情勢の特徴 - 2012年4月後半
●「日本の成長戦略の一つとして打ち出している『パッケージ型インフラ海外展開』が、東アジアの各国で案件として数多く浮上している。外務、財務、文部科学、経済産業、国土交通の各省は13日、民主党の経済財政・社会調査会、成長戦略・経済対策プロジェクトチーム、外務部門合同会議で、メコン地域を中心とした東アジアとの連結性支援の現状と今後の見通しについて、具体的事業案件を提示し説明した。建設産業界も注目するメコン地域のインフラ案件など国交省関連分だけで、26案件に上っている。」(『建設通信新聞』2012.04.16)
●不動産経済研究所が17日発表した2011年度の首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県)マンション新規発売戸数は、10年度比0.4%増の4万5173戸となった。同研究所は「08年のリーマン・ショック以降、マンション発売は回復基調にあるが、11年度は東日本大震災や東京電力福島第1原発事後の影響でほぼ横ばいにとどまった」と分析している。(『しんぶん赤旗』2012.04.18より抜粋。)
●「メガソーラー(大規模太陽光発電所)拡大に向け、投資家から資金調達する動きが広がってきた。オリックスが300億円規模の投資ファンドをつくり、建設資金を集めるほか、投資信託の運用会社や風力発電大手も同様な資金集めを検討する。7月には太陽光など再生可能エネルギーでつくった電気を電力会社が買い取る制度が始まる。再生エネ事業の普及に弾みがつきそうだ。」(『日本経済新聞』2012.04.20)
●財務省が19日発表した2011年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、貿易収支は4兆4101億円の赤字に転落した。赤字幅は、第2次石油危機に見舞われた1979年度の3兆1278億円を大きく上回り、過去最大を記録した。(『しんぶん赤旗』2012.04.20より抜粋。)
●「建設経済研究所が23日に公表した建設投資見通し(名目)の4月予測によると、2011年度は前年度比3%増の42兆3800億円、12年度は4.9%増の44兆4700億円となり、緩やかな増加にとどまった。11年度の東日本大震災関連予算の執行が送れたことや、当初予算執行留保解除分の大半が12年度以降に繰り越されたと分析し、1月予測から政府建設投資を大幅に下方修正したことが影響した。」(『建設通信新聞』2012.04.24)
●「建設・不動産の資金需要が拡大していることが、日銀の『2012年4月の主要銀行貸出動向アンケート調査』で浮き彫りになった。製造業・非製造業全体の企業の資金需要判断指数(DI、増加とやや増加から減少とやや減少を引いた値)も前回1月調査のマイナス2から今回はプラス6と増加に転じた。金融機関も貸出運営姿勢DIで今後3カ月間、大企業から中小企業まで貸出拡大の姿勢が見え始めるなど、企業の資金需要は増加しつつある。」(『建設通信新聞』2012.04.24)
●「既存の公共施設を活用し、官民連携(PPP)で太陽光発電施設を設置・運営する全国で初めての事業が、山梨県南アルプス市で始まる。『負担付き寄付』と呼ばれるPPP手法を使い、民間企業と自治体が連携。オリエンタルコンサルタンツなど民間4社が施設整備費用を全額負担し、売電による収益で投資額を回収する。市は財政負担をせずに災害時の防災拠点となる公共施設に非常用電源を確保することが可能になる。同市で行われる事業は、公共施設の屋根などに民間企業が太陽光発電設備を設置して市に寄付。市が一定期間、民間企業に無償で貸与する負担付き寄付というスキームを採用する。オリコンと飛島建設、太陽電池モジュールのメーカーであるアンフィニ(堺市堺区、親川智行社長)、太陽光発電システムの企画・販売を手掛けるジャパン・ソーラー(堺市堺区、上谷真也社長)がJVを組んで事業に参画する。」(『建設工業新聞』2012.04.24)
