被災地外の建設会社が共同で工事を受注できる復興JV制度の創設や、実勢価格を反映した労務単価設定などの対策を打ち出した。」(『建設工業新聞』2012.02.16)
●「東京都は17日、木造住宅密集地域の一部を特定し、建て替え時の所有者負担を減らす制度の初弾募集要項を発表した。応募は区に限定。質問期間(3月5〜9日)を経て6月25〜29日に事業提案書の提出を受け付ける。都が有効と判断した提案の中から3地区程度を8月に絞り込む。選定した地域を所管する区には、13年度から共同住宅の建設などを義務付ける。…都は、特に老朽化が著しい住宅が集まる地域を、建て替えや道路整備を優先する『整備地域』(28地域約7000ヘクタール)に指定。…今回の初弾募集では、整備地域の中でも特に対策を優先させる区域を3地区程度選ぶ。…都は、特別支援措置として、固定資産税や不動産取得税を減免したり、改築費用の助成制度を拡充したりする。現在地以外での改築については、都有地を有償で提供する。」(『建設工業新聞』2012.02.20)
●「仙台空港の民営化について検討している官民の研究組織『仙台空港等と公共施設等運営権研究会』(山内隆弘一橋大大学院教授)は、仙台空港にハブ機能を持たせる構想をまとめた。東アジアの主要都市や米国と仙台空港とを直行便で結んでハブ化するほか、貨物については空路に加え海路や陸路も活用して大型ターミナルとして機能させる。…仙台空港単独でなく、東北地方全体の活性化につなげる目的も大きい。仙台空港から東北地方内の各空港までを小型機で結ぶことで、観光需要も取り込む構想だ。一方、貨物面でも東北地方内の一大ターミナルとして位置付ける。旅客と同様に空路で国内外の空港を結ぶほか、海上輸送や陸路輸送などと連携させる。…同研究会は日本PFI・PPP協会(植田和男理事長)が設置した。地方自治体のほか金融、不動産、商社、建設などの民間企業が参画している。」(『建設通信新聞』2012.02.20)
●「東日本大震災の被災自治体が発注する工事で入札不調が増えている問題で、被災3県(岩手、宮城、福島)と仙台市が独自に対策を打ち出している。現場代理人の常駐義務の緩和や入札契約手続きの簡素化から、小規模工事をひとくくりにして発注する発注ロットの拡大、下位等級業者の上位等級工事への参加、工期延長など多種多様。今後、復興工事の本格化で技術者不足などがさらに深刻化することも予想され、国の対策に加えて自治体独自の工夫も必要なようだ。国土交通省によると、不調になる入札の割合(件数)は岩手県で全工事の3割、宮城県で土木一式工事の3〜4割、福島県と仙台市で土木一式工事の5割に上るという。こうした事態に対応してこれらの県市が導入したのが、現場代理人の常駐義務の緩和。少ない技術者を効率良く活用できるようにするため、2500万円未満の工事であれば1人で2件の現場代理人が兼務できる措置を講じた。…国交省は今月14日、復興J V制度の創設や、主任技術者の兼任要件の緩和、労務費高騰に対応した設計労務単価の改定と単価見直し期間の短縮などを入札不調対策として打ち出し、順次実行に移している。被災自治体は、これに加えてそれぞれにさまざまな工夫を凝らして不調を回避する方策を取っているが、今後の発注量の増加を考えると不安は拭い切れていない。」(『建設工業新聞』2012.02.22)
●「地域主権改革」と称して、防災の専門機関・国土交通省地方整備局などを廃止しようとする政府に対し、全国の市町村長が「異議あり」の声をあげている。名前も「地方を守る会」(代表世話人・國定勇人三条市長)だ。…「地方を守る会」は昨年12月27日、地方整備局など国の出先機関存続を国に要請した。「会」結成を呼びかけた福島県相馬市の立谷秀清市長や國定市長らが総務省などを訪れた。要望書では、大震災や各地を襲った水害の際、「直後から地方整備局や地方経済産業局と市町村が一体となって、迅速かつ懸命な救援活動やインフラ・産業の復旧が行われるなど、地域における国の出先機関の役割が改めて認識された」と強調している。(『しんぶん赤旗』2012.02.27より抜粋。)
●「政府は3月2日にも、東日本大震災の復興に使う『復興交付金』の第1弾の配分を決める。規模は被災地の要望の6割強にあたる2500億円前後になる見通し。津波の危険性がある地域の集団移転や災害公営住宅の建設、漁港の水産加工施設の再生など緊急性の高い事業を対象にする。震災から1年経過する前に交付金の配分を決めて支援を急ぐが、被災地からは『査定が厳しすぎる』との不満も出ている。復興交付金は、東日本大震災の被災地の復興事業のために特別に設けた地方自治体への財政支援。通常の国の補助金と比べ、使い道や事業の実施時期を厳しく限定していない考えを表明しているが、国の財政負担が野放図に膨らまないように原則40事業、総額約1.8兆円としている。…復興交付金について、政府はいままでの補助金に比べて縛りが緩く、市町村の創意工夫が生かせると強調する。ただ、被災自治体からは『国の予算査定が厳しく、通常の補助金とどこが違うのか』という不満の声が漏れる。」(『日本経済新聞』2012.02.29)
●「国士交通省は、簡易型、標準型、高度技術提案型に分かれている現行の総合評価落札方式を施工能力評価型と技術提案評価型に再編する。発注者の仕様を適切に施工できるか確認する施工計画だけを求める施工能力評価型T型が将来的に全体件数の9割を占めることになる。一方で、高度な技術が必要な工事などは技術提案評価型として技術提案を求め、従来の高度技術提案型より件数を増やす。…2月以降、各地方整備局で試行の準備を始め、準備が整った地整は2012年度上期から新方式を試行して同年度下期からは全地整で試行し、順次、全工事を新方式に移行する。」(『建設通信新聞』2012.02.29)
●「国土交通省の建設産業戦略会議(座長・大森文彦東洋大教授)は、持続可能で活力ある国土・地域づくりを実現するため、建設分野で取り組むべき新たな方策の検討に着手した。同会議は27日に議論を再開。昨年6月に同会議がまとめた方策で積み残しになった維持更新や低炭素・循環型社会の橋築、建設業の事業領域拡大、大規模災害からの復旧・復興対応といった課題を議論。5月をめどに検討成果をまとめる。」(『建設工業新聞』2012.02.29)

