情勢の特徴 - 2013年3月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国土交通省は26月、2012年度補正予算が成立したことを受けて関係予算の配分方針を決めた。配分対象事業費は3兆1105億円で、内訳は『復興・防災対策』に1兆8538億円、『成長による富の創出』に8963億円、『暮らしの安心・地域活性化』に967億円、国庫債務負担行為(ゼロ国債)に2637億円となった。このうち直轄事業には1兆2531億円、補助事業には1兆8573億円を配分。補助事業の都道府県別の配分額では、大阪府がl137億円で最多、次いで東京都の983億円、北海道の869億円の順となった。」(『建設通信新聞』2013.02.28)
●「2013年度予算案が2月28日、国会に提出されたことで、政府方針の12年度補正予算と13年度予算を一体的に執行する『15カ月予算』で見た土木と建築を合わせた一般会計の公共事業の予算規模は、10兆4359億円になることが分かった。土木分野の『公共事業関係費』は7兆6428億円、建築分野に当たる『その他施設費』は2兆7931億円。ただ、建築分野の予算は、公共事業の自治体負担を肩代わりする『地域の元気臨時交付金』なども含んでいることから、1兆3000億円程度が施設整備費に充てられるとみられる。」(『建設通信新聞』2013.03.01)
●米通商代表部(USTR)は1日、米国の通商政策課題と通商交渉の現状に関する「2013年通商政策課題・12年年次報告書」を議会に提出した。報告書は、環太平洋連携協定(TPP)について、「交渉の年内妥結に向け全力を挙げる」との方針を明記した。日本に対しては、「TPP交渉における米国の利害について関与していく」とした。報告書は日本のTPP参加に関して、「TPPの高い水準を満たす用意があるか」「自動車や保険など要の分野における米国の関心に取り組む用意があるか」を注視し、「TPPにおける米国の利害について協議していく」方向。同時に、2国間協議を通じて、米国の輸出に対する規制や障壁を取り除いていくとし、特に、日本がBSE(牛海綿状脳症)対策による米国産牛肉の輸入規制を緩和したことで「米国産牛肉の輸出増加」を期待すると述べつつ、日本の危険評価手続きを「より改善する」とした。一方、日本との交渉の現状では、11年11月に野田佳彦首相(当時)がTPP交渉参加に向けた協議の開始を表明したことを歓迎。「自由貿易に向けたTPPの高い水準を満たす」こと、「非関税障壁を含め、農業・サービス・工業製品貿易の障壁に関する米国の特別の関心事に取り組む」ことについて、日本の用意を査定する2国間協議を行ってきたと報告した。また、米国産牛肉輸入の規制、米国車販売に対する制約、銀行・保険・宅配業務での日本郵政と民間企業の格差を含む、2国間の長年の懸案の全面解決を求めてきたとした。(『しんぶん赤旗』2013.03.03より抜粋。)
●「東京メトロがベトナムでの事業を本格始動した。日本コンサルタンツ(JIC、東京都千代田区、田中正典社長)と共同で受注した『ベトナム国ハノイ市都市鉄道規制機関強化及び運営組織設立支援プロジェクト』を推進するために1日、ハノイ市内に現地事務所を設置。同日に現地で開かれた開所式で奥義光社長は、今年が日越友好40周年の節目に当たることを踏まえ、『ベトナムの発展と日本との友好関係の形成につながれば』と述べ、国際協力機構(JICA)や国土交通省の指導を受けながらプロジェクトを成功に導いていく決意を示した。受注したプロジェクトは、日本、中国、フランスなどが支援して整備するハノイ市都市鉄道2号線、2A号線、3号線の運営・維持管理組織の設立などを支援する業務。」(『建設工業新聞』2013.03.05)
●「住宅への太陽光発電システムの設置が順調に拡大している。太陽光発電協会が2月26日に発表した昨年10〜12月の太陽電池の国内出荷量は、非住宅用が住宅用をはじめて上回ったが、それでも前年同期比44%増加。昨年1年間でも前年比48%増と、2008年度の国の設置補助金復活に加えて、地方自治体の設置補助金の拡大、さらには余剰電力買取制度のスタートによって、増加傾向が続いている。また、余剰電力の買取価格が2013年度は引き下げられる可能性が出てきたため、今後、駆け込み需要が広がる恐れも出てきた。」(『日本住宅新聞』2013.03.05)
●東京商工リサーチによると、東日本大震災関連倒産の累計は、2月末までに1094件に達した。阪神・淡路大震災関連倒産の約4.3倍のペースで推移している。2月は30件だった。1日に発表した。累計を都道府県別に見ると、最多は東京の315件、次いで北海道73件、宮城61件などとなっている。岩手と福島は各37件、東北6県では176件だった。産業別では、最多が製造業の273件、次いで宿泊業・飲食店を含むサービス業267件、卸売業199件、建設業159件などとなっている。このほか事業停止や法的手続き準備中の「破綻」が累計33件あり、あわせて倒産・破綻は1127件に上った。(『しんぶん赤旗』2013.03.05より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「20年夏季五輪の招致を目指す東京都が、臨海部で計画している複数の大規模屋内競技場の新築設計で、世界中の建築家からデザイン案を募る国際コンペを実施することが4日分かった。9月に開かれる国際オリンピック要員会(IOC)の総会で開催都市に選ばれれば、13年度中にもコンペを行う見通し。都はコンペの対象となる施設の要件などを検討してもらう支援業務の委託先選定手続きを同日開始した。」(『建設工業新聞』2013.03.05)