●「関東地方整備局は、建設業法令遵守推進本部による2012年度の立入検査などの活動方針を明らかにした。新たに法定福利費を立入検査の項目に加え、低入札価格調査の対象案件で立入検査を実施することを独自施策として打ち出した。また、管内都県単位で保険未加入対策推進協議会を設置するほか、管内知事許可部局と情報交換を円滑化するなどして、社会保険加入の促進に向け周知啓発活動を強化する。立入検査には、従来の施工体制の確認、経営事項審査の虚偽申請、営業所の不適正な設置などの検査項目に、法定福利費確保を加える。」(『建設通信新聞』2012.04.16)
●「復興庁発足から間もなく2カ月。東日本大震災の被災自治体から復興推進計画(復興特区)の申請が相次いでいる。4月13日現在、宮城県内6件、岩手2件、青森と福島、茨城各1件の計11件が認定されている。税制上や利子補給の特別措置に関する申請が多くを占めるが、石巻市(2件)と塩竃市、仙台市(いずれも宮城県)の単独提出案件では、企業立地奨励金や助成、融資など特区の利点を活用する産業集積構想を示している。」(『建設通信新聞』2012.04.16)
●「復興庁は、東日本大震災からの復興まちづくりで、大きな課題になるとみられる住民の合意形成に向け、NPOや企業、自治会、市町村、都道府県・国などが、さまざまな形で連携するための『ロードマップ』を作成した。住民による合意形成と行政の復興計画の実行が円滑に進捗するよう2012年度内に都道府県・国が『復興円卓会議』を設置、自治会が住民による合意形成組織を設立して市町村の承認を受ける仕組みづくりを求めた。」(『建設通信新聞』2012.04.16)
●「東北地方整備局は、膨大な復旧工事を効率的に執行する取り組みの一環で、仙台湾南部海岸堤防復旧工事にCM(コンストラクション・マネジメント)的業務を適用した。複数の同様な工事を一斉に進める同海岸堤防復旧工事向けに『施工監理業務』として新たに導入したもので、建設コンサルタントが発注者の業務領域にまで踏み込み、工事間の調整、関係機関との協議、簡易な設計などを行う。同局は簡易公募型プロポーザル方式で業者選定を進め13日、委託先を日本工営に決めた。」(『建設工業新聞』2012.04.17)
●「総務省は、市区町村を対象とした社会資本の将来の更新費に関する調査結果をまとめた。全国平均(加重平均)で見ると、社会資本全体では将来の1年当たりの更新費が現在の約2.6倍となり、特に橋梁が5倍超と大幅に増加する。1人当たりの更新費に換算すると6万円超を見込み、公共施設が半額以上を占めるといった傾向も明らかになった。いずれの値も人口規模が小さい自治体ほど大きくなり、早急な対応に迫られている。」(『建設通信新聞』2012.04.18)
●「福島第一原発事故で避難している福島県内の自治体が検討を始めている『仮の町』構想について、復興庁が関係各省の課長級で構成するワーキングチーム(WT)を立ち上げる。設置する期間や町の規模、必要な機能の3点を課題として検討する。ただ、受け入れ候補に浮上しているいわき市の渡辺敬夫市長は、各市町がまず帰還までの行程表を策定することを求めるなど実現までには課題が多いことも示した。」(『建設通信新聞』2012.04.20)
●「国土交通省は20日、持続可能なまちづくりの方向性と手法に関する外部有識者の提言を公表した。提言では、都市再生機構と民間事業者との連携による取り組みとして、東日本大震災からの復興モデルとなるまちづくりを早期に実現させることや、住宅団地を活用してPPP手法による『医・職・住』近接のまちづくりを進めるなど、5分野の方向性を提示。今後、内閣府の調査会の検討結果が明らかになった段階で、実行に移す。提言は、清水雅彦慶大常任理事を座長とする研究会を通じてまとめた。」(『建設通信新聞』2012.04.23)
