情勢の特徴 - 2013年9月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「財務省が2日発表した2013年4〜6月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は8兆3106億円と前年同期比0.016%増えた。微増ながら3期ぶりにプラスに転じた。前期比の増加基調も続いた。この結果を反映すると、9日発表の4〜6月期の国内総生産(GDP)の改定値は速報値より上方修正される可能性が大きい。法人企業統計の『設備投資』はGDPを決める要素の一つ。消費税を巡る集中検討会合の終了後、最初の統計でもあり、注目度が高かった。内閣府は8月上旬に出した4〜6月のGDP速報時点で生産統計から設備投資を推計しているが、今回の統計を加味すると改定値は強めになるもよう。前年同期比で見た設備投資は、製造業では情報通信機械や食料品などで投資を手控える動きが根強かったが、建設や小売業などの非製造業の新規投資が伸び、全体を押し上げた。」(『日本経済新聞』2013.09.02)
●「東京電力福島第1原子力発電所から高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れている問題で、政府は3日、約470億円の国費を投じ政府主導で解決する方針を決めた。国の全額負担で原子炉建屋への地下水の流入を遮断する凍土壁を設置するほか、汚染水を浄化する装置も増設する。東京電力主体の従来の対策よりも前倒しで事態を解決できるようにする。…対策費は凍土壁の建設費で320億円、浄化装置の開発費で150億円と見積もった。対策費のうち約210億円は2013年度予算の予備費でまかない、年度内に対策に取りかかる。」(『日本経済新聞』2013.09.03)
●「総務省は、地方自治体による起債発行額の見通しを示す2014年度の地方債計画案をまとめた。計画額の規模は、前年度比0.2%増の13兆、3923億円とした。一般会計債のうち公共事業の計画額は、前年度と同額の1兆6895億円となった。計画額のうち、特例的な赤字地方債である臨時財政対策債は、5.2%増の6兆5345億円。また、一般会計債は4.6%減の4兆4580億円、公営企業債が0.3%減の2兆3098億円となっている。」(『建設通信新聞』2013.09.03)
●「政府は、日本再興戦略の加速、強化に向け産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を2日に再開させた。6月に戦略を策定して以来、2カ月半ぶりとなる。安倍政権の経済政策『アベノミクス』の『第3の矢』である日本再興戦略の実行を通じ、景気回復を確実にしたい考えだ。…今後の会議の進め方では、『雇用・人材』『農業』『医療・介護』の3テーマに絞り込んで分科会を設置し、踏み込み不足と指摘されている課題に取り組む。ほかのテーマはフォローアップ分科会で進捗状況をチェックする。各分科会も年末をめどに中間整理をまとめる。雇用・人材は、成熟産業から成長産業への労働者の移動をスムーズに進めるため、雇用ルールの弾力化や人材教育の強化が課題となる。農業は、環太平洋連携協定(TPP)交渉を踏まえ、国家戦略特区を活用した輸出拠点創設のほか、株式会社の農業参入の規制緩和を進める見通し。」(『建設通信新聞』2013.09.04)
●「国土交通省は4日、『下水道施設の運営におけるPPP/PFIの活用に関する検討会』 (座長・滝沢智東大大学院教授)の第6回会合を開いた。水処理場の上部空間に商業・業務ビルなどを建設する『収益施設併設型PPP事業』の推進方策として、多様な業種の民間企業を加えた協議会を設置し、案件形成していくイメージを提示した。また、もう一つの柱となる『コンセッション方式』では、長期にわたる運営期間中に必要になった改築工事は、運営権者と特命随意契約することが妥当との考えを示した。」(『建設通信新聞』2013.09.05)
