情勢の特徴 - 2013年6月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、専門工事業の社会保険加入を促進するために検討している優良事業者認証制度の要綱案をまとめた。認証する基準には、企業が雇用している労働者の社会保険加入状況や、協力会社への働き掛けなどを設定。直接雇用の労働者が全員社会保険に加入している上で、協力会社への加入指導や法定福利費が内訳明示された標準見積書の尊重姿勢などにより優良事業者のランクを分けることとした。今後、この基準で運用できるか複数の専門工事業団体に実証してもらい、その意見を踏まえて2014年度から活用したい考えだ。」(『建設通信新聞』2013.06.03)
●「安倍晋三首相は5日昼、都内で講演し、成長戦略の第3弾を明らかにした。電力、医療、インフラ整備など公的ビジネスの分野で規制改革や特区創設を進め、民間活力を引き出すのが柱。電力小売りの完全自由化を進めるほか、空港、道路整備でPFI(民間資金を活用した社会資本整備)を広げることなどを打ち出した。成長戦略により1人あたりの国民総所得を今後10年で150万円以上増やすとしている。首相は『規制改革が成長戦略の一丁目一番地だ』として、電力、医療、インフラ整備など『いわば官業ともいえる世界を大胆に開放していく』と表明。公的ビジネスで民間の活力を引き出す考えを示し『民間の活力こそが(安倍政権の経済政策)アベノミクスのエンジンだ』と強調した。…インフラ整備では、老朽化する首都高速道路に空中利用権を設けて民間マネーを呼び込むことを掲げた。国家戦略特区では都心の住居を増やすため容積率の規制を緩和。…首相は成長戦略や金融緩和によって企業収益の増加が賃金や所得を通じて消費を押し上げる『成長の好循環』が生まれると指摘。重視する指標として国内総生産(GDP)に日本の企業や個人が海外に投資して得た利子・配当収入などを加えた1人当たりの国民総所得を挙げ『年3%を上回る伸びとなる。10年後には150万円以上増やすことができる』と述べた。」(『日本経済新聞』2013.06.05)
●「内閣府は4日、コンセッション(公共施設等の運営権付与)方式など新たなPFI事業拡大支援のための『PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン案』を自民党PFI調査会に提示した。行動計画は2013年から10年間で、▽コンセッション活用事業▽収益施設の併設・活用など事業収入で費用を回収する事業▽公的不動産の有効活用など民間提案を活かした事業▽その他の事業累計――の新たな形態のPFI事業拡大支援が目的。」(『建設通信新聞』2013.06.05)
●「国土交通省の『住宅のゼロ・エネルギー化推進事業』と経済産業省の『住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業費補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)』の本年度の公募がスタートした。両事業とも、基本的には昨年度と実施内容は同じだが、細かな変更点があり、応募の際には注意が必要だ。」(『日本住宅新聞』2013.06.05)
●「国土交通省の中古住宅の流通促進・活用に関する研究会はこのほど、報告書の骨子案をまとめた。平成32年に中古住宅流通のシェアを25%とすることを目標に、平成25年度および今後の取り組みについて、『中古住宅の適切な評価』『中古住宅の質に対する不安』『流通の担い手強化』『住宅ストックの活用』の4つの課題ごとに、方策の方向性を提示した。今後、6月下旬をめどに報告書をとりまとめる予定。」(『日本住宅新聞』2013.06.05)
●「国土交通省は5月27日、平成25年度の地域型住宅ブランド化事業のグループ募集を開始した。昨年度同様、採択されたグループ所属の工務店により供給される、地域材を使用した長期優良住宅の建設に対して補助金が支給されるが、補助額等には変更がある。」(『日本住宅新聞』2013.06.05)
●「7月に原子力発電所の新しい規制基準が施行されるのに合わせ、電力各社が原発の再稼働を原子力規制委員会に相次いで申請する見通しだ。西日本を中心に計10基を超える可能性もある。ただ、規制委は当初審査できる原発を3つが限度としてきた。早期の再稼働ができないと値上げや経営合理化の検討を迫られる電力会社からは審査体制への不満も出てきた。」(『日本経済新聞』2013.06.06)
