情勢の特徴 - 2013年1月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「JFEエンジニアリングはミャンマー企業と組み、同国の橋梁市場に参入する。まずヤンゴン市内で交通渋滞を緩和するための道路高架橋を建設する。現地企業に対して橋桁などの主要な部材について製造技術を供与して調達、建設費用を半分程度に抑える。日本政府は3月末までに同国への円借款を再開する意向を表明した。現地で急速に進む社会インフラの整備をにらみ、日本企業の進出が相次ぎそうだ。」(『日本経済新聞』2013.01.05)
●「政府の日本経済再生本部(本部長・安倍晋三首相)が検討する成長戦略の基本方針案が明らかになった。政権の最重要課題である経済再生に向け『日本産業再興プラン』『国際展開戦略』『新ターゲティングポリシー』の3つの分野の成長戦略を6月までに策定する。具体的には中小企業の海外展開を後押しする基金の創設や、税制の優遇措置を実施する特区の創設などを検討する。」(『日本経済新聞』2013.01.06)
●「政府は7日、近くまとめる緊急経済対策に、日本企業の海外展開を支援する官民ファンドの創設を盛り込む方針だ。海外企業のM&A(合併・買収)や海外向け投資などを対象に出資形態で資金を拠出する。円売り・外貨買いを誘発することで円高是正にもつながる可能性もある。制度案では、国際協力銀行(JBIC)がファンドに2000億円を出資したうえで、銀行など民間の投資家の出資も募る。政府はJBICに財政投融資から700億円を出す。中堅・中小企業にも幅広く出資する。」(『日本経済新聞』2013.01.07)
●中小企業の振興などを目的とした自治体が昨年末までに100自治体に達したことが、全商連の調べで分かった。昨年12月20日には、山形県が県レベルで21番目となる条例を県議会で採択。この結果、同条例を制定した自治体は21県16区55市8町のちょうど100自治体となった。(『全国商工新聞』2013.01.07より抜粋。)
●「政府は7日、緊急経済対策の概要を固めた。公共事業の上積みのほかに民間企業の投融資の呼び水となる官民ファンドを相次ぎ創設し、産学協同の先端研究にも思い切って予算配分する。官民一体で日本経済の再生に取り組む方針登別面に打ち出す。今年度補正予算案に対策関連経費として10.3兆円の国費を計上、地方や民間企業の負担を合わせた事業規模は20兆円超に上る見通しだ。」(『日本経済新聞』2013.01.08)
●「インド政府が、日系大手メーカーが進出するインド南部のチェンナイとバンガロールを結ぶ本格的な高速貨物鉄道の建設を計画していることが分かった。コンピューター制御で大量の貨物を高速輸送する約300キロメートルの新線を、2019.年末にも完成させる計画。総事業費は1100億ルビー(約1800億円)程度を見込んでおり、日本政府に対し政府開発援助(ODA)の適用申請を視野に入れている。」(『日本経済新聞』2013.01.10)
●「民主党政権時代に1年間で6割減まで縮小され3年間低水準が続いていた、農林水産省の『農業農村整備事業(土地改良など農業土木事業)』が今年度補正予算案と2013年度予算案を合わせ前年度比で2.5倍と麻生政権時代の5800億円台まで回復することが決定的となった。補正予算だけで前年度当初予算規模を確保する。地方の中小建設業は、農業土木を受注の柱にするケースも多く、この増大が経営環境の好転につながりそう。政府と自民党は、公共事業の急激な増加により来年度内に工事が完成しない場合も想定し、円滑な執行のため、『繰越手続き』の簡素化も検討開始する。」(『建設通信新聞』2013.01.10)
●「11日に政府がまとめる緊急経済対策の柱となる公共事業をめぐり、交付金制度を見直す動きが活発化している。同対策に基づく12年度補正予算案では、老朽インフラ構造物の安全確保に重点が置かれ、自治体の取り組みを支援する交付金制度を創設。さらに、新たに設ける臨時交付金によって自治体の財政負担を8割程度軽減する方針だ。安倍政権が最重要課題に掲げる景気浮揚とデフレ脱却に向けた緊急経済対策は、道路や堤防、鉄道、港湾など既設インフラの調査・点検、補修・改修といった老朽化対策をはじめとする公共事業の追加が柱になる。自治体がこれらの事業に着手しやすくなるよう、政府は15日に閣議決定する補正予算案に臨時交付金の創設を盛り込み、1兆4000億円超を計上する見通しだ。」(『建設工業新聞』2013.01.11)