●「国土交通省の2014年度予算概算要求がまとまり、公共事業関係費は前年度予算から17%増の5兆1986億円(国費ベース)となった。各省が要求できる特別枠を最大限に活用し、防災・減災への対応や社会資本の老朽化対策など必要な事業を実施するための予算確保を目指す。…公共事業関係費を含む裁量的経費が10%削減されたものの、この特別枠での要求が裁量的経費の1.3倍まで要求できるため、前年度予算から最大で1.17倍まで要求できる仕組みとなっている。国交省も公共事業関係費に対してこの枠を最大限活用した。特別枠の獲得は他省庁との奪い合いになるものの、10年度の予算概算要求で公共事業関係費が5兆円を割り込んで以来の5兆円台で、このところ続いていた公共事業関係費の削減に歯止めをかけた。」(『建設通信新聞』2013.09.09)
●「2020年の夏季五輪の東京開催の決定を受け首都圏の交通インフラの整備が動き出す。羽田と成田の両空港で発着できる便数を増やすため、航空機の東京都内の上空飛行を解禁したり、滑走路を増設したりする案が浮上。政府は高速道路の整備や更新も急ぐ。訪日外国人の急増や経済活動の盛り上がりを見据え、東京の国際都市としての地位向上にもつなげる考えだ。…羽田と成田の『首都圏空港』の年間発着枠は現状で計68万回。14年度中に約75万回に増やすことが決まっているが、中長期的に足りない見通しだ。国交省は枠の拡大に向け、10月にも有識者で構成する検討会をつくる方針だ。需要予測を複数示し、具体策を検討する。羽田空港では需要の減った国内線の発着枠の一部を国際線用に振り替えたり、5本目の滑走路や新たなターミナルビルをつくったりする案が出ている。飛行ルートの見直しも検討課題になる。東京上空の飛行を解禁する案も議論する可能性がある。」(『日本経済新聞』2013.09.10)
●「2013年度の日本経済は高成長になりそうだ。内閣府が9日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値は速報値から大きく上振れした。民間調査機関12社による最新の予測を平均すると、13年度の実質経済成長率は2.8%に達する。自律的な景気回復の動きは政府による消費増税の判断を後押しする。増税後の景気を下支えするには、即効性がある経済対策も必要になる。」(『日本経済新聞』2013.09.10)
●「2020東京五輪が東京、日本にもたらすものは、オリンピック関連の直接投資とその経済波及効果だけにとどまらない。最大の効果は、安倍政権が打ち出す3本の矢、いわゆるアベノミクスの最終目標である『デフレ脱却』『日本経済再生』へ向け実需要だけでなく、56年ぶりに日本で夏季オリンピック・パラリンピックが開かれることで国民や企業に高揚感がもたらされるという心理的側面での好影響だ。日本経済はバブル崩壊後、デフレと円安・株安・債券安というトリプル安の中、経済全体の縮小が税収減と財政赤字を拡大させ、日本全体が縮小する負の連鎖に陥っていた。この縮小による負の連鎖が公共事業不要論・悪玉論に転換され、建設産業界もダンビング(過度な安値受注)と労務単価の長期下落を招き、企業・産業界の疲弊につながった。今回、東京開催が決定したことで、建設産業界には2つの好影響を与えることは確実だ。1つは施設整備にとどまらず、『24時間』『安全・安心』『効率』『環境』などをキーワードにした、鉄道、道路など交通網を始めとするインフラへの投資加速といった潜在的投資需要の顕在化がある。…2点目は、少なくとも顕在化する潜在需要を含め、7年間の市場が見通せることだ。…ただ半面で、事業増加と五輪開催という期限制約によって、いまも問題視されている、資材・技能労働者不足がさらに鮮明になる可能性は高い。」(『建設通信新聞』2013.09.10)
●「帝国データバンクは9日、全国企業の倒産統計を公表した。倒産は789件と5年11ヵ月ぶりに800件割れとなり、倒産件数抑止傾向が続いている。建設業が前年同月比33.7%の大幅減少となったことが全体の倒産件数押し下げに寄与した。建設業の倒産減少について帝国データバンクは、『消費税増税を見据えた駆け込み需要や公共工事の増加で内装工事や木造工事、土木工事が大幅に減少した』と分析している。」(『建設通信新聞』2013.09.10)