●「川崎市は、工事のさらなる低入札対策強化に向け、入札契約制度を見直す。プラント工事など一部を除き、原則としてWTO(世界貿易機関)対象以外の案件に最低制限価格と低入札価格調査(失格基準あり)を拡大適用する。併せて、最低制限価格と低入札価格調査の失格基準を引き上げ、著しい低価格での受注を防止する。いずれも6月1日以降に指名、または公告する案件から適用する。」(『建設通信新聞』2012.04.23)
●「文部科学省は、老朽化した学校施設の再生整備のあり方の検討を始める。25日に有識者による検討組織の初会合を開く。公立小中学校は、昭和40〜50年代の児童・生徒急増期に一斉に整備され、現在では建築から25年以上を経過した施設が全体の約7割を占める。同省は、改修・改築需要が今後集中すると予想されることを踏まえ、再生整備のあり方や推進方策を示す『学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)』を本年度末にまとめる。夏には中間報告の形で公表し、13年度予算の概算要求に反映できるようにする。」(『建設工業新聞』2012.04.23)
●「国土交通省は20日、東京外かく環状道路(外環道)の都内区間(東京都練馬区〜世田谷区間約16キロ)など、全国の高速道路10路線12区間の整備事業を許可した。今後、各路線で設計や工事が順次始まる。外環道の都内区間は09年4月末に、高速道路の建設計画を審議する『国土開発幹線自動車道建設会議』(国幹会議)で整備計画路線に格上げされていた。事業許可が出たことで着工に向けた手続きが整い、全体事業費(用地費含む)約1.3兆円の大規模プロジェクトがいよいよ動きだすことになる。」(『建設工業新聞』2012.04.23)
●「国土交通省は、東日本大震災の復興事業を後押しする一環で、官民連携による復興まちづくりの具体化に取り組む。同省所管の公共施設の復興事業を対象に、被災自治体から官民連携手法を用いた事業提案を受け付ける。選定された案件の事業化調査を助成し、被災地復興に民間の資金・技術、経営能力が最大限に活用できるスキームを構築。官民連携の復興モデルを先行的に示し、他の被災地への展開を推進することで復興を加速させたい考えだ。」(『建設工業新聞』2012.04.23)
●「名古屋環状2号線の名古屋西ジャンクション(JCT)〜飛島JCT(仮称)延長約12キロが、20日に国土交通大臣の事業許可を受けた。開通予定は2018年度末。総事業費は1350億円。JCT部と舗装・設備工事は有料道路事業として中日本高速道路、その他は中部地方整備局が公共事業として施行する。12年度は整備局が事業損失調査、改良工事などを実施、中日本高速はJCT付近の用地取得や橋梁下部工などに着手する予定だ。」(『建設通信新聞』2012.04.24)
●「7月に始まる太陽光など再生可能エネルギーの全量買い取り制度の詳細を議論していた経済産業省の『調達価格等算定委員会』(委員長=植田和弘京都大学教授)は25日に開いた会合で、電力会社による電気の買い取り価格案を議論した。最終的な結論は持ち越したが、植田委員長が会合終了後に記者会見して委員長案を公表。太陽光発電は1キロワット時あたり税込みで42円(出力10キロワット以上)。風力は同23.1円(出力20キロワット以上)とした。」(『日本経済新聞』2012.04.25)
