情勢の特徴 - 2012年10月後半
●「国内市場の縮小を背景に鋼構造の橋梁工事で受注競争が激化している。橋梁の市場そのものが新設から補修や長寿命化といった維持管理にシフトしていく中で、ピーク時から7割減とも言われる需要の減少は各社に厳しい価格競争を強いているのが実態だ。こうした新設需要の減少は技術力の維持にも影響しかねない。業界内には“我慢比べ”が続くことで各企業の技術力の低下に拍車をかけるとの懸念も広がっている。」(『建設通信新聞』2012.10.23)
●財務省が22日発表した9月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5586億円の赤字となり、同月の赤字では過去最大を記録した。沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題で日中関係が悪化し、中国国内で発生した反日デモや不買運動の影響を受け対中輸出は14.1%減となった。財務省の担当官は、貿易に関する今後の動向について「海外景気や日中関係を注視する必要がある」との認識を示した。対中輸出は尖閣問題がクローズアップされる前からマイナス傾向にあり、10月以降も予断を許さない状況だ。(『しんぶん赤旗』2012.10.23より抜粋。)
●「東日本大震災の被災地で生コンクリートと砕石の需給がひっ迫し、価格が上昇していることが国土交通省の調査で分かった。生コンの価格高騰はプラントの少なさが要因。砕石は不足を補うために各社が被災地外から調達しているが、運搬コストがかさんで価格上昇を招いている。盛り土材の不足も懸念材料だ。国交筈は生コンプラントの増設要請や資材調達方法の多様化、被災自治体と対策協議などを進めているが、資材不足が復興工事に水を差す恐れもある。」(『建設工業新聞』2012.10.24)
●「建設経済研究所が24日発表した建設投資見通しによると、東日本大震災の復興需要の増加や民間投資の回復基調の継続などで、12年度の名目建設投資は前年度比4.1%増の43兆7300億円となる見込みだ。政府、民間の住宅と非住宅の3分野の投資がいずれも前年度より増えるとみているが、7月の前回予想よりは8500億円の下方修正。13年度は震災関連予算が12年度内でほぼ執行され、前年度からの繰越額が平年以下になると想定する一方、民間の住宅と非住宅の増加が全体を押し上げるとみて、2.0%増の44兆6000億円と予想している。」(『建設工業新聞』2012.10.25)
●「国土交通省は10月23日に開かれた政府税制調査会に、消費増税に伴う住宅取得時の負担軽減策を提示した。2013年末で終了する住宅ローン減税を5年間延長、2014年から住宅ローンの減税額を最大500万円に拡充する案を示したほか、取得時の登録免許税、印紙税、不動産取得税を非課税にすることも盛り込んだ。消費税率は2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げられる。政府・与党は国交省案を踏まえ、年末を目途に住宅取得対策をまとめたい考え。」(『日本住宅新聞』2012.10.25)
●「会計検査院は25日、東日本大震災で政府が2011年度に計上した復興経費14兆9243億円のうち、支出されたのは54.2%の8兆906億円とする集計をまとめ、参議院に報告した。全921事業ごとの執行状況を分析した結果、予算額に対する支出率が8割以上の事業が347事業あった一方、337事業が2割未満にとどまり、ばらつきがみられた。」(『日本経済新聞』2012.10.26)
●「総務省が26日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで99.8となり、前年同月比で0.1%下落した。下落は5カ月連続。マイナス幅は前月より0.2ポイント縮まったものの、電気代の値上げやガソリン高が影響している。テレビなど耐久消費財は大幅な下落が続いており、デフレ基調は変わっていない。」(『日本経済新聞』2012.10.26)