●「政府は5日、有識者でつくる『ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会』(座長・藤井聡内閣官房参与、京大大学院教授)の初会合を内閣府で開き、災害に強い国土を形成する『国土強執(きょうじん)化』の政策を立案する作業に入った。インフラや交通・物流、エネルギーなどの分野ごとに強執化計画を作成し、各計画に盛り込まれた施策に国、地方、民間が連携して取り組む。」(『建設工業新聞』2013.03.06)
●「経済産業省は7日、国などの機関が公共調達基準でISO22301(事業継続マネジメントシステム、BCMS)やISO50001(エネルギーマネジメントシステム、EnMS)などのマネジメントシステム(MS)を評価することによって企業の自主的取り組みを支援すべきとする中間報告骨子案をまとめた。MSの活用を組織力や経営力の改善・強化、日本企業の事業の国際競争力強化に役立てる方策の一つとして打ち出した。公共調達では、▽環境配慮や省エネルギー対策、社会セキュリティー確保、地域社会の空洞化防止などに有効なMSを効果的に活用▽BCMSなど新たなMSの活用による企業や地域などの競争力強化▽企業の経営層がMSに対して一層活発に取り組むようになる相乗効果――などの観点で、MSを積極的に活用することが重要としている。骨子案では、公共調達のMS活用実績として、国土交通省の公共工事関連や環境配慮契約法関連、資源エネルギー庁の委託事業関連などを挙げている。」(『建設通信新聞』2013.03.08)
●「復興庁は7日、東日本大震災の被災3県の住宅再建や復興まちづくりの加速化に向けた施策パッケージをまとめた。被災自治体ごとに災害公営住宅や面整備事業の整備目標を明示した工程表とともに、その実現のための方策を示し、面整備で活用しているCM(コンストラクション・マネジメント)方式を住宅再建にも導入することなどを打ち出している。工程表で示した2015年度までの災害公営住宅の整備戸数は、合計で約1万9200戸を見込んでおり、面整備から住宅建設へ円滑に移行する体制を確保する。」(『建設通信新聞』2013.03.08)
●「埼玉県内40市の13年度当初予算案が出そろった。普通建設事業費に盛り込まれた事業を見ると、本庁舎の耐震化関連事業が目立つ。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の開通を見据え、企業誘致の受け皿となる産業基盤整備関連予算も複数の市で計上された。公共施設のマネジメント計画策定予算を計上した市も増えてきた。」(『建設工業新聞』2013.03.08)
●「2012年度の大型補正予算に伴う発注が3月末にかけて各地方自治体で本格化する中、早期発注と入札参加者確保に向けた動きが出始めた。静岡県は、早期発注が求められているため、手続き期間が短い指名競争入札を発注機関(事務所)の判断で柔軟に採用できるとの考え方を示して発注を始めた。このほか、入札手続期間短縮や技術者の兼任要件緩和などを打ち出す自治体も出ている。経済効果の早期発現のため自治体に早期発注が求められ、建設会社側が参加する工事の選別を進めている中で、適切な入札参加者の確保と不良不適格業者排除の考えがあるとみられる。」(『建設通信新聞』2013.03.13)
●「文部科学省は、自治体が設置した社会体育施設(地域スポーツ施設)を対象とした耐震化事業の補助制度を創設した。また、既存学校施設の改修によって学校統合を行う場合の補助制度も拡充した。ともに2012年度補正予算で認められた。補正予算が成立したことで今後、事業が動き出す。」(『建設通信新聞』2013.03.13)
●「橋梁の保全業務に携わる土木技術職員を抱えていない町村が増えていることが国土交通省の調べで分かった。国交省が全国の市区町村の一部を対象に、橋梁保全業務を担う技術系職員の保有状況を調査した結果、12年7月時点で『職員ゼロ』と回答したのは、町で約5割(367団体中169団体)、村で約7割(90団体中63団体)に達し、5年前の07年9月時点の調査に比べその割合は大幅に増えていた。市区に比べ財政状況がより厳しい町村での老朽化対応の職員不足が懸念された。」(『建設工業新聞』2013.03.15)
●「国土交通省は、ゼネコンやコンサルタントなど業界関係者と設けた『わが国建儲企業の海外PPP事業への参画のための戦略検討会議』の成果をまとめた。各国のPPP事業に対する取り組み姿勢などを類型化し今後の戦略の方向性を提示。日本企業の優れた設計・施工技術をさらに磨きつつ、プロジェクトマネジメント(PM)やファイナンスの能力を高め、請負モデルから事業一括受注モデルへの転換を図ることが必要だと指摘している。」(『建設工業新聞』2013.03.15)