●「政府・自民党は2013年度税制改正に盛り込む雇用対策の税制の詳細を固めた。給与増を後押しする税制では、従業員の平均給与を増やした企業を対象に、支払給与総額の増加分の最大10%を法人税の納税額から差し引く。雇用を増やす企業には別の減税制度を適用。給与と雇用増をそれぞれ促す2つの減税で、雇用環境の改善を目指す。」(『日本経済新聞』2013.01.13)
●「国土交通省は、2012年度補正予算案に盛り込む復興・防災対策の公共事業予算を円滑に執行し、適正な施工を確保するため、入札契約の面からも手厚く対応する方針だ。全国の防災・減災、老朽化対策を柱とする公共事業は膨大な量が見込まれることから、ダンピング(過度な安値受注)対策を強化して適正価格での受注を促すとともに、前払金制度も積極的に活用していく。東日本大震災の被災地では入札不調への対応のほか、都市再生機構を活用した新CM(コンストラクション・マネジメント)の導入拡大も目指すとの考えを示している。」(『建設通信新聞』2013.01.15)
●「政府は、『日本経済再生に向けた取り組みの第1弾』と位置付ける緊急経済対策を11日に閣議決定した。国の財政支出10.3兆円の約半分に当たる5.2兆円を公共事業に充てる。国の支出に自治体や企業などの負担を合わせた事業費の総額は20.2兆円。大規模な財政出動に規制緩和などを組み合わせ、官民一体で早期のデフレ脱却を目指す。内閣府の試算では、緊急経済対策の実施により実質GDP(国内総生産)が2%程度押し上げられ、60万人程度の雇用が創出される。対策は『復興・防災対策』『成長による富の創出』『暮らしの安心・地域活性化』を重点3分野に掲げた。公共事業費の総額は、2012年度予算の公共事業関係費5.1兆円とほぼ同額となる。復興関連1.6兆円を含む復興・防災事業は、3.8兆円を充てる。事業は被災地の道路や農業施設の整備、トンネルや橋の老朽化対策の公共事業が中心。予算措置のほか、被災地での入札不調への対応といった円滑な施工の確保を盛り込んだ。民間投資を促すなどの成長戦略は3.1兆円。省エネ技術の導入を後押しすることなどに予算を充てる。企業を支援するファンドも創設する。新ビジネスの創出や海外でのM&A(企業の合併・買収)などを後押しするファンドに出資する。暮らしの安心・地域活性化には1.7兆円を計上する。電線の地中化や自衛隊、消防の災害対応などに予算を充てる。公共事業の自治体負担を軽減する交付金は、今回限りの特別措置として1.4兆円を計上した。」(『建設通信新聞』2013.01.15)
●「国土交通省は、地域の建設会社が災害発生時に使う建設機械を購入する際の資金調達を支援する制度を創設する。中小・中堅建設業の経営支援策の一環で、建設会社がブルドーザーなどを購入する際に借入金の金利の一部を補助する。建設会社の建機保有率を高め、災害時の迅速な復旧につなげる狙い。政府が11日に決定した緊急経済対策に明記。12年度補正予算案に10.5億円を計上する。」(『建設工業新聞』2013.01.15)
●「政府は1月11月の閣議で、緊急経済対象を決定した。2012年度補正予算案に盛り込む。具体的施策としては、農林水産省(林野庁)が来年度予算概算要求に盛り込んでいた、地域材を活用した住宅等の購入の際にポイントを付与し、地域の農林水産物と交換できる『木材利用ポイント』制度を前倒しして実施する。そのほか住宅関連では、耐震や省エネ等の改修を中心とした施策を盛り込んだ。…緊急経済対策では、『事前防災・減歳対策』として、住宅・建築物の耐震改修、建て替え等を促進する。さらに、『成長力強化、省エネ・再エネ促進等のための設備投資等の促進』として、住宅・建築物の省エネ改修等の促進策も実施するなど、住宅分野ではリフォーム活性化策を中心に位置付けた。さらに、民間主体のまちづくりの支援として『耐震・環境性能を有する良質な不動産形成のための官民ファンド』も創設する。」(『日本住宅新聞』2013.01.15)