●「政府は26日の閣議で、経済対策の第1弾を決定した。日本再生戦略で示した重点3分野(グリーン、ライフ、農林業)の施策のうち緊急性の高いものを加速。東日本大震災の復興支援、大規模災害に備えた防災・減災対策も推進する。12年度予算の予備費約4000億円を支出。地方負担分を合わせた事業費の総額は7500億円となる。11月には規制緩和や中小企業の資金繰り支援などを盛り込む第2弾の対策をまとめる。前原誠司国家戦略担当相は閣議後の記者会見で、『国内総生産(GDP)を0.1%程度押し上げる効果がある』と説明。施策の効果がほとんど年内に出る『即効性の高い対策ばかり』と強調した。政府は、経済対策によって震災復興と景気の下振れ防止に万全を期す構え。日本経済の当面の最大課題であるデフレ脱却へ日本銀行と一体になって取り組む考えだ。第1弾の対策には、エネファーム(家庭用燃料電池)の設置の緊急支援(251億円)、次世代型の高効率利用設備機器の緊急支援(155億円)、地域主導による再生可能エネルギー導入のための緊急支援(5億円)、小規模・迅速な農地・水利施設緊急整備(310億円)、通学路の緊急合同点検結果に基づく緊急対策(48億円)、障害者施設・児童福祉施設の緊急整備(34億円)などを盛り込んだ。」(『建設工業新聞』2012.10.29)
●「国土交通省は再生可能エネルギーである小水力発電の導入を加速するため、規制を緩和する。農業用水路に発電所をつくる場合、国や都道府県からの許可を不要にして、登録だけで済むようにする。設置までの事務手続きにかかる期間をいまの平均5カ月から1カ月程度に短くすることで、企業の新規参入を促す。来年の通常国会に河川法改正案を提出する方針だ。…規制緩和の柱は登録制の導入だ。これまで農業用水は農業用として許可を得ていても、小水力発電を始めるには改めて国や都道府県から許可を得る必要があり、手続きが煩雑だった。このいわゆる『水利権』が普及の壁となっていた。すでにある農業用水路に小水力発電所を新たにつくっても、河川本流の流水量には影響がないため、許可は不要と国交省は判断した。新制度では水利権を持つ農家の了解を得るなどの条件をあらかじめ定め、これを満たした事業者はすべて登録できるようにする。…小水力発電に適した場所は日本全国で2万カ所以上あるとされる。環境省の推計によると中小水力発電の潜在能力は約1400万キロワットで、原発14基分の出力にあたるという。政府も太陽光や風力、地熱など並ぶ重要な再生エネと位置づけている。」(『日本経済新聞』2012.10.16)
●「平野達男復興相は、政府が全閣僚を集めて16日に開いた『復興推進会議』後の記者会見で、東日本大震災の被災自治体で不足している用地補償や土木工事などを担当する建設系職員の確保策について、『全国の自治体からの応援派遣だけでなく、国としても(被災地に派遣する)非常勤職員の採用を前向きに検討していく』と述べ、今後、被災自治体向けに応援派遣する職員の公募を国も進める考えを示した。平野復興相は今後の被災地の復興を円滑に進めるための課題の一つとして人材確保を挙げた。被災自治体の人材確保に加え、被災地で復旧・復興工事の発注が本格化することを見据え、工事を担当する建設会社や建設技能者の確保策の強化にも力を入れる考えを示した。具体策として、被災自治体で不足する建設系職員などを国も公募し、被災自治体に派遣。宮城県女川町や東松島市、岩手県陸前高田市で試行しているCM(コンストラクション・マネジメント)方式などを活用する取り組みも拡大し、行政側のマンパワー不足を補う方針を表明した。」(『建設工業新聞』2012.10.17)