●「茂木敏充経済産業相は、従業員20人以下などの小規模企業の底上げ・活性化に向け、今秋にも『小規模企業基本法』(仮称)を制定する方針を明らかにした。中小企業のうち小規模企業の振興に特化した新法を整備する考えだ。…日本企業の99%に当たる約420万社が中小企業で、中小企業のうちの約360万社が小規模企業。建設産業の場合、地域の建設企業や専門工事企業など従業員20人以下の建設業と、測量、地質調査、土木と建築(設計事務所)関係建設コンサルタントのサービス業で同5人以下が小規模企業に該当する。 中小企業施策は、これまで中小企業の中でも比較的規模の大きい企業向けのものが多かった。法整備の第1弾を始め、“ちいさな企業”成長本部の行動計画など、施策は小規模企業向けにシフトしている。」(『建設通信新聞』2013.06.06)
●「国土交通省は、ベトナムから受け入れる技能実習生に日本の施工技術を習得してもらう取り組みを効率化するため、日本への入国前研修と入国後の現場研修ができないか検討に入る。入国前に基礎的な技能と日本語の習得を進め、日本では技能実習に多くの時間を充てることが狙い。入国後の研修については、現在は活用できない実際の現場での実習ができるための仕組みづくりを検討委員会を立ち上げて模索する。ベトナム人実習生の人材育成では、将来的に職長クラスの人材とすることも求められており、日本での技能実習に充てる時間を増やしてリーダークラスの育成を目指す。」(『建設通信新聞』2013.06.06)
●「国土交通省は、地方自治体が所有する公共不動産を活用したまちづくりを検討するため、『都市のリノベーションのための公的不動産活用検討委員会』を立ち上げた。学識経験者や自治体職員、ディベロッパーなどを交え、公共用地の活用による機能の集約化や中心市街地活性化、所有する公的不動産に関する情報の一元化手法などを議論する。」(『建設通信新聞』2013.06.06)
●「国土交通省は、12年度補正予算の執行に伴う建設会社の技術者不足への対応策として2月に打ち出した技術者配置要件の緩和措置について、地方自治体(都道府県・政令指定都市)での適用状況をまとめた。近接した2カ所程度の現場を1人の主任技術者が兼務できる措置については、4月末時点で68.6%に上る46団体が適用済みと回答。『現場代理人の常駐義務の緩和』と『主任技術者または監理技術者の専任を要しない期間の明確化』も適用団体が増えていることが分かった。」(『建設工業新聞』2013.06.06)
●「政府はPPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプランをまとめた。ことしから10年間で12兆円規模に及ぶ事業を推進するとし、その内訳として、コンセッション(運営権付与)の活用に2−3兆円、公共施設の維持・更新を事業収入などで進める事業に3I4兆円などを目標に掲げた。事業に対する民間の自由度を高め収益性を上げることで、インフラ更新や公的資産活用への財政負担も抑えることを目指し、ガイドラインの整備や法改正などにも取り組む。」(『建設通信新聞』2013.06.10)
●「国土交通省は、インフラなどを対象にしたアセットマネジメントの国際規格『ISO055000』が年内にも発行されるのを見据えた対応策に着手した。下水道分野で取り組みを先行させ、有識者や自治体、企業などで構成する検討組織を今夏に設置。企業や自治体に対し模擬認証(試行認証)を行い、必要な対応策を整理した上で認証取得に関するガイドラインを本年度内にまとめる。国内で認証を取得しやすい環境を整備することで、下水道分野の海外展開を進める企業を後押しする。」(『建設工業新聞』2013.06.11)
●「地方自治体の間で、低入札価格調査の基準価格や最低制限価格を引き上げる動きが目立っている。中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)が基準価格の算定式モデルを見直したのをきっかけにした動きで、併せて最低制限価格の設定範囲の上限を撤廃する自治体も出てきた。…業界からは『地域建設業の存続に不可欠な適正価格での受注につながる対策であり、歓迎している』(全国建設業協会)との声が上がる。地域の安全・安心や雇用を支える建設業の役割が再認識され始めた中、地域建設業を維持するための一歩踏み込んだダンピング対策として期待が高まりそうだ。」(『建設工業新聞』2013.06.11)
●「原子力規制委員会は12日、原子力発電所の運転期間を原則40年とし、条件付きで最大20年の延長を認める制度を正式に了承した。運転延長の審査を受ける際に、通常の定期検査よりも厳しい『特別点検』の実施を電力会社に求める。」(『日本経済新聞』2013.06.13)
●「与党が検討してきた首都直下地震対策特別措置法案の内容が13日、明らかになった。首都直下地震が発生した場合に維持する首都中枢機能などを『緊急対策推進基本計画』で定め、具体的な内容を盛り込んだ実施計画に基づいて基盤整備などを行う際、特別な措置を講じる。関係都県で別途作る実施計画では、▽石油コンビナートなどの改築・補強▽木造密集地域対策▽帰宅困難者対策▽ライフライン確保―などを明記。建築基準法の用途制限緩和などでこれらの事業を後押しする。」(『建設工業新聞』2013.06.14)