労働・福祉

●「厚生労働省は、2013年度に『建設労働者確保育成助成金』を創設する。建設産業界が重要課題に位置付けている若年労働者の確保・育成と技能承継に対する取り組みに対し、重点的に助成するメニューをそろえる。中小建設事業主団体が実施する社会保険制度への加入促進に必要な講習会などを、『若年者に魅力ある職場づくり支援事業』の具体的事業例として明記。団体への助成上限額を現行助成金より引き上げ、団体の積極的な社会保険加入促進に向けた取り組みを支援する。建設労働者確保育成助成金は、12年度で廃止する『建設教育訓練助成金』と『建設雇用改善推進助成金』に替わる制度。『若年者に魅力ある職場づくり支援事業』『雇用管理制度導入』など7コースを設定する。現行助成金と同様、個別企業と中小団体向けのコースで構成し、個別企業や団体が取り組む若年者に魅力ある職場づくりや技能向上への支援に特化した。」(『建設通信新聞』2013.03.13)

建設産業・経営

●「中小企業の受注拡大に追い風が吹いている。地域経済活性化も政策の柱の1つに据える安倍政権と与党が、中小企業・小規模事業者向け対策を重視していることが理由。緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算が26日成立したことを受け、中小企業庁は同日付で各府省、都道府県、政令市、248特定市など355機関に対し、『補正予算執行に当たって、中小企業の受注機会増大に努めることを求める』要請文を通知した。補正予算では当初予算に匹敵する公共事業関係費が計上されており、今回の中企庁通知で、大規模工事でも地元企業活用を促す動きが加速しそうだ。」(『建設通信新聞』2013.02.28)
●「東日本大震災の復旧・復興工事や2012年度補正予算の執行を踏まえ、適正価格による受注のあり方を検討している国土交通省は、元請けに対しても下請けへの支払いをいままで以上に適正に実行するよう求めていく見通しだ。同省は適正価格の受注実現の一つとして、労務単価を上昇局面にもっていく手だてを検討している一方、元請け側にも過去のしわ寄せが労務単価に影響して雇用減少につながったとの反省があるという事実をもとに、発注者、元請け双方が一体となった対応に理解を求めていく。」(『建設通信新聞』2013.03.06)
●「国土交通省は、専門工事業者を評価する新たな制度構築に向けた基本的考え方をまとめ、6日に省内で開いた『専門工事業等評価制度ワーキングチーム(WT)』の第3回会合で提示した。評価対象は当面、元請企業が選定に直接責任を有する1次下請企業とし、評価項目は工事品質に影響を及ぼす技能労働者の確保という観点から登録基幹技能者、若年労働者の雇用や活用状況などに絞り、社会保険加入の有無は盛り込まないとした。」(『建設工業新聞』2013.03.07)
●「積水ハウスが7日発表した2013年1月期の連結決算は、純利益が前の期比60%増の464億円だった。相続税対策の増加などで都市部を中心に賃貸住宅の建設が伸びた。主力の戸建て住宅事業では、太陽電池や燃料電池などを備えた環境配慮型住宅の販売が好調で、収益を押し上げた。年間配当は28円と前の期から8円増やした。」(『日本経済新聞』2013.03.08)
●「建設経済研究所は7日、主要建設会社の12年第3四半期決算の分析結果を発表した。大手から中堅までのゼネコン38社が対象で、単体受注高は、東日本大震災の復旧・復興工事などにより前年同期比1.7%増の6兆0085億円となった。階層別でみると、大手が2.5%減、準大手が3.0%減となった一方で、中堅は16.2%増と大幅な増加となっている。08年度以降で、中堅が増加となったのは初めて。売上総利益は380億円減少し、6.7%減となった。利益率低下の要因として労務のひっ迫を挙げる企業が多く、労務費高騰や工事の遅延による利益減少が懸念されるとしている。」(『建設工業新聞』2013.03.08)
●「セメントメーカー各社が、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方太平洋岸のセメント受け入れ基地(サービスステーション=SS)を増強する。宇部三菱セメントは、物流合理化の一環で08年9月から休止していた宮城県塩釜市の塩釜SSの操業を1日に再開させた。住友大阪セメントは仙台港SSでセメント系固化剤の出荷設備を整備中で、今夏には稼働させる予定だ。」(『建設工業新聞』2013.03.14)

まちづくり・住宅・不動産・環境

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