●「東海地震や東南海・南海地震の被害が想定される15都道府県の公共設備のうち、海岸では全体の約6割に当たる約2100キロの堤防で耐震性能が未確認だったことが17日、会計検査院の調べで分かった。津波到達までに閉鎖が間に合わない水門も約3割に上ったという。耐震化と津波対策の遅れが浮き彫りになった。中央省庁の庁舎や国立の病院施設などのうち、955棟が震度6強の地震で倒壊する危険性が高いことも判明。東日本大震災の被災地以外でも復興予算の一部が使われる中、検査院は農林水産省や国土交通省に改善点を指摘し『財政は厳しく、緊急度を考慮しメリハリを付けて整備してほしい』としている。検査院は参議院の要請を受け、抽出調査。震災前の耐震基準を基に、水門や壌防のほか、災害時の緊急輸送路や避難路上の橋、下水道管などの今年3月末時点の状況を調べた。検査院によると、堤防の高さについては、総延長の約15%に当たる812キロが、東日本大震災の発生前に想定していた津波よりも低かったという。海岸で常時開放している水門のうち、担当者が津波警報を受けてから予想される津波到達時間内に閉鎖作業を完了できない水門が3184カ所(29%)あり、津波を水際で防ぐハード面の整備が不十分な実態が明らかになった。耐震化の遅れも目立った。堤防や水門は国土交通省が2004〜07年に耐震基準を設定。海岸の堤防では3408キロのうち、総延長約84キロで必要な耐震工事が実施されていなかった。また、緊急輸送路上の橋のうち26.9%、避難路上の橋のうち73%、下水道管のうち79%で、耐震化が未実施だった。各自治体などからは『堤防や水門などの新設により多くの予算が充てられ、財源が無い』との説明が多いという。一方、災害時に避難所などになる公共施設の耐震化率は、官公庁施設が61%、国立大学などの教育施設が57%、大学付属病院などの医療施設が61.5%だった。震度6強で崩壊の恐れがあるとの指摘もある。国交省は16年までに耐震化率を9割とする目標を掲げており、検査院は『目標とは開きがある』と指摘した。」(『日本経済新聞』2012.10.18)
●「東日本大震災の被災地の復興向け公共工事で、入札が成立しない事例が相次いでいる。人手や資材が足りないことが大きな理由。国や自治体による要件緩和などの対策も効果が薄く、宮城、福島両県では2〜3割程度が不調に終わる。各自治体は『復興の遅れにつながる』と危機感を強めている。」(『日本経済新聞』2012.10.24)
●「東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)と仙台市は、本格化する復旧・復興工事を円滑に執行するため、国への共通要望書をまとめ、23日に開かれた関係省庁や業界団体などとの『復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会』で示した。要望は、▽技術者専任制の緩和▽実勢価格を反映できる積算手法の設定▽作業員の宿舎対策支援▽資材確保のための支援―の4項目。作業員宿舎整備に対する国の補助制度創設などを強く求めた。」(『建設工業新聞』2012.10.24)
●「国土交通省は、建設業者の社会保険加入促進策強化の一環で、建設業許可申請時に保険加入を証明する書類の添付と、施工体制台帳への保険加入状況の記載の義務化が11月1日に施行されるのに合わせ、関係機関に対策をあらためて周知徹底する。保険加入状況の確認・指導に関する通知を建設関係団体に24日付で出した。各地方整備局、都道府県の建設業許可担当部局にも審査体制の強化を呼び掛け、官民挙げて保険加入促進に向けた環境づくりを進める。」(『建設工業新聞』2012.10.25)
●福島県はこのほど、東京電力福島第1原発事故を受け、政府の財政支援で市町村が除染を行う「汚染状況重点調査地域」に指定された県内41市町村の除染実施状況(9月末時点)を発表した。住宅除染計画を持っているのは26市町村8万1092戸、発注済みは21市町村3万4828戸で、計画数の約43%。除染が完了したのは14市町村の5011戸で、計画の約6%、発注の約14%になっている。…政府は23日、「除染推進パッケージ」を公表し、市町村の除染方法可否決定の権限を環境省本省から福島環境再生事務所(環境省の地方機関)に移すこと、事業終了後の支払いとしていた補助金について見積り額での概算払いを認めることなどの対応策を示した。政府は原発推進政策を進めた責任において、除染の推進に全力であたるべきだ。(『しんぶん赤旗』2012.10.29より抜粋。)