●「2020年夏季五輪の東京開催が決まり、五輪関連施設の整備事業が本格的に動きだす。今年3月に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会と東京都が公表した立候補ファイルによると、競技会場や選手村などの施設建設に総額4554億円を投じる計画。37の競技会場のうち、既存施設は15、新設は22。1000億円超の建設費が見込まれるメーンスタジアムの国立競技場や、民間主導で開発する選手村など恒久施設の改築・新設は11プロジェクトとなる。」(『建設工業新聞』2013.09.10)
●内閣府が9日発表した2013年4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値は、実質で0.9%増(年率換算3.8%)となった。安倍晋三政権は来年4月からの消費税率の引き上げに「好材料」と受けとっているが、国民生活の実態と日本経済の現状は消費税増税に耐えられるとは到底いえない。改定値では、速報値に比べ、家計最終消費支出(個人消費)が0.1ポイント下方修正のプラス0.7%にとどまった。個人消費が低迷するのは、労働者の所得が伸びていないからだ。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、労働者の年間平均賃金は1997年の446万円をピークに減少し、12年には377万円とわずか15年で約70万円も下落した。足元でも、基本給にあたる所定内給与は前年同月比で14カ月連続の減少。この状況で消責税を増税するなら、駆け込み需要に伴う反動減に加え、増税による所得減のために、大幅に個人消費が冷え込む。GDPの6割近くを占める個人消費が低迷すれば、国民の生活のみならず日本経済も奈落の底に落ちることになる。(『しんぶん赤旗』2013.09.10より抜粋。)
●財務省が9日発表した7月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支は5773億円の黒字だった。6カ月連続で黒字を確保したものの、前年同月比では12.9%減少し、2カ月連続で前年実績を下回った。猛暑に伴う電力需要増大の影響もあって火力発電用の液化天然ガス(LNG)の輸入が増加し、貿易赤字が拡大したことが響いた。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9433億円の赤字。赤字額は前年同月の2.5倍に膨らみ、7月としては1985年以降で最大。原油やLNGの調達増に、円安による輸入品価格上昇も重なり、輸入が21.0%の大幅増加。輸出は自動車や、プラスチックなどの原料となる有機化合物が伸びて11.5%増加した。海外の子会社や証券投資からの配当・利子収入などから成る所得収支は1兆7938億円の黒字だった。黒字額は24.2%増と8カ月連続で前年実績を上回り、7月としては過去最大。円安によって海外収益の円換算額が押し上げられた。(『しんぶん赤旗』2013.09.10より抜粋。)
●「安倍晋三首相は10日の閣僚懇談会で、10月1日に最終判断する消費増税に向け、9月末に成長戦略第2弾などを含めた経済対策をとりまとめるよう関係閣僚に指示した。来年4月に消費税率を8%に引き上げる場合を想定し、税制改正案や補正予算案の編成などで対応する方針。高速道路料金の割引延長や産業を育てた自治体への地方交付税優遇を盛り込む見通しだ。内閣府が9日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値は実質で前期比3.8%増(年率換算)となった。首相は景気回復を踏まえ、消費税を予定通り8%に引き上げるため必要となる経済対策のとりまとめに向けた調整を本格化させた。首相は消費増税について『経済への影響もあるため十分な対応策が必要になる。税率の引き上げで景気を腰折れされるようなことがあってはいけない』と説明し、対策の必要性を強調した。」(『日本経済新聞』2013.09.11)
●「内閣官房は10日、『ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会』(座長・藤井聡内閣官房参与)の第8回会合を開き、5月に政府が決めた対応方針『当面の対応』を実施する上での中長期的な施策を示した『施策分野別の対応方針』をまとめた。当面の対応で決定した12の施策分野ごとの方針を明記し、密集市街地の大規模火災対策や交通インフラの代替性強化などを掲げた。今後は、対応方針を反映した『国土強執化政策大綱』を今秋に策定する。」(『建設通信新聞』2013.09.11)