労働・福祉

●「厚生労働省は、企業に65歳までの希望者全員の再雇用を求める高齢者雇用の新制度について、2025年度に全面導入する方針を固めた。13年度から3年ごとに上がる年金の支給開始年齢を上回る人には、企業が再雇用者を選べる現行の例外規定の適用を認める。引き上げと並行し例外規定の適用基準も1歳ずつ上がる。経過措置を設けて企業負担をやわらげる。…60歳の厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢は13年度から3年ごとに1歳ずつ上がり、25年度に65歳になる。新制度は年金の支給が始まるまでの間の雇用確保を目的に、労使協定に基づいて再雇用者を選べる現行の例外規定を撤廃するのが柱。」(『日本経済新聞』2012.02.16)
●健康で文化的な人間らしい生活をするために、必要な賃金はいくらか―。全労連加盟の労働組合が中心になって昨年から今年にかけて、九州、愛知、広島で最低生計費調査を実施し、いずれも時給1000円を大幅に超える賃金が必要であるという結果を発表した。…最低賃金法にもとづく現行の最低賃金は、全国平均737円。前年より7円上がりましたが、生活を維持するには低すぎることが今回の調査で浮き彫りになった。全国一律の最低賃金制度の確立と、時給1000円の実現は急務の課題となっている。(『しんぶん赤旗』2012.02.16より抜粋。)
●「宮城労働局は、東日本大震災の復旧・復興工事で労働者に約束の期日までに賃金を支払わないケースが散見されるとし、労働基準関係法令順守を事業者に徹底させるよう発注機関に求める要請活動を開始した。被災地で技能者や作業員の確保が困難になる中、工事現場に多数の小規模事業者が入り雇用関係が複雑になっているという。宮城労働局は不適切な賃金の支払いの改善とともに、雇用関係、雇用条件を明確化する雇い入れ通知書の交付を事業者に徹底させることを求めている。」(『建設工業新聞』2012.02.17)
●「新潟市は、2011年度発注工事での支払い賃金の実態調査結果をまとめた。対象となった17職種のほとんどで新潟県内の公共工事設計労務単価を下回り、上回ったのは運転手(特殊)など3職種にとどまった。…調査結果によると、対象案件に携わった17職種(108人)の平均は1625円。設計労務単価の平均(1669円)と比べて2.6%低い。…調査は職種によって異なるものの1次−3次下請けの業者が対象となっており、中には1次下請けの賃金が元請段階の半分以下になっているものもあるなど、市では『元請から1次−3次下請にいくにつれ、やや下がる傾向にある』(契約課)とみている。」(『建設通信新聞』2012.02.21)
●総務省が20日発表した2011年平均の労働力調査詳細集計によると、雇用者に占める非正規雇用労働者の割合は35.2%と、1984年の調査開始以来、最も高い割合となった。ただ、東日本大震災の影響で岩手、宮城、福島の3県で調査困難な時期があったため、今回の結果には含まれていない。男女別にみると、男性の非正規比率がl9.9%だったのに対し、女性は54.7%となっている。正規雇用労働者は3185万人と前年に比べ25万人減少した一方で、非正規雇用労働者は1733万人と48万人の増加だった。…年間収入が200万円未満だったのは雇用者の34.3%を占める1688万人。そのうちの76.9%を占める1298万人が非正規労働者。(『しんぶん赤旗』2012.02.21より抜粋。)