●「文部科学省は、公立学校の施設整備が、道路などの公共事業と比べて経済効果が大きいなどとする推計結果をまとめた。また、他の公共事業より地元中小企業の受注機会の拡大にも貢献しているとした。推計結果によると、公立学校施設整備の2012年度予算の総事業費は約2900億円で、うち国費が1246億円。この事業費の執行で生産誘発効果は約5600億円となり、約3万1000人の雇用創出効果があるとした。また、学校施設整備の特徴として、用地取得・補償の必要がぼとんどないことがある。このため、事業費100億円当たりの生産誘発効果は、学校の195億円に対し、道路が146億円(うち用地費25%)、区画整理が86億円(同52.7%)、下水道が188億円(同4.2%)。このため、他の公共事業と比較して経済効果が大きいとした。地元中小企業の受注拡大への貢献は、中小企業受注比率で比べた。受注比率は公立学校が91.1%、道路が87.6%、再開発・造成が70.6%、下水道が81.8%。中小企業による学校の受注比率が高い理由として、建築や電気設備、機械設備など幅広い分野の工事を分離発注して実施していることを挙げた。」(『建設通信新聞』2012.04.26)
●「復興庁は27日、東日本大震災による負傷の悪化や精神的ストレスなどが原因で亡くなった震災関連死が3月末までに、1都9県で1618人にのぼったと発表した。津波や地震による直接の死者・行方不明者は1万8914人(25日現在、警察庁まとめ)で、関連死を加えると、大震災による死者・不明者は2万人を超えた。」(『日本経済新聞』2012.04.27)
●「脱原発をめざす首長会議」の設立総会が28日、都内で開かれた。同会議には69人の市町村・特別区の首長や首長経験者が加入。総会には福島第1原発事故で被災した福島県の桜井勝延南相馬市長を含む21人が出席し、多くの報道陣がつめかけるなど、原発ゼロをめざす新たな動きとして注目された。(『しんぶん赤旗』2012.04.29より抜粋。)
●29日午前4時50分ごろ、群馬県藤岡市岡之郷の関越自動車道上り線の藤岡ジャンクション付近で、大型バスが道路脇の遮音壁に激突して大破し7人が死亡、39人が重軽傷を負った。…バスは千葉県印西市のバス会社針生エキスプレス・陸援隊が所有、石川、富山、埼玉、東京の4都県の10〜64歳の45人が乗っていた。…川村雅則北海学園大学経済学部准教授(労働経済論)の話 詳細な事故の背景は分からないが、貸し切りバス業界では、規制緩和によって新規参入が容易になり(免許制から許可制)、零細業者を中心に急増し、他産業からの参入も相次いでいる。総じて零細業者は経営基盤が脆弱で運行管理や労務管理上の困難を抱えている。事業者の急増は、旅行会社との間の交渉力を低下させ、規制緩和以後、運賃単価は大きく下落している。運転手の働き方は非常に厳しく、職種別にみた過労死発生件数も最も多い。そうした働き方の規制が脆弱であるという点も問題だ。改善策としては、やはり働き方の規制(労働規制)の強化が必要である。(『しんぶん赤旗』2012.04.30より抜粋。)
●「東日本大震災などの影響で、残業時間が5年ぶりに増加――。全国建設関連産業労働組合連合会の調査によると、2011年11月単月の平均残業時間は女性の組合員が7年ぶりに減少したが、男性が増加したことから、全体では56.5時間で前年同月よりも2.4時間増えた。また、震災業務には4人に1人が携わっていることが分かった。労働時間の増加に対し同連合会は『健康面ではメンタルヘルスへの影響が心配だ』と述ベている。連合会は建設コンサルタント、地質調査、測量、建築積算の計45労組(オブザーバー含む)で構成している。調査には組合員約6500人のうち、3分の1強の2261人から回答があり、平均年齢は34.8歳だった。」(『建設通信新聞』2012.04.16)
●「厚生労働省は、建築物の解体作業に従事する労働者の石綿(アスベスト)ばく露防止に向けた技術上の指針(案)をまとめた。解体作業の事前調査や吹き付け石綿の除去などを行う際の留意事項を定めている。東日本大震災で被害を受けた建築物の解体が本格化する時期を捉え、作業に従事する労働者の健康障害の予防対策が適切に実施されるよう、労働安全衛生法に基づく初の指針として定める。指針案への意見募集を経て5月中旬に正式に公示する予定だ。」(『建設工業新聞』2012.04.19)