●「国土交通省は、地方・中小建設企業の海外展開支援を強化する。事業展開などに関する相談窓口を設けて専門家からアドバイスを受ける『海外展開支援アドバイザリー事業』では、商社やゼネコンのOBを拡充し、中東や南米への情報も追加。昨年から始めた『海外展開経営塾』は、前回開催した東京・大阪以外の都市での開催も検討する。業界団体などから要望を受け付け、10月以降に全体で5、6回の開催を目指す。また、専門のホームページ立ち上げやメールマガジンの情報発信力強化にも注力する。2010年度から始めた海外展開支援アドバイザリー事業では、弁護士や中小企業診断士などを中心とした海外プロジェクトに関する専門家から、事業展開に関するアドバイスを実施してきた。海外展開への意欲がありながら、現地の情報や展開するノウハウの不足で二の足を踏む企業から、海外での現地法人の設立や現地の契約制度、個別プロジェクトの展開方法などについての相談を受けている。」(『建設通信新聞』2013.09.12)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は橋梁やトンネル、港湾、河川施設などあらゆるインフラ構造物の各種データを一元的に把握できる『社会資本情報プラットフォーム』の構築に乗り出す。築年数や構造といった基本情報を始め、点検履歴や利用状況、修繕コストなどを迅速に収集・比較できる機能を持たせ、最適な長寿命化計画や地域防災計画の立案に生かせるようにする。…インフラ情報は国交省でも各局ごとに管理しており、全体として共有されていないのが現状。港湾や道路などのようにデータベース(DB)化が進んでいる分野もあるが、台帳レベルで情報管理しているところもある。今後、橋梁やトンネル、港湾、空港、ダム、堤防、下水道、公共建築物、公園など分野ごとの情報がDB化されていくことになるが、社会資本情報プラットフォームでは、フォーマットの違いなどがある各DBの情報を統一的に表示や検索ができるようにする。」(『建設通信新聞』2013.09.09)
●環境省は10日、東京電力福島第1原発事故に伴い住民が避難している福島県の11市町村のうち、7市町村で国直轄の除染事業を延長すると発表した。従来の計画で完了目標としていた今年度末に作業が終わらないためで、見直し後の計画では完了時期の明示は先送りした。同省は年内をめどに各市町村と協議して時期を決めたい方針。7市町村は、南相馬市と川俣、浪江、富岡、双葉4町、飯舘、葛尾2村。いずれの自治体も汚染土の仮置き場の確保や、全国に避難している住民から作業着手の同意を得るのに時間がかかり、予定が大幅に遅れていた。(『しんぶん赤旗』2013.09.11より抜粋。)
●「国土交通省は12日、復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会を開いた。国交省からは、これまでの施工確保対策や特例措置を整理した資料を作成して自治体や業界に周知する方針を表明。被災地で進むCM方式については、これまでの取り組みを月末以降にフォローアップし、今後の活用に反映させる方針も紹介した。また、主任技術者の兼任可能範囲の拡大や歩掛の補正といった取り組みも説明したほか、被災地からの要望に関しては、除染業務への地域建設業経営強化融資制度の活用を検討する考えも示された。」(『建設通信新聞』2013.09.13)

労働・福祉