行政・公共事業・民営化

●「公共施設が『大量更新期』を迎えつつある中、神奈川県内の自治体では、公共施設白書作成による将来的な維持・更新費の試算や対応方針の検討が具体化している。景気後退による税収の落ち込みなどの不安材料が見込まれ、膨大な維持管理・更新費の確保は自治体共通の課題だ。白書や対応方針では、施設の複合化や統廃合による全体量の抑制を打ち出している自治体もある。一方、神奈川県は、当面の財源不足への対応としてまとめた緊急財政対策に基づき、廃止を含めた県有施設の見直しを本格化している。高度成長期に大量整備された公共施設は、『ニーズに応じた適正化』という、大きな転換期を迎えている。」(『建設通信新聞』2013.01.08)

労働・福祉

●日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)は6日までに、主要な大企業が抱える内部留保267兆円(全労連・労働総研調べ)を活用すれば、大幅な雇用増、月1万円の賃上げが可能だとする試算を発表した。「2013年国民春闘白書」(学習の友社)に掲載された主要企業・連結内部留保一覧にもとづいて二つのケースで試算した。…雇用増についてみると、内部留保の1%を活用した場合、主要企業132社のうち81社でそれぞれ1000人を超える雇用(年収が300万円、1年間の雇用)が可能だとしている。…賃上げについては非正規雇用労働者数を明らかにしている92社のうち、78社で内部留保の3%未満を取り崩すと、正規雇用・非正規雇用を合わせて月1万円の賃上げが可能になるとしている。(『しんぶん赤旗』2013.01.07より抜粋。)
●「東日本大震災の復興工事で深刻化している建設技能者不足と労務賃金の高騰が全国に波及してきた。物価調査機関の集計では、復興工事が大量に発注され始めた昨年6月以降、建築や土木の一部職種で労賃が急騰。人手不足の被災地に技能者が流れた影響で全国でも人材が不足し、単価がじりじりと上がっている。政府が11日に打ち出す緊急経済対策の柱は公共事業。大量発注される工事をどうこなすかが大きな課題になる。」(『建設工業新聞』2013.01.11)

建設産業・経営

●「東日本大震災からの復旧・復興事業や安倍政権における大型補正予算などで工事量の増加が見込まれる中、2013年の建設業界では、『資材・労務費の値上がり』『法定福利費』 『消費税』を発注者に受け入れてもらう“3つの転嫁”が課題となりそうだ。『仕事をすればするほど赤字になる』という現状を打開するための取り組みが重要となる。特に、民間発注者の理解促進が課題になると見込まれる。」(『建設通信新聞』2013.01.11)
●「日本建設業連合会は、2012年度補正予算と13年度予算についての要望を国土交通省に提出した。大型の補正予算などのほか、直近の市場の実勢が発注価格に反映される措置などスムーズな執行のための措置・体制確保を要望した。野村哲也会長が、9日に太田昭宏国土交通相に直接手渡した。また、9、10日には野田毅税制調査会会長ら自民党幹部、井上義久幹事長ら公明党幹部に税制についての要望を提出した。要望書では、『デフレからの早期脱却を最大の課題』と位置付け、インフラ整備が『短期的な需要喚起、雇用創出だけでなく、長期的観点から有効』とした。具体的な要望では、大型の補正予算と13年度予算の早期成立、切れ目のない執行を求め、特に補正予算への反映を見据え、▽東日本大震災からの復旧・復興関連▽老朽化する既存インフラの維持・管理レベル向上と現代社会のニーズに適合するための本格的な更新▽3連動地震、首都直下地震対策、豪雨対策など明確な優先順位付けによる防災・減災対策▽大都市の建築物耐震化▽国際競争力強化のための社会基盤整備――の5点を提示した。」(『建設通信新聞』2013.01.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「低炭素まちづくり法(都市の低炭素化の促進に関する法律)に基づく“低炭素住宅”の認定制度が12月4日に公布・施行された。省エネルギー基準より一次エネルギー消費量を10%削減し、さらに『その他の低炭素化に資する措置』として設定された8項目のうち2つ以上該当する住宅を認定する。ただし、市街化区域内の計画のみに適用されるため注意が必要だ。」(『日本住宅新聞』2013.01.05)
●「災害時の避難所に指定されている全国の公立学校のうち、非常用電源となる自家発電装置を校内に備えた学校は全体の27.5%にとどまっていることが11日、国立教育政策研究所の2012年度調査で分かった。東日本大震災を受けて11年度の1.6倍に増えたが、ほとんど整備が進んでいない県もあり、地域によって整備率に大きな差が開いている実態が浮き彫りになった。」(『日本経済新聞』2013.01.21)

その他