●「民主党は、建設工事の契約・見積もり段階での労務費(賃金・法定福利費・経費)明示と、すべての下請けを対象に下請けが支払う労務費を元請けに報告し、発注者がその内容を閲覧できる枠組みを義務付ける『支払い透明化法案』について23日、全国建設労働組合総連合(全建総連)に説明した。民主党建設労働懇談会の舟山康江事務局長と平智之事務局次長(建設業法等を考える議員連盟幹事長代行)は、全建総連が同日開いた『人が育つ、明るい建設現場をめざす建設政策研究会』に出席。民主党議連が昨年から進めてきた、すべての下請労務費を透明化することで、施工を行わず経費だけを中抜きする中間搾取をなくすことを目的にした『支払い透明化法案』について理解を求めた。」(『建設通信新聞』2012.04.25)
●「日本建設産業職員労働組合協議会は、労働環境や労働時間などの調査『時短アンケート』をまとめた。2011年11月に組合員約1万人を対象として実施した。建設産業に魅力を感じる割合は過去10年で最高の約50%となったが、若い世代を中心に長時間労働に対する不満も改めて明らかになった。」(『建設通信新聞』2012.04.27)
●「既存建築物の耐震改修を狙い、外付け耐震補強技術の適用範囲を拡大する動きがゼネコン各社に広がっている。東日本大震災を契機に、建築物の耐震性に対する関心が高まる中、既存工法のメニューを増やすことで建物所有者の要望にきめ細かく対応し、受注獲得につなげる狙いがある。集合住宅や学校、病院などを主戦場に今後、各社の提案活動がより激化することも予想される。震災後、既存建築物の耐震性を高める工法で建築技術性能証明を取得・再取得する動きが相次いでいる。」(『建設工業新聞』2012.04.18)
●「環境省が福島県内の除染特別地域で実施する『本格除染』に備えた事前調査のうち、全11市町村の数量調査業務を担当する事業者が分かった。企画競争方式で発注し、3月下旬以降に事業者を選定したのは4件。飯舘村の物件調査や同意書案作成は大成建設、6市町村を3分割した数量・物量調査業務は南相馬市(その1)が日本国土開発、浪江町と川俣町(その2)を東日路政コンサルタント(郡山市)、双葉町と富岡町、大熊町(その3)は鹿島をそれぞれ選んだ。」(『建設通信新聞』2012.04.19)
●「北海道、東日本、西日本の建設業保証3社が18日に公表した2012年1−3月の建設業景況調査によると、建設労働者の賃金が上昇し、特に東日本大震災の被災地では収益を圧迫する傾向が鮮明になった。景気に対するマインドを見ると、被災地で良いとする傾向が強まるとともに、全国的には悪い傾向が続く中で若干の上昇が見られた。」(『建設通信新聞』2012.04.19)
●「日本建設業連合会は19日、社会保険加入促進計画を策定した。『団体が取り組むべき対策』『会員企業が自ら実施すべき対策』と『行政に対する要望』で構成。団体として、社会保険未加入対策協議会への参画や事業所ごとに加入の信びょう性をチェックする就労履歴管理システムの構築、法定福利費の確保などを掲げた。2017年度以降は保険未加入企業との契約禁止などを打ち出し、会員企業144社に通知する。…会員企業が自ら実施すべき対策では、下請契約時の保険加入状況の確認や未加入企業への指導などに加え、17年度以降、保険加入が一定程度進捗した段階から、保険未加入企業との契約を禁止することや保険未加入作業員の現場からの排除も明記している。社会保険未加入対策協議会に参加する建設業団体は、社会保険加入促進計画を策定し、ことし10月の第2回会合までに登録するスケジュールとなっている。このため、日建連は会員企業144社に対して、下請企業も含めた保険加入の実態調査を今後実施し、その結果を踏まえて、10月までに今回の計画をより実効性のあるものに見直す方針だ。」(『建設通信新聞』2012.04.20)