●「技能労働者一人ひとりの社会保険加入状況や資格、実績把握などに役立つと期待されている『就労履歴管理システム』の構築検討経費が、国土交通省の2014年度予算概算要求に盛り込まれたことが分かった。『建設産業の担い手の確保・育成の推進』で要求した8200万円の中に含まれている。社会保険加入状況等の『見える化』に関する調査の一環として、システムのスペックなどを検討したい考えだ。…作業員一人ひとりにカードや番号などを配布し、就労履歴を登録・管理する制度は、工種ごとに短期間で働く人が多い建設業特有の雇用形態の中で、現場の入退場管理や社会保険加入状況の把握に活用が期待されている。保有資格やこれまでの経験・実績を蓄積することで、優れた技能労働者の処遇改善にも生かせる。健康管理のほか、建設業退職金共済制度に基づく退職金の支払いが、確実に担保できるなどのメリットも考えられる。ただ、必要なシステムや機器類を各社が保有するための費用がネックになっている。」(『建設通信新聞』2013.09.02)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、植村芳輝議長)は、労働時間の短縮(時短)への取り組みの方向性を示す『中期時短方針2013』を策定した。1カ月当たりの所定外労働時間が100時間以上になるような過重労働をなくすことや、1カ月当たりの日建協平均の所定外労働時間を45時間以内に抑えることを共通目標に掲げた。…共通取り組み項目では、統一土曜閉所運動の強化などに加え、平日の所定外労働時間の削減を盛り込んだ。各加盟組合の個別取り組み項目には、有給休暇の取得促進とワーク・ライフ・バランス(WLB)の理解促進などを掲げた。」(『建設工業新聞』2013.09.02)
●「国土交通省は建設技術者の確保・育成に向け、若手を中心とした実態調査に乗り出す。2014年度予算概算要求に、調査・検討経費として1900万円を新規に盛り込んだ。予算が認められれば、まずアンケートを通じて、何歳でどのような資格を取り、どの立場で現場に入っているかなど、働き方の実態をつかむ。その上で、監理技術者になるために求められるキャリアパスのあり方などを探り、最終的に新規就業者の増加につながる入職促進策を打ち出したい考えだ。技能労働者だけでなく、技術者の確保・育成も大きな課題になっている。建設業における24歳以下の入職者は、02年に11.9万人いたが、09年には5.2万人まで減った。就職後3年以内の離職率(09年3月卒業者)は高卒が43.7%、大卒が27.6%となっている。監理技術者の高齢化も進んでいる。11年時点の資格者証保有者数を05年と比較すると、30歳未満が57%減少した一方、60歳以上は75%増加している。技術検定試験の受検者・合格者数も減少傾向にある。このような中、優秀な若手技術者が定着する環境を整えるため、国交省は14年度から詳細な実態把握に着手することにした。アンケートは20代の若手を中心に実施する方針で、主に地域の建設会社が対象になるとみられる。学生の声も集めたい考えだ。実態を踏まえ、現行制度の課題解決策などを検討していく。」(『建設通信新聞』2013.09.04)
●「厚生労働省は、建設労働者確保育成助成金制度の拡充を2014年度予算の概算要求に盛り込んだ。7つの助成コースのうち、技能実習コースの『経費助成』と、認定訓練コース、技能実習コースそれぞれの『賃金助成』の助成率、助成額を引き上げる。加えて、東日本大震災の復興需要で人材不足が顕著な岩手、宮城、福島の被災3県を対象に、技能実習コース『経費助成』の助成率を10割とする。合わせて施工管理に関する訓練も、助成対象の訓練に追加する。制度拡充は、いずれも中小建設事業主を対象とした助成コースとなる。」(『建設通信新聞』2013.09.05)
●「国土交通省は、ダンプトラックなど貨物自動車の運送事業者が東日本大震災の復旧・復興に関連した事業活動を行う場合に適用される特例措置の対象期間を1年延長する方向で最終調整に入った。運転者の疲労蓄積を防止するために、144時間(6日間)以内に所属営業所に戻らなければならない規定を復旧・復興事業に限って緩和するもので、期限が12日に迫っていることから、業界の要望を受けて延長する方向だ。復旧・復興工事が進む被災地では、各現場の工事が重なっており、資材などの運搬需要に地元のダンプ運送事業者だけでは応じきれないのが現状。こうした事態の解消を狙ったのが、『144時間』規定を緩和する特例措置だ。特例措置では、144時間以内に戻らなければならない所属営業所について、一定の要件を満たしていれば、被災地に設けた拠点を所属営業所と見なし、継続的に事業を行えるようにする。」(『建設工業新聞』2013.09.06)