●「国土交通省の有識者検討会は23日、従業員を社会保険に加入させないことで経費を削減している『保険未加入企業』の排除策をまとめた。建設業団体ごとに保険加入促進計画を作成し、行政と元請・下請団体でつくる『保険未加入対策推進協議会』(未加入協)が加入対策を徹底。17年度までに企業規模にかかわらず、すべての建設業許可業者の保険加入を実現するよう提言した。指導しても加入しない企業には建設業法に基づく監督処分(1年以内の営業停止処分)も行うよう求めた。国交省はこれらの対策を今夏から実行に移す。」(『建設工業新聞』2012.02.24)
●金融広報中央委員会(事務局・日銀)は22日、「家計の金融行動に関する世論調査」(2011年)の結果を発表した。2人以上の世帯で、預貯金や株などの金融資産を「保有していない」と回答した割合が前年比6.3ポイント上昇の28.6%と過去最悪だった。金融資産をまったく持たない世帯は1990年代半ばには10%程度だったが、11年は前年の22.3%から急増し、3割に近づいた。不況の深刻化や所得の減少で預貯金を使い果たした世帯が増えたためとみられる。(『しんぶん赤旗』2012.02.24より抜粋。)
●「東京電力福島第1原発事故後の作業中に死亡した静岡県御前崎市の配管工、大角信勝さん(当時60)の遺族の労災申請に対し、横浜南労働基準監督署は24日、『過労が原因の心筋梗塞』として労災を認定した。…厚生労働省によると、福島第1原発事故をめぐる作業員の過労死認定は初めて。…認定理由は『深夜から早朝にわたり防護服、防護マスクを装備した労働が過重な身体的、精神的負荷となり、心筋梗塞を発症させた。いわゆる短時間の過重業務の過労死』としている。」(『日本経済新聞』2012.02.25)
●「社会保険未加入対策として未加入企業に対して営業停止処分まで視野に入れた政策が浮上したことで、全国建設労働組合総連合(全建総連)内で、戸惑いが広がっている。23日開かれた全建総連東京都連合会(全建総都連)の討論集会で、国土交通省の保険未加入対策検討会の座長を務める芝浦工大の蟹澤宏剛教授と、参加者との間で激論となった。保険未加入企業にとって対策は、最終的に一人親方、建設生産システム重層化問題解決につながることを頭で理解しても、保険料を負担できない現実の不安先行が理由だ。…参加者からは、『年金、保険の半分は企業負担。現実問題として負担するのは非常に難しい』『ゼネコンは、技能・技術を見て仕事を(下請けに)出すわけではない。元請け購買部と金額の駆け引きをして受注しているのが実態。その中で保険強制加入をしたら保険倒産になりかねない』『見積もりを(元請けに)出すとネットはいくらと言われているのが現実。行政や学識者は実態を把握してほしい』『単価を上げてほしいと言えない。言ったら明日から来なくていいと言われる。これが現場の実態』など、保険未加入対策について不安の声が相次いだ。…今回の会合で、全建総連都連加盟者だけでなく、全国中小建設業協会副会長も務める豊田剛都中建会長からも、『(下請企業には適用せず)元請けだけを対象にできないか』と下請企業への影響懸念が出たのは、保険料負担分を下請けが未加入対策で確実に確保できる担保がないことに不安を抱いていることが改めて浮き彫りになった格好だ。」(『建設通信新聞』2012.02.27)