●「全国建設労働組合総連合関東地方協議会(鈴木友則議長)は22日、日本建設業連合会など元請団体に対し、社会保険加入事業者の適用除外となっている『建設国民健康保険組合(建設国保)』加入企業に、『全国健康保険協会運営の健康保険(協会けんぽ)』への移行を求めないことなどを骨子とした『社会保険未加入対策推進の要望書』を提出した。建設国保加入が社会保険加入扱いであることは既に国土交通省が7月30日付で通知している。ただ社会保険未加入対策が11月から本格化することを踏まえ、元請団体にあらためて要請したものとみられる。要望書はこのほか、▽法定福利費の確保▽ダンピング(過度な安値受注)是正▽社会保険未加入企業・労働者の現場から排除懸念――を求めた。このうち社会保険未加入企業・労働者の現場からの排除懸念では、保険加入の原資になる法定福利費が確保されないまま、社会保険加入啓発・周知期間を無視し、拙速に『保険未加入者の現場入場拒否』が行われれば現場が混乱するとして、拙速な保険未加入者の現場入場拒否をしないことを求めた。既に専門工事業界からも、法定福利費を確保するための、見積内訳書が実際の契約で浸透せずに、社会保険未加入対策だけが進むことへの強い懸念が示されていた。専門工事業の経営者団体と、一人親方など技能労働者らが加盟する全建総連は、社会保険未加入対策推進で、法定福利費確保やダンピング是正を求めることで一致した形だ。」(『建設通信新聞』2012.10.23)
●「厚生労働省は2013年1月から、建設業退職金共済制度(建退共制度)で、これまで共済手帳交付申請時に必要のなかった被共済者(労働者)の住所明記を義務付けることを決めた。建退共制度に加入する技能労働者が退職した時に確実にそれまで証紙で積み立てた退職金を支払うことが目的。ただ共済手帳の新規・更新申請や証紙は、元請けが一括して手続き・購入していた。これまでも、建退共支部業務を受託している都道府県建設業協会が住所明記指導はしてきた。今後は、法的根拠を理由に、企業に対し住所明記の指導徹底が建協に求められることになりそうだ。」(『建設通信新聞』2012.10.24)
●「東日本大震災の被災地で復興まちづくりが本格化する中、各自治体が用地取得や土木工事などに携わる建設系職員の確保に奔走している。岩手、宮城両県はそれぞれ100人以上の任期付き職員の公募を開始。復興工事の発注がこれから本格化する岩手県内の市町村も県と同様の動きを強めている。一方、被災自治体に応援職員を派遣する全国の自治体でも、被災地への派遣を条件に任期付き職員を集める動きが出るなど、全国で建設系職員の人材獲得競争が激しさを増している。」(『建設工業新聞』2012.10.16)
●「国土交通省は、22日に開いた社会保険未加入対策推進協議会のワーキンググループ(WG)の会合で、各専門工事業団体が作成した標準見積書を業界全体で11月から積極活用していくことを確認した。会合では、各団体の標準見積書案や保険加入促進計画の作成状況を確認し、見積書活用の進め方に関するたたき台を議論した。31日に開く同協議会で各団体の標準見積書を登録した上で、活用に当たって総合・専門工事業団体双方の対応方針について通知を出す予定だ。」(『建設工業新聞』2012.10.23)
●「大成建設は24日、2012年4〜9月期の連結経常利益が前年同期比64%増の135億円になったと発表した。従来予想は33%増の110億円。販売管理費の一部の計上が10月以降にずれ込んだほか、借入金などの金利が想定を下回り、金融収支が改善した。売上高は3%増の5670億円。従来予想を730億円下回った。期初の手持ち工事は多かったが、一部の工事で発注者側の事情により着工や完成が遅れる案件があり、売り上げ計上もずれ込んだ。純利益はほぼ2倍の30億円。従来予想は約3.3倍の50億円で、増益幅が縮小した。保有株式の値下がりに伴い、投資有価証券評価損約62億円を特別損失に計上したことが響いた。…ハザマは24日、2012年4〜9月期の連結純利益が前年同期比34%増の13億円になったと発表した。従来予想は18%減の8億円で、一転して増益となる。トンネル工事などの国内土木部門で人件費や資材費が想定を下回り、工事採算が改善した。」(『日本経済新聞』2012.10.25)