●「国土交通省は、社会保険未加入対策推進協議会を26日に開き、社会保険加入に必要な法定福利費を内訳明示して下請企業が元請企業に提出する標準見積書の一斉活用開始を申し合わせる。各専門工事業団体が作成した標準見積書を、活用が可能なレベルにまで内容を修正した。国交省は元・下請双方への活用状況の確認調査を年内に行うなど、加入徹底に継続して取り組む。標準見積書は、4月の推進協ワーキンググループ(WG)で9月をめどに一斉に活用を開始することを申し合わせていた。国交省は標準見積書を作成した専門工事業団体に、7月中旬から約1カ月半をかけて個別ヒアリングを実施。ほとんどの団体が標準見積書を活用する意義や必要性を理解し、新日本有限責任監査法人と協力して見積書の内容も活用可能なレベルにまでブラッシュアップした。既に50団体のうち49団体の標準見積書が提出可能なレベルに達する見通しになったという。…元請企業の団体側でも、日本建設業連合会(日建連)が標準見積書の活用マニュアルを公表するなど、前向きに取り組んでいるが、専門工事団体からは『大手ゼネコンのトップが理解しても、現場担当者や地場ゼネコンの理解が進んでいない』といった課題が指摘されている。さらに、一部のゼネコンが注文書や請書の中で『見積金額に社会保険料示含まれている』とだけ記載して終わらせるような動きもあるとして、法定福利費の確保に懸念を示す声も上がった。」(『建設工業新聞』2013.09.11)
●厚生労働省は10日、2013年度の最低賃金(時給)の地域別改定結果を発表した。全都道府県で最低賃金が引き上げられ、全国平均は764円と前年度に比べ15円上昇した。2桁の上げ幅は2年連続。新たな最低賃金は10月6日以降、順次適用される。しかし、15円の上昇でもまともに生活できない低水準。このため、「一日も早く時給1000円以上に引き上げよ」の世論が広がっている。(『しんぶん赤旗』2013.09.11より抜粋。)
●「国土交通省は、復旧・復興工事の現場状況を反映した被災3県専用の積算基準を新たに策定し、10月1日以降に入札する工事から適用を始める。岩手、宮城、福島県では工事量の増大に伴う資材やダンプトラックの不足などで、標準歩掛と施工実態にかい離が生じていた。そこで、『土工』と『コンクリート工』の計32工種について、日当たり作業量を10%低減させた『復興歩掛』を定めた。国交省は12日付で、復興歩掛の10月適用を東北、北陸両地方整備局に通知するとともに、3県と仙台市に参考送付した。特定地域に限って専用の歩掛を設定するのは初めてという。」(『建設通信新聞』2013.09.13)

建設産業・経営

●「全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)など地域建設業による災害対応体制の強化が進んでいる。全建は8月30日、東日本大震災の教訓を踏まえて改定した災害対策行動指針を発表した。広域・大規模災害時に求められる対応を追記。災害協定に基づく体制強化などの先進事例も盛り込み、内容を充実させた。災害対策基本法に基づく指定地方公共機関として建協が指定されるケースも増加。地方ブロックの建協による広域連携も進んでいる。」(『建設工業新聞』2013.09.02)
●「ゼネコン(総合建設会社)や素材メーカーが老朽した橋やトンネルなど社会インフラの寿命を延ばす新技術の導入に乗り出す。新日鉄住金などは炭素繊維で補修して橋の寿命を最長50年延ばす手法を開発し8月に高速道路に利用。三井住友建設は耐久性を高め100年以上使える橋の実現にメドをつけた。東日本旅客鉄道(JR東日本)はトンネル補強の手間を省き工費を抑える。政府は老朽したインフラ対策に予算を重点配分。民間各社は新技術で対応する。トンネルや橋の寿命は50年が目安だ。国土交通省によると2012年3月時点で建設から50年以上経過した全国の主要な道路の橋は約16%、トンネルは約18%。20年後に橋は約65%、トンネルは約45%にそれぞれ増えると試算した。同省は60年度までに約190兆円の更新費用が必要とした。橋や道路を管理する国や地方自治体は補修に向けて多額の費用負担を迫られる。昨年12月の中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の崩落事故は開通から約35年で起きた。寿命前でも補修が求められる場合もあり費用がさらに膨らむ恐れがある。新技術を活用し、老朽したインフラの補修費用を抑えたり寿命を延ばしたりする対応が急務だ。」(『日本経済新聞』2013.09.05)