●「前田建設、柏山瓦工業、婦負森林組合の富山県内3者は、地中熱利用の換気システムと太陽光発電を組み合わせ、さらに地元産木材を有効利用する建築システムを開発し、地元自治体や介護福祉施設管理者などに対する提案活動を始めた。地下5メートル付近の温度は、1年を通して15〜17度と安定しており、夏は外気より涼しく、冬は暖かいという特性に着目。地下埋設パイプから地中熱を取り込み、建物内の24時間換気を行い冷暖房に活用する。太陽光発電システムは屋根に取り付けて冷暖房を含めた光熱費を賄う。建物の主要部材には地元産木材を利用する。」(『建設工業新聞』2012.04.20)
●東日本大震災で発生した膨大ながれき(災害廃棄物)の処理は、復興にむけた重要課題だ。環境省によると岩手、宮城、福島3県の災害がれきは約2250万トン。最も多い宮城県は1573万トンにのぼる。同県の処理進捗率は約8%。「効率よく進めるため」とがれき処理業務をゼネコンに丸投げ≠オたことが、逆に大きな妨げとなっている。(『しんぶん赤旗』2012.04.23より抜粋。)
●「日本建設業連合会(日建連)のまとめによると、会員企業48社の11年度の受注高は10兆2610億円(前年度比10.8%増)で、5年ぶりに増加に転じた。東日本大震災の復旧・復興などの影響で官公庁からの受注が大きく伸び、3年ぶりに10兆円を超えた。内訳は、国内が9兆6700億円(10.3%増)、海外が5910億円(20.5%増)で、海外のプラスは5年ぶり。東日本大震災に伴うがれき処理関連で3000億円規模が計上されており、地方の機関が6年ぶりに1兆円を上回った。民間でも工場の震災復旧工事が多かったという。国内のうち、民間からの受注は7兆0620億円(5.5%増)で、内訳は、製造業発注分が1兆4070億円(29.7%増)、非製造業発注分が5兆6550億円(0.8%増)だった。官公庁からの受注の内訳は、国の機関の発注分が1兆4330億円(11.2%増)、地方機関の発注分が1兆1540億円(51.1%増)で、いずれも2桁のプラス。国では道路や庁舎などが、地方では東日本大震災の復旧関係が増加要因となった。」(『建設工業新聞』2012.04.27)
●政府は27日、2012年版の中小企業白書を発表した。白書は、東日本大震災で津波の浸水を受けた地域の中小企業に関する実態調査を紹介。震災後に事業を継続または再開できた中小企業は65.6%(2882社)と、7割にも満たないことが明らかになった。…白書はまた、復旧・復興にあたり中小企業が地域資源を活用して、役割を果たしていくことの重要さを強調。被災地の商工会・商工会議所へのアンケート調査でも、復興に最も有効な地域資源は「農林水産品や加工品」としている。活動資金の確保が課題となっている。白書は、また政府の支援施策である「仮設工場・仮設店舗等整備事業」や「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」を利用して復興に取り組む中小企業の活動を紹介。中小企業の「復興に向けた一歩」としている。(『しんぶん赤旗』2012.04.28より抜粋。)
●「『一般社団法人全国木造建設事業協会(全木協)』 このような全国組織の連携は、各都道府県の地域団体にも波及しており、各地域におけるそれぞれの団体が、手を取り合うケースが見られている。長野県では、JBNの地域支部『一般社団法人信州木造住宅協会(信州MJK)』と『長野県建設労働組合連合会(長野建労)』が『全木協―長野県協会』を発足させた。団体として、長野県との災害協定の締結を目指している。『平時からスキームをつくっておくことが一番大事です』と全木協―長野県協会の小林稔政会長(信州MJK事業委員、JBN社員、鰹ャ林創建社長)が話すように、同協会の設立意義は大きい。災害協定以外にも同協会では、公共木造建薬物を受注する体制づくりの構築のほか、平成24年度の国交省の事業『地域型住宅ブランド化事業』への申請も行う予定だ。」(『日本住宅新聞』2012.04.15)