労働・福祉

●「国土交通省は、専門工事業者等評価制度や登録基幹技能者の普及策、技能労働者の教育訓練のあり方について、具体的な方針を定めるための検討を本格化する。1万社以上の専門工事会社にアンケートし、ニーズや現状を把握した上で、求められる制度や施策、具体的な評価手法などを探る。検討内容は、2012年度から進めている『担い手確保・育成検討会』での議論や検討方針に反映させる。現時点で検討会の開催時期は未定だが、検討会の下に設置するワーキングチームなどでも意見交換し、方策の具体化につなげていく見通し。」(『建設通信新聞』2013.06.05)
●「厚生労働省がまとめた2013年1−4月の労働災害発生状況(速報、4月末時点)によると、建設業の死亡者数は、前年同期と比べ27.1%減(26人減)の70人となった。また、休業4日以上の建設業死傷者数は、4月末時点で3885人と、前年同期比で180人減(4.4%減)だった。」(『建設通信新聞』2013.06.11)

建設産業・経営

●「専門工事業が加盟する職種別全国団体の総会が、活気に満ちている。公共工事設計労務単価引き上げを背景に、これまで専門工事業界が主張してきた法定福利費の別枠計上・確保が、『標準見積書活用』の具体化にまって実現間近になっていることが理由だ。ただ建設市場の3分の2を占める民間工事で、専門工事業界が求める対応が実現する見込みは立っていない。悲願実現に向けスタートラインに立ったことへの高揚感と、予想される厳しい交渉を控えた緊張感の交錯が総会の活気につながっている。」(『建設通信新聞』2013.06.03)
●「建設産業専門団体連合会が会員企業などの社会保険加入状況の実態調査結果をまとめた。最も負担の重い厚生年金への加入率は、傘下団体の会員企業の社員は93.5%と高かったが、季節工や一人親方などの『社員以外』は23.3%、下請企業でも社員の加入率は74.0%に達したのに対し、社員以外は2.8%にとどまった。調査結果から、少なくとも半数の技能労働者は未加入の可能性があるとみている。」(『建設工業新聞』2013.06.04)
●「全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)は、各都道府県協会を通じて実施した地方自治体の入札契約制度に関する調査結果をまとめた。12年度補正予算の執行に伴う対応で指名競争入札を導入する自治体が増加。補正予算の全工事に樺名競争を適用する自治体もあるなど『指名競争回帰』ともいえる動きが起きていることが分かった。ダンピング対策として、低入札価格調査の基準価格や最低制限価格を引き上げる動きが活発化していることも明らかになった。調査したのは、12年度補正予算執行に伴う対応(5月10日時点)と、低入札価格調査基準価格・最低制限価格の状況。」(『建設工業新聞』2013.06.06)
●「建設業振興基金は、富士教育訓練センターを建設産業の人材育成の中核拠点と位置付けて機能を拡充する提言の中間報告をまとめた。業界と教育機関の連携を強化するほか、体系的教育訓練を通じて技能者・技術者のキャリア形成に役立ててもらえるようにする。機能拡充のため、築50年超で老朽化が進む施設の建て替えも視野に入れてセンターのあり方をさらに検討。秋に最終提言をまとめる。」(『建設工業新聞』2013.06.07)
●「建設産業専門団体連合会は11日、若者が希望を持って専門工事業に入職できる環境整備と健全な建設産業を目指した取り組みについて、経済団体や民間発注者で構成する主要団体に理解を求める文書を出した。今月4日の総会で技能労働者の賃金確保を決議したのを踏まえたもので、建専連が民間団体に要請文を出したのは初めて。安値受注で企業経営が圧迫され、人材確保・育成の余裕もなくなっている窮状を訴え、適正価格で工事が受発注される環境づくりを求めた。」(『建設工業新聞』2013.06.12)
●「三井住友建設は、海外事業への対応を強化する。インドネシア初の地下鉄工事を請け負うなど受注が好調に推移する中、大型案件の入札手続きも進行しており、順調にいけば、13年度は海外工事の受注目標642億円を上回る見通し。受注工事を適切に売り上げに計上するため、現地スタッフの登用・育成を進めると同時に、得意市場としてきた従来の8カ国に加え、ミャンマー、マレーシア、カンボジアといった市場への対応も強化する。」(『建設工業新聞』2013.06.13)
●「大林組は、大規模な再生可能エネルギー事業の資金調達にプロジェクトファイナンスを導入していく。その初弾として、100%子会社の大林クリーンエナジー(本社・束京都港区、入矢桂史郎社長)が、特別目的会社(SPC)『OCE芦北メガソーラー』を通じて、三菱東京UFJ銀行など金融機関とプロジェクトファイナンス契約を結んだ。熊本県芦北町に建設する芦北町メガソラー発電所(仮称)に必要な初期事業費の大半を占める約63億円を調達する。」(『建設通信新聞』2013.06.14)

まちづくり・住宅・不動産・環境

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