●「2020年夏季五輪の東京開催決定を受け、株式市場でゼネコン(総合建設会社)株の取引が急拡大している。開催決定後、大成建設や鹿島といった大手4社の株式売買高は、1980年代後半のバブル期を上回る水準にまで膨らんだ。インフラ整備が業績に追い風になるとみた個人投資家の資金が流入している。関連株を買うため新たに証券会社に口座をつくる動きも活発になってきた。…東証1部では値上がり率上位30銘柄のうち22銘柄が建設業。『中小の建設会社株を買う動きも広がった』(国内証券)。」(『日本経済新聞』2013.09.11)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は8月27日、平成26年度の予算概算要求と税制改正要望を公表した。住宅関連では、『中古住宅流通・リフォーム促進等の住宅市場活性化』に関する施策を拡充。“長期優良化リフォーム”の先進的な取り組みを支援する仕組みの創設や、事業者が中古住宅を買い取って性能向上リフォーム後に再販売する場合の登録免許税・不動産取得税の非課税措置の創設などを盛り込んだ。」(『日本住宅新聞』2013.09.05)
●「増加する空家の多くを占める個人住宅を賃貸住宅として流通させ、既存住宅ストックの活用を促進するため、国土交通省はこのほど『個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会』(座長=犬塚浩・京橋法律事務所弁護士)を設置。2日に第1回会議を開催した。今年度内を目標に、個人住宅の賃貸流通を促進するための方策を取りまとめ、住宅の管理や取引についてのガイドラインを策定する。平成20年時点の全国の空家の総数約760万戸のうち個人住宅は約270万戸で、適切な管理が行われないことによって防犯、防災、衛生、景観などの面で大きな問題が生じている。一方で、既存住宅ストックを活用した賃貸流通や住み替えの促進が、居住の選択肢を広げ、住生活の向上に寄与することが期待される。そのため、個人住宅の管理や賃貸流通を促進するためのルール整備が求められている。」(『日本住宅新聞』2013.09.05)
●「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は8月29日、今年6月30日時点までの耐震診断に関するデータをまとめ発表した。診断の結果、9割以上の建物が現行の耐震基準に適合しておらず、旧耐震の建物はほぼ全て、新耐震の建物でも耐震性に難があるものが8割以上を占めていることがわかった。全体でみると、91.2%の建物が評点1.0未満となり、基準に適合していなかった。そのうち、大地震で倒壊する可能性が高い、評点0.7未満の建物が73.85%を占めた。旧耐震基準の建物の場合、98%が現行の耐震基準を満たしておらず、その上評点0.7未満の建物が86.25%に達している。新耐震基準の建物の診断結果でも、評定1.0未満の建物が84.43%と高い割合を占め、0.7未満の建物が61.49%と半数を超える結果となった。」(『日本住宅新聞』2013.09.15)

その他

●原発事故が起きたとき、住民をどう避難させるのか―。住民避難のあり方などを定めた「地域防災計画」の重要なポイントとなる避難計画について、再稼働の申請があった6原発で調べたところ、避難の対象となる約52%の市町村でできていないことが明らかになった。…対象は、再稼働に向けた申請をした4電力(北海道、関西、四国、九州)6原発の30キロ圏内に位置する10道府県の52市町村。そのうち避難計画ができていないのは、「作成中」と回答した市町村を含め、半数を上回る27の市町村だった。また、避難先の確保については、「協議中」と答えた市町村を含め、約21%の11市町村が「未定」と回答した。避難手段や避難ルートについて聞いたところ、交通渋滞を心配する声や避難手段の確保ができていない、複数の避難ルートがないなど、さまざまな問題点を指摘する自治体が少なくなかった。(『しんぶん赤旗』2013.09.03より抜粋。)