建設産業・経営

●「海外建設協会(竹中統一会長)が調査した会員企業48社の海外工事受注実績によると、2011年4−12月累計の受注総額は前年同期比48.7%増の9303億3100万円だった。超円高や東日本大震災の影響により、国内製造業の工場を中心に侮外移転が進んだためで、特に受注総額の7割を占めるアジアが堅調な伸びを示した。…地域別では、主力市場のアジアが43.6%増の6665億9100万円と好調を維持。日系企業による設備投資が加速した結果、現地法人が61.4%増の3321億7600万円と大きく伸び、本邦法人も29.4%増の3344億1500万円と前年同期を上回った。」(『建設通信新聞』2012.02.20)
●「東京商工リサーチがまとめた2011年(1−12月)の建設業倒産(負債額1000万円以上)は、前年比3.7%減の3391件となり、3年連続して前年を下回った。1994年の3378件以来、17年ぶりに3500件を割り込む低水準だった。金融円滑化法などの金融支援が効果を発揮した。地区別では、9地区のうち5地区が前年を下回ったものの、中国、中部、近畿が前年を上回り、九州が前年と同数になるなど、総じて西日本の増勢が目立った。負債総額は8.7%減の4816億4700万円だった。負債10億円以上の大型倒産は33.8%減の39件にとどまり、平均負債額も4.6%減のl億4200万円となった。東日本大震災関連倒産は、累計で94件だった。」(『建設通信新聞』2012.02.20)
●「関東以西の地場建設業に、今後の資金繰り悪化への警戒感が強まっている。昨年末に金融庁が打ち出した、『中小企業金融円滑化法(円滑法)』の1年限定の再延長方針や2月上旬の国際業務を行う銀行への新たな自己資本規制(バーゼル3)を2013年3月期から段階適用することを公表したことで、金融機関の融資姿勢が今後厳格化しかねないことへの不安が理由だ。…これまで地域企業を支えてきた地銀、信金・信組など地方金融機関も、国際的金融機関に今後義務付けられる新たな自己資本規制の動向に大きな関心を寄せている。国内金融機関にも規制が義務付けられるのではないかとの懸念だ。…今後の金融機関の融資姿勢変化に警戒感を示す、西日本地方の建設業経営者は、『そもそも赤字覚悟で応札しなければならないいまの入札制度がおかしい。参入規制しなければ健全な企業も今後厳しくなってしまう』と訴える。」(『建設通信新聞』2012.02.22)
●「98年と比べると、新潟県内の専門工事業で働く人の数が大幅に減り、年間所得も著しく減少していることが、新潟県建設専門工事業団体連合会(新潟建専連、阪田忠勇会長)が昨年10月に実施した11年度の会員企業実態調査で明らかになった。調査は会員500社を対象にアンケート形式で行い、316社から回答を得た。回答のあった従業員数の年代別合計は、前回の98年度調査と比べると、全体で2275人少ない3826人(37.3%減)で、20代と40代、50代の減少が特に著しい。…20代の若者が定着せず、企業を支える40〜50代も今の仕事に見切りを付けて転職していることが読み取れる結果となっている。 若者が定着せず、ベテランも辞めていく大きな要因は、所得が下がっているためだ。年間所得については、各年代とも98年調査と比べて減少しており、低所得層の割合が増えている。」(『建設工業新聞』2012.02.23)
●「建設経済研究所は、地域の防災対応などで重要な役割を果たす地域建設業を守るための対策について検討したリポートをまとめた。地域に詳しい建設業が撤退すれば、適切な災害対応を行うことができない『災害対応空白地域』が生まれると指摘。地域建設業の本業強化策に加え、環境、リフォームなどの新たな事業分野への展開を後押しする政策支援が求められるとしている。リポートは、建設投資の減少などが原因で、災害時に国民の生命、財産を守り、地域経済を支える建設業が存亡の危機にあると指摘。災害対応空白地域を生まないためにも生き残り策を模索する必要があると強調した。その上で、北海道が地域建設業の経営支援として注力している新分野進出を後押しする取り組みを紹介。…成功企業の取り組みを分析した結果、新分野で成功するには販路や顧客の確保に関する計画や事業が軌道に乗るまでの資金計画の立案、事業の実施に必要な知識(技術・ノウハウ、制度)が重要だと指摘。行政による補助金・助成金制度や低金利融資などの財政支援の充実とともに、新分野の情報・ノウハウの提供や経営アドバイスを行う施策を展開する必要があると提案した。」(『建設工業新聞』2012.02.24)
●「建設業情報管理センター(CIIC)と建設業技術者センター(CE財団)は、今後の地域建設業のあり方で提言をまとめた。災害対応や地域の雇用を支える地域建設業を育成するという視点から入札契約制度を見直すよう提案。具体的には地域の災害履歴を熟知する企業などに高い評価を与える仕組みをつくり、国や自治体が地域社会に必要な建設業者の存続を後押しするように求めている。」(『建設工業新聞』2012.02.27)

その他

●世界的な景気後退の可能性も指摘される中で、ドイツでは「企業は悪くない利益をあげている」として、現職閣僚が「労働者にその成果を分け与えるべきだ」と発言し、労働組合の大幅な賃上げ要求を支持する立場を表明している。…背景には、長年、労働者の賃上げが抑えられてきたことがある。ビルト紙によると、2000年から11年末までで、専門性を持つ労働者の賃金はインフレや社会保険料の値上げを考慮すると約18%低くなっているのに対し、大企業の幹部の収入は約22%も上がっているという。(『しんぶん赤旗』2012.02.19より抜粋。)

まちづくり・住宅・不動産・環境