●「日本建設業連合会(日建連)がまとめた会員企業100社の12年度上半期(4〜9月)の受注総額は5兆0478億円となった。前年度実績との比較が可能な48社分の受注高は前年同期比4.0%増の4兆5833億円。民間工事の受注は前年度並みだったが、震災復興需要で増加が続く官公庁工事の受注が全体を押し上げた。100社の国内受注総額は4兆8602億円で、民間工事が3兆4752億円、官公庁工事が1兆3658億円。海外受注は1876億円だった。48社の集計では、国内が5.1%増の4兆3957億円で、11年度上期から3半期連続で増加傾向が続いている。国内分のうち、民間工事は0.6%減の3兆1630億円とほぼ横ばい。これまで回復基調にあった製造業が5.4%減の6413億円と落ちたのが響いた。官公庁工事は1兆2136億円(前年同期比22.8%増)と3半期連続で20%台の大幅増となっている。海外受注は1876億円(16.5%減)で、3半期ぶりにマイナスに転じた。」(『建設工業新聞』2012.10.29)
●「積水ハウスと日本IBMは家庭向けネットワークサービスで提携する。来春から3年間で全国3万棟以上の住宅をIT(情報技術)で結び、居住者に電気やガス使用量を知らせたり節電方法を指南したりする。ネットワークは他社にも開放し、省エネだけでなく高齢者の見守りなども含めた生活支援サービスを一括提供する基盤に育てる。住宅各社は新築住宅を中心に家庭用エネルギー管理システム(HEMS)の導入を進めているが、従来は一定区域内でのサービス提供が主流だった。3万棟以上の大規模な全国ネットワークは珍しい。両社は週内にも正式契約を結ぶ予定だ。」(『日本経済新聞』2012.10.30)
●「中国国家統計局は18日、2012年7〜9月期の国内総生産(GDP)が物価変動の影響を除いた実質で前年同期に比べ7.4%増えたと発表した。内外の需要の鈍化で成長率は2四半期連続で8%を下回り、中国政府が余裕を持って設定した今年の成長目標(7.5%)の水準を割り込んだ。中国政府はインフラ投資の認可加速など景気の下支えに動き、足元では減速に歯止めがかかる兆しも見え始めている。」(『日本経済新聞』2012.10.18)
●「インドの景気先行きに暗雲が漂っている。度重なる金融引き締めで内需の伸びが鈍化し、企業収益が悪化。不振企業に対する債務返済の繰り延べ額は4〜6月に前年同期の2倍に急増した。物価は高止まりしており、本格的な金融緩和には踏み切りにくい。インド市場の開拓を目指すグローバル企業の新たなリスク要因となっている。」(『日本経済新聞』2012.10.18)
●「米住宅市場に明るさが増している。9月の住宅着工件数は前月より15%増え、4年2カ月ぶりの高水準となった。低金利を背景に価格が底入れした中古住宅への引き合いが増え、欲しい物件を入手しづらくなった買い手が新築物件に向かっている。住宅市場の復調が消費を中心に米景気を下支えするとの期待が高まる一方、銀行の収益にも追い風となっている。」(『日本経済新聞』2012.10.19)
●米国で最近の約30年間に、低賃金で、雇用者負担の健康保険と年金がない劣悪な雇用(バッド・ジョブ)が増えている。米国の研究機関、経済政策調査センター(CEPR)がこのほど、「増加するバッド・ジョブ」と題する報告書で明らかにした。報告書はまた、バッド・ジョブの増加は、民営化や規制緩和などによる労働市場再編が労働者の交渉力を低下させた結果だと指摘した。(『しんぶん赤旗』2012.10.19より抜粋。)
●「ロシア経済の成長鈍化が鮮明になってきた。7〜9月の国内総生産(GDP)の伸び率は前年同期に比べ2.8%にとどまり、4〜6月の同4.0%から低下した。けん引役の投資や個人消費など内需に陰りが出て、石油など資源輸出に頼る成長モデルも限界に達しつつある。同じBRICS諸国の中国やインドに続くロシアの景気減速は、世界経済の新たな懸念要因になりそうだ。」(『日本経済新聞』2